俺「もう朝か・・・ふぁ・・・あふ。」
俺は大きなあくびをかみ殺しながらベッドから這い出た。
正直早起きは苦手である。
むこうの世界でも毎日のように妹に起こされていた。
俺「・・・着替えよ。」
そう思って寝巻き代わりのジャージを脱ぎ始める。
ズボンに手をかけたところで入り口のドアが開けられた。
宮藤「俺さん!おはようござい・・・ま・・・。」
俺「宮藤か、おはよう。」
宮藤「し、失礼しました!!///」
そういうと宮藤は勢いよくドアを閉めた。
・・・まだズボン脱いだわけでもないんだからそこまで照れなくてもよかろうて。
宮藤「ちょ、朝食はできてますから!早く食堂に来てくださいねぇぇぇぇ!!」ドタバタ
宮藤は走り去って行ったようだ。
俺「オンナノコは繊細なのかね・・・ふぁ・・・。」
再びあくびをかみ殺しつつ俺は軍服に着替えた。
食堂の近くで坂本少佐と鉢合わせた。
坂本「おはよう!よく眠れたか?」
俺「はい、おかげさまで・・・ふぁあ・・・。」
坂本「はっはっは!朝は苦手か?」
俺「どちらかというと苦手ですね。」
坂本「まぁこれからは嫌でも早起きになるさ!」
俺「そうですね・・・。」
二人そろって食堂に入る。
サーニャは・・・いないようだ。
そういえば昨日挨拶できなかった面子もいる。
エーリカ「おっ、キミが噂の男性ウィッチ?」
「私はエーリカ・ハルトマン、階級は中尉、エーリカでいいよ~。堅苦しいの苦手だし。」
俺「ああ、よろしくなエーリカ・・・っていうか、男でもウィッチって言うのか?」
エーリカ「うーん、ウィッチじゃなかったらウィザードとか?」
俺「おっ、ウィザードかぁ・・・なんかいい!」
エーリカ「うんうん、響きがちょっとカッコいいよね!」
エーリカは親しみやすい性格のようだ。
ってか、この部隊はみんなそんな感じじゃないか?
軍ってこれでいいのか!?
バルクホルン「ハルトマン、それから新入り。早く席に着け。」
俺「うわっと!?」
背後からいきなり声をかけられ、その気迫にすこしビビる。
俺「すいません・・・ええっと?」
バルクホルン「ゲルトルート・バルクホルン、階級は大尉だ。」
俺「はい、俺は俺です。」
まさに『軍人』って感じの人だな。
昨日
シャーリーが言ってたのはこの人のことか。
バルクホルン「一応言っておくが、おかしな真似はしないことだな。」
俺「はぁ・・・。」
それだけ言うとバルクホルン大尉は自分の席へと歩いていく。
エーリカ「ごめんね?トゥルーデっていつもああだからさ。気にしないでね。」
俺「トゥルーデって大尉のことか?いつもああだと肩こらないのかね?」
エーリカ「うーん、まあしょうがないんだよ。」
俺「?」
エーリカ「ほら、また怒鳴られる前に食べよ。」
俺「お、おう。」
俺はエーリカに引っ張られて席に着いた。
目の前には見覚えのある料理が並んでいる。
俺「お、日本料理・・・こっちでは扶桑料理か。」
宮藤「はい!たくさん食べてくださいね!」
俺「んじゃあとりあえず納豆から・・・しっかり混ぜて~。」マゼマゼ
ペリーヌ「ちょっと!宮藤さん!?」
食卓の上の納豆を見た金髪
メガネの少女が立ち上がった。
俺「んで、ごはんにだばぁ。」
しかし、俺は気にすることなく納豆をご飯の上にかける。
そしてほかほかご飯と一緒に頬張った。
ちなみに俺は納豆には醤油とからし派だ。
ペリーヌ「また腐った豆を出すなんて・・・何を考えてらっしゃるの!?」
宮藤「えぇー、納豆おいしいですよ?ねぇ、俺さん?」
納豆ご飯を飲み込みながら一言。
俺「うめぇ!」
宮藤「ほら。」
ペリーヌ「理解できませんわ・・・。」
俺「ところで・・・どちらさま?」モグモグ
ペリーヌ「あ、あら?・・・ゴホン、自己紹介がまだでしたわね。」
金髪メガネが優雅?に髪を払いながら立ち上がった。
ペリーヌ「私はペリーヌ・クロステルマン、階級は中尉ですわ。」
俺「あ、俺は俺です。」モグモグ
ペリーヌ「腐った豆を食べねがらしゃべるのは止めてくださる!?」
