私「……」スタスタ

エーリカ「おはよう、私ー!」

私「……」チラリ

私「おはよう」ススス

エーリカ「ちょっとちょっと! 何で離れるの? 朝ごはん食べに行くんでしょ? 一緒に行こうよ」

私「ええ……その、それは構わないのだけどあなた……いい加減部屋の掃除をしたらどう?」

私「そこはかとなくゴミ臭いわ。半径1メートル以内に近寄らないでくれる?」

エーリカ「そんなっ!?」ガーン

エーリカ「そんなに臭う……?」クンクン

私「嘘よ」

エーリカ「なんだ、嘘かー」ホッ

私「でも、部屋は掃除したほうが良いと思うわ。髪も黄ばんじゃってるし……」

エーリカ「これは金髪だよ!?」ガーン

私「……」スタスタ

エーリカ「ちょ、待ってよ!」





私「おはよう美緒」ニコッ

坂本「……む、私か。おはよう」

私「今日最初に会ったのが美緒だなんて、凄く嬉しいわ」コレハキットウンメイネ

エーリカ「えっ、私は?」

私「?」

エーリカ「最初に会ったのは私じゃん!」

私「いいえ、違うわ。人じゃないものはカウントされないもの」

エーリカ「どういう意味!?」

私「そのままの意味よ。ゴミ溜めの主、略してG」

エーリカ「いくら何でもひどすぎるよ……」ガクッ

私「しっかりなさい。あなたは毅然としてなきゃダメよ」

私「Gの意志を継ぐものなんだから」

エーリカ「何の話!?」

私「ふっ……」

私「時が来ればわかるわ」

エーリカ「わからないよ!」ドン!





