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宮藤「・・・はい、治りましたよ。」

俺「ふぅ・・・ありがとな芳佳。」

つい先ほどまでエイラに殴り飛ばされた俺の顔は真っ赤に腫れ上がっていた。
見かねた芳佳が治癒魔法をかけてくれたのだ。

宮藤「勘違いしたエイラさんもあれですけど・・・俺さんももっと気をつけてくださいね?」

俺「返す言葉も無い・・・。」

気が緩むとここが女所帯だと忘れちまうんだよなぁ・・・。

宮藤「・・・あと、できればさっき見たものは忘れてくれると助かります・・・。///」

俺「・・・ガンバリマス。」

芳佳には悪いが、さっきの光景は俺の網膜に焼き付いている。
全国の紳士諸君は美少女の一糸纏わぬ姿を簡単に忘れられるだろうか?いやできない(反語)

俺「さて・・・そろそろ時間だしハンガーに向かうか。」

宮藤「あ、はい!」



芳佳とハンガーに入るとすでにサーニャとエイラが中で待っていた。
二人とも俺の姿を見るとこっちへやってきた。

サーニャ「お兄様、大丈夫でしたか?」

俺「ああ、大丈夫。芳佳に治して貰ったからな。」ナデナデ

俺はサーニャの頭をなでた後視線をエイラの方向へ向けた。

エイラ「・・・・・・。」

俺(気まずい・・・。)

