サーニャ「重くないですか……?」

俺「問題ありません。中尉どの」ザッザッザッ

サーニャ「ごめんなさい、ご迷惑をかけちゃって……」

俺「そんなことはありません。この程度は迷惑の内には含まれません」

サーニャ「……ごめんなさい」

俺「恐れながら中尉。自分もよく友に注意されるのですが、こういう時、言うべき台詞は謝罪の言葉ではありません」

サーニャ「え?」

俺「こういう時は『ありがとう』と言うのです」

サーニャ「あ……」

サーニャ「ありがとう……軍曹……」

俺「どういたしまして。中尉どの」
138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 16:01:29.60 ID:GgpJ6CQw0
サーニャ「……ふふっ」
俺「どうしました?」

サーニャ「軍曹って不思議な人ですね」

俺「そうでしょうか?」

サーニャ「そうですよ。恐かったり、優しかったり、凄かったり、可愛かったり。すごーく不思議」

俺「はぁ……そうでしょうか」

サーニャ「そうですよ」くすくす

俺「自分にとっては、サーニャ中尉の歌の方が余程不思議なのですが」

サーニャ「私の?何でですか?」

俺「自分はその、少々気分が優れなかったので風に当たりに来たのですが……」

サーニャ「はぁ……」

俺「それがその、サーニャ中尉の歌を聞いていたらですね……さっきまでの気分の悪さが嘘のように引いてしまったのです」

サーニャ「……」

俺「それがまるで魔法のようで……サーニャ中尉は歌の魔法もお使いになられるので?」

サーニャ「……」

俺「サーニャ中尉?」

サーニャ「不公平です」ぷすっ

俺「へ?」

サーニャ「軍曹は私の歌を聞いたのに、私は軍曹の歌を聞いていません。不公平です」

俺「へ?いや、しかし……」

サーニャ「なにか歌ってください」

俺「じ、自分がでありますか?」

サーニャ「そうです」

俺「そんなことをおっしゃられても……自分なんかの歌なんて……」

サーニャ「軍曹の知ってる曲でいいんです。歌ってください」

俺「俺の知っている歌……」

サーニャ「……」

俺「で、できれば笑わないでいてくださると助かります……」

サーニャ「笑いません。絶対に」

俺「で、では失礼して……」

Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are……

サーニャ(この曲……)

Up above the world so high,
Like a diamond in the sky.

サーニャ(きらきら星だ……)

Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are.

サーニャ(低く響いて……それでとても優しい声……)

When the blazing sun is gone,
When he nothing shines upon.

サーニャ(凄く恐い軍曹と、優しくて大きい軍曹……どっちが本当なんだろう)

Then you show your little light,
Twinkle, twinkle, all the night.

サーニャ(……どっちでもいっか。だって……)

Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are!

サーニャ(だってこんなにあったかいんだもの……)ぎゅっ
145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/09/26(日) 16:34:44.27 ID:c0iIL9eK0
キラキラ星っていつからあるんだろ
146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 16:36:46.53 ID:GgpJ6CQw0
俺「……中尉?」

サーニャ「すー……すー……」

俺「眠ってしまわれたか……」

俺(歌か……)

俺「……たまにはいいものだな」


きらきら小さなお星様
とってもとってもふしぎです、
はるか地球のずっと上、
まるでお空のダイアモンド。

きらきら小さなお星様、
とってもとってもふしぎです。

ぎらぎらお日様いなくなり、
なんにも照らさないときに、
あなたの小さな光が、
きらきら夜通し光ります。

きらきら小さなお星様、
とってもとってもふしぎです。

翌日
㌧㌧
シャーリー「おーい俺ー。入るぞー」

ガチャ

シャーリー「あ……」

俺「あ……」

シャーリー「いや悪い……その……着替え中とは……」

俺「い、いいから早く閉めてください!」

シャーリー「わ、悪い!」

バタン!