俺「ゴクッ 腐った豆じゃないって、発行させた豆だって。ワインや紅茶だって発酵食品だぜ?」
ペリーヌ「うぐっ・・・。」
言い返せないのかペリーヌは押し黙ってしまった。
エイラ「おお、ツンツン眼鏡が負けたゾ。」
ペリーヌ「ま、負けてなどいませんわ!!」
シャーリー「いやー、負けだろ。」
ルッキーニ「負け負け~!」ニシシ
バルクホルン「食事くらい静かにできんのかお前たちは!!」
坂本「はっはっは!食事は賑やかな方が楽しいな。」
ミーナ(納豆・・・おいしいわね。)
そのころのサーニャ
サーニャ「・・・お兄様・・・zzz」
坂本「お前たちに必要なのは、まず体力だ!!」
三人「はい!!」
俺・宮藤・リネットの三人は滑走路に集まっていた。
訓練のためである。
坂本「それでは、まずはここを10周だ!始め!!」
3人「はい!!」
坂本少佐の号令で走り出した。
滑走路はかなり長い・・・始めは平気だったが5周目あたりから息が切れ始めた。
俺「ぜぇ・・・ぜぇ・・・やばっ・・・なんか出そう・・・。」
宮藤「はぁ・・・お、俺さん・・・はぁ・・・がんばりましょう・・・っ!?」
俺「?」
宮藤がリネットのほうを凝視している。
俺も宮藤の視線の先を探ってみた。
リーネ「はぁっ・・・はぁっ・・・。」ポヨンポヨン
俺「!?」
宮藤「俺さん・・・リネットさんってすごいですね・・・!」
俺「そ、そうだな・・・!」
坂本「俺!宮藤!余所見をするな!!」
俺・宮「は、はいぃ!!」
ようやく走り終わったころには俺の中の何かが燃え尽きていた。
俺「燃え尽きたよ・・・真っ白にな・・・。」
坂本「燃え尽きるには早すぎるぞ!まだ訓練は残っているんだ。」
俺「・・・了解。」
走り込みが終わったあと、俺たち三人はハンガーへとやってきた。
坂本「これから俺にはテスト飛行を行ってもらう。」
俺「テスト飛行?」
坂本「所謂お試しだ。ストライカーユニットを履き飛行するということを体験してもらう。」
「まぁ、そのまま飛べれば問題ないんだがな!はっはっは!」
俺「はぁ・・・。」
坂本「お前のストライカーユニットはあれだ。」
坂本少佐に連れられていった先には一組のストライカーユニットがあった。
坂本「零式艦上戦闘脚だ。倉庫にあった奴を引っ張り出してきた。」
俺「それ、大丈夫なんですか?」
坂本「一応整備してあるから大丈夫だ・・・たぶん。」
俺「たぶん!?」
坂本「いや、大丈夫だ、問題ない!」
俺「・・・・・・・・。」
坂本「ま、まあ物は試しだ。履いてみろ。」
俺「・・・了解。」
俺は言われるままにストライカーユニットを装着した。
すると、頭と尻の近くに違和感を感じる。
俺「!?」ピョコン
俺の頭と尻にから耳と尻尾が生えてきた。
坂本「ほう、使い魔はハスキーか。」
俺「何か生えたあああああああああ!?」
坂本「それは使い魔だ。我々が魔力を使うときのサポートをしてくれる。」
「というか、契約しているのに知らなかったのか?」
俺「け、契約って?」
坂本「使い魔がお尻に触れることで契約がされるんだが・・・。」
俺「お尻・・・?」
どうしよう、まったく身に覚えが無い。
坂本「まぁその話はいいだろう。ためしに浮かんでみろ。」
俺「どうやって!?」
坂本「どうといわれてもな・・・気合?」
俺「気合って・・・。」
言われたとおり気合っぽいものを送り込んでみる。
すると足元に魔方陣が展開され始めた。
坂本「かなり大きな魔方陣だな・・・。」
「よし、宮藤とリーネも飛行の準備だ!」
宮・リ「はい!」
魔法陣が大きくなるにつれて体が浮かび始める。
俺「お、おおおおお!?」
坂本「宮藤、リーネ、支えてやれ!」
宮・リ「はい!」
二人が俺の両腕をつかんで支えてくれる。
坂本「よし、そのまま引っ張ってやれ!」
宮藤「それじゃあ俺さん、行きますよ!」
リーネ「し、しっかりつかまってくださいね。」
俺「た、頼んだ!」
俺は二人に引っ張られるように離陸した。
少しずつ高度が上がっていく。
