【サーニャSide】
サーニャ「~♪~~♪~♪」
お父様が作った歌を口ずさみながら夜の空を飛ぶ。
サーニャ(お兄様と一緒に歌いたいなぁ・・・。)
しかし、頭に浮かぶのは先日の出来事。
ハルトマン中尉がお兄様のほっぺに・・・その・・・。
サーニャ「・・・ハルトマン中尉は、お兄様の事を・・・?」
ハルトマン中尉だけではない、お兄様のそばにはいつも素敵な女性が居る。
お兄様と同じ新人で、普段から仲のいい宮藤さんやリネットさん。
その訓練を見ている坂本少佐。
よく一緒に騒いでいるルッキーニちゃんや
シャーリーさん。
最近はバルクホルン大尉とも仲良くなっている。
自分以外の女性がお兄様の隣に居て、仲良くしている姿を想像する。
サーニャ(なんだろう・・・胸が苦しい。)
なぜか胸が締め付けられるような気分になる。
少なくとも、生まれてから今までこんな気持ちになったことはなかった。
サーニャ「お兄様・・・。」
【俺Side】
とある晴れた日の昼下がり。
洗濯日和ともいえるほどの気持ちのいい天気の中・・・。
俺は部屋の隅っこでひざを抱えていた。
俺「・・・・・・。」ズゥゥゥゥゥン
シャーリー「うわっ!何か俺の周囲だけ空気が重い!」
ルッキーニ「何かあったのー?」
宮藤「それが・・・。」
リーネ「何でも、最近サーニャちゃんに避けられているらしいんです。」
シャーリー「はぁ?あの『お兄様大好き!』を絵に描いたようなあのサーニャに?」
俺「・・・そうなんだよ。」フラッ
ルッキーニ「俺・・・なんかお化けみたいになってるよ?」
俺「だって・・・なんか目が合ったらすぐに目を背けられちゃうし廊下でばったり会ってもすぐにどっかいっちゃうしそれだけじゃないこの前だって食堂でおやつのプリンを勧めても反応なかったしそれだけじゃないあの時だってこの時だって・・・」ブツブツ
シャーリー「うわ・・・重症だな・・・。」
バルクホルン「だが、俺の苦しみは良くわかる・・・!私もクリスに露骨に避けられたりしたら・・・。」
俺「・・・・・・。」
バルクホルン「・・・・・・。」
俺・バ「「うわあああああああああああああああああああ!!」」
シャーリー「だめだこいつら、早く何とかしないと。」
リーネ「けど、ホントにどうしてなんでしょう?」
俺「それなんだよ・・・とりあえず土下座してみようか。」
シャーリー「とりあえず土下座って・・・。」
そんな目で見るなシャーリー・・・俺だって情けないのはわかってるんだ。
俺「サーニャが怒ってる理由さえわかればなぁ・・・。」ハァ
途方にくれてため息をつく。
これ以上サーニャに避けられたら俺の中のIP(妹ポイント)がなくなって死ぬ。
そんな時、宮藤の手がスッと上げられた。
宮藤「あの・・・サーニャちゃんは怒ってるわけじゃないと思うんです。」
俺「えっ?」
シャーリー「いやいや、怒ってないならなんで俺をスルーしてるんだ?」
宮藤「えっと・・・たぶん顔をあわせ辛いんじゃないでしょうか。」
俺「顔をあわせ辛い・・・?」
どういうことだ?さっぱりわからん。
バルクホルン「なるほど・・・そういうことか!」
俺「何か分かったのか!?」
バルクホルン「おそらく・・・今回の原因はハルトマンだ!!」
俺「な、なんだってー!?・・・なんでエーリカが出てくるんだ?」
リーネ「ああ・・・そういうことですか。」
俺「え、もしかして俺だけ分かってない感じ?」
シャーリー「いや、私にもさっぱりだ。」
ルッキーニ「私もー。」
俺とシャーリーとルッキーニはそろって頭に「?」マークを浮かべる。
そんな俺の隣にバルクホルンがやってきて肩を叩いた。
バルクホルン「想像してみろ俺・・・サーニャがお前の目の前で知り合いの男性にキスされていたらどう思う?」
そのシーンを想像する。
俺「とりあえずそいつを[ピー]す。」
想像から返答までにかかった時間・・・わずか0.3秒
シャーリー「ちょっ。」
バルクホルン「つまりだ、前にハルトマンがお前に・・・その・・・キスしたことによってだな・・・。」
シャーリー「え、何!?エーリカが俺に何したって!?」
ルッキーニ「そこをkwsk!!」
バルクホルン「お、落ち着けリベリアン!ルッキーニ!」
事情を知らないシャーリーとルッキーニがバルクホルンに詰め寄る。
戸惑うバルクホルンの前に宮藤が割って入った。
宮藤「つ、つまり!サーニャちゃんはそんなシーンを目の前で見たせいで複雑な心境になってるんじゃないかと!」
そ、そうなのか・・・!
