第5話「プライドと復讐と言葉と」




559 :氷男、本スレで投下したいねトゥルーデ:2011/02/09(水) 21:45:31 ID:G3U1Ad.Y
~翌日、医務室~

昨日の出来事から一日がたった。以前変わらない状況だ。

変わらない、というのは俺の状態とネウロイの状態。

俺はベッドで目を閉じて時々うなされながらも眠っている状態。一方のネウロイは昨日戦闘をした位置からぴくりとも動いていないそうだ。

あのネウロイがなにを目的としているのかはわからないが、私たちにとっては厄介で、目の上の瘤にはかわりのないこと。



この部屋で聞こえる音は俺の時々発する呻きと海風が窓を揺する音だけである。閑散として寂しい。

そう、寂しい。いつものようにかまってくる人間がいないとどこか穴が開いたような感じになる。


「トゥルーデ、少しは休みなさい。ちょっとくらい仮眠をとってきたら?」

背後からミーナが声をかけてくる。振り返って顔は見ないが、きっといつものように困った顔をしているに違いない。

「いや、私は大丈夫だ。俺の看病なら私がする。私のせいで……俺は」

「そう……。無理しないようにね。俺さんもトゥルーデが体を壊すことを望んでなんかないわよ」

「……こいつは私の望みを聞いてくれないのに、私が聞く必要はないさ」

「それでも……私たちは心配よ」

「すまん、ミーナ。……あと少しだけだ」

「わかったわ。はぁ……あなたたちってほんと似たもの同士ね」

「?」


私はミーナの方へと振り向いて、わからないという風に首を傾げた。

560 :氷男ど:2011/02/09(水) 21:48:08 ID:G3U1Ad.Y

「お互い頑固者よ。両方共自分の立場をわかっていないわ。心配をかけあい、逃げあってるだけといったところね」

「そう、なのか?私は頑固者かもしれんが、俺ほどではないと思うのだが……」

「ふふっ、似たもの同士よ」

「むっ……」


少しばかり俺を見る。こいつはこいつで知らんぷりをきめて目をとじている。早くおきんか。


「トゥルーデ、俺さんの体の状態。この紙に書いてあるけど、見る?」

「俺の体の状態?医者からもらってきたのか?」

「ちょっと、ね。これ……見ないほうがいいかもしれないけど、見る?俺さんが今回被弾した理由も少しはわかるわよ」

「……目を通しておこう」

「はい、まぁあまり無理をしないようにね。それじゃあ。俺さんが起きたらお願いね」

「ああ、わかった」


ミーナは手をふって扉を開け出て行った。存外、私を強行して休ませにきたわけではなかったようだ。

手渡された紙をちょっとだけの不安とともにぺらりとめくる。


562 :氷男:2011/02/09(水) 21:50:09 ID:G3U1Ad.Y
目を通していく。だが、通すだけではすまなかった。

目を止めた。


わずかに手が震えるが、ぎゅっと握り締め、じっくり読んで理解しようとする。

「魔法力の過剰放出……?魔法力制御能力に欠陥が見られ……ウィッチとして……健常ではない……」


つまり、ウィッチとして異常者。


「処置……休養を取らせる……それ以外なし。能力回復の見込みは―――」

次は言葉を止めた。


俺は……ウィッチとして……欠陥……?

能力回復見込みは……なし……?


