俺「おはよう・・・ふぁあ・・・。」
宮藤「おはようございます・・・すごく眠そうですね。」
俺「いや、昨日の特訓の疲れがな・・・。」

あくびをしながら自分の席に座る。
そこへリネットが俺の分のトレーを持ってきてくれた。

リーネ「どうぞ。」
俺「お、サンキュ。それにしても二人ともすごいな。」
リーネ「え?」
俺「俺と同じ訓練したのに朝早く起きて朝食作ってるなんて・・・俺にはまねできないわ。」

そもそも俺は料理なんてできないが。
お菓子なら作れるんだがなぁ・・・今度プリンでも作るか。

リーネ「だって・・・私にはこれくらいしかできませんから。」
俺「・・・?」

なぜかリネットはうつむいてしまった。




食休みが終わった俺たちはいつもどおり訓練を始めていた。
しょっぱなから飛行訓練である。

坂本「よし!まずは宮藤とリーネから飛んでみろ!」
宮・リ「はい!」
坂本「俺は二人の後に私と飛ぶぞ。」
俺「了解。」

宮藤とリーネが飛び立っていく。
そこへミーナ中佐が様子を見にやってきた。

俺「あ、こんにちは。どうしたんですか?」
ミーナ「こんにちは。二人の様子が気になって・・・。」

ミーナ中佐は飛行訓練中の宮藤とリーネを見上げている。

ミーナ「宮藤さん、なかなか上達しないわね。」
坂本「魔法力は高いんだが・・・コントロールができていないんだ。まぁ、前の俺よりはましだがな」
俺「うぐっ。」

い、今は飛べるから大丈夫だ、問題ない。

ミーナ「リーネさんは相変わらず、訓練ではうまくやってるわね。」
俺「・・・?訓練では?」
坂本「あぁ、リーネは実戦になると訓練の半分もできなくなるんだ。経験が不足している。」
俺「そうは見えないな・・・。」
ミーナ「そうね・・・。」

ここから見てわかるくらいリーネは綺麗な軌道を描いて飛んでいる。
と、突然ミーナ中佐が距離をとった。
何事かと思って後ろを振り返ると

宮藤「お、俺さん!どいてえええええええええええ!!へぶっ!」ドゴッ
俺「おぶふぉ!!」

コントロールを失った宮藤が俺に突撃してきた。


ソレカラドーシタ


坂本「よし!訓練終了!俺はなかなかいい飛行だったぞ。今までとは大違いだ。」
俺「・・・どうも。」ゼェハァ

そのあと、バルクホルン大尉が宮藤に俺の時と同じような忠告をしに来たりしたが割愛する。


【ミーナSide】

そして、夜の滑走路の先端にて。

リーネ「訓練もなしに、いきなり飛べた宮藤さんとは違うの!」タッタッタ
宮藤「リネットさん!」

リーネは走り去っていく。

ミーナ「・・・・・・・・・・。」

基地の中へと駆け込んでいくリーネを、ただ見送った。


【俺Side】

俺「ふぅ・・・いい湯だった。」

風呂上りの俺は自室に帰る途中に廊下の曲がり角で誰かとぶつかった。

リーネ「きゃっ!」
俺「うわっと!」

相手が体勢を崩したのを見てあわてて抱きとめる。

俺「って、リネット?」
リーネ「お、俺さん・・・。」
俺「大丈夫か?ぶつかって悪かった。」
リーネ「いえ、私が走ってたのが悪かったんです。すみません・・・。」
俺「・・・どうした?元気ないな。」

リネットはそのままうつむいて黙ってしまった。

俺「・・・あー、話したくないなら別n「あの!」・・・ん?」

リーネ「すこし、お時間いいですか?」



俺たちは滑走路の先端にやってきた。
そのまま地面に腰掛ける。

リーネ「ここ、お気に入りなんです。」
俺「へぇ・・・普段訓練でよく来てるのに夜だとちょっと違う感じがするな。」

風呂で火照った体を冷やすにもちょうどいいかもしれない。

リーネ「さっきまでは、宮藤さんも一緒に居たんです。」
俺「宮藤と?やっぱり仲良いんだな。」
リーネ「そんなんじゃないんです・・・。」
俺「?」
リーネ「私、宮藤さんや俺さんがうらやましかったんです。」

