サーニャ「・・・・・・・・・」
懐かしい夢を見た。
ほんの一ヶ月だけだったけれど、確かに隣にいたやさしい兄。
お父様は「故郷に帰った」って言っていたけれど・・・。
エイラ「サーニャ?どうした?」
サーニャ「なんでもない、行こうエイラ」
私は、夜の空へと飛び立つ。
サーニャ「~♪~♪♪」
お父様が作った、私と兄の歌を歌いながら。
俺「なんか、デジャブるなぁ・・・。」
目を覚ますと、また俺はベッドに横たわっていた。
俺「また病室か・・・」
白一色で統一された部屋は8年前もお世話になった病室を思い出させる。
俺「っていうか、よく生きてたよなぁ・・・俺。」
仮にもトラックにはねられたのだからミンチかケチャップ状態になると思ってたんだが・・・
当たり所がよかったのだろうか?
??「目が覚めたかしら?」
俺「・・・?あ、看護士さん・・・ですか?」
??「ふふ、白衣の天使じゃなくてごめんなさいね。」
入ってきたのは緑の・・・軍服?のようなものを来た女性だった。
歳は・・・同じくらいだろうか?たぶん。
ミーナ「私はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケです。あなたの名前は?」
俺「(長っ・・・外人さん?)あ、俺の名前は俺です。」
ミーナ「俺さんね。どうして基地の中に倒れていたのか答えてもらっていいかしら。」
俺「・・・基地?」
ミーナ「ええ、あなたはこの基地の滑走路に倒れていたの。」
俺「・・・?」
俺は妹をかばってトラックに轢かれたはずだ。
それが基地?滑走路?わけがわからん。
ふと、俺の視線がミーナさんの顔から下半身へとシフトする。
いや、決していやらしい意味ではなく。
ただ、視界にちらちらと・・・パンツが映っていたのだ。
俺(あれ・・・?この文化をどこかで見たような・・・?)
回想:8年前
俺「あの、なんでこの世界の女の人はパンツしか穿かないんですか?」
父「パンツ?あれはズボンだよ。」
回想終了
俺「あ・・・ああああああああああああああああ!!」
ミーナ「ど、どうしたの!?」ビクッ
俺「ああ・・・なるほど、そういう・・・。」
つまり、俺はまた魔法とパンツの世界に来てしまったらしい。
坂本とバルクホルンはミーナの部屋に集まっていた。
ミーナから基地内に倒れていた少年の聴取結果を聞くためである。
坂本「ミーナ、例のけが人はどうだった?」
ミーナ「えぇ、一応簡単な聴取はできたんだけど・・・。」
バルクホルン「ん?何か問題が?」
ミーナ「えぇ、本人曰く『異世界から来た』だそうよ。」
坂本「異世界?」
バルクホルン「なんだそれは・・・ふざけているのか?」
ミーナ「本人は至極まじめなようだけどね・・・。」
坂本「で、ミーナはどうするつもりなんだ?」
ミーナ「目を覚ましたし・・・健康診断と魔力検査の結果を見てからかしら。さすがにけが人を追い出すわけにもいかないし。」
バルクホルン「いや待て、魔力検査は必要なのか?男なのだろう?」
坂本「いや、男性も魔法力を持っていることはある。それにだ。」
ミーナ「それに?」
坂本「そいつの別の世界から来たという話を信じるなら、そいつは魔法力を持っていて、固有魔法かなにかの力によって飛ばされたとすれば・・・。」
バルクホルン「・・・無理があるのでは?」
坂本「仮に、の話だからな。」
ミーナ「まぁ、判断するのは結果を見てからでも遅くはないでしょう。美緒はこれから訓練?」
坂本「ああ!鍛えがいのあるのが入ったばかりだからな!はっはっは!!」
病室
俺「・・・暇だ。」
ミーナさんの話によるとここは連合軍第501統合戦闘航空団「STRIKE WITCHES」の基地で、対ネウロイの最前線の基地・・・らしい。
俺「ウィッチにネウロイか・・・やっぱりあの世界なんだな。」
お世話になったリトヴャク夫妻や、サーニャの顔を思い出す。
とはいえ、8年も前のことなのでおぼろげだが。
あの家族は元気だろうか?