エイラは明後日の方向を向いていた。
その表情は少し険しい。

エイラ「・・・さっきはいきなり殴って悪かったナ。」

俺「えっ・・・いや、俺のほうこそ不注意だった。」

エイラ「・・・そんだけダ、サッサト準備しろヨ。」

それだけ言うとエイラは自分のストライカーの元へと走っていった。

宮藤(さっきサーニャちゃんに怒られたみたいです。)ヒソヒソ

俺(なるほどね・・・。)ヒソヒソ

まぁ、納得はしてないみたいだけどな。



サーニャ「準備できましたか?」

俺「おう、ばっちりだ。」

俺は背中にMG42と坂本少佐からもらった扶桑刀を背負っていた。
新しい相棒となった零式艦上戦闘脚・改もおかしなところは見当たらない。

エイラ「・・・それじゃあ行くゾ。」

エイラは先行して夜の空へと飛び立った。
やはりまだ機嫌が悪いようだ。

宮藤「あ、エイラさん待ってー!」

エイラを追いかけるように宮藤も飛び立つ。

サーニャ「私たちも行きましょう。」

俺「了解。」

サーニャの後に続いてフォースウィングを展開して離陸する。
すぐにエイラと宮藤に追いついた。

宮藤「わぁ、夜だと俺さんの翼がすごく綺麗ですね!」

俺「そうか?」

しかし、青白く輝く魔力の光は夜だと目立ってしまっている。

俺「・・・夜間哨戒のときは使わないほうが良いかな。」

俺はフォースウィングを解除した。
少しふらつきそうになるが、すぐに姿勢を整える。

サーニャ「普通に飛べるようになったんですか?」

俺「空を飛ぶ感覚もわかるようになってきたからな・・・最近は加速のために使ってる。」

他の理由として「このほうがかっこいいから」というのもあるんだがな。

サーニャ「そろそろ雲の上に出ます。」

俺「雲の上に?」

俺は迫りつつある雲を見上げた。

俺「・・・何も見えん。」

宮藤「私も始めて上ったときは怖くて・・・二人に手をつないでもらいました。」

俺「へぇ・・・。」

宮藤「俺さんも手つないでいきます?」

俺「いや、俺は・・・。」

「遠慮する」と言おうとした時、サーニャが左隣に並んだ。

サーニャ「手・・・つないでも行きませんか?」ニコッ

エイラ「サーニャ!?」

俺「・・・ん、わかった。」

サーニャの差し出した手を優しく握った。
小さくて、やわらかくて・・・暖かい感触が俺の手のひらから伝わってくる。

エイラ「・・・何で俺ばっかり・・・。」

宮藤「あ!じゃあエイラさんも俺さんの隣に。」

エイラ「な、何で私なんだヨ!宮藤で良いダロ!」

宮藤「まぁまぁ!」

エイラ「ったく・・・。キョウダケダカンナ。」

俺「はは・・・。」

俺はぶっきらぼうに差し出されたエイラの手を握った。

宮藤「それじゃあ私はエイラさんの隣に・・・。」

芳佳がエイラのもう一方の手を握り締めた。
これで4人全員が手をつないでいるわけだが・・・。

俺「・・・飛びにくくないか?」

エイラ「正直ナ・・・。」

宮藤「でも、なんだか楽しいです。」

サーニャ「・・・うん。」

飛びにくいことこの上なかったが、俺たちはそのまま雲を突き抜けた。


結果、その日の夜間哨戒は何事も無く終了した。



俺が夜間哨戒の任務に就いた次の朝。
生臭い液体がなみなみと注がれたコップが目の前に置かれていた。

俺「・・・ナニコレ。」

宮藤「肝油です、ヤツメウナギの。ビタミンたっぷりで目にいいんですよ?」

エーリカ「すんすん・・・なんか生臭いぞ。」

バルクホルン「魚の油だからな。栄養があるなら味など関係ないさ。」

俺「ソレは本気で言ってるのか・・・っ!」

以前、田舎のじいちゃんの家で肝油を飲まされたことがある。
あの時はあまりのまずさに一日中気分が晴れなかった。

ペリーヌ「おーっほっほ!宮藤さんらしい野暮ったいチョイスですわね!」

坂本「いや、持ってきたのは私だが。」

ペリーヌ「」

あ、ペリーヌが固まった。

ペリーヌ「あ、ありがたくいただきますわ!!」グイッ

俺「ちょ、ちょっと待て!!そんな一気に飲んだら・・・。」

ペリーヌ「ぐぶっ!」

ペリーヌは顔を真っ青にして机に突っ伏した。

俺「言わんこっちゃ無い・・・。」

ルッキーニ「ゔぇ~、なにごれ~。」

シャーリー「エンジンオイルにこんなのがあったな・・・。」

舐めたことあんのかよオイ。

エイラ「ぺっ!ぺっ!」

サーニャ「・・・・・・。」ズーン

ああっ!あまりのマズさにサーニャの動きがとまった!

坂本「いやー、新人時代は無理やり飲まされてな~、往生したものだ。」

ペリーヌ「心中お察ししますわ・・・。」

しかし、絶不評の肝油に対して一人だけが笑顔を浮かべてこう言った。

ミーナ「もう一杯♪」

俺「マジで!?」

エーリカ「・・・うわぁ。」

バルクホルン「まずい・・・。」

今日の収穫。
ミーナ中佐はかなり独特の味覚を持っているようだ。



そして、数日後・・・。

カチャカチャ。

俺「生地はこれでよし・・・後はイチゴを切って・・・。」

俺はキッチンに入っていた。
サーニャの誕生日ケーキを作るためだ。

俺「デコレーションは・・・帰ってきてからでいいか。」

俺(アレから何日か夜間哨戒に出てるけど・・・ネウロイには一切遭遇していない・・・。)

サーニャが捕捉したのはただの偵察機だったのだろうか・・・?
だが・・・。

俺「なんとなくいやな感じがするな・・・。」

今日の夜間哨戒は気を引き締めていこう。

俺「全員が無事に帰れるようにしないとな・・・。」

サーニャの誕生日を無事に祝うためにも・・・。




宮藤「ねぇ、聞いて!今日は私の誕生日なの!」

俺「えっ。」

サーニャ「そうなんですか?」

エイラ「何で言わなかったんダヨ。」

まずい・・・まさかサーニャと芳佳の誕生日がかぶるとは思わなかった・・・。
ケーキに「ハッピーバースデーサーニャ」って書かなくて良かった・・・。
帰ったら「サーニャ&芳佳」って書こう。

サーニャ「あ・・・・・・。」

サーニャは何かを思い出したように俺と芳佳のそばへと飛んできた。

宮藤「どうしたの?」

サーニャ「耳を済ませてみてください・・・。」

サーニャに言われたとおりにしてみる。
するとインカムから何かの音が聞こえてきた。

俺「これって・・・ラジオ放送か?」

サーニャ「はい、夜になると空が静まるから電波が拾いやすくなるんです。」

俺「へぇ・・・。」

どうやらサーニャは一人で夜間哨戒をするときはこれで暇つぶしをしていたようだ。
インカムからはクラシックの音楽が流れている。
音楽番組なのだろうか?