リネットはぽつぽつと話し出した。

リーネ「宮藤さんは、初めてストライカーを履いたときから飛べて・・・ネウロイと戦ったって聞きました。」
リーネ「それだけじゃなくて、大きな魔力を持ってたり治癒魔法が使えたり・・・。」
リーネ「私と同じだと思ってた俺さんも飛んで・・・汎用性の高い固有魔法を持ってて・・・。」
リーネ「ほかの皆さんもすごくて・・・その中で、私だけ足手まといなんです・・・。」
俺「・・・そうか。」

俺はリネットのほうへ向き直った。


俺「・・・リネット。」
リーネ「・・・はい。」
俺「お前さ、自分ひとりで戦ってるって思ってないか?」
リーネ「えっ。」
俺「少なくともお前は訓練ではうまくやれてる。」
リーネ「だけど・・・私は実戦だと・・・。」
俺「あー、つまりはだな・・・。失敗とか気にせずに思いっきりやってみろってことだよ。」
リーネ「けど、それじゃあ私は足手まといで・・・。」
俺「あー、もう!お前は固くなりすぎなんだよ!」

俺は立ち上がる。

俺「お前は一人で戦ってるわけじゃない・・・だからさ。」

まっすぐにリーネの目を見据える。

俺「俺を・・・いや、俺たちを信じてみろ。」

そして、リネットの手を掴んで立ち上がらせた。




俺「一人になんて、させやしないから。」






次の日の早朝、ネウロイ襲来の警報が鳴り響いた。


ミーナ「監視所から連絡が入ったわ。敵、グリッド1148に進入。直ちに出撃します。」

坂本少佐、バルクホルン大尉、エーリカ、シャーリー、ルッキーニ、ペリーヌは出撃していった。
その姿を宮藤、リネットと一緒に見送る。

ミーナ「残りの人は基地で待機です。」
居残りメンバー「了解。」

宮藤「行っちゃったね。」
リネット「そうですね・・・。」
宮藤「今、できることって何だろ・・・。」
リネット「足手まといの私に、できることなんて・・・。」
宮藤「リネットさん!」

俺(そんなに早くは割り切れないか・・・。)

そんな俺たちのところへミーナ中佐が寄ってきた。

ミーナ「宮藤さん、俺さんもちょっといいかしら?」
宮藤「あ、はい。」
俺「はい。」
ミーナ「リーネさんはこのブリタニアが故郷なの。ヨーロッパ大陸がネウロイの手に落ちているのは知ってるわね。」
宮藤「はい、リネットさんに・・・。」
俺「俺は初耳だな・・・。」

もうちょっと世界情勢とか勉強するべきかもしれない。
いや、その話は今は置いておこう。

ミーナ「欧州最後の砦、そしてブリタニアを守る・・・。リーネさんはそのプレッシャーで実戦だとだめになっちゃうの。」
俺「なるほど・・・そういう理由が・・・。」

祖国を守るというプレッシャーに加えて周りがエリートだらけ。
そりゃ劣等感も感じるか・・・。

ミーナ「宮藤さん・・・俺さんも、どうしてウィッチーズ隊に入ろうと思ったの?」
宮藤「はい、困ってる人の力になりたくて・・・。」
俺「俺は・・・守りたいから、かな。」

一番に浮かんだのはサーニャ、そしてサーニャの両親。
そして、501の仲間たちだ。

ミーナ「ふふっ、リーネさんが入隊したときも同じことを言ってたわ。」
ミーナ「その気持ちを忘れないで。そうすればきっと皆の力になれるわ。」

そういうと、ミーナ中佐は離れていった。



【坂本Side】

ペリーヌ「手ごたえが無さ過ぎる・・・。」
坂本「おかしい・・・コアが見つからない。」

さっきから魔眼で探っているが、一向に見つからない。

ペリーヌ「まさか!陽動ですの!?」

・・・っ!しまった・・・!
ペリーヌの言うとおり、これがおとりでさらに強力なネウロイが基地に向かっているとしたら。
今基地でまともに戦えるメンバーは少ない・・・。

坂本「基地が危ない!!」


【リーネSide】

宮藤『リネットさん。』

部屋の外で、宮藤さんが呼んでいる。

宮藤『私、魔法もへたっぴで叱られてばっかりだし、うまく飛べないし、銃も満足に・・・使えないし。』

返事をせずに、耳を傾ける。

宮藤『ネウロイとだって、ホントは戦いたくない。でも、私もウィッチーズにいたい。』
宮藤『私の魔法で誰かを救えるのなら、何かできることがあるなら・・・。』
リーネ「・・・・・・。」
宮藤『そして、皆を守れたらって・・・。』
リーネ「・・・守る。」