落ち着いたら調べてみるのもいいかもしれない。
ミーナ「コンコン 俺さん?入っても大丈夫かしら?」
俺「あ、大丈夫です。」
ミーナ「失礼するわね。具合はどう?」
俺「おかげさまで。」
暇すぎてベッドでごろごろし続けるぐらいには回復している。
ミーナ「そう、ならこれから健康診断とと魔力検査を受けてもらいます。」
俺「魔力検査・・・ですか?」
ミーナ「ええ、あなたが異世界から来たという話が事実だとしたら、あなたの固有魔法が原因ではないかという意見があったの。」
俺「その真偽を確かめるために魔力検査を受けろ、と?」
ミーナ「ええ、一応拒否権はないということは理解しておいてね。こちらからのあなたの扱いはあくまで不審人物だから。」
俺「りょーかいです。」
面と向かって不審人物とかいわれるとへこむなぁ・・・。
事実だからしょうがないけどね。向こうから見たらめちゃくちゃ怪しいだろうし。
ミーナ「それじゃあ案内するからついてきて。」
俺「了解。」
翌日
俺の健康診断および魔力検査の結果がミーナの元に届いた。
坂本「まさか本当に魔法力を持っているとはな・・・言ってみるものだな!!はっはっは!!」
ミーナ「冗談抜きで結構な数値よ?宮藤さんほどではないけど大きな力を持ってるわ。」
坂本「今は少しでも戦力がほしい時期だ。試しにスカウトしてみたらどうだ?」
ミーナ「・・・そうね。」
ミーナ「というわけで、あなたには魔法力があることがわかりました。」
俺「マジっすか」
魔法力ってあれでしょ?俗に言うMPってやつ。
つまり俺は魔法が使えると?
ミーナ「今の私たちにはすこしでも戦う力が必要なの。もしよかったら協力してくれないかしら?」
俺「けど俺、本当にその辺にいる学生と同じですよ?戦いなんてしたことないし。」
運動は得意だったから体力には自信があるがそれだけだ。
坂本「そこは安心しろ、私がビシバシ鍛えてやるからな!」
俺「・・・どちらさま?」
今回はミーナさんだけでなくもう一人眼帯をつけた女性がいた。
長い黒髪をポニーテールにしている。
そして、スク水の上に制服というマニアックな格好をしていらっしゃる。
坂本「そういえば初対面だったな。私は坂本美緒、階級は少佐だ。」
俺「あ、どうも。俺は俺です。」
ミーナ「さっきの答えだけど、今すぐじゃなくてもいいわ。今週中に返事をくれればいいから。」
俺「断った場合はどうなるんです?」
坂本「いきなり放り出したりはしないから安心しろ。だがしかるべき施設に移動してもらうことになる。」
俺「そうですか・・・。」
夜
俺(いきなり戦えって言われてもな・・・。)
つい先日までただの高校生だったのだ。
それがいきなり魔法力だの戦いだのといわれても困る。
俺「もういい、さっさと寝ちまおう・・・。」
そう思ってベッドに寝転んだ、そのとき。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!
俺「!?」
基地にけたたましくサイレンの音が鳴り響く。
サイレンが鳴り始めて少しすると医務室のドアが勢いよく開けられた。
ミーナ「俺さん、大丈夫!?」
俺「ミーナさん!?このサイレンは一体・・・。」
ミーナ「夜間哨戒をしていた仲間がネウロイを発見したの、これから私たちは出撃するわ。」
俺「ネウロイが・・・。」
ネウロイ、正体不明の人類の敵。
リトヴャク家でお世話になっていたころ写真でみたことがある。
表面が黒と赤の六角形で構成された飛行機のようなものだったのを覚えている。
ミーナ「俺さんはここにいてください。ここなら安全よ。」
俺「わかりました・・・気をつけて。」
ミーナ「ええ、ありがとう。」
ミーナさんは医務室を出て行った。
俺(俺と歳も大して変わらないのに・・・その上女の子だぞ?)
なのに男の自分は何をしているのだろう?