つまり親のギシアンを見ちゃった子供の心境なんだな!?
・・・自分で言ってなんだが、言葉にできない気分になった。
俺「よし、原因はなんとなく分かった・・・あとはどう行動するか・・・。」
シャーリー「ん~、無難だけどプレゼントでご機嫌取りとか?」
俺「プレゼントか・・・プレゼント・・・ん?」
チラッと俺の視界にカレンダーが写った。
今日は8月11日・・・。
俺「8月・・・?8月って確か・・・!!」
そうだ、たしか8月18日はサーニャの・・・!!
俺「そうだ!プレゼントだ!!」
俺は部屋の外へと駆け出した。
リーネ「俺さん!?どこ行くんですか!?」
俺「ちょっとミーナ中佐の所にいってくる!」ダッ
ルッキーニ「・・・?なんで中佐のところ?」
シャーリー「プレゼント買うために外出許可もらいに行ったんじゃないか?」
バルクホルン「妹のために即行動・・・さすがは俺だ・・・。」フッ
シャーリー(最近のコイツのキャラが掴めん・・・。)
ミーナ「だめです。」
開幕早々これだよ!
俺「なんでですか!?」
ミーナ「・・・俺さん、この前した話をもう忘れちゃったのかしら?」
俺「この前した話・・・?」
【回想に入ります】
ミーナ「というわけで、俺さんと宮藤さんには夜間哨戒のシフトに入ってもらうわ。」
俺「つまり・・・サーニャと一緒に?」
サーニャのほうに目を向ける。
やはりというか・・・目を背けられてしまった。
マジでへこむ。
ミーナ「ええ、以前に夜間の出撃したことがある俺さんは分かると思うけど・・・。」
坂本「昼の空と夜の空では勝手が違う。そこで今のうちに慣れてもらうためにもサーニャと一緒に夜間哨戒に出てもらう。」
エイラ「ハイハイハイ!私も出るゾ!!(最近サーニャ元気ないし・・・一緒に居てやらないとナ!)」
ミーナ「エイラさんも・・・?けど夜間哨戒に4人も人数は裂けないわ。」
坂本「ならばローテーションにしよう。今週は宮藤、来週は俺・・・これでどうだ?」
ミーナ「そうね、それじゃあそうしましょう。」
サーニャ(お兄様と・・・。)
【回想終了】
俺「あー・・・。」
ミーナ「思い出したかしら?」
俺「その・・・一日だけでいいんです!どうかお慈悲を・・・!!」
ミーナ「俺さんのシフトが終わったあとじゃだめなの?」
俺「その・・・18日がサーニャの誕生日で・・・。」
ミーナ「なるほど・・・いいお兄さんね。」
俺「それじゃあ!!」
ミーナ「けどシフトは崩せないわ、それなりの事情がないかぎりはね。」
俺「う、ぐぅ・・・。」
俺はガクリと肩を落とした。
どうする・・・こうなったら手作りとか・・・?
けど俺ってそこまで手先起用じゃないし・・・。
ミーナ「・・・あぁ、そういえば小麦粉がなくなりかけてたわね。」
俺「・・・?」
ミーナ「ちょうどいいわ俺さん、補給係の人と一緒に街まで買出しに行ってくれないかしら?」
俺「え・・・いいんですか!?」
ミーナ「けど、これも仕事よ。勝手に抜け出すことは許しません。」
俺「ぐっ・・・。」
ミーナ「・・・まぁ、俺さんがサボってても私はそこに居ないからわからないのだけどね♪」
俺「み・・・ミーナ中佐!!」
今の俺の瞳にはミーナ中佐が女神に見える・・・!