シャーリー「ふー……」

シャーリー「って普通逆だろ!」ビシィ!
175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 19:28:28.00 ID:GgpJ6CQw0
シャーリー「さ、さっきは悪かったな……」

俺「い、いえ。問題ありません……。それで、なにかご用ですか?」

シャーリー「ああうん実はな。今日ルッキーニと海に行くんだがお前もどうかと思ってな」

俺「海……ですか。俺と?」

シャーリー「ああ。どうだ?」

俺「うーん……。たぶん、行けると思いますが……」

シャーリー「なんだなんだハッキリしないなぁ。軍曹!行くのか行かないのか!どっちだ!」

俺「は、はっ!ご一緒させていただきます!」

シャーリー「よし!じゃ用意ができたら声かけてくれ。まってるぜー」ひらひら

俺「あ……」

俺「海、か……」

俺「取り合えず友に伝えとかないとな……」
176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/26(日) 19:29:47.82 ID:GgpJ6CQw0
友「へー」

俺「……」

友「オレがこのクソ暑いハンガーでテメェの機体整備してやってる中、テメェは水着美女と海でバカンスかぁ。いい身分だなええオイ?軍曹」

俺「……」

友「オレ様がドロドロのオイル引っかぶってるってのにテメェはキラキラ光る波飛沫を浴びるってか、ああ!?」

俺「……その、ごめん」

友「……」

俺(はわわ……)

俺「その、友……」

友「……」

俺(はわわ……)

友「なんてな」
俺「……え?」
友「冗談だよ。お前この所気ィ張ってたみたいだしな。偶には羽伸ばしてこい」
俺「友……」
友「多分大尉もそう思って気ィ使ってくれたんだろ。ありがたく甘えとけ」
俺「……いいのか?」
友「ああ。但し!」
俺「な、なんだ?」
友「楽しんでこいよ」
俺「……ありがとう。そうさせてもらう」
友「ああ。行ってこい」
俺「ああ。それじゃ」
友「気ィつけろよ」
俺「ははっ、分かってるよ」



友「……ふぅー」
整備士「……どうせ許可してあげるなら最初からそう言ってあげればいいのに」
友「ばーか、それじゃありがたみが薄いだろ」
整備士「さようで……」
友「おお?なんだぁそのツラ。文句あるみてぇだな。ちょっと向こうでお話しようや」
整備士「いえそんな滅相も無い!いやホント!ホントですって!ホントだからー!」ズルズル

ルッキーニ「海!」
シャーリー「だーっ!」

ざぷーん

俺「……」ぽつーん
シャーリー「おーいどうした俺ー!泳がないのかー?」
ルッキーニ「のかー?」
俺「あ、いえ。俺は暫く荷物番をしていますので……」
シャーリー「……」
ルッキーニ「……」
俺「……あの、どうしました?シャーリー大尉、ルッキーニ少尉?」
シャーリー「行くぞー!ルッキーニ!あの空気の読めないデカブツを引きずりこめー!」
ルッキーニ「らじゃー!」
俺「うわ、ちょっと大尉!ル、ルッキーニ少尉も……どわっ!」ザプーン!!
シャーリー「うわー!ははは!流石に水飛沫もでけーなー!あはは!」
ルッキーニ「すごーい!あはは!もっかいもっかい!」
俺「……」ザバー
シャーリー「ほら、もう観念しちまえって。ここまでずぶ濡れになったんだからさ」
俺「……そうですね」
シャーリー「決まりだな!」ニッ

ルッキーニ「ねーねー大魔神!あたし上に投げてよ!ぽーんって!」
俺「は?少尉どのをでありますか?しかし……」
ルッキーニ「いいからいいから!ほらほら!」
俺「はぁ……では失礼して……いきますよ」
ルッキーニ「ばちこーい!」
俺「よっと」ブン!
ルッキーニ「うひょー!」ひゅー……

ザッポーン!

