シャーリー「俺のヤツ・・・なんでこんなに速いんだ!?」
俺は昨日まではまったく飛べなかった。
確かに昼間の会議(?)で何か掴んだ様子だったが・・・こうも変わるものなのか。
シャーリー「ルッキーニ!ペリーヌ!」
ルッキーニ「何!?」
ペリーヌ「何ですの!?」
シャーリー「このままじゃあいつに追いつけない!私が先行するから後から来てくれ!」
ルッキーニ「わかった!俺をお願いね!」
ペリーヌ「了解しましたわ!」
シャーリー「よっしゃ!」
ゴーグルをつけて、ストライカーに魔力をさらに込める。
ほかの二人をおいて、シャーリーは一気に加速した。
【サーニャSide】
サーニャ「・・・!?」ヴン
魔道針が赤く染まる。
理由は単純だ、ネウロイが接近してきているのだ。
急いで反応のある方向へ向き直りフリーガーハマーを向ける。
敵の姿はすぐに目視できた。
サーニャ「・・・・・・くっ。」ドシュ
一発、敵に打ち込むが当たらない。
サーニャ「やっぱり速い・・・!」
ネウロイがビームを発射してきた。
私は急いでシールドを張る。
サーニャ「威力が・・・高い・・・!」
自分のシールドは大きさも強度も一般のウィッチのソレと大差ない。
何発か受けているうちに姿勢を崩してしまった。
サーニャ「・・・!」
しまった、と思ったときにはもう遅かった。
ネウロイはこちらに向かって何発かのビームを放つ。
あれが直撃すれば自分など跡形も残らないだろう。
サーニャ(ごめんなさい、エイラ・・・お兄様・・・。)
やってくるであろう痛みに耐えるため、ぎゅっと目を閉じた。
サーニャ「・・・・・・?」
だが、いつまで経っても覚悟していた痛みはやってこない。
それどころか、なにか暖かいものが自分を抱きとめている。
俺「よっ、さすがにあきらめるのが早すぎないか?」
そこにいたのは青白い翼を背負い、目の前にシールドを張ったお兄様の姿だった。
【俺Side】
サーニャ「お兄様・・・。」
俺「大丈夫か?怪我とか無いか?」
サーニャ「大丈夫です・・・。お兄様・・・飛べるようになったんですか?」
俺「見ての通りってね。まぁ、詳しくはまた後で。」
シールドでネウロイのビームをはじきながら会話をする。
ここ一週間飛べなかった代わりにシールドはしっかりと練習できた。
(と言うより、坂本少佐に「せめてシールドは張れるようになれ!」ってしごかれた。)
・・・まぁ、やっぱり最初はイメージができなくて苦労したが。
俺「よし、そいつの弾はあといくつある?」
そう言ってフリーガーハマーを指差す。
サーニャ「えっと・・・2発です。」
俺「了解。俺が削ってサーニャがトドメ。シンプルだろ?」
サーニャ「・・・わかりました。」
俺「よし、行くぞ!」
俺は掛け声とともに翼に魔力を込める。
青白い翼から魔力の粒子を散らしながら一気にネウロイとの距離を詰める。
俺「はぁああああああああああああっ!!」ガガガガガガガガ
ある程度接近したところでネウロイへ弾をばら撒く。
表面の装甲を削っていくが、コアは見当たらない。
俺「ちっ、コアはどこだよ・・・っと!」
ネウロイがビームを発射してくる。
だがシールドは使わずに翼で機動性を上げて次々とビームをかわし、接近していく。
ネウロイも速いが・・・追いつけないほどではない。
俺(近距離からの射撃で一気に削る!)ガガガガガガガガ
至近距離からの射撃でどんどん装甲がはがれていく・・・が。
俺「あ、あれ?・・・弾切れ!?」カチッ カチッ
どうやら弾をばら撒きすぎたようだ。
俺「・・・そういえば換えの弾持ってきてないな。」
遠くのサーニャを見る。
サーニャは俺を信じてビームを防ぎながらコアが露出するのを待っている。
俺「妹の信頼を裏切れるか・・・答えはNOだ!」
そういうと俺はMG42の砲身を持った。
そして、MG42に魔力を通す。
俺(今持ってるのはハンマー・・・装甲だろうがなんだろうがぶち抜くハンマーだ!)