エイラ「・・・二人だけの秘密じゃ無かったのかヨ・・・。」

サーニャ「ごめんねエイラ。」

エイラが面白くなさそうな顔をした。
きっと二人で夜間哨戒に出ていたころに共有した秘密なのだろう。

俺「というか・・・誕生日って言うならサーニャも・・・。」

サーニャ「・・・・・・!!」ヴン

サーニャの魔道針が一瞬反応した。
それだけではない。

エイラ「ナンダ・・・?」

俺「何か・・・聞こえる・・・。」

・・・・・・!・・・!・・・・・・!

何か低いうなり声のような音がインカムから聞こえてくる。
だが、そのリズムに俺は聞き覚えがあった。

俺「これは・・・。」

サーニャ「・・・どうして?」



【ミーナSide】

ミーナ「これが・・・ネウロイの声?」

坂本「サーニャを真似てるというのか・・・?サーニャは!?」

私はシフト表へと目を移した。

ミーナ「夜間飛行訓練のはずよ!俺さんたちと一緒に!」

坂本「すぐに呼び戻せ!」

ミーナ「無理よ!サーニャさんがどこに居るのかすら・・・。」

しかしレーダーなどの電波を用いる機器がそろっておかしな反応を示している。
妨害電波のようなものが出ているのは間違いない。

坂本「そうか・・・敵の狙いは・・・!」


【俺Side】

俺「どういうことだ・・・?」

インカムから響く音は、サーニャの歌を真似ているように聞こえる。

サーニャ「・・・どうして?」

エイラ「敵カ?サーニャ。」

宮藤「ネウロイなの!?」

俺「・・・・・・。」

そう、サーニャの魔道針が示した反応からネウロイなのは間違いない。
だが、なぜネウロイがサーニャの真似を・・・?
サーニャ「・・・三人とも、避難して。」

俺「なっ・・・!」

サーニャは俺たちにそう告げると急上昇した。
そして・・・。

サーニャ「・・・っ!!」

上昇したサーニャのすぐ近くを、ネウロイの赤いビームがかすめた。
あと少し位置が悪かったら直撃していただろう。

俺「サーニャっ!!」

エイラ「サーニャ!!」

俺はフォースウィングを一気に展開して加速した。
なんとか落ちてくるサーニャをキャッチする。
さっきのビームをかわしきれなかったのか、片方のストライカーがなくなっている。

俺「何やってるんだ馬鹿!!」

エイラ「一人でどうする気ダヨ!」

サーニャ「敵の狙いは私・・・間違いないわ。」

サーニャが俺の服の袖を掴む。

サーニャ「・・・逃げて、私と一緒に居たら・・・。」

エイラ「馬鹿!ナニ言ってるんダヨ!」

宮藤「そんなこと出来るわけ無いよ!」

サーニャ「だって・・・。」

俺「・・・・・・。」

サーニャの瞳を見つめる。
そこからははっきりと「怯え」の感情が見て取れた。
自分が死ぬかもしれない、自分のせいで仲間が死ぬかもしれない。
きっとそう思っているのだろう。