私「それにしても美緒」

私「何だか今日はいつにも増して良い香りがするわ」クンクン

坂本「か、嗅ぐな! この馬鹿者!」

私「あら、良いじゃない。減るものじゃあるまいし。それに凄く落ち着くのよ? 好きな人の香りって」

坂本「すっ……!?」

坂本「ご、ごほん。さっきまで湯浴みをしていたからな。きっとそのお陰だろう」

私「お風呂……」

エーリカ「そういえば、昨日はお風呂入らなかったの?」

私「ええ、昨日はすぐに眠ってしまったから」

エーリカ「でも、私も何だか甘い良い匂い……」クンクン

私「あら、ありがとう。まあ私はゴミ溜めで寝ているわけではないから」

エーリカ「だからゴミ溜めじゃないって!」

私「あなたも可愛い女の子なのだから、その髪の毛の黄ばみはちゃんと落としなさい。さすがに髪全体がそんなに汚れてるのはどうかと思うわ」

エーリカ「金髪だってば!」

私「ところで美緒」

エーリカ「無視しないで!」





私「朝から煩いわ、いい加減にして」

エーリカ「さっきから酷くない!?」

私「仕方ないわ。私はツンデレなの」

エーリカ「つん……?」

私「初めはツンツン、気を許すとデレデレになる人のことよ」

エーリカ「なるほど、それで……」チラリ

坂本「?」

私「か、勘違いしなでよね! 美緒以外にはデレる気なんてないんだからっ」

エーリカ「えー」

私「ちなみに今のは照れ隠し」

エーリカ「えっ、それってつまり……」ワタシノコトモ

私「あなたにデレるぐらいなら、美緒を犯して死ぬわ」

エーリカ「あれっ!?」

坂本「いや待て。その流れはおかしい」

私「……そういえば、髪の毛って本当に黄ばむのかしら」

坂本「話を聞け!」

エーリカ「今更そこ!?」





エーリカ「もー、何だか朝からどっと疲れちゃったよ……」ハヤクゴハンタベタイ

私「そうね。私も同感だわ。さ、行きましょう美緒」

エーリカ「私は!?」

私「行ってらっしゃい」

エーリカ「見送られた!?」

私「ふふ、美緒……あら、美緒?」

エーリカ「置いてかれたみたいだね」ププッ

私「……」

私「ショックで吐きそう」

エーリカ「そんなに!?」

私「……ぅぷ」

エーリカ「わー! 待って待って! 吐くならトイレに――」

私「……」スタスタ

エーリカ「あれっ!?」





――――
―― 午後

私「……」スタスタ

あの後、何とか美緒と一緒になろうと試みたが上手くいかなかった。
どうやら、私は今、美緒に避けられてるらしい。露骨なアプローチが仇となっただろうか。

私「……」ウーン

だが……翻せばそれは、私を意識しているという事に繋がる。ならば、何かの拍子で私の方へ振り向いてくれる可能性もあるだろう。問題は、そのきっかけをどうやって作るかだが……。
考えながら視線を巡らせると、少し先で誰かが射撃訓練をしているのが見えた。

リーネ「……」

私「……」アレハ…

腹黒ちゃんが、銃を構えている。
響く銃声と弾ける的。

私「……」ホゥ

上手いものだ。伊達にここにいるわけではないという事か。

私「……」スタスタ

だけど、今は美緒だ。そろそろ美緒分が足りない。せっかく近くにいるのだから、もっと話したい、触れ合いたい。

サイレン< うぅぅぅぅううう

私「……と思っていたのに」





私「……」ニコニコ

坂本「……」チラリ

私「……?」ニコニコ

坂本「……」プイ

宮藤「私さん、何か良いことあったんですか?」

私「そうね。美緒と一緒にいれるってことは、良いことだわ」

ペリーヌ「……ふん」

ペリーヌ「これから戦場に向かうというのに、随分余裕なんですのね」

私「ふふっ、別に余裕があるわけじゃないわ」

私「私はただ、自信があるだけ」

宮藤「自信?」

私「そう。それが――」

坂本「無駄話はそこまでだ。まもなく会敵する」

私「了解」

宮藤「はい!」






坂本「……妙だな」

リーネ「?」

ペリーヌ「どうしたんです?」

坂本「距離が縮まらないんだ」

宮藤「どういうことですか?」

私「考えられる可能性は2つ」

私「敵が私達と一定の距離を保つように動いている。もしくは、そもそも私達が見ている敵がそこには存在していな――」

そこまで言ったところで、赤色の光線が視界の隅を過ぎった。

私「いわけではないみたいね。なら、前者か……だとすると、見つかってしまった以上、退いても追ってくるということになるのかしら?」

坂本「そうなれば、敵の攻撃に晒され続けることになるな」ソレハマズイ

ペリーヌ「でも、この距離じゃ私達の武器では届きませんわ!」シールド

宮藤「距離も縮められないし……どうします!?」

私「あら、何の心配もいらないわ」

坂本「しかし、今回はいくらお前の能力でも……」

私「確かに、物理的にどうしようもないことは私にはどうすることもできないわ。でも、勘違いしないでくれる?」

私「私ができるのは、"あなた達の強さを疑わない"ことだけ。私がどうこうして勝つわけじゃないわ」

私「私は、"勝利の女神"であって、英雄ではないの」






ペリーヌ「わけがわかりませんわ! その私達の攻撃が届かないと言っているんですのよ!?」

私「わからない? 私はね、あなた達のことを信じていると言ってるの」

ペリーヌ「っ!?」

私「私は確信してるのよ。あなた達が負けるわけないってね」

坂本「しかし、私……攻撃が届かなければ――」

私「あら、近付けないから何だって言うの? 私達には優秀な狙撃手がついてるじゃない」チラリ

宮藤「!」リーネチャン!

