大陸鍋にバターを投げ入れ、玉ねぎ、マッシュルーム、エリンギ、ローリエを炒める。
気合を入れて鍋を返していると、食堂の大扉が開けられた。


「おや、君は誰だい?」


俺と言います、と一口大に切った牛肉を鍋に入れながら答えると、後ろの少女はくすりと笑った。
何故か彼女は立ち去らない。何かと思って後ろを振り向くと、
すらりと背の高い少女は俺に近付いて来た。


俺「晩御飯はまだですよ」

「ボクが聞いたのはそう言うのじゃなくて、どうして君がここにいるかなんだけどな」


出来あがっていたマッシュポテトを指先ですくい、舐め取りながら彼女は笑う。
なんと扇情的な子なんだろうと、俺は興奮し、鼻血が出そうになったが耐え、ブランデーを振り入れる。


俺「雑用募集に合格したんです。ラル隊長から今日から泊まり込みで働けと」

「へえ、君が合格者だったのか」


意外だと言う風に彼女は付け合わせの野菜をむしゃむしゃ食べる。
そして何を思ったか、むしゃむしゃしたまま俺にずいと顔を寄せてきた。
端正な凛々しいとも可愛いとも取れるその顔に不覚にも見とれてしまった。


「興奮しないのかい?」


そう言うと彼女はえいやと胸を押し付けてくる。
ただでさえ顔が近いのに胸まで押し付けられ、色情に駆られる胸を抑え


俺「あなた方の胸は美しいです」


と鼻血をナフキンで止めながら言った。すると彼女は人の悪い笑みを浮かべ


「へえ、じゃあニパ君の胸は?」


冗談でも言うように囁いてくる。聞いていたのだろうか?
そう思うと悔しくなったので、俺は声を大にして言ってやった。


俺「ニパのおっぱいは愛でるべき対象です!」


目の前の少女――ヴァルトルート・クルピンスキー中尉は胸を張る俺の鼻血をそっと拭った。
ピンスキー伯爵は笑いながら盛り付けを手伝ってくれた。
途中で白いウェーブがかった長髪の少女――アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン大尉にピンスキー伯爵は連れ去られていった。
どうやら彼女は熊さんの御説教から逃げて来たらしい。
引きずられるピンスキー伯爵に興奮してまた鼻血が出たのは言うまでもない。





ラル「どうだ、クルピンスキー。なかなか良い拾い物だろう?」

クルピンスキ「まあ、全部聞いてたけど」


夕食後、ラル隊長に話しかけられたので何かと思ったら皿洗いをしている俺の事だった。
少女達を前にしても変な目で見るわけでなく、普通に一緒のテーブルで夕食を食べた。
まあ、一人の少女への目線を覗けば。の話だが。


クルピンスキ「ニパ君が心配だね。ボクが食べる前に食べられちゃいそうで」


紅茶を飲むニパ君を見ながら本心を言ってやる。
その言葉に、隣のラル隊長が自信ありげに微笑んだ。



ラル「大丈夫。奴は生粋の変態だからな」



何を言っているんだこの人はと思ったが、何故か納得できた。
そう言えば夕食のビーフストロガノフはおいしかった。今度また作ってもらおう。





最終更新:2013年03月30日 02:27