俺「お、ぉおおおおおお!!」
生まれて始めての、生身で空を飛ぶ感覚。
宮藤とリネットにぶら下がってる状態だけど。
俺はこれからこの空を自由に飛びまわれるのか。
俺「なんか、気持ちいいな!」
宮藤「はい!」
俺が感動に浸っていると、インカムから坂本少佐の声が聞こえた。
坂本『よし、一度手を離して自力で飛んでみろ。』
俺「りょ、了解!」
リーネ「それじゃあ俺さん、一度離しますね。」
俺「お、おう!」
二人がゆっくりと離れていく。
なんとか棒立ち状態で空中に浮くことができた。
坂本『よし、まずはゆっくりでいいから前進してみろ!』
俺「了解、・・・うぉお!?」
言われたとおり前進してみるが、10秒も経たないうちに不安定になる。
俺「うわっとと!!」
坂本『姿勢を崩すな!飛んでいる自分をしっかりとイメージしろ!』
俺「んなこと・・・いわれて・・・もぉっ!!」
うまくイメージができない。
坂本『おい、高度が下がってるぞ!』
俺「や、やばっ・・・!!」
俺「うわああああああああああああああああ!!」ドポーン
カポーン
俺「ぶぇっくし!あー、ひどい目にあった・・・。」ズビー
姿勢制御ができなくなった俺はそのまま墜落。
ストライカーユニットも整備が必要だそうだ。
そして『風邪を引かないうちに風呂に入れ』と言われ風呂に入っている。
俺「くそっ・・・情けねえなぁ・・・。」
守るために戦う。
そう決意したはいいが飛べないのではお話にならない。
俺「いやいや、特訓あるのみ!・・・けど飛んでる自分がイメージできないしなぁ。」
それにしても、こんな大浴場を独り占めできるとはなぁ・・・。
歌でも歌ってみようか。
俺「~♪~♪♪~♪」
エイラ「この声ハ・・・!!」
サーニャ「えっ・・・お兄様?」
俺「え?」
背後から聞こえた声につられて振り向く。
視線の先には・・・まぁ、なんだ。
風呂なんだから当たり前だが・・・。
裸のサーニャとエイラが立っていた。
俺「あー・・・えっと・・・だな・・・///」
サーニャ「・・・・・・・・・・///」
エイラ「なっ、ななななな!!///」
まずい、何か言わなくては!!
えーっと、えーっとぉ・・・!ピコーン
俺「き、きれい・・・だぞ?」
何言ってんのオレ!何言ってんのオレぇええええええ!?
サーニャ「~~~~~~~!!(声にならない声)///」
ほら!サーニャ真っ赤になっちゃったしエイラは拳を震わせてる!!
俺「ご、ごめんすぐに上がるから!!」ダッ
エイラ「オォォォレェェェ!!」ガシッ
三十六計逃げるに如かず!
俺は脱兎のごとく逃げ出した!
しかし、エイラはそんな俺に標準を合わせ。
エイラ「サーニャヲソンナメデミンナァアアアアアアアア!!」
全力で風呂桶を投げつけた。
俺「ご・・・ふっ・・・。」チーン
サーニャ「お、お兄様!」
薄れ行く意識の中、サーニャが駆け寄ってきたのが見えた気がした・・・。
後頭部になにかやわらかくて暖かい感触がある。
サーニャ「あ、お兄様・・・大丈夫ですか?」
視線の先には自分の顔を心配そうに見下ろすサーニャの顔があった。
どうやらサーニャに膝枕されているようだ。
俺「えーっと・・・俺、どうしたんだっけ?」
サーニャ「えっと・・・エイラが、その・・・お風呂で・・・。///」
みるみるサーニャの顔が赤くなっていく。
あぁ、そういえば風呂場でサーニャとエイラに会って・・・。
俺「すまん・・・。」
サーニャ「お兄様は悪くないです・・・私たちがちゃんと確認しなかったから・・・。」
俺「いや、でもほら・・・見ちゃったし・・・。」
サーニャ「わ、忘れてください・・・。///」
ばつが悪くなったので俺は体を起こしてサーニャの隣に座りなおした。
回りを改めて見回す。
どうやらここは俺の部屋のようだ。
そういえば俺はなぜか服を着ている。
サーニャの話によると俺は風呂で意識を失ったはずなんだが・・・。
俺「・・・なぁ、俺の着てる服とかどうしたんだ?」