私「ね、腹黒ちゃん」

リーネ「え……」

私「届くでしょう?」

坂本「……」

リーネ「と、届くとは思いますけど……当てられるかどうかは――」

私「当たるわ」

リーネ「……」フルフル

私「私は、これでもあなたのことを高く評価してるのよ。腹の黒さだけじゃない、あなたの狙撃能力は目を見張るものがあるわ」






リーネ「でも、私こんな距離を当てたことは……」

ペリーヌ「……不確定要素が多すぎますわ。一度退いて体制を整えるべきです!」

私「あら、この光線の雨あられを避けながら逃げ切る自信があるの? それに……それだけ敵の進行を許すことにもなるわ」

坂本「……リーネ。頼む」

ペリーネ「少佐!?」

坂本「大丈夫だ。"私"がそう言うならな」

ペリーヌ「っ」ギリッ

リーネ「本当に……」ゴクッ

リーネ「私が、やるんですか……?」

私「違うわ。"あなたしかできない"の」

私「安心なさい。援護はしてあげる」

リーネ「……わかりました」

坂本「よし、リーネ。コアは敵の中心。ど真ん中だ」

リーネ「はい!」

私「しっかり撃ち抜きなさい。絶対に邪魔はさせないから」

リーネ「……」チャキッ






宮藤「リーネちゃん、頑張って!」シールド!

リーネ「うん!」

轟く銃声。しかし、光線の雨が止むことはない。

リーネ「あ……」

ペリーヌ「良いから! 次はちゃんと当ててくださいまし!」シールド

リーネ「……」グッ

彼女が成功しなければ、私達もただではすまない。
その重圧が彼女の手元を狂わせているのは間違いなかった。

彼女だって、今までにそれなりの修羅場は潜ってきているはずだ。
だが、そんな彼女の実力には、本来あって然るべきはずの"自信"が伴っていない。

エース集団にいる故の引け目なのか、あるいは性分なのかは定かではないが、このままでは正直"不味い"。
この部隊の全員が"英雄"にでもならなければ、"この先"きっと――。

リーネ「……っ」

私「大丈夫」

リーネ「え……」

私「私は、あなたの努力を知ってるわ」






私「今まで当たらなかったからなんだと言うの?」

私「人は変わり続けるんだもの」

私「昨日より、さっきより、もしかしたら、ほんの一秒前の自分より強くなれるかもしれない」

私「そんなのは当たり前で、何もおかしいことじゃないのよ」

リーネ「私、さん……」

私「自信を持ちなさい、リーネ」キィィィィン

私「大丈夫。"絶対に当たる"わ」

リーネ「……はい!」






――――
―― 浴場

私「ん……」

暖かい湯船に身体を沈めると、自然と吐息が漏れた。大きく身体を伸ばしながら空を仰ぐ

私「最高ね」

まさか、こんな立派なお風呂が付いているとは……1つ心残りがあるとするならば、美緒と一緒には入れなかったことか。
まあ、機会はまだまだある。そう急ぐことも無いだろう。

「ウワッ、オマエ何で!?」






エイラ「サーニャ、来ちゃダメダー!」

私「……煩いわよ。ダナ」

エイラ「ダナ!?」

私「私は疲れているの。お風呂に入るのは構わないけれど、静かにしてくれる?」

エイラ「グヌヌ……オマエ、サーニャに変なことするナヨ」

私「……」ハァ

私「バカなの?」

エイラ「あ"ぁッ!?」

サーニャ「エイラ、喧嘩しちゃ駄目よ」

エイラ「だってサーニャ、コイツが――」

私「あら、天使ちゃん。寒いでしょう? 早く湯船につかりなさいな」コイコイ

サーニャ「はい、失礼します」

私「そんなにかしこまらなくても良いのに」クスクス

エイラ「サーニャ! そいつに近づいちゃダメダーー!」

サーニャ「?」





私「何1人で騒いでいるの? バカ……だったわね、ごめんなさい」

エイラ「バカじゃネーヨ!」ウガー

私「それにしても天使ちゃん、綺麗な髪をしてるのね」

エイラ「聞けヨ!」

サーニャ「ありがとうございます。でも、私さんの髪の毛の方がずっと綺麗ですよ」

エイラ「イイヤ、サーニャの方が綺麗ダナ」

私「身体も白くて瑞々しいし……触れれば吸い付いてきそうなぐらい綺麗な肌」サワッテモイイ?