始めてこの基地に来たとき・・・いや、軍に入ったときに誓ったこと。

宮藤『だから、私は自分にできることをがんばる・・・。』
リーネ(宮藤さん・・・。)

ドアに頭を当てる、そして昨日俺に言われたことを思い出した。

俺『一人になんて、させやしないから。』

私は・・・一人じゃない。

直後、警報が鳴った。



【ミーナSide】

ミーティングルームにエイラさんを呼んだ。
先ほどとは別のネウロイが基地に迫っているからだ。

ミーナ「出られるのは、私とエイラさんだけね。サーニャさんは?」
エイラ「夜間哨戒で魔力を使い果たしてる。ムリダナ(・x・)」
ミーナ「そう・・・じゃあ、二人で行きましょう。」

本当は俺さんも連れて行きたいけれど・・・まだ彼は半人前だ。
実戦に連れ出すのは酷だろう。

宮藤「あ、あの!私も行きます!」

宮藤さんが部屋に飛び込んでくる。

ミーナ「・・・まだあなたが実戦に出るのは早すぎるわ。」
宮藤「足手まといにならないよう、精一杯がんばります!」

その意思は本物だ、だけど・・・。

ミーナ「訓練が十分じゃない人を戦場に出すわけには行かないわ。それにあなたは、撃つ事にためらいがあるの。」

初めに銃を返したことや射撃訓練の時の態度でわかる。
銃というものに嫌悪感を抱いているのだろう。

宮藤「撃てます!守るためなら!!」


【俺Side】

宮藤「撃てます!守るためなら!!」

ミーティングルームへ向かう途中の廊下に宮藤の声が響き渡った。

俺「宮藤・・・って、リネット?」

ミーティングルームの入り口の影にリネットが立っているのが見えた。
そして、そのまま中へ飛び込んでいった。

リーネ「私も行きます!!」
宮藤「リネットさん!」
リーネ「二人合わせれば、ひとり分くらいにはなります!!」

リーネの決意の叫びが、響き渡った。

ミーナ「・・・許可できません。危険だわ。」

それでもミーナ中佐は頑なだ。
リネットが意地を見せたんだ。
これは、俺も行かないわけには行かないな。

俺「俺も行きます!!」
ミーナ「俺さん!?」
俺「俺は実戦経験もあります。それに、こいつらとならやれます!」
リーネ「俺さん・・・。」
ミーナ「・・・・・・。」

ミーナ中佐は真剣にこちらを見据え。

ミーナ「・・・90秒で仕度なさい!」

俺・宮・リ「「「はい!」」」

俺たちはハンガーへとやってきた。
ストライカーを装着し、インカムをつける。
それぞれ武器を携えて発信していく。
俺は前と同じMG42を背負った。

宮藤「宮藤芳佳、行きます!」
リーネ「リネット・ビショップ、行きます!」

俺「俺、行きますっ!!」

俺は【魔力放出】で青白い翼を生み出す。
そのまま加速し、空へと飛び立った。

ミーナ「敵は3時の方角から接近しています。私とエイラさんが先行するからここでバックアップをお願いね。」
俺・宮・リ「「「はい!」」」
ミーナ「俺さん、二人をお願いね。」
俺「・・・了解!」
エイラ「・・・シッカリやれヨ俺。」
俺「おう、まかせとけ。」

そのままミーナ中佐とエイラは加速していった。

リーネ「宮藤さん、俺さん・・・。」
宮藤「?」
俺「ん?」
リーネ「ホントは私・・・怖かったんです。」
俺「・・・俺だってそうさ。」
宮藤「私は今も怖いよ。でも、何もしないでじっとしてるほうが怖かったの・・・。」
俺「・・・そうだな。」
リーネ「何もしないほうが・・・っ!」

リーネが何かに気づいたのか、急に顔を上げた。

俺「どうした!?」
リーネ「ほら!あそこ!」

リーネが指差した先では戦いの光が見えた。



【ミーナSide】

エイラ「速い・・・!」
ミーナ「今までのより圧倒的に速いわ・・・一撃離脱じゃ無理ね。速度をあわせて!」
エイラ「・・・・・・。」グッ

エイラさんのサインを確認して、敵に追いつくために一気に速度を上げる。
距離が詰まったのを確認して、再び射撃する。
だが、銃弾が数発あたると、ネウロイの後部が分離した。