ミーナさんマジ女神!!
ミーナ「それじゃあ、おねがいできる?」
俺「は、はいっ!!」
そんなわけで、俺は街へ買いだしに行くことになった。
補給の人との待ち合わせのためにガレージへ行った時だった。
エーリカ「あ、俺じゃん!・・・どっかいくの?」
俺「エーリカ?何でここに?」
エーリカ「今日は非番だからお昼寝しようと思ってさ~・・・で?」
俺「ああ、補給の付き添いで町に行くんだ。」
エーリカ「ふ~ん・・・ねぇねぇ、補給の人~。」
補給係「は、はい!何ですか!?」
突然話しかけられて驚いたのか、補給兵の声が裏返った。
エーリカ「10分くらい待っててもらっていい?一応上官命令ってことで。」
補給係「はぁ・・・了解です。」
俺「おい、なんで待たせるんだ?」
エーリカ「私もついてくから、お菓子の補充したいし。一応ミーナに許可もらってくるね~。」
俺「はぁ!?・・・行っちまいやがった・・・。」
どうやらエーリカはついてくる気満々のようだ。
っていうか、よくよく考えてみると今回の騒動はあいつのせいじゃないのか?
俺「まったく・・・。」
サーニャ「あの・・・お兄様・・・。」
俺「サーニャ!?」
な、なんだ?エーリカの次はサーニャか!?
いや、そんなことはどうでもいい!
サーニャのほうから話しかけてきてくれた!
俺のIP(妹ポイント)が回復していくのが分かる・・・!
サーニャ「その・・・ごめんなさい。」
俺「え・・・なんで謝るんだ?」
サーニャ「だって・・・最近お兄様のことを避けてしまってたから・・・。」
俺「あ・・・いや!あんなところ見たから気まずかったんだよな?しょうがないって。」
サーニャ「でも・・・。」
俺「俺だって、サーニャが知り合いの男にキスされてたら(兄として)嫌な気分になるし・・・。」
サーニャ「・・・私、嫌な気分になりました。理由はわからないけど・・・。」
俺「そっか、じゃあ・・・。」
サーニャ「・・・はい。」
お互いに仲直りの握手をしようと思ったときだった。
エーリカ「俺~、おっまたせ~♪」
サーニャ「っ!!」
俺「あっ。」
エーリカの声が聞こえた途端、サーニャは手を引っ込めてしまった。
行き場を失った俺の手が空中で止まる。
エーリカ「・・・ん?どうかしたの?」
俺「サーニャ・・・?」
サーニャ「・・・っ、ごめんなさい・・・!」ダッ
俺「サーニャ!?」
サーニャは走り去ってしまった。
その場に俺とエーリカが残される。
エーリカ「えーっと・・・なんかまずいことした?」
俺「・・・いや、そんなことないさ。」
いや、正直タイミングは悪かった。
だけど・・・。
俺(なんであんな・・・辛そうな顔で・・・。)
あの表情に覚えがある。
俺がまだまともに飛べなかったころに部屋で俺を介抱してくれたとき見せた表情だ。
補給兵「あのー・・・そろそろ出発したいのですが・・・。」
エーリカ「あ、ごめんごめん!いこっか!」
俺「あ、ああ・・・。」
俺はサーニャが走り去った方向をぼんやりと見つめていた・・・。
【サーニャSide】
サーニャ「ハァ・・・ハァ・・・。」
あれから自室まで走ってきてしまった。
お兄様とハルトマン中尉が一緒に居るところを見ていると胸が苦しくなる。
サーニャ「どうして・・・?どうしてなの・・・?」
今までのお兄様との会話が脳裏を駆け巡る。
『久しぶり・・・サーニャ。』
『き、きれい・・・だぞ?』
『ちょっとあきらめるのが早すぎないか?』
『サーニャ!』
『サーニャ?』
『サーニャ・・・。』
サーニャ「あ・・・・・・。」
気づいた、気づいてしまった。
なぜこんなに胸が苦しいのかも、なぜお兄様のことが頭から離れないのかも。
サーニャ「私は・・・。」
お兄様のことが 好きなんだ
【俺Side】
エーリカ「そういえば小麦粉買いに行くだけなのに何でこんなおっきなトラックで行くの~?」
補給兵「小麦粉はついでで、本命は機材の受け取りのためだそうです。」
俺「機材・・・?」
補給兵「俺軍曹・・・知らないのですか?あなたの新しいストライカーユニットの受領なのですが・・・。」
俺「えっ?」
エーリカ「俺の新しいストライカー!?」