俺「・・・・・・。」

俺はエイラのほうへ目配せをする。

エイラ「・・・・・・。」コクッ

俺の意図を察したのか、エイラは頷いた。

俺「宮藤、サーニャを頼む。」

エイラ「サーニャ、フリーガーハマー貸りるゾ。」

俺とエイラはサーニャを守るように前に並んだ。

宮藤「ど、どうするの!?」

俺「サーニャは俺たちにネウロイの居場所を教えてくれ。」

エイラ「私は敵の動きを先読みできるからナ。やられたりしないヨ。」

サーニャ「でも!」

遠くに赤い光点が見える。
おそらくは、対象のネウロイだ。

エイラ「大丈夫、私たちは絶対に負けナイ。」

宮藤「・・・・・・うん!」

俺「それに・・・アイツはあんな汚い声でサーニャの真似なんかしやがったんだ・・・。」

一発ぶん殴らないと、気がすまないね。
そう付け加えると、エイラが全力で頷いた。

サーニャ「・・・ネウロイはベガとアルタイルを結ぶ線をまっすぐこっちに向かってる・・・。距離は3200。」

エイラがフリーガーハマーを構え、サーニャの合図を待つ。
俺はその隣でシールドを準備している。

サーニャ「もう少し手前・・・3・・・2・・・1・・・。」

エイラ「当たレっ!」

エイラがフリーガーハマーのトリガーを引く。
弾が発射されると同時に赤い閃光が俺のシールドに当たることなく隣をかすめた。

俺「っ!大丈夫か!」

宮藤「だ、大丈夫です!」

エイラ「コッチもはずしたカ・・・?」

サーニャ「速度が落ちてる・・・ダメージは与えられてるはずよ・・・戻ってくるわ!」

雲の中を進む赤い影がこちらへ再接近してくる。

俺・エ「「戻ってくんな!」」

再びエイラがフリーガーハマーのトリガーを引く。

宮藤「避けた!?」

エイラ「クソっ!出て来い!」

さらに放たれたフリーガーハマーの弾丸が着弾する。
爆炎を上げながら黒い影が雲から飛び出した。

俺「出たっ!」

観念したのか、ネウロイはまっすぐにこっちへ向かってくる。

エイラ「クッ!」ガガガガガ

俺「このっ!」ガガガガガ

俺とエイラはネウロイへ向かって銃弾をばら撒く。

サーニャ「お兄様!エイラ!だめ、逃げて!」

エイラ「ソンナ暇アルカ!」

俺「あったとしても逃げないけどな!!」

俺とエイラは撃ち続けているがうまく装甲が削れていない。
その上、ネウロイの先端から赤い光が放たれた。

俺「っ!やらせるかぁああああああああああ!」

宮藤「俺さん!」

しかし間一髪で俺と芳佳の張ったシールドにビームがはじかれる。

エイラ「気が利くナ!」

宮藤「大丈夫・・・私たちきっと勝てるよ!」

俺「きっとじゃない・・・絶対にだ!!」

サーニャ「・・・・・・!」

宮藤「サーニャちゃん?」

サーニャ「っ!!」ガガガガガ

さっきまで芳佳の背中に身を預けていたサーニャが銃を構え、トリガーを引いた。
その銃弾は確実にネウロイの装甲を削っていく。
そして、赤く輝くコアが見えた。

俺「当たれぇっ!!」ガガガガ

サーニャ「お願いっ!」ガガガガ

パキィィィィィィン

渾身の思いで放った弾丸は、ネウロイのコアを打ち砕いた。
白い破片が弾丸のような速度で撒き散らされたが芳佳がシールドで防いでくれる。
その衝撃であたりの雲が吹き散らされ、海面に月明かりが降り注いだ。