紙を知覚のテーブルに置き、手と手を組み合わせぎゅっと握る。

人としての情報がない俺がウィッチという情報さえもなくなったら……俺はどう思うのだろうか。

それを考えただけで胸が痛んため、私は少しだけ思考を止めた。


564 :氷男:2011/02/09(水) 21:56:29 ID:G3U1Ad.Y



懐かしい夢だった。なんというか俺が軍に志願したころの古びた記憶。

あの頃は軍にウィッチとして入って、とりあえず育て親にお礼をしようと思っててがんばってたっけ。

思うがあの時は純粋だったな。

いや、今でも純粋だと信じたい。が、俺の知り合いの全員が首を横に振るだろうな。

あー、トゥルーデとの約束したときは少しだけ生きた心地を感じてたっけ。



そういえば、トゥルーデは無事だっただろうか……。あのネウロイ、俺だけじゃなくトゥルーデまで狙いやがって。

今までネウロイにここまでぼろぼろにされたことはないってのによ。


次会うときは俺のプライドにかけて、必ず叩きのめしてやる……。


必ず……。

……。



「……ん」

「お、起きたか?俺、大丈夫か?」

565 :氷男、ありがとう、伝えておく:2011/02/09(水) 21:59:01 ID:G3U1Ad.Y
目を覚ましたが、未だ意識はまどろんでいるため、問に答えることはできない。

窓から漏れてくるかすかな陽の光に目をあてると、少しずつ目が冴えてきた。


「おい、俺!」

「……どうした、トゥルーデ」

「俺、体は!?体は大丈夫か?意識はあるか!?」

「お、落ち着け。大丈夫だよ。大丈夫……」


そう思い込み、全身を確かめる。ようやく意識が冴えてきたおかげか冷静に確認。

……おかしい。左腕が思ったより動きが鈍い。それに内蔵がずきずきする。


だが気付かれないように、対応しないと、心配させるわけにもいかない。


「それより、トゥルーデは怪我はないか?」

「私は、まったく怪我はない。俺が……かばってくれたおかげでな」

「それならよかった。そいつを聞けて満足だ」

「……俺は……代わりにぼろぼろじゃないか」

566 :氷男:2011/02/09(水) 22:01:05 ID:G3U1Ad.Y

「俺はいいんだよ、しぶといから。あれだけずたずたにされても生きてるだろ?」

「それでも、痛かったはずだ」

「気にするな。それで、あのネウロイは?」

「依然としてあの空域から動いてはいない。なにが目的かはわからないが、厄介だ」

「……あいつは俺が倒す。俺の軍服はあるか?」

「馬鹿者!おまえはその体で戦うきか!?」

「このままみすみす逃げるわけにもいかないんでな。倍返しにしてやるつもりだ」

「どうやって……。俺の体は!俺の体はもう持たないだろう!!」

「いや、怪我は芳佳にほとんど治してもらったみたいだから大丈夫だ」

「そういうことじゃ……ないんだ。これを見ろ……」パサ


意地を張っていた俺に対しトゥルーデは何枚かを重ねた紙を突きつける。氷のように冷たい内容の紙を。

俺はその紙を意味もわからずに受け取って、目をつける。


568 :氷男:2011/02/09(水) 22:03:32 ID:G3U1Ad.Y
「なんで黙っていたんだ……?」

「……」

「またそうやって黙るのか……。なんで、なんでいつも教えてくれないんだ!?なんでいつもッ!!!」

「……時期が来たら話すつもりだった。なにもかも」

「おまえはいつも話すのが遅いんだ!!ダイナモ作戦の時のことも!オペレーションタラニスの時も!そして、今も!」

「……すまない」

「なんで……なんで話してくれないんだ……。それほど重要なことを……」

「……」

「また、そうやってだんまりか。一度言ったことがあるだろう……?俺も私の守りたいものの一つだと……」


拳をかたく握るトゥルーデにかける言葉が見つからない。俺は口をとざしたまま、同じように手をきつく握りしめる。

トゥルーデの伏せた顔からは表情を伺うことはできないが、想像には……堅くない。


「……すまない。それでも俺は、約束を守りたい。その矛盾を抱いたままに」

「なんでそうやって自分ばっかり傷つける!その約束が俺の中でどれほど大事かはわからない!でも……そんなことをしたって私はうれしくなんかい……」

「トゥルーデ……」

「もう、やめてくれ……。別に私なんかのためにそこまでしなくていい……。頼む、今は、いや、これからは―――」

「無理だ。それだけは無理だ。俺は……どんなになってもトゥルーデを守り続ける。たとえ……拒絶されても」

「……」

569 :氷男、サンクス:2011/02/09(水) 22:06:01 ID:G3U1Ad.Y
「それだけが、俺が今……生きている実感を与えてくれるんだ。だから、その"後の言葉"通りにはできない」