サーニャ「あ、ありがとうございます///」

エイラ「わぁぁぁ!」バシャーン

エイラ「オマエ! サーニャにナニする気ダヨ! サーニャをそんな目で見んナァぁぁ!」バシャバシャ

私「……」ミズビタシ

私「あのね、ダナダナ」ポタポタ

私「私は、美緒が好きなだけで、別に女の子が好きなわけではないの」

私「確かに天使ちゃんは可愛いし、綺麗だし、それはもう完璧だけれど、天使ちゃんにそういった感情を抱くことは無いわ」

私「私が"そういうこと"をしたいと思うのは、世界でただ1人。美緒だけよ」キッパリ





エイラ「う……///」ソウイウコトッテ…

私「おわかり?」

私「天使ちゃんに邪な感情を抱いているのは、私じゃなくて、あなたでしょう?」

エイラ「うぇェっ!?」

私「まったく、ところかまわずサーニャサーニャって……いったいどんだけ天使ちゃんが好きなのよ」

サーニャ「……///」カァァァ

エイラ「うぅ……えっと、その……」シドロモドロ

私「まったく、もう一度言うわ。私が好きなのは美緒なの。他は男だろうが女だろうが興味は無いわ」

私「勘違いしないでくれる? この色情魔が」

私「私を警戒する暇があるのなら、少しは天使ちゃんへの情欲を抑える努力をしなさいな」

エイラ「う……うぁ……」カァァァ

サーニャ「……エイラ」カァァァ

私「……」フム

私「……じゃ、私は先に上がるわね」

エイラーニャ「……///」






私「……」カラダフキフキ

宮藤「あ、私さん!」

リーネ「あ……」

私「あら、ポチに腹黒ちゃんじゃない」プルン

宮藤「私さんもお風呂ですか?」ゴクリ

私「ええ、今上がったところだけどね」

私「ああ、そうそう。今はちょっと……お風呂は止めた方が良いと思うわ」

宮藤「え……どうしてですか?」

私「察しなさい」

宮藤「?」

私「……じゃあ、そうね。少し私の湯冷ましに付き合ってくれる?」

宮藤「それは、構いませんけど……」チラリ

リーネ「……うん。私も大丈夫です」

私「ありがとう。私、この部隊に来てからの美緒の話を聞きたいと思っていたの」

宮藤「私がわかる範囲なら……じゃあ、早速談話室にでも行きましょう!」





リーネ「あの……私さん」

私「うん?」

リーネ「ありがとうございました」

私「……あなたにお礼を言われる筋合いは無いと思うのだけれど」

リーネ「いえ、その……嬉しかったです。信じてもらえて……。私さんが、信じてくれたから、倒すことができたんだと思うんです」

私「……」

リーネ「ここには凄い人がいっぱい居て……芳佳ちゃんだってどんどん強くなってる。私だって一緒に頑張ってるはずなのに、それなのに、私は……」

私「……確かにあなたは他の皆に比べたら、経験も実力も欠けてるかもしれない。でも、そんなあなたもそんな凄い部隊の一員で、エースと肩を並べて戦えるだけの実力を持っているのは間違いないことなのよ」

私「さもなければ、あなたは当の昔に死んでいるか……誰かを死なせているわ」

私「だから、私がしたのは客観的に見た正当な評価とそれに伴う信頼。あなたの力を認めているだけで、別にあなた個人を信じたわけじゃない」プイ

リーネ「……はい。それでも、ありがとうございます」クスッ

私「……ふん」

私「私に感謝の印を示したいのなら、美緒のプライベート写真を持ってくるぐらいしなさいな。その腹黒さを活かせば簡単でしょう?」

リーネ「ふふっ……もし手に入ったら、きっと持っていきます」

私「……」マジカ

リーネ「うふふ。その時は、ちゃんと受け取ってくださいね?」ニコッ






―― 次回予告

坂本「私が、お前を強姦した、だと……?」

――――
私「だから、私は美緒の前ではありのままの私でいるつもりだし、このズボンも使い終わるまでは返さない」

――――
シャーリー「くく……滑稽だと思ってさ」

――――
私「いやぁぁぁあぁぁああああ」

――――
エーリカ「部屋を……片付けようかなって」テヘヘ

――――
坂本「……」ブツブツ

――――
私「いいえ、違うわ。私はただ、美緒が好きなだけ」
最終更新:2013年03月30日 23:16