~♪~♪♪~♪

エイラ「・・・まだ聞こえる。」

ネウロイは倒したはずだが、インカムから聞こえる音はなくならない。

宮藤「なんで・・・ネウロイは倒したはずじゃ・・・。」

俺「いや・・・これは違うよ。」

8年前、俺とサーニャに聞かせてくれたやさしい旋律。
さっきのネウロイの声とは天と地の差だ。

サーニャ「これは・・・お父様のピアノ・・・。」

宮藤「そっか・・・これラジオだ!」

サーニャは芳佳の背を離れて上昇する。
俺もその後を追いかけた。

俺「サーニャ・・・。」

サーニャの両親は生きている。
この世界のどこかで、間違いなく。

俺「あの両親からの誕生日プレゼントか・・・。」

あの二人がサーニャの誕生日を忘れるなんて考えられない。
娘が生きていると信じて、ラジオの電波に乗せてプレゼントを贈ったのだろう。

サーニャ「お兄様・・・。」

俺「・・・よかったな、サーニャ・・・。」

サーニャ「はい・・・。」

満月を背に、俺とサーニャは並んだ。
サーニャの目からは涙がこぼれている。

サーニャ「お父様、お母様、サーニャは・・・サーニャとお兄様は、ここに居ます・・・。」

宮藤「・・・お誕生日おめでとう・・・サーニャちゃん。」

サーニャ「あなたもでしょう?お誕生日おめでとう、宮藤さん。」

エイラ「おめでとな。」

俺「おめでとう芳佳。」

宮藤「ありがとう!」

俺「あ・・・そうだサーニャ。」

サーニャ「・・・?」

俺は改めてサーニャに向き直って懐を探った。

俺「よかった・・・つぶれてなかった・・・。」

さっきの戦闘で箱がつぶれていないか心配だったが無事なようだ。

俺「えーと・・・はい、これ。」

サーニャ「これって・・・プレゼント・・・?」

俺「それ以外に何があるんだよ。」

サーニャ「あ、ありがとうございます・・・あけても良いですか?」

俺「ご自由に。」

サーニャ「・・・わぁ。」

俺が選んだのは黒猫をかたどった飾りのついたネックレスだ。
アクセサリー店で見つけたときこれしかない!と衝動買いしたものだ。

俺「良かったらつけてやるよ。」

サーニャ「お、おねがいします・・・。」

俺「んじゃ失礼して・・・よっと。」

サーニャ「あ・・・。///」

やってから気づいたが首に手を回したため俺がサーニャに抱きつくような形になってしまった。
後ろに回り込めばよかったかな?
まぁ気にすることでもないか。

俺「・・・うん、似合ってるぞ!」

サーニャ「ありがとうございます・・・。///」

俺「んじゃ改めて・・・誕生日おめでとう、サーニャ。」ニコッ

サーニャ「・・・・・・はい。」


【サーニャSide】

耳からは大好きなお父様のピアノが聞こえる。
そして目の前には大好きなお兄様が笑顔で飛んでいる。
今までの人生の中でもっとも幸せな誕生日だ。

サーニャ(・・・だめ、胸のドキドキがとまらない・・・。)

お兄様の笑顔を見ていると、胸の鼓動が高まっていく。
自分でも分かるほど顔が赤くなっている。
夜の暗闇のせいで赤くなった顔がお兄様にばれていないのは助かった。
・・・いや、もしかしたら月明かりのせいでばれてしまっているかもしれない。

サーニャ(私は・・・お兄様が好き。)

心の中で唱えれば唱えるほど、想いが高まっていく。

サーニャ(好きで好きで・・・たまらない。)

目の前に居る男性が。
幼いころに共に過ごした兄のような存在が。

サーニャ「お兄様・・・。」

俺「ん?」

そういえば、以前本で読んだことがある。
扶桑のとある作家が「あなたを愛しています」という意味の外国語を別の言葉で表現したと。
お兄様はその話を知っているだろうか?
もし、知っていたら──。

俺「・・・どうしたんだ?サーニャ。」

伝えたい。
言葉として吐き出さないと、胸が張り裂けてしまいそう。
たとえそれでこの関係が壊れてしまったとしても・・・。

サーニャ「お兄様。」

俺「?」

息を一杯に吸い込んで、私は言った。



       月が、綺麗ですね。



宮藤「・・・ぁ・・・えっ・・・えええぇ!?///」

エイラ「?」

宮藤さんは意味を知っていたようだ。
エイラはわからないのか首をかしげている。

俺「・・・・・・。」

お兄様は何も言わない。
さっきの言葉の意味を理解しているのか、それすらも分からない。

俺「・・・そうだな。」

サーニャ「・・・!」

俺「うん、綺麗な月だ。でもどうしていきなり月なんだ?」

サーニャ「・・・・・・。」ハァ


お兄様は、ぜんぜん分かってなかった・・・。
最終更新:2013年03月30日 00:53