私「今日からこの501部隊に着任することになりました、ブリタニア空軍『私』中尉です!」

ぺこっ、とお辞儀をする私

頭を上げると私の瞳に501の面々が映り込んでくる

501は各部隊のトップエースたちを集めた対ネウロイの切り札と聞いているけれど、なるほど確かにトップエースに相応しい個性的な方々だ……二、三人寝てる人もいるけど

「と、言うわけで先日伝えた通り今日から私たちと一緒に戦う私さんよ」

透き通る様な声でつらつらと事務的な私の説明を始めたのは501の隊長を務めるカールスラントのミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐
話で聞いた通り、女の私でも思わずため息が出てしまうほど綺麗な人だ、あとお尻がすごくすごい

ミーナ「――――これで彼女の説明は終わります。彼女への質問は解散後にする様に――――起立!」

凛としたミーナさんの声と共に、10人の魔女達が立ち上がる
ミーナさんは一瞥した後つかつかとブリーフィングルームから出て行った

私「……ふぅ」

今日からここで戦うんだ……少し緊張して来た
この501部隊はブリタニア基地は欧州最後の砦、こんな私でも愛国心はあるし、ブリタニアの人々が傷つくのは凄くイヤだ、だからプレッシャーに負けずに戦わなくちゃ
うん、頑張ろう!それに、あの人の為にも――――ひゃうっ!?

私「な、なにっ!?」

決意を固めている私の後ろに、忍び寄る影がひとつ
その影はとんでもないスピードで私の胸を鷲掴みにしたのだ

私「えっ?えっ!?」

涙目の私ににやけ面で近づく人がひとり

「どうだ?ルッキーニ?」

「うーん、まあまあかな!頑張ったで賞!」

私「な、なにするんですかっ!」

なんとか振りほどいた私

「あっはっはっ!悪い悪い!でもまぁこれも通過儀礼だ!我慢してくれ!」

私「つ、通過儀礼?」

「おっと、自己紹介がまだだったな、私はリベリオンのシャーロット・E・イェーガー、シャーリーでいいよ」

私「は、はぁ」

シャーリー「んで、今あんたの胸を鷲掴みにしたのが――――」

「ロマーニャのフランチェスカ・ルッキーニ!ルッキーニでいいよ!」

私「え、えーっと、シャーリーさんとルッキーニちゃん……で、いいですか?」

シャーリー「ああ、いいぞ!」

ルッキーニ「ウジュー!」

二カッと気持ちの良い笑顔を浮かべながらシャーリーさん、よくわからない声をあげながらルッキーニちゃん……肯定と受け取っていいのだろうか

私「よろしくお願いします!」

改めて2人を見る……シャーリーさんは美人、ルッキーニちゃんは可愛いと言ったところか
それにしてもシャーリーさん、オレンジ色の髪が綺麗だ、あとおっぱいが大きい、笑顔が元気はつらつとしててすがすがしい、あとおっぱいが大きい、陽気な性格で凄く親しみが持てる、あとおっぱいが大きい

シャーリー「それにしてもお前、なんか宮藤に似てるなぁ」

ルッキーニ「あっ!私もそれ思った!」

私「宮藤……?」

シャーリー「ほら、そこにいる扶桑人だよ……おーい、宮藤ちょっと!」

「は、はいっ!」

シャーリーさんの声に呼ばれて、先程から胸の大きな女の子―同じブリタニアの
リネット・ビジョップ軍曹、リーネちゃんだ―と話しながらこちらをちらちらと見ていた扶桑人の女の子がやって来た

シャーリー「ほら、自己紹介」

宮藤「はいっ!――扶桑皇国海軍軍曹、宮藤芳佳です!」

……なるほど確かに何処となく私と雰囲気が似ている

私「さっきも言ったけど、ブリタニア空軍の私中尉です、よろしくね、宮藤さん」

宮藤「はいっ!」

私はスッ、と右手を差し出し、握手を交わした

宮藤「えっと、私さんのことはリーネちゃんからよく話を聞いていました!」

私「えっ?ホント?」

宮藤「はいっ!」

なんかちょっと恥ずかしい、でも嬉しいな、うん

私「リーネちゃん、宮藤さんにどんな話したのー?」

私はそうやって、少し遠くからこちらをうかがっているリーネちゃんに声をかけた、彼女はおずおずと私達に近づき――――

リーネ「えっ、と……い、いろんなこと?」

――可愛らしい声で、そう言った

私「だからその色んなコトが気になるんだってば」

宮藤「そうですねっ、お菓子の作り方とか銃の撃ち方を一緒に習ったって言ってました!」

リーネ「よ、芳佳ちゃん!」

ああ、そんなコトもあったな、そう言えば。リーネちゃんは狙撃、私は機銃の扱いに長けているコトが見つかるまで、一緒に習っていたっけ
別にリーネちゃんも恥ずかしがらなくてもいいのに

私「……それにしても」

リーネ「な、何?」

私「リーネちゃん、また胸大きくなったでしょ?」

リーネ「っ!」

私「うんうん!私は嬉しいぞ!」

むぎゅっ!と先程のルッキーニちゃんもかくやと言わんばかりの動きで私はリーネちゃんがぶら下げている二つの果実を鷲掴みにする

リーネ「ひゃうっ!?」

私「……」

……ええい!リーネちゃんと言いウィルマさんと言いビジョップ家は化け物か!このこのっ!

リーネ「ちょっ、私さん!?やめっ!」

ルッキーニ「あーっ!ずるい!私もーっ!」

負けじとルッキーニちゃんも掴みかかる……仕方ない、左は君に渡そう!