シャーリー「おお、なんか楽しそうなことやってんなー」
俺「大尉どのも飛ばれますか?」
シャーリー「んー?あはは!私はいいや」
俺「そうですか?」
シャーリー「だって、そしたら水着姿で軍曹に抱えられなきゃいけないだろー?ふふっ」ぷるん
俺「あ、し、失礼しました……」
シャーリー「……」きゅぴーん

シャーリー「どうしたー?軍曹。顔が赤いぞー」

俺「そ、そうですね。熱いです」

シャーリー「ほほー?どうしてなのかなー?」

俺「そ、それは……」

シャーリー「なにか変なことでも考えてたかー?」ぷるるん

俺「そ、そんな……」

シャーリー「例えばー……コレのこととか?」むにゅっ

俺「!?」ブチッ

シャーリー「ぶちっ?」

俺「……」ゆらー……

シャーリー(や、ヤバイ……からかいすぎたかな……?)

シャーリー「わ、悪い軍曹!冗談だ冗だ……」

グラー……

シャーリー「え……うわっ」

ズシーン……

シャーリー「え、ちょ、うそ!こんなところで……だめだって!ルッキーニだっているんだし!」

俺「……」

シャーリー「こ、こういうのはその、こんな勢いとかじゃなくてだな!その……」

俺「……」

シャーリー「ち、違うぞ!?経験がないから焦ってるとかじゃなくてその、一般的にだな!……軍曹?」

俺「……」キュー

シャーリー「……よわっ!免疫なさすぎだろ軍曹!お前は漫画か!」

俺「……」

シャーリー「しかし困った……軍曹が重すぎて動けん……」

シャーリー「よっ!はっ!……ダメか……」

俺「……」

シャーリー「こら。重いぞ軍曹」

俺「……」
シャーリー「まったく……」

ザザーン……

シャーリー「しょうがない奴だな……」

シャーリー「しかし……改めて見ると凄い傷だな……。どうやったらこんなに傷がつくんだ?」さわっ

シャーリー「……」さわさわ

シャーリー「……男って、こんな感じなんだな……」さわさわ

シャーリー「なんか……変なの……」ペタペタ

シャーリー「でも……なんかどきどきする……」

シャーリー「おおきい……な……」

シャーリー「たべられちゃいそうだ……」

シャーリー「……」

シャーリー「軍曹の匂い……」スンスン

シャーリー(あ……なんか変な感じ……)もぞっ

シャーリー「軍……曹……」スリッ

シャーリー「軍曹……」スリスリスリ

俺「う……ん……」
シャーリー「っ!」びくっ
俺「あれ、大尉……?」
シャーリー「軍……曹……」スッ……
俺「え……?」
シャーリー「……」
俺「大……尉……?」

ルッキーニ「こらー!」

俺・シャーリー「!」ビクッ

ルッキーニ「気になって探しに来てみれば……」

シャーリー「あ、いや違うぞルッキーニ!これはだな……」

ルッキーニ「あたし仲間はずれにして仲良くするの禁止ー!」ぴょーん!

俺「うわぁっ!」

ルッキーニ「あたしも仲良くするー!」

シャーリー「こ、こら!どこ触って……うひゃあ!」

シャーリー「ふぅ……酷い目にあった……」

俺「あの、大尉……さっき……」

ぺちっ

シャーリー「忘れろ」

俺「は?しかし……」

シャーリー「わ す れ ろ」

俺「……はい」

シャーリー「よし!」

俺「……」

シャーリー「……」

俺(な、なんだろう……この居心地の悪さは……)
336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/09/27(月) 23:11:06.86 ID:fmpXDbYP0
ルッキーニ「あ、ねーねー!せっかく軍曹もいるんだしさー、あれやろうよあれ!」

シャーリー「あれ?」

ルッキーニ「浜辺で追いかけっこするやつ!」

シャーリー「え、えぇ!?」

ルッキーニ「ねーねーやろうよやろうよー!」

シャーリー「その、ああいうのは大人がするものであってだな……」ごにょごにょ

ルッキーニ「じゃシャーリーと軍曹ならできるじゃん!」

シャーリー「いや、その……」チラッ

俺「?俺なら構いませんよ?」

ルッキーニ「ほらほらー!」

シャーリー「ん、あー……俺がいいなら……いい、かな……」

ルッキーニ「けってーい!」

大魔神9へ続く
最終更新:2013年01月28日 13:14