MG42に翼と同じ青白い魔力がこめられる。
それを構えてもう一度ネウロイに接近した。
俺「くらぇえええええええ!!」
思いっきり振りかぶって、ネウロイの装甲へ振り下ろす。
場所を変えながら、何度も何度も振り下ろす。
ネウロイの装甲が白い破片となって砕け散っていく。
その中で、赤く光を放つものが見えた。
俺「あれがコアか!?」
ネウロイから距離をとりながら、サーニャの方を見る。
サーニャも確認していたようで、コアへとフリーガーハマーを向けた。
サーニャ「・・・当たって!!」ドシュドシュ
フリーガーハマーから放たれたミサイルがコアへと向かっていく。
それはネウロイに着弾し。
パキィィィィィィィィィン
何かが砕ける音が鳴り響いた。
シャーリー「おいおい・・・私が来る前に終わっちゃってるよ。」
シャーリーが追いついたときにはネウロイは光の粒になって消滅していた。
俺「サーニャ!」
サーニャ「お兄様・・・!」
俺はネウロイが消滅したのを確認するとサーニャのほうへ向かって飛んでいく。
俺「お疲れ様、大丈夫だったか?」
サーニャ「はい・・・お兄様は?」
俺「ん?大丈夫大丈夫。けど疲れたわ・・・帰ったらさっさと寝たいな・・・。」
サーニャ「・・・そうですね。」クスッ
シャーリー「その前に、お説教タイムだな。」
俺「え?」
俺が振り返ると、まずはシャーリーの姿が見えた。
そしてその後ろには・・・。
ミーナ「そうねぇ?後でちょっとお時間もらえるかしら?俺軍曹?」
顔は笑っているが、何か黒いオーラを放つミーナ中佐が見えた。
俺はミーナ中佐の部屋から自室へ帰ってきた。
俺「・・・・・・。」ガタガタ
怖かった。超怖かった。
幸い厳重注意ですまされたが、ミーナ中佐の恐ろしさがよくわかった。
今後はできるだけ命令違反とかはしないようにしよう・・・。
俺「とりあえず・・・寝よう。」
初陣が夜間の戦闘だったのと
初めてのまともな飛行の疲れが一気に出てきた。
ベッドに倒れこむなり、眠りへと落ちてしまった。
【ミーナSide】
ミーナ「あの翼が俺さんの固有魔法・・・なのかしら。」
坂本「十中八九そうだろう。飛べなかった人間がいきなり飛行できた・・・。」
「おそらくあの翼には姿勢制御と加速の能力があるのだろうな。」
飛んでいた俺の姿を思い出す。
青白く輝く翼はまるで天使のように神々しくも見えた。
ミーナ「けど、あの翼だけじゃない気がするの。」
坂本「何?」
私の言葉に美緒は首をかしげている。
ミーナ「サーニャさんからの報告を聞いたのだけど、弾が切れた銃でネウロイの装甲を叩き壊してたらしいの。」
坂本「別におかしくは無いだろう?」
ミーナ「サーニャさんから聞いただけだから確証は無いけど、威力が桁違いだったみたい。」
「トゥルーデみたいに怪力の能力があるわけでもないのにおかしくないかしら。」
坂本「・・・だが、これで俺がこの世界に来た理由が固有魔法のせいではないことは確かになったな。」
ミーナ「そうね・・・。」
俺が飛べるようになったことによりひとつ問題が片付いたが新たに俺が転移してきた理由の手がかりがなくなってしまった。
それだけでなく、リーネの問題もあるしトゥルーデも不調ぎみだ。
ミーナ「問題は山積みね・・・。」ハァ・・・
私はため息をつきながらコーヒーをすすった。
【リーネSide】
リーネ「俺さん・・・飛べるようになったんだ。」
一週間ほど前にやってきた、珍しい男性ウィッチ。
彼は今までずっと飛ぶことができずにいた。
だから、すごく失礼だけどこう思ってしまった。
自分と同じ役立たず。
リーネ「だけど・・・。」
だけど、彼は飛んだ。
青白い軌跡を残しながら、夜空へ羽ばたいた。
そして、ネウロイを撃墜した。
リーネ「また、私だけ・・・。」
私だけが、役立たずだ。
【俺Side】
俺「おはよう~。」
宮藤「あ、おはようございます。」
シャーリー「遅いぞ俺~。」
すでに食堂にはサーニャを除いたメンバーが揃っていた。
ミーナ「おはよう俺さん。話があるから食事が終わったらちょっとお時間もらえるかしら?」
俺「え゙っ。」
え・・・まさかお説教の続き!?
いやいや、だって昨日のキュッで終わりじゃないんですか!?やだー!!