リーネ「ふ、ふたりともやめ「やめんか2人ともっ!」

リーネちゃんの可愛らしい悲鳴は、横からぶつけられた怒号に掻き消された

「……全く、一体どんなやつがここに来たのかと思えば、とんだじゃじゃ馬の様だな、悩ましい」

私「え、えーっと、貴方は?」

「……カールスラント空軍、ゲルトルート・バルクホルン。階級は大尉だ」

カールスラントの人か。なるほど確かにカールスラント軍人の見本とも言える様にキリッとした人だ……同じ軍服を着ているもうひとりの子は爆睡してるけど

シャーリー「そうカッカするなよ、軽いスキンシップじゃないか」

さっきからニヤニヤとじゃれ合う私達を見ていたシャーリーさんがそんなコトを言う

バルクホルン「黙れリベリアン。たとえスキンシップでも行き過ぎれば隊の風紀を乱す。ルッキーニ少尉も初対面の相手の胸をいきなり掴むとは「はいはい相変わらずカールスラント軍人はお硬いことで」なっ!?」

もう慣れ切っています、と言わんばかりにシャーリーさんはバルクホルン大尉のお小言を受け流した

バルクホルン「お前は相変わらずそうやって――――」

シャーリー「おーおーそっちこそ固過ぎるんだよ、だからその胸も鉄みたいに――――」

私達をそっちのけにして、ふたりは口喧嘩を始めた。喧嘩するほど仲がいいというヤツだろうか

「ねーねーちょっとちょっと」

私「……ん?」

私の服の裾を、誰かが背後から引っ張った
くるりと振り返ってみると、そこに居たのはさっきまで寝ていたカールスラントの女の子だ

私「何?」

「キミ、料理作れる?」

料理?

私「一応出来るけど……」

一応、と私は言ったけど、ブリタニア料理から扶桑料理まで大方の料理は作れる。
自慢じゃないけどね

バルクホルン「それは本当か!?」

私「へっ?」

驚きの声をあげたのは、目の前に立つ可愛らしい少女ではなく、シャーリーさんと相変わらず口喧嘩をしていたバルクホルンさんだった

私「え、ええ。一応」

バルクホルン「それはよかった……」

私「どうかしたんですか?」

シャーリー「この基地には料理作れるヤツがあんまり居ないんだ」

それって結構致命的なんじゃ……

バルクホルン「だがリベリアン、数が少ないのは大した問題じゃない」

シャーリー「ああ、そうだな……問題は――――」

すぅ、とバルクホルンさんとシャーリーさんは息を吸い込み始める

……何故か近くの四人―ルッキーニちゃんとブロンドヘアーの女の子と、宮藤さんとリーネちゃん―がビクッと震えた

「「ミーナ中佐だ」」

私「へっ?」

……何故ミーナ中佐?
いや、それにしてもこの2人、全く同時で息ピッタリだった
ひょっとして本当は凄く仲が良いのでは――――いけないいけない、まずは2人の話を聞かないと

私「ミ、ミーナ中佐がどうかしたんですか?」

バルクホルン「いや、その……実に言いにくいんだがな「ミーナ中佐の作るメシが不味いんだ」リベリアンッ!?」

言い渋っていたバルクホルンさんを無視して、ざっくばらんとシャーリーさんが言い切った

私「メ、メシが不味い……?」

シャーリー「いや、アレは不味いなんてモンじゃないな、化学兵器だ化学兵器」

化学兵器って……

呆れ返った私だが、顔を真っ青に染めている四人を見て、それが真実だと知った

マ、マジですか……?

バルクホルン「そうだな、つい先日の話だが――――」

……私は2人から、ミーナ中佐の伝説』を聞き始めた
曰く、化学兵器
曰く、お吸い物(透明)が目を離した隙に真っ黒になっていた。な、何を言っているかわからないと思うが以下略
曰く、軽く塩酸で溶かしたなんたらかんたら
エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ

私「……」

バルクホルン「……」

シャーリー「……」

……一通り話を聞いた後、なんとも形容し難い沈黙が場を支配した……そして、突然

ルッキーニ「う、うぇぇぇぇーーーんっ!!!!!」

……ルッキーニちゃんが泣き始めた!

シャーリー「ああっ!ルッキーニの心の傷がッ!!」

慌ててシャーリーさんが泣きじゃくるルッキーニちゃんを慰める
胸に顔をうずめたルッキーニちゃんは暫くすると泣き止んだ……あの胸に顔をうずめるとは、なんともうらやま――――ではなくて!

私「……わかりました」

バルクホルン「……?」

私「私、なんとしてもミーナ中佐の暴虐を防いでみせます!」

バルクホルン「よ、よく言った私中尉!――――そして私は先程の君の評価を訂正しよう!」

宮藤「よかった……これで頼りになる人が一人増えたよ、リーネちゃん」

リーネ「うん、本当によかったね、芳佳ちゃん……」

「これで少しは命の危機に晒されなくて済むよー」

私「あっ、ところで」

「?」

私「貴方の名前を聞いてないんだけど……」

「あ、私?私はエーリカ・ハルトマン!呼び方は何でもいいよ!階級は中尉!」

私「じゃあエーリカちゃんでいいかな?」

エーリカ「うん、いいよー」

私「よろしくね!エーリカちゃん!」

こうして私達は熱い握手を交わす
エーリカちゃんの手はお人形さんみたいにちっちゃくて可愛らしい手だった

エーリカ「あっ、そーだ!」

私「?なに?」

エーリカ「『私』は固有魔法持ってる?」

私「固有魔法?……うん、持ってるよ、一応」

シャーリー「へぇ、固有魔法持ちか、どんなのなんだ?」

私「えーっと……見せた方が早いですね!」

そして私は腰に下げた鞄をまさぐり始める――――――…………
最終更新:2013年03月30日 23:24