「死ぬかもしれないのにか……?」

「そうだとしてもだ。譲れないものが、俺には、俺の中にはできてしまった」

「私は何度心臓が張り裂けそうになったかわからない。おまえが帰って来なかったり、血だらけになってるのをみると心が痛いんだ。
反対に俺が笑っているのをみると安心する……」

「……すまない」

「俺は……もうひとりじゃないんだ。頼む、その体を考えてくれ……」

「ごめん。これだけは、戦うことだけは、譲れない」

「……もういい。……かってにしろ!おまえなんか……嫌いだ!」


トゥルーデは拒絶の言葉を吐き捨て、体を翻し、この重たい空気の部屋を後にする。

俺はというと、覚悟していたとしてもなにか魂が抜けたかのように、扉を放心して見つめ続けた。



「……本当にごめんな。こんな馬鹿でだめな男で。さて……軍服をきて……」

570 :氷男:2011/02/09(水) 22:07:23 ID:G3U1Ad.Y
ベッドから降りて軍服がたたまれて置かれているかごへと右手を伸ばす。

しかし届かない。仕方なく無理やり痛みに堪えながら手を伸ばした。

ぐっと伸ばす、その時ベッドから転げ落ちて頭と体を床に強打したとたんに激痛が走り、顔をぐっとしかめた。


「あー、俺はなにをやってんだか……」


長い時間天井を放心して見上げていたが、こうしてはいられないと思い、かごへと手を伸ばす。

そんな言葉を吐き捨ていそいそと軍服を着始め、重い体を立ち上がらせて近くに立てかけてある松葉杖を手にかけた。

それを用いてよっこらよっこらと歩き、薄暗い医務室をでる。


今の損傷状態は、左腕がほとんど使えない、右足も動きにくい、内蔵を痛めている。つまり体のあらゆるところが痛い。

たとえ治癒魔法をしてもらったとしても、無理があったか。


俺は気の抜けたままぼてぼての体にムチをうち、執務室の方へとゆっくり歩き出した。

571 :氷男:2011/02/09(水) 22:09:52 ID:G3U1Ad.Y

~執務室~

コンコン ガチャ


俺「失礼します」

ミーナ「はぁ……誰もはいっていいとは言ってないわよ?」

坂本「俺、体は大丈夫なのか?」

俺「ええ、大丈夫です。やっぱりまだ少し痛みますけど」

ミーナ「さっき妙に不機嫌なトゥルーデが来たわよ。なにかあったのかしら?」

俺「ちょっと怒らせちゃいましてね。馬鹿な男なもんで。俺のストライカーはハンガーにありますか?」

ミーナ「ええ、整備班の尋常じゃない努力により修理されてるわ。どっちかっていうとさせたのだけれど」

俺「あれは触れないように言ってあるんですけどね……」


坂本「で、どうした?」

俺「お話があります。あのネウロイについて」

坂本「こちらでも作戦を考えていてな。なにか情報があるなら役に立つ」

俺「皆が去った後一人で敵を攻撃したところ、一見的にはコアが発見できませんでした」

坂本「……コアが?どういうことだ?もしかしてあれは子機……」

俺「いえ、装甲の中にさらにコアを包んだ壁があったんです。まぁ、外の装甲を第1装甲、内のを第2装甲とします」

572 :氷男:2011/02/09(水) 22:11:07 ID:G3U1Ad.Y

俺「敵の第1装甲はそれほど堅いものでもないでしょう。しかし第2装甲、あれはとんでもなく堅いはずです」

ミーナ「どのくらい、ってわかるかしら」

俺「たぶん従来のネウロイ装甲の4~6倍はあるかと」

坂本「むぅ……それでもわかりにくいな……。私の烈風斬で斬れるか?」

俺「……予測に過ぎませんが、傷をつけることができる程度だと思います。まともに放ってですが」

坂本「まともに放って、とはどういうことだ?」

俺「ネウロイ装甲の結合を凍結させればある程度楽に打ち砕くことができるようになるはずです」

ミーナ「ということは、なにかで第1装甲を削って、第2装甲を俺さんが氷結させる。最後に美緒の烈風斬でトドメをさす、といったところかしらね」


坂本「単純明快だな。だが、それには……」

俺「……俺なら、出撃できます」

ミーナ「俺さん、さすがにその体じゃあ……。無理よ、出すわけにもいかないわ」


俺「……復讐しないと気がすみませんから。このまま引き下がれませんから」

坂本「……その体で何が出来る?」

俺「あいつがいるなら、なんでもできます」


573 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 22:12:26 ID:kZmGLBVg
   かっけえけど痛々しいな…
   支援