補給兵「整備部からの報告では俺軍曹が使用していた零式艦上戦闘脚は・・・。」
補給兵「ああ、そちらの鞄に入っている報告書の写真を見たほうが早いかと。」
俺「ど、どれどれ・・・?」
俺は補給兵のかばんの中から封筒を取り出し、中身の書類をとりだした。
エーリカも首を伸ばして書類に貼り付けてある写真を見る。
エーリカ「うわぁ・・・こりゃひどい・・・。」
俺「な、なにがひどいんだ?」
エーリカ「どうやったら魔道エンジンが焼き切れるのさ!?はじめて見たよこんなの!」
補給兵「許容量を超える魔力を流し続けたためだそうです。」
おそらくバルクホルンを助けるために魔力放出を全開で使ったせいだろうなぁ・・・。
シールド強化はストライカーの補助機能に頼りっぱなしだし・・・。
俺「・・・もしかして夜間哨戒を1週間ずらしたのってこのためか・・・?」
補給兵「おそらくは・・・。」
もう一度写真へ目を落とす。
もう飛ぶことができなくなった相棒の姿を見つめた。
数十分後、俺たちは町に到着した。
補給兵「それでは、2時間後までにここへ集合してください。」
俺「わかった、悪いな・・・小麦粉のほうも任せちゃって。」
補給兵「いえ、ミーナ中佐からの命令ですので・・・それでは。」
補給兵は敬礼をして再びトラックを走らせて行った。
おそらくストライカーの受領に行ったのだろう。
・・・というか、ミーナ中佐は最初から俺を町に行かせてくれるつもりだったようだ。
お礼に何かお土産を買っていこう・・・。
エーリカ「それじゃあ行こっか!」
俺「ああ・・・。」
エーリカ「・・・元気ないね。」
俺「正直、はしゃぐ程ではないな・・・。」
エーリカ「ん~・・・よし!じゃあ私とデートしよう!!」
俺「は?」
エーリカ「デートは冗談だけど、思いっきり遊べばちょっとはスッキリするよ!行こっ!」グイッ
俺「だ、だから引っ張るな!」
その後、俺はエーリカに引っ張りまわされて街の中を歩いた。
そんな中で一つの店が俺の目に留まった。
俺「あっ・・・エーリカ!ちょっと!!」
エーリカ「なに~?なんかいい物でもあった?」
俺「ああ!あれなんかサーニャにぴったりだ!!」
俺は駆け足で店内に入っていった。
そして、その場にはエーリカがポツンと残された。
【エーリカSide】
私は俺が駆け込んでいった店の入り口を見つめた。
ショーウィンドウに並んでいる品物を見る限りアクセサリーの店のようだ。
エーリカ「・・・なにさ、サーニャサーニャって・・・。」
私は軍服のすそを強く握り締めた。
エーリカ「いま俺の隣に居るのは私なのに・・・。」
胸の奥から不快感がこみ上げてきた。
エーリカ「って・・・あれ?何で悔しいんだろ・・・。」
俺は反応が面白いから一緒に居るだけなのに・・・。
この買い物だってただお菓子を買いにきたついでで・・・。
エーリカ「・・・そういえば、お菓子買ってない・・・。」
俺と遊ぶのが楽しかったからだろうか?
本来の目的もすっかり忘れてしまっていた。
俺「おまたせ~・・・って、どうした?」
気づけば俺はもう買い物を済ませて戻ってきていた。
整っていながら少し幼さの残る顔が私の顔を覗き込んでいる。
俺「なにボーっとしてんだよ。」
エーリカ「な、なんでもないなんでもない!」
俺「・・・そうか?エーリカは(性格はともかく)かわいいんだからあんま無防備に突っ立ってると襲われるぞ。」
エーリカ「かっ!かわっ!?///」
俺「っと!そろそろ待ち合わせの場所に戻らないと・・・。」
エーリカ「へ・・・もうそんな時間・・・?」
俺「つーか遅れそうだな・・・悪いけどお菓子はまた今度な!」ガシッ
俺が私の手を握ってきた。
エーリカ「え、なに!?///」
俺「ほら、走るぞ!」グイッ
エーリカ「わわっ!ちょちょちょ!!///」
俺に引っ張られる形で走る。
手をつないでいる間、なぜか私の心臓はバクバクだった。
【俺Side】
俺たちが基地へ戻ってきたころにはすっかりと日が暮れてしまっていた。
トラックの荷台から頼まれていた小麦粉と、シートのかかった機材が降ろされる。
ちなみにエーリカは基地に戻るなり顔を赤くして走り去ってしまった・・・。
トイレでも我慢していたのだろうか?