自分には戦う力がある。
本職の軍人が言っていたのだから。
俺「・・・俺は。」
ミーナ「サーニャさん、エイラさん、大丈夫だった?」
ミーナたちが駆けつけるころにはネウロイはコアを砕かれ、光の粒となって消滅していた。
エイラ「オウ、大したことなかったゾ。動きも遅かったシナ。」
坂本「ふむ、二人だけで片付けるとは大したものだ。」
サーニャ「エイラのおかげです・・・。」
エーリカ「私たちが来るまでもなかったね~、眠いし早く帰ろうよ~。」」
バルクホルン「ハルトマン、お前というやつは・・・。」
ミーナ「それじゃあ全機帰還しましょう、俺さんをそのまま置いてきてしまったし。」
もしかしたら不安を煽ってしまったかもしれない。
基地で待機している宮藤やリーネのためにも早く帰還したほうがいいだろう。
サーニャ「・・・」ピクッ
エイラ「サーニャ?どうした?」
サーニャ「ううん、なんでもない・・・。」
ネウロイの襲撃のあった夜が明けた。
ウィッチたちは全員無事に帰還したらしい。
そして、昨日の出来事のおかげで決心がついた。
妹をかばったときのようなことではだめだ。
俺「・・・ミーナさんのところへ行こう。」
自分自身と、見知らぬ誰か・・・この世界のどこかにいるかもしれないリトヴャク家を守るためにも。
俺は、戦おう。
ミーナ「私が言うのもなんだけど、本当にいいのね?」
俺「はい。」
坂本「ここは最前線だ。常に命の危険と隣りあわせだ。覚悟はあるか?」
俺「正直・・・命がけの戦いとか、まだ実感がわきません。けど、何もせずに見ているだけなんて・・・俺には無理だ。」
ミーナ「・・・・そう、わかったわ。」
ミーナ「それでは本日、この時間をもってあなたを連合軍第501統合戦闘航空団「STRIKE WITCHES」に迎えます。」
俺はミーナさん・・・もといミーナ中佐と坂本少佐に連れられてミーティングルームへやってきた。
ミーナ「はい、皆さんおはようございます。」
「本日から、新しいウィッチが私たちの部隊に加わります。俺さん、自己紹介を。」
俺「あ、はい。俺の名前は俺です。正直魔法とか戦闘とかさっぱりわかりませんが、これから努力していくのでどうぞよろしくお願いします!!」
ミーナ「はい、それじゃあ軍服と書類、階級章は後日お渡ししますね。あと、これを。」
俺「拳銃・・・。」
手にとってみるとわかる、ズシリとした重み。
モデルガンくらいは触ったことはある。
あれもそれなりに重かったけど、これは違った重みを感じる。
俺「命の・・・重みか。」
ミーナ「ちゃんと安全装置がかかってるか確認しておいてくださいね?あと、できるだけ携帯しておいてください。」
俺「・・・了解。」
ミーナ「それでは、各自自己紹介を済ませておいてください。ああ、宮藤さん、リーネさん。ある程度自己紹介が済んだら彼を部屋に案内してあげてください。」
宮藤「わ、わかりました!」
リーネ「は、はい・・・。」
宮藤、リーネと呼ばれた少女が寄ってくる。
宮藤「私は宮藤芳佳です!よろしくお願いします!!(うわー!男の人だ!)」
リーネ「リネット・ビショップです・・・よろしくお願いします(男の人・・・。)」ビクビク
俺「うん、よろしく。」
ほかにも数名の少女たちが寄ってくる。
シャーリー「へえ~、男のウィッチなんて
初めて見たな~。」
ルッキーニ「おっぱい無い・・・。」ショボン
俺「・・・そりゃあ、男だからな。」
二人のうちの胸の大きいほうが手を差し出してきた。
シャーリー「さて、あたしはシャーロット・E・イェーガー、階級は中尉だ。気軽にシャーリーって呼んでくれ。」
俺「んじゃあ、俺のことも俺って呼んでくれ。」
俺はシャーリーと握手を交わした。
ルッキーニ「あたしはフランチェスカ・ルッキーニだよ!ルッキーニって呼んでね!階級は少尉だよ!」
俺「よろしくなルッキーニ。軍隊って言うからもっと堅苦しいと思ってたぜ。」
シャーリー「まあ、それは人によるだろうな~。どこぞの大尉は厳しいから気をつけろよ?」
俺「人によりけりか、気をつけるわ。」
エイラ「で、私はエイラ・イルマタル・ユーティライネン、少尉ダ。ココにはいないケド、他にもサーニャって娘がいるゾ。」
俺「よろしくな・・・って、今なんて?」
エイラ「ん?あぁ、サーニャは普段夜間哨戒に出てるから起きるのが遅いんダ。」
俺「サーニャ・・・?もしかして、サーニャ・V・リトヴャク!?」