574 :氷男、支援感謝:2011/02/09(水) 22:15:42 ID:G3U1Ad.Y

坂本「死ぬ気か?」

俺「死ぬ気はありませんよ。……お願いします、俺を作戦に出してください」

ミーナ「……トゥルーデが怒ってた理由がわかったわ。はぁ……」

俺「お願いします。こんなにやられたのに、引き下がるわけにもいきません」

坂本「プライド、か……。ミーナ、俺がこういうんだ、大丈夫だろう。私たちが死なせやしないさ」

ミーナ「はぁ……わかったわ。昼からのブリーフィングに出て頂戴。でも無理はしないこと」


俺「感謝します。作戦のことなんですが、今回、波動砲を使用してもよろしいですか?」

ミーナ「はどうほう……?あのハンガーにおいてある布でぐるぐるまきにされた物かしら?」

俺「はい、あれを使って遠距離から敵の第1装甲を破り、少佐が烈風斬に入る前に攻撃を無力化させておくことができます」

坂本「そんなことが可能なのか?たしかにそのほうがいいのだが……。危険性は?」

俺「一応うちで作られたものなので、信頼はしてよいかと。使用許可を」


ミーナ「わかりました、それを信頼するわ。……大きく分けると、まず遠距離から敵目がけて波動砲で第1装甲を打ち崩す」

俺「次に俺がブーストで急接近し、第2装甲を完全に氷結させます」

坂本「最後に、私の烈風斬で、か。安全といえば安全、か?」

ミーナ「もう少しだけ検討してみましょう。俺さんはもう休んでていいわ。ありがとう」

俺「了解です。今夜のうちに再度波動砲を点検、試射しておきます」


575 :氷男:2011/02/09(水) 22:19:09 ID:G3U1Ad.Y
ミーナ「あと……トゥルーデになにを言ったの?」

俺「……嫌われたとしても、俺がどんなになっても、約束を果たす、とだけ伝えたつもりです」

ミーナ「そう……。それじゃああの子が怒るのも無理は無いわね。後で謝りなさいね」

俺「もう、嫌われちゃいましたよ、ははは……」

ミーナ「じゃあよく考えなさい。もっと頭をひねりなさい。俺さんはそういうことに疎いから、そうなるのよ」

俺「疎い、ですか?」

ミーナ「そうよ、じゃあ早く部屋にいって休みなさい」

俺「は、はい。失礼しました」ガチャ パタン



ミーナ「なんというか若いわねぇ……。俺さんはもう少し物分りがいいと思ってたけど……」

坂本「ミーナ」

ミーナ「どうしたの?」

坂本「まったくわからん。バルクホルンが怒っていたのは、俺がまたバルクホルンだけを待たせるだけの立場にさせたからじゃないのか?」

576 :氷男:2011/02/09(水) 22:21:28 ID:G3U1Ad.Y

ミーナ「違うわ。俺さんの異常なまでの献身ぶりにトゥルーデは心配なのよ。
なにか約束事でもあるのでしょうけど、俺さんはトゥルーデが絡むと一人で突っ走る癖があるのね。
俺さんとしてはトゥルーデを守りたい一心なのでしょうけど、トゥルーデとしては俺さんが傷つくのが耐えられないのだと思うわ。
そして美緒が言ったとおり今までのこともあるけど、それ以上に身体のことを黙っていたのが嫌だったのじゃないかしら。