俺「っと・・・これが俺の新しいストライカーか・・・。」
整備兵「はい・・・といっても、俺軍曹が使用していた零式艦上戦闘脚の改良型で魔道エンジンを大型にしただけのものです。」
整備兵から書類を受け取る。
機体名の欄には「零式艦上戦闘脚・改」と書かれていた。
整備兵「これから俺軍曹に合わせた調整をしたいのですが・・・。」
俺「それって夜間哨戒に間に合うか?」
整備兵「さすがに無理ですね・・・夜間哨戒の始まる時間まであと30分もありませんし・・・。」
俺「そっか・・・じゃあ今から調整頼むよ。」
整備兵「了解しました。」
俺と整備兵はストライカーの調整をするべく機体が固定されているラックへ向かった。
【サーニャSide】
サーニャ「・・・・・・。」
私は、お兄様が好き。
けど、お兄様は私のことを妹として見てる・・・ううん、妹としてしか見てない。
私の気持ちを知ったらお兄様はどう思うだろう?
もしも受け入れてくれたら・・・すごく嬉しいし、幸せ・・・。
サーニャ「けど、もしも拒絶されたら・・・。」
きっと、立ち直れない。
今の関係も粉々に砕け散ってしまうに違いない。
そうなるくらいなら・・・。
サーニャ「・・・?」
視界にレプシロ機が映る。
確か本国へ行っていたミーナ中佐や坂本少佐・・・あと宮藤さんが乗っているはずだ。
宮藤さんとはこの一週間一緒に夜間哨戒に出ていたがうまく会話ができていないままだ。
少し速度を出してレプシロ機の隣を飛ぶ。
機体の窓から宮藤さんが手を振っているのが見えた。
少し照れくさくなったのでレプシロ機から離れる。
そこで、魔道針が反応した───。
【俺Side】
そして、エーリカと街へ行った翌日。
俺はミーティングルームへやってきていた。
坂本「さて・・・今日から俺も夜間哨戒へ加わるわけだが・・・。」
俺「何か?」
ミーナ「先日の夜間哨戒でサーニャさんがネウロイの反応を捕捉しているの。」
俺「そうなのか?」
俺がサーニャのほうを見るとコクンと頷いた。
しかし、ミーナ中佐の言い回しに少し疑問が浮かんだ。
俺「・・・あれ?発見じゃなくて捕捉?」
坂本「その通りだ、魔道針に反応はあったが姿を見たわけではない・・・そうだな?」
サーニャ「はい・・・。」
エーリカ「けど攻撃もしてこなかったんでしょ~?ホントにネウロイだったの?」
エーリカがだるそうに言うとサーニャは少し縮こまってしまった。
・・・エーリカの口調が少し攻撃的なのは気のせいだろうか?