エイラ「な、なんでサーニャのこと知ってんダ!?」
「まさかオマエ、サーニャのストーカー!?」
俺「んなわけあるか!!」
サーニャ「私がどうしたの?エイラ・・・?」
俺「っ!!」
サーニャ「!!」
声が聞こえた方向に振り向く。
8年前に一緒に過ごした少女の面影がある少女が、そこにはいた。
俺「サーニャ・・・?」
サーニャ「え・・・?俺・・・お兄・・・様・・・?」
エイラ「サーニャ早く逃げロ!コイツ・・・え?」
俺「本当に・・・サーニャか?」
サーニャ「・・・・・・」コクン
サーニャの目に涙が溜まっていく。
・・・よくよく考えたら俺って別れも告げずにいきなりいなくなったんだよな。
俺「久しぶり、サーニャ・・・。」
サーニャ「お兄・・・様・・・っ!!」ガバッ
エイラ「!?」
涙があふれると同時にサーニャが抱きついてきた。
サーニャ「どうして・・・いきなり居なくなったんですか・・・っ!」グスッ
俺「ごめんな、後でちゃんと話すから・・・な?」ポンポン
俺は子供をあやすようにサーニャの頭をなでる。
サーニャ「本当・・・?」
俺「ああ、だから泣き止んでくれ、な?」
サーニャ「・・・グスッ・・・はい・・・。」ニコッ
俺「うん、やっぱり笑ってるほうがかわいいぞ。」ナデナデ
サーニャ「・・・・・・。///」
エイラ「( ゚Д゚)」
エイラ「(゚Д゚)」
シャーリー「こっちみんな。」
宮藤「へぇー、俺さんはサーニャさんのお兄さんだったんですね!!」
俺「血はつながってないけどな。サーニャは8年くらい前にお世話になってた人の娘なんだ。」
リーネ「俺さん、この部屋です。」
俺「ん、ありがとう。」ガチャ
リネットさんが教えてくれた部屋に入る。
ベッドと机、クローゼット以外は何も無いがらんとした部屋だ。
俺「みごとになんにもないな・・・。」
宮藤「荷物はいつ届くんですか?」
俺「へ?荷物?」
今の俺に荷物なんて、ミーナさんから受け取った軍服と書類と拳銃しかない。
俺「あー、荷物は無いんだよ。そのうち買い揃えたいけど・・・。」
宮藤「あ、じゃあ一緒に買いに行きましょうよ!ね、リネットさん!!」
リーネ「は、はい。家具や日用雑貨ならいい店を知ってますよ。」
俺「へぇ、じゃあお願いしようかな。」
宮藤「じゃあ、荷物を置いたら他のところも案内しますね!」
俺「ああ、たのむよ。」
そのあと俺は、先ほどのミーティングルーム、食堂、滑走路、射撃訓練場などを案内された。
リーネ「案内はこれでおしまいです。」
俺「わざわざ悪かったな。ありがとう。」
リーネ「いえ、私にはこれくらいしかできませんから・・・。」
俺「?」
宮藤「あ、俺さん!明日からの訓練頑張りましょうね!」
俺「お、おう!」
今のリネットの言葉に少し違和感が・・・。
まあ、いいか。
リーネ「それじゃあ、晩御飯の時間になったら呼びますので・・・。」
俺「ん、了解。」
二人と別れて、自分の部屋へと向かう。
部屋に到着し、扉を開けてベッドに寝転がる。
俺「明日からは訓練・・・かぁ・・・。」
うまくやっていけるだろうか、などと考えていると扉がノックされる音が聞こえた。
サーニャ「お兄様?入ってもいいですか?」
俺「サーニャ?どうぞ。」
サーニャは扉を開けて部屋を覗き込んだ後、中に入ってきた。
俺「いらっしゃい。まだ何にも無いけどな。」
サーニャ「いえ・・・お邪魔します。」
サーニャはベッドに座る俺の隣に腰掛けた。
俺「えっと、いなくなった時のこと・・・でいいんだよな。」
サーニャ「・・・。」コクン
俺「そうだなぁ・・・結構突拍子も無い話だけどいいか?」
サーニャ「はい。」
俺「わかった、どっから話そうかな。」
俺はサーニャに今までのことを話した。
異世界から来たこと、いきなり元の世界に戻ってしまったこと、今回こちらの世界に来た経緯などを話した。
俺「まぁ、自分でも正直信じられないような話だよ。」
サーニャ「私は・・・信じます。」
俺「うん、ありがとう。」ナデナデ
サーニャ「・・・・・・///」
俺「そうだ、今度はサーニャの話を聞かせてくれよ。俺がいなくなってから何があったんだ?」
サーニャ「えっと・・・お兄様がいなくなって何年か経ってからウィッチにあこがれて・・・。」
それから俺たちはリネットが呼びに来るまでお互いのことを話し続けた・・・。
最終更新:2013年03月30日 00:47