バルクホルン「それじゃ今回のネウロイは、サーニャ以外、誰も見ていないのか?」
ランディングしてから約1時間後、俺達はミーティング・ルームに集合していた。
課業時間外ということで、服装は時装。
扶桑海軍第3種軍装の上衣を脱し、ネクタイをルーズに緩めた整備俺。
OD色の作業用長ズボンに、航空支援集団司令部の部隊Tシャツ姿の操縦俺。
バルクホルン、サーニャ、リーネ、芳佳も、制服の上衣を脱したりネクタイを外すなど、ラフに着崩していた。
臙脂色のジャージ姿の
シャーリー、空色のスウェット姿のエイラ、キャミソール姿のルッキーニ。
各員が思い思いの服装をしているなかで……。
整備俺「(だからと云って、エーリカさんの姿はどうかと思うぞ)」
ブラとスパッツ、どう見ても下着姿です本当に(ry
操縦俺「(注意してやって下さいよ、バルクホルンさん…)」
操縦俺は、助けを求めるようにバルクホルンの方を見たが、バルクホルンは目を逸らした。
(その一方で、坂本とペリーヌは、通常どおり制服を着こなしていた)
坂本「ずっと雲に隠れて、出てこなかったからな」
エーリカ「けど、何も反撃してこなかったっていうと、そんなことあるかなあ? それ、本当にネウロイだったのかなあ?」
サーニャ「…………」
リーね「恥かしがり屋のネウロイ…、なんてことないですよね。……ごめんなさい」
ペリーヌ「だとしたら。ちょうど似たもの同士、気でも合ったんじゃなくて?」
整備俺「…まるで潜水艦だな……」
ミーナ「ネウロイとは何か? それがまだ明確に分かっていない以上、この先、どんなネウロイが現れても、不思議ではないわ」
坂本「仕損じたネウロイが、連続して出現する確立はきわめて高い。
警戒レベルをレモンジュースからアップルジャックへ上げるぞ」
ミーナ「それで、しばらくは、夜間戦闘を想定したシフトを敷こうと思うの」
操縦俺「隊長。支援飛行班からも提案があります」
ミーナ「何でしょう?」
操縦俺「俺達の時代には、AEWというシステムがありました」
坂本「えー・いー・だぶりゅ、っていうのは何だ?」
操縦俺「Airbone Early Warning、早期警戒機です」
整備俺「飛行機に防空レーダーを乗せた、要は空飛ぶレーダーサイトですね」
操縦俺「俺の機体に、サーニャさんにも乗ってもらって、AEWとして運用したいと思います」
サーニャ「え……」
整備俺「ウィッチ個人のCAPタイムはそう長くはないでしょう。
Ju52なら、燃料消費を抑えれば7時間は連続で在空できる。
サーニャさんも索敵だけに集中できるから、負担は減ると思いますよ。
ナイトウィッチは貴重な戦力です。
現在の態勢がいつまで続くかわからない現在、減らせる負担は減らすべきだと考えます」
ミーナ「でも、もし、ネウロイとの交戦になったらどうしますか? 武装のない輸送機じゃ危険です」
整備俺「そのためのAEWです。
レンジに入る前にレーダーコンタクトしたなら、あとはウィッチをランチしてブレイクしますよ」
エイラ「オマエな、射出して逃げるって、サーニャだけを危険な目に遭わせる気カー!?」
整備俺「あれ? サーニャさんはあんたが守るんじゃないんですか?」
エイラ「当然ダロ」
ミーナ「そうね。お2人と、サーニャさん、エイラさん」
サーニャ「はい」
エイラ「アイヨ」
ミーナ「宮藤さん」
芳佳「あ、はい?」
ミーナ「当面の間、あなたたちを夜間専従班に任命します」
芳佳「え? わたしもですか?」
坂本「今回の戦闘の経験者だからな」
ミーナ「以上、この5人ね。なお、先任者であるサーニャさんが指揮官になります」
整備俺「(……うーん…)」
確かに。サーニャの階級は中尉なので、この5人のなかで最上位者となる。
序列的にもサーニャが指揮官となるのは妥当なのだが、どうも素直に受け入れられない。
あらかじめ断っておく。
決して、サーニャの、ナイトウィッチとしての能力に疑問を抱いているわけではない。
あの引っ込み思案で人見知りな性格で、指揮官を任せられるのかと思っている…わけでもない。
ただ一点。
ナイトウィッチは、その特性から単独任務がほとんどであるが、そのサーニャが部隊戦闘の指揮を執ることができるのか。
繰り返すが、サーニャの能力に疑問は抱いていない。
しかし、こればかりは、実員指揮の経験値という、本人だけではどうしようもない問題であった。
ミーナ「整備俺さんは、次級者として、サーニャさんの補佐をお願いするわね」
あ、なるほど。そういう事ね。
――って、ええ!?
整備俺「(俺、エイラさんよりも先任だったのか?)」
操縦俺「(うらめしい、ああうらめしい、うらめしいwwwww)」
サーニャ「…すみません。わたしが、ネウロイを取り逃がしたから……」
芳佳「え? …ううん、そんなこと言ったんじゃないから」
整備俺「まあ、大丈夫でしょう。何とかなりますよ」
サーニャ「……はい……」
戸惑いながらサーニャを気遣う芳佳と、楽天的に振舞ってみせる整備俺。
そして、消え入りそうな、自信のなさそうなサーニャの声。
操縦俺「(ああくそ、いい娘だ。本当にかわいいなこいつ)」
サーニャのためにも、この任務は絶対に成功させなければならない。
『静かに闘志を燃やす』
ありがちな表現だが、そのときの俺達の心境というのは、そんな感じだった。
最終更新:2013年03月30日 02:03