エイラ「オイ!サーニャを疑うのか!?」
俺「お前は少し落ち着けよ・・・。」
坂本「魔道針に反応があった以上ネウロイが近くに居たことは間違いない・・・。」
ミーナ「そして未だに発見、撃墜できていない以上は警戒に力を入れようと思ってるわ。」
坂本「そこで・・・宮藤には悪いが俺と一緒に夜間哨戒のシフトに入ってくれ。」
宮藤「わかりました!またよろしくねサーニャちゃん!」
サーニャ「う、うん・・・。」
エイラ「大声出すなヨ、サーニャが驚いてるダロ!」
お前の声も大きいっつーの。
ミーナ「対象のネウロイはどんな相手かわからないわ。注意を怠らないようにね。」
エイラ「だ、大丈夫ダ!サーニャは私が守るからナ!」
必死に叫んでいるエイラをよそにバルクホルンが俺の隣にやってきた。
バルクホルン「もたもたしているとエイラに立ち居地を取られかねんぞ?」
俺「大丈夫だよ、サーニャは俺が守る・・・サーニャだけじゃない、他のみんなも俺が守るさ・・・。」
そして最後に「誰かさんとも約束したからな。」と付け加えた。
バルクホルン「ふっ・・・。」
バルクホルンは満足げに頷くと去っていった。
最近のバルクホルンは角が取れて親しみやすくなったと思う。
坂本「うむ、やる気があるのはいいことだな!はっはっは!!」
宮藤「俺さんが守ってくれるって!サーニャちゃん!」
サーニャ「うん・・・。///」
俺は見ていなかったが、サーニャは嬉しそうに顔をほころばせていた。
エイラ「むむむ・・・。」イライラ
その後しばらくして解散となり、ミーティングルームから出た俺たちに坂本少佐がこう言った。
坂本「お前たちは・・・寝ろ!!」
俺「それもそうだな・・・じゃあ俺は時間になるまで部屋で寝てるから・・・。」
坂本「・・・?わざわざ部屋まで戻らずとも、サーニャたちと一緒で良いだろう?」
俺「いいわけあるか!」
坂本「サーニャとは兄妹なのだし・・・。」
俺「い、いや・・・そうだけど!そもそも芳佳たちが嫌がるに決まって・・・!」
宮藤「えっと・・・私は良いですけど・・・。///」
サーニャ「私も・・・別に・・・。///」
芳佳ぁああああああああああああああ!!サーニャぁああああああああああああ!!
宮藤「俺さんは変なことする人じゃないですもんね!!」キラキラ
信頼してくれるのは非常に嬉しいんだが信頼の示し方が間違ってる!!
エイラ「だ、ダメに決まってるダロ!サーニャと一緒になんて寝かせないゾ!!」
ああ、お前の言ってることは正しい!
けどちょっと焦点がずれてる!
坂本「ふむ・・・まぁ、この際親睦を深めると思ってだな・・・。」
ゴツン!!
ミーナ「ダメに決まってるでしょう?」ビキビキ
坂本「み、ミーナ・・・殴ること無いじゃないか・・・。」
いつの間にか坂本少佐の背後に立っていたミーナ中佐が鉄拳制裁をかました。
あ、坂本少佐がちょっと涙目になってる・・・。
ミーナ「はい!俺さんが言ったとおり男女別の部屋で寝るように!そのあたりはきっちりしてもらいます!!」
そのまま俺は自分の部屋へと向かった。
別れ際にサーニャが残念そうな顔をしていた気がするがおそらく気のせいだ。
俺「・・・眠れん。」
とりあえずベッドに横になってみたがなかなか眠気はやってこない。
普段は訓練をしている時間なのだから当然といえば当然か。
俺「・・・体動かせば眠くなるかな?」
俺は稽古用に坂本少佐から借りている木刀を持って部屋の外へと出た。
そのまま廊下を歩いていき、建物の外へと出る。
俺「この辺で良いかな。」
木々に囲まれた場所で立ち止まる。
ここなら人目もないし集中できるだろう。
動くのに邪魔な上着は脱いでその辺に放り投げた。
俺「・・・ふっ!」ブンッ
まずは上段からまっすぐに振り下ろす。
そのまま横に薙ぎ、袈裟懸けに振り下ろした。
他の機動も試しながら何度も木刀を振る。
俺「・・・さてと。」ヴン
俺の意思に反応して使い魔の耳と尻尾が現れる。
正直これだけはいつまで経っても慣れない・・・獣耳の男なんて誰得だよ。
とりあえずいつもの要領で魔力放出を発動する。
木刀から放出された魔力はやがて剣の姿を形作った。
俺「翼はフォースウィングだし・・・これはフォースブレイドってとこかな?」
われながら厨二臭いなと思いつつ木刀を構える。