ミーナ「何を考えてるのかは知らないけど、あなたの固有魔法についてよ。」
俺「へっ・・・固有魔法?」
ミーナ「ええ、詳しくは食事の後でね。」
朝食の後、俺はミーナ中佐の部屋に来ていた。
坂本少佐も一緒に居る。
俺「えっと・・・俺の固有魔法についてでしたっけ?」
ミーナ「ええ、少なくともあなたの固有魔法がこの世界に来た原因ではないということはわかったわね。」
俺「それは・・・間違いないと思います。」
坂本「ああ、私はお前の固有魔法はあの翼だと思ってるんだが・・・どうなんだ?」
俺「んー・・・。正確にはちょっと違う気がするんですよね・・・。」
俺はあの翼はあくまで固有魔法の結果のひとつの形だと思っている。
まだ実験はしてないからなんともいえないけど。
俺「ちょっと訓練の時間を使って試したいことがあるんですが・・・いいですか?」
坂本「かまわんぞ、何なら今すぐはじめるか?」
俺「お願いします。」
ミーナ「それじゃあ後で射撃訓練場に集合しましょう。何か必要なものはあるかしら?」
俺は試したいことをいくつか頭の中に浮かべる。
俺「じゃあ、木刀と剣と銃をお願いします。」
坂本「ん?木刀と剣を分ける必要があるのか?」
俺「固有魔法の性質をきちんと知るために必要なんです。」
ミーナ「自分の力を理解するのは悪いことではないわ。用意しておきます。」
坂本「せっかくだから刀は私のをかしてやろう!はっはっは!」
そんなこんなで射撃訓練場にやってきた。
一応訓練なので宮藤とリーネが居るのは当然なのだが・・・。
俺「なぜ居る。」
エーリカ「細かいことは~。」
シャーリー「気にしたら~。」
ルッキーニ「ダメー!」
エイラ「まったくダナ。」
ペリーヌ「別にあなたを見に来たわけではありませんわ!」
俺「はぁ・・・。」
これだけの人数に見られるとちょっと恥ずかしいんだが・・・まあいいや。
坂本「ほら、頼まれてたものだ。受け取れ。」
坂本少佐から木刀だの刀だの銃だのを受け取る。
まずは木刀を手に取った。
そして整備の人たちからもらったドラム缶の前に立つ。
俺「よし・・・。」
俺は木刀に魔力をこめる。
少しすると木刀が青白く光り始めた。
俺「・・・はぁっ!!」
その状態で木刀を横に薙いだ。
それを受けたドラム缶は大きくひしゃげて飛んでいく。
リーネ「きゃっ!」
ミーナ「あら・・・。」
坂本「ほう。」
宮・エ・シ・ル「おお~。」
エイラ「い、意外と腕力あるんダナ・・・。」
ペリーヌ「そ、そうですわね。」
俺「いや、今のは腕力とかじゃないぜ。」
俺は新しいドラム缶をセットする。
そして、木刀の代わりに刀を手に取った。
鞘から抜き放ち、木刀のときと同じように魔力を込める。
刀が光りだしたのを確認してから同じように横に薙いだ。
ドラム缶はそのまま真っ二つになる。
宮藤「す、すごい・・・。」
ペリーヌ「さ、坂本少佐ならあれくらい・・・。」
坂本「いや、無理だな。」
ペリーヌ「へ?」
ミーナ「どういうこと?」
坂本「俺に渡した刀の切れ味はドラム缶を一刀両断できるほど高くない。烈風斬でも使わなければ私でもああはできん。」
エーリカ「へー、じゃあそれが俺の固有魔法?」
シャーリー「え?じゃああの翼はなんなんだ?」
首をかしげる一同。
そっちを気に留めることなく、俺は銃を構えた。
先ほどと同じように魔力を込め、的に向かってトリガーを引く。
ダァン!
俺「よし、命中。」
ルッキーニ「けど・・・。」
エイラ「なんかショボイナ。」
エーリカ「普通に私たちが撃つのと大差ないね。」
俺「なるほどなるほど・・・。大体わかったぞ。」
俺は皆の方へ向き直る。
ミーナ「わかったって・・・固有魔法について?」
俺「はい、これに名前をつけるなら・・・【魔力放出】かな?」
「俺の体、もしくは体に触れているものから魔力を放出する能力だ。」
シャーリー「え、それだけ?」
俺「もちろんただ放出するんじゃなくて、あの翼みたいに姿勢制御や加速をしたり、武器から魔力を放出して威力を上げたりもできる。」
坂本「なるほど、ドラム缶一刀両断はそういう仕組みだったのか。」
俺「ただ、木刀は殴るものだからドラム缶をへこませることはできても斬ることはできないみたいだ。」
ミーナ「武器の場合は純粋な威力の上昇にしかつかえないと・・・けど汎用性が高い能力ね。」
俺「あと、直接触れられない銃弾は強化できない・・・わかったのはこれくらいだな。」
坂本「・・・よし!ならばその力を使いこなすためにも特訓だ!猛特訓だ!!宮藤とリーネもついて来い!」
俺「ちょっ。」ガシッ
俺は上機嫌な坂本少佐に引きずられていった。
その後の訓練がいつもよりハードだったのは気のせいではないと思う。
最終更新:2013年03月30日 00:48