女の子「少…佐…?」
 小さな、不明瞭な声。
 坂本「サーニャか。どうした、入れ」
 サーニャ「失礼します…」

 芳佳と同じぐらいの背格好の、小柄な女の子だった。
 ウェーブのかかった灰色の髪に、黒いタイツにスカートという出で立ちだった。
 俺達は、この娘がパンツ丸出しでないことに、ほんの少し安心した。
 …したのだが。

 整備俺「(猫耳、尻尾……)」
 操縦俺「(何だあれ。でも似合ってるし可愛いから許す!!)」

 坂本「どうしたサーニャ、使い魔なんか出して」
 整備俺「(使い魔って何ですかコノヤロー、ゼロの何とか的なアレか!!)」
 操縦俺「(うわ、整備俺さんが素に戻り始めたッ!?)」ガタガタガタガタ

 サーニャ「少佐の部屋から、変な感じがしたので……」
 坂本「どうした。言ってみろ?」
 サーニャ「魔導針が、この部屋の方向に反応したんですけど、すぐに反応がなくなって…」
 坂本「ネウロイか何かか?」
 坂本の眼光が、心なしか鋭くなった。

 サーニャ「いいえ。多分、ネウロイではないです。でも、とにかく変な感じで…」
 坂本「時間にしたら、どれぐらいだ?」
 サーニャ「たぶん、3分ぐらいだと思います」

 整備俺「ああ。割り込むようで申し訳ない。魔導針っていうのは何ですか?」
 坂本「この娘の固有魔法だ。目視外の敵を探知するのに有効な魔法だ」
 整備俺「レーダーみたいなものですか?」
 サーニャ「そうですね。原理も似ていますし…」
     それで、ものすごく弱い反応だったんですけど、すぐに失探してしまいました」
 坂本「私の部屋は何もなかったが…。変わったことといえば、これか」
 坂本は、操縦俺のi-podと、俺のケータイを指した。

 電子機器を使用すれば、何かしらの電波を発生する。
 俺達がi-podやケータイを使ったときに発生した電波が、ナイトウィッチの魔導針の逆探機能に引っかかったということは、
 そのときの俺達には、まだ知る由もなかった。

 坂本「まあ、ネウロイがこんな所に出現したら、大騒ぎどころでは済まないだろう。
   最近はネウロイの活動も活発化しているし、神経質になるのもわかるが、
   昼間はゆっくり休むのがお前の任務だろう。今はゆっくり休め」
 サーニャ「はい…………」

 腑に落ちない様子で返事したサーニャから、耳と尻尾が消えた。

 操縦俺「(耳と尻尾が引っ込んだ!?)」
 整備俺「(何だそれ!?)」

 俺達は、その様子を、呆然と見ることしかできなかった。

 芳佳「あ、待って、サーニャちゃん!」
 サーニャ「?」
 芳佳「この人が、お2人を見つけてくれたんですよ」
 整備俺「そうだったんですか。お騒がせして申し訳ありません」
 操縦俺「おかげ様でカゼひかずに済みました。ありがとうございます」

 俺達は揃ってサーニャに頭を下げたが、サーニャは顔を背けて小走りで去っていった。
 操縦俺「(嫌われた…orz)」
 坂本「はっはっはっ、サーニャの事だ。照れているのだろう」
 整備俺「そうなんですか…………」
 坂本「そうだ。いい娘なんだが、どうも、人見知りで引っ込み思案でな」
 操縦俺「はあ…」

 坂本「さて。私はこれから午後の訓練があるのだが。
   折角だから、見学していくか?」
 整備俺「そうですね。よろしくお願いします。
    まあ、正式な処遇が決まるまでは、記者として振る舞うことにしますよ」
 坂本「そうだな。それがいいだろう」
 という訳で、俺達は、坂本に連れられ午後の訓練を見に行くことになった。
 訓練と云っても、こんな女の子が、何の軍事訓練をやるんだ?
 そう思いながら、俺達は、坂本の部屋を後にした。
最終更新:2013年03月30日 01:57