先ほどと同じように何度も木刀を振るう。
木刀を振るう途中で木刀から放出している魔力の量を増やす。
すると魔力の刃はその刀身を二割ほど長くした。
俺「・・・っ・・・はぁああああああああああああっ!!」
リーチを伸ばした状態で近くにあった岩に剣を叩きつける。
魔力放出によって威力を増したそれは、およそ木刀とは思えない威力で岩を粉砕した。
俺「・・・ふぅ、いい汗かいたな。」
一息ついてフォースブレイドの発動を解いた。
体にはいい感じで疲労感がたまっていた。
俺「・・・さすがに汗臭いな・・・。」
汗でべたべたの状態でベッドに横たわるのはさすがに気が引ける。
俺「シャワーでも浴びるか・・・ん?」
そういえば、近くから水の音が聞こえる。
近くに川でもあるのだろうか。
俺「・・・そうだ、水浴びでもしよう。」
幸い汗を拭くためにタオルは持ってきてある。
服は今着ているものを着なおすしかないが・・・まぁいいだろう。
俺「そうときまれば・・・!」
俺は放り投げていた上着を回収し、水の音がするほうへと駆け出した。
俺「おお・・・!こんなところがあったんだな。」
俺の目の前には小さめの川があった。
目測だが、深さは俺の腰あたりまでだろうか。
周りは森で囲まれてるし誰かに見られるようなことはなさそうだ
俺「んじゃあ服脱いで・・・ん?」
服を脱ごうと思ったときだった
~♪~~♪~♪
どこからか歌が聞こえてきた。
そのメロディーと歌声は聞き覚えがあった。
俺「これってサーニャの声だよな・・・それにこの歌は・・・。」
そう、以前この世界へ飛ばされたときにサーニャの父親が作った曲だ。
俺「こっちから聞こえるな・・・。」
俺は歌声のするほうへと歩き出した。
大した時間はかからず、岩の上に人影が見えた。
逆光でよく見えないが、シルエットからサーニャだと分かる。
俺「サーニャ、こんなところでどうしたん・・・だ・・・?」
サーニャ「えっ・・・お兄・・・様・・・?」
岩の上に居たのは確かにサーニャだった。
だが、普段とは一つだけ違う点があった・・・。
なぜか服を着ていないのだ。
俺「え・・・ちょっ・・・ええっ!?///」
サーニャ「え・・・あの・・・その・・・。///」
お互いに呆然とするが、サーニャはハッとわれに返るとあわてて自分の腕で体を隠した。
だが、サーニャの細い腕では体を隠しきれていない。
そしてその顔は真っ赤である。かわいい。
俺「・・・はっ!///」
若干見とれていた俺はあわてて後ろを向いた。
俺「さ、サーニャ!これ使え!!」
俺はサーニャの方を見ないようにして手に持っていたタオルを差し出した。
サーニャ「は、はい・・・。///」
タオルが俺の手から引き抜かれたのを確認する。
サーニャ「も、もうこっちを向いても大丈夫です・・・。///」
俺「そ、そう・・・?」
俺は恐る恐る振り返った。
そこには渡したタオルを腰に巻き、胸元は自分の腕で隠して顔を真っ赤にしているサーニャが立っていた。
って、ぜんぜん大丈夫じゃねぇ!!
俺「そ、そうだ!俺の上着を・・・!」
あわてて上着を脱いでサーニャに渡そうとしたときだった。
エイラ「オーイ!サーニャ!・・・!?///」
宮藤「おっ、俺さん!?なんでこんなところに!?///」
川の上流からエイラと芳佳が現れたのだ。
二人ともサーニャと同じく全裸で。
さて、今の俺の状況だが・・・。
1.タオルで腰だけ隠したサーニャの目の前に立っている。
2.上着を脱いで渡そうとしている最中のため、まるで俺が服を脱ぎ捨てようとしているように見える。
3.サーニャの顔が真っ赤である。
事情を知らない二人が見たらどう見ても変質者です、本当にありがとうございました。
エイラ「ま、まさかオマエ・・・サーニャを・・・!?///」ゴゴゴゴ
エイラは自分の体を隠すことも忘れて拳を震わせた。
ここで俺は即座に固有魔法を発動するべきだった。
フォースウィングの加速と機動力なら(飛ぶことはできないが)間違いなく逃げ切れただろう。
しかし反応が遅れたのは宮藤とエイラの肢体から目を離せなかったという男の性だ・・・。
グッバイ現世、ウェルカムあの世。
覚悟を決めた次の瞬間、体に衝撃が走った。
誤解だ──俺は意識が飛ぶ前にそうつぶやいた。
最終更新:2013年03月30日 00:52