エイラ「加速した・・・!」
ミーナ「っ!」

切り離されたネウロイの後部をかわす。
そのころには、ネウロイの姿がさらに遠くに離れてしまった。

ミーナ「速すぎる・・・!まずいわね・・・。」



【俺Side】

宮藤「ち、近づいてくるよ。」
リネット「・・・!」ガチャッ

リネットがあわててボーイズライフルを構える。

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

リーネ「だめ!ぜんぜんあたらない!」
宮藤「大丈夫だよ!訓練であんなに上手だったんだから!」
リーネ「私飛ぶのに精一杯で、射撃をコントロールできないんです・・・。」
俺「・・・宮藤!リネットを支えてやれ!」
宮藤「・・・そっか!わかりました!」

宮藤がリネットの足の間に頭を入れる。
所謂、肩車ってやつだ。
何で俺がやらないのかって?まだお巡りさんの世話にはなりたくない。

俺「どうだ?安定するか?」
リーネ「あ・・・は、はい。」

ちょっと恥ずかしそうだが、今はそれどころじゃない。
そこへ、インカムから通信が入る。

ミーナ『俺さん、宮藤さん、リーネさん。敵がそちらに向かっているわ。あなたたちだけが頼りなの、お願い。』
俺「了解!」

【リーネSide】

ネウロイへとライフルを構える。

リーネ(そうだ、敵の避ける位置を予測して、そこに撃てば・・・!)
リーネ(けど、そんなことできるの・・・?私が・・・?)

俺「リネット!!」
リーネ「!!」

俺さんがこっちを向いた。

俺「なんか考えがあるんだろ?」
リーネ「けど、私じゃ・・・。」
俺「俺は、お前を信じる。」
リーネ「!!」
俺「だから、思いっきりやってみろ!」
リーネ「・・・はい!」

改めて、ネウロイへ標準をあわせる。
そして、俺さんと宮藤さんへ叫んだ。

リーネ「二人とも!私と一緒に撃って!」
宮藤「うん!わかった!!」
俺「了解!」

俺さんと宮藤さんはネウロイへ銃を向ける。

リーネ(二人とも、私を信じてくれてる・・・。)

なぜだろう、力があふれてくる。
今なら、きっとできる!

リーネ「今です!!」


【俺Side】

リーネ「今です!!」

リーネの合図とともに、俺と宮藤の銃が弾を吐き出した。

宮藤「かわされた!」
俺「リネット!」
リーネ「大丈夫です!」

リネットはひるむことなくそのままボーイズライフルを連射する。
それらは確実に命中し、ネウロイの装甲を削っていく。
そして──。

パキィィィィ

ネウロイは白い破片となって消えていった。

宮藤「すごい!!」
リーネ「・・・やった!!やったよ宮藤さん!俺さん!!」
俺「うわっぷ!」

リーネが突然抱きついてきた。

リーネ「私、初めてみんなの役に立てた!二人のおかげだよ!」
俺「ちょ・・・リネット・・・苦し・・・。」

なぜ苦しいかって?
そりゃリネットの胸が俺の口と鼻をふさいでるからだ。

俺・宮「「う、うわああああああ!」」ボチャーン

そして、バランスを失った俺たちは海に落ちてしまった。

俺「っぷは!!」
宮・リ「「・・・ぷっ、はははははは!!」」
俺「笑い事じゃねえよ・・・。」
宮藤「・・・芳佳でいいよ。私たち友達でしょ?」
リーネ「・・・じゃあ、私もリーネで。」

どうやら二人の間に本当の友情が芽生えたようだ。

リーネ「俺さんも。」
俺「ん?」
リーネ「私のこと、リーネって呼んでください。」
宮藤「私も芳佳って呼んでください!」
俺「・・・おう。」

俺は二人から目をそらしてしまった。

俺「・・・改めてよろしくな、芳佳、リーネ。」

二人のまぶしい笑顔を見るのが、なんとなく照れくさかったからだ。

リーネ「・・・はいっ!」

また抱きついてきたリーネのせいで俺と宮藤がおぼれそうになったのはまた別の話・・・。



基地に帰って、俺がお風呂に入っている間の話。

リーネ「サーニャちゃんがうらやましいな・・・。」
宮藤「どうして?」
リーネ「だって、あんな素敵なお兄さんがいるんだもん。」
宮藤「そうだよね。私もあんなお兄ちゃんがほしいなぁ・・・。」
リーネ「うん、やさしくて・・・かっこよくて・・・頼りになって・・・。」
宮藤「そうだね・・・。ってリーネちゃん、顔赤いよ?」
リーネ「えっ!?そ、そんなことないよ!?」

俺「ぶえっくしょん!!」
俺「・・・?風邪でも引いたかな・・・。」
最終更新:2013年03月30日 00:50