サーニャ「ふぇ?え・・・っと・・・。」
俺「?」
サーニャ「わ、私が・・・///」
やばい、耳まで真っ赤なサーニャ超かわいい。
いや、多分俺も真っ赤だ。
サーニャ「その・・・うまく体拭けなくて・・・その・・・。///」
俺「わ、わかったから!言わなくていいから!///」
微妙に体(主に下半身)がじっとりしてるのはそのせいか・・・。
まぁ、しっかり拭かれてたら拭かれてたで気まずいんだけどな。
ここはサーニャをフォローすべきだな、うん。
俺「お、俺が言うのもアレだけどあんまり気にすんな!そもそも俺たちは兄妹みたいなもんなんだし!」
サーニャ「・・・!」
俺「?」
サーニャ「そう・・・ですよね。私たちは・・・兄妹・・・。」
そう言うとサーニャはうつむいてしまった。
俺「サーニャ?・・・どうかしたか?」
サーニャ「・・・なんでもないです。」ニコッ
俺「・・・・・・・・・。」
いつものかわいらしい笑顔のはずなのに。
俺の目にはサーニャが無理して笑っているように映った。
サーニャ「私・・・部屋に戻りますね。一応もう一度体を拭いておいてくださいね。」
俺「わ、わかった・・・。」
サーニャ「それじゃあ・・・失礼します。」ガチャ
俺「・・・・・・・・・。」
サーニャはそのまま部屋を出て行ってしまった。
【サーニャSide】
サーニャ「私と・・・お兄様は・・・兄妹・・・。」
そう、お兄様は間違っていない。
サーニャ「・・・・・。」グスッ
間違っていない、はずなのに・・・。
俺『そもそも俺たちは兄妹みたいなもんなんだし!』
サーニャ「・・・・・・・・・っ。」
その言葉が、胸に突き刺さる。
そして、涙があふれてとまらない。
なぜだろう・・・自分でも良くわからない。
エイラ「さ、サーニャ!?」
自分の部屋に戻る途中でエイラに出くわした。
できれば誰にも見られたくなかったのに・・・。
エイラ「ど、どうしたんだサーニャ!?俺のヤツにナンカされたノカ!?」
サーニャ「・・・そんなことないわ、大丈夫よエイラ。」ニコッ
エイラ「サーニャ・・・。」
涙を拭いて、無理やり笑顔を作った。
【俺Side】
初飛行の日から1週間が過ぎた。
あれからサーニャと会ってもその表情に違和感を感じることも無かった。
あのときの違和感は気のせいだと決め付け、飛行訓練に精を出していたのだが・・・。
俺「・・・・・・。」ズーン
シャーリー「あー・・・またダメだったか。」
ルッキーニ「う~ん、なにがいけないんだろうね?」
俺の飛行訓練の様子を見に来たシャーリーとルッキーニに心配そうな顔をされた。
そう、一度もまともな飛行ができていないのだ。
俺「俺、才能ないのかなぁ・・・。」
シャーリー「そ、そんなことないって!」
ルッキーニ「そうだよ!もっと練習すればきっと・・・。」
バルクホルン「おい、新入り。」
ハンガーの隅っこでうなだれていた俺の元にバルクホルン大尉がやってきた。
俺「あ・・・バルクホルン大尉。」
バルクホルン「ここは最前線だ。常に即戦力が求められる。」
俺「・・・・・・。」
バルクホルン「そんなザマではすぐに墜とされるのが目に見えている。死にたくなければ故郷へ帰るんだな。」
俺「・・・簡単に帰れたら苦労しねえよ。」
バルクホルン「・・・・・・何?」
俺「・・・なんでもないですよ。まだ訓練があるんでこれで。」
シャーリー「お、おい俺!?」
ルッキーニ「待ってよ俺~!」
バルクホルン「異世界・・・か、馬鹿馬鹿しい。」
ストライカーユニットの方へ歩いていく俺をシャーリーとルッキーニが追いかけてきた。
シャーリー「急にどうしたんだよ?確かに大尉の話はちょっとキツかったけど・・・。」
俺「なんでもないって、シャーリーもルッキーニも気にするなよ。」
ルッキーニ「ホント・・・?」
俺「ホントだって!」
ルッキーニ「ウジュー・・・それならいいけど・・・。」
その後訓練に戻ったが、結局うまく飛ぶことはできなかった。
最終更新:2013年03月30日 00:47