スタスタスタ

現在、俺は執務室に向かって廊下を歩いている。
なんでも、ミーナさんが俺に話したいことがあるとかで。

コンコン

「どうぞ」

ガチャ

俺「ミーナさん、俺だけど」

ミーナ「ああ、俺軍曹、来ていただけましたか」

俺「うん。・・・んで、話って何?」

ミーナ「ええ。・・・突然な話で悪いのだけど・・・リトヴャク中尉の要請により、俺軍曹、
あなたに夜間哨戒の任についていただくことになりました」

俺「え」


異世界のウィッチ・番外編 ~月下の二人、のようです~


というわけで夜間哨戒をすることになった俺は、
今現在、月明かりの下でサーニャと二人で飛行している。

なんでも、最近は装甲の厚いネウロイが増えてきたのでサーニャとエイラだけの火力では間に合わなくなってきたのと、
エイラの生活のサイクルがここのところ乱れまくっていてこれ以上の酷使は体調を壊す可能性があったとかで、
エイラ以外の誰かで夜間哨戒に任務に就いてもらうことになったのだそうだ。
そこで、下っ端で火力がある俺が抜擢されたみたいだ。

(本当は↑の事情もSSにして投下しようと思っていたのだけどめんどくさかったのでやめときました)

俺がサーニャと夜間哨戒をすることになった件に関してのみんなの反応は、
まあ至って普通だった。
頑張ってだの、気をつけろだの、暗所では距離を掴み辛いからサーニャの指示をよく聞けだの、
サーニャの足手まといにだけはナルナヨだの、

 ・・・

「頑張ってね、いろいろとさ?」

「良かったじゃないですか、二人きりになれて!」

「気ぃとられてやられたりすんなよ。え?何に気をとられるって?そりゃお前

あ、この記憶は消しておこう。
うん、みんなの反応は普通に

「頑張ってください」

とか

「お気をつけて」

とかだった。

サーニャ「俺さん、あの」

不意にサーニャが尋ねてくる。

俺「?」

サーニャ「緊張していますか?」

俺「・・・なんで?」

サーニャ「・・・さっきから、黙ってばっかりだから」

 ・・・黙ってたのは考え事してたからなんだけどね。まあ、

俺「ああいや・・・まあ、ちょっとは」

サーニャ「そうですか・・・」

そりゃ、初めての経験に緊張しないで平然としていられるほど俺は楽観的な人間じゃないし・・・

サーニャ「・・・大丈夫ですよ」

俺「え・・・」

なんだ、いきなり・・・

サーニャ「私が、精一杯サポートします」

 ・・・ああ、そういうことか。

俺「・・・うん、ありがとう」

サーニャ「はい」ニコッ

 ・・・よし、俄然やる気が沸いてきた。やってやろうじゃないか。

じゃ、俺もできる限りのことをやらなくちゃな。
まあ、今のところ何も起こっていないから何をするってこともないのだけど・・・

サーニャ「俺さん」

俺「ん?」

サーニャ「恐くありませんか?」

 ・・・いきなり何を訊いてんだ?

俺「なんで?」

サーニャ「・・・芳佳ちゃんも、以前夜間哨戒に付いてきたことがあるんですが」

俺「宮藤も?」

サーニャ「その時、芳佳ちゃん、暗いからって恐がってて」

俺「はぁ」

サーニャ「俺さんは平気ですか?」

俺は平気か・・・って?

俺「そりゃ、恐いよ」

サーニャ「え・・・」

俺「恐いに決まってる。誰だって暗いのは恐いさ。
お前は慣れてるからそう思わなくなっただけだよ」

サーニャ「・・・そうなんでしょうか」

俺「多分だけどな」

サーニャ「・・・多分、ですか」

俺「多分だよ。だって俺そういったこと詳しくないし。もしかしたら元々暗いところを怖がらない人もいるかもだしな」

サーニャ「ふふ・・・」

サーニャ「・・・俺さん」

俺「ん?」

サーニャ「恐いなら」スッ

俺「?」

 ・・・サーニャがこちらに向けて手を伸ばしてきた。・・・

俺「な、なんだ?」

サーニャ「手、・・・つなぎませんか?・・・///」

俺「え゛!?///」

こ、こんな時に?

俺「い、いや・・・こ、こんな時に!///」

サーニャ「・・・え、あ、ち、違います、これは・・・その、
俺さんが、恐いって言うから・・・よ、芳佳ちゃんも、こうしたから・・・
俺さんも、こうすれば、大丈夫・・・なん・・・じゃ・・・ない・・・かって・・・///」

 ・・・セリフが後半に行くにつれて音量が小さくなる。
まるで音量下降ボタンを連打したときのテレビみたいだ。

俺「・・・あ、ああ、・・・///」

なるほど。そうか。そういうことか。

そうだ、これはあくまで俺が恐がって、緊張しているから、サーニャは上官として俺をサポートしてくれようとしているんだ。
これはサポートの一環、仕方なくの提案であって、・・・決して任務の最中にいちゃいちゃしてるわけではないんだ。

ドキドキ

ほら、鼓動も速くなってるだろ?緊張してるって証拠だよ。・・・

俺「わ、わかった・・・///」ギュッ

サーニャ「ん・・・///」ギュッ

ドクン

 ・・・手のひらから鼓動が伝わってくる。

 ・・・小さくて、柔らかい手だ。
こんな手でフリーガーハマーだなんて無骨な武器を持っているというんだから、魔女ってか魔力って恐ろしい。
 ・・・まあ、俺もこの細腕でにh・・・扶桑刀をブンブン振り回してるんだから似たようなものか?

俺「・・・」

サーニャ「・・・これで、もう怖くないですよ」

俺「え」

サーニャ「私は、ちゃんとここにいますから。・・・ね?」

握る力が強くなった。・・・それに合わせて、俺も力を少し強める。
サーニャの細い指が俺の手に絡みついてきて、多分ちょっとやそっとじゃ離れないだろう。

俺「・・・うん。そうだな」

俺の返答に、サーニャは微笑んだ。

 ・・・よし。夜間哨戒、頑張ろう。


~続かない~

最終更新:2013年01月28日 16:15