トゥルーデだって俺さんのことをかなり信頼してたし、私たちも信頼していたけど、結局は話してくれなかったものだから、ね。
でも俺さんは心配させたくなかったんじゃないかしら、好きな人にせよ、家族にせよ。彼はそこら辺が変に優しいわ。
そして出撃停止も嫌だったんだと思うわ。俺さんはどこか"ウィッチとしていられなくなる"ことに恐怖をいだいているみたいだから……。
結局に、俺さんはトゥルーデの想いや願いを理解していなくて、トゥルーデは俺さんのことを理解してあげられていない
というのが今回の主点ということかしらね……」



坂本「ミーナ、長い」

ミーナ「要は、コミュニケーション不足と頑固な性格のせいでの衝突、といったところかしら。まぁ今回は俺さんが悪いわね」

坂本「そうか、俺が悪いんだな!よくわかったぞ!」

ミーナ「ふふっ、美緒ったら、まったく聞いてくれてないじゃない。ちょっと休憩しましょうか」

坂本「そうだな!」


577 :氷男:2011/02/09(水) 22:22:35 ID:G3U1Ad.Y
あのネウロイを『サギッタ』と呼称、オペレーション:サギッタを明日発動するとことだ。内容はさっきの会話どおりの手はずとなっている。

矢のようにまっすぐで貫くようなビームを矢に例えてサギッタとのことだが。


ブリーフィングルームでの作戦会議が終わってから俺達は談話室で一息をついていた。

例によって、トゥルーデと俺は一言も言葉をかわさない。

それに感づいたのか三人娘やしまぱふ、エイラとサーニャ、エーリカが集まってひそひそと隅っこで話している。

まったく聞こえないが、俺達が作り出している重い雰囲気から、内容は想像できるな。


うん、重いわ、空気が。



ルッキーニ「あの二人がこわいよ~……」

シャーリー「空気が重すぎて息がつまりそうになったぞ」

芳佳「どうしたんでしょうかね……?まぁ少しくらいは予想がつきますけど……」

ペリーヌ「どうせ俺さんがまた余計なことをいったんではなくて?」

エイラ「そうだとしても、ここまでなるカ?」

サーニャ「ティータイムなのに、ティーがおいしくない……」

リーネ「俺さんに直接問い詰めるしかないんじゃないかな」

578 :氷男、ちょっととばす:2011/02/09(水) 22:23:13 ID:G3U1Ad.Y

芳佳「誰かお願いします!」

エイラ「つんつんメガネ、ほら出番だぞ」

ペリーヌ「嫌ですわよ!ああいうことに首を突っ込むとろくなことになりませんわ」

ルッキーニ「だよね~」

エーリカ「うーん……ここはじゃんけんで……」

リーネ「フェアですね……。負けた人が俺さんかバルクホルン大尉に大胆不敵に聞いてくる、でいいですか?」

シャーリー「よし、それでいいぞ。じゃあ、じゃんけん―――」


じゃんけんをしだしたみんなを一瞥して、カップを置いてから気付かれないように部屋から退出する。

最後にトゥルーデをちらりと見たときに視線が重なったが、睨まれた後すぐにぷいとそらされてしまった。


こりゃだめだな……。


579 :氷男:2011/02/09(水) 22:24:15 ID:G3U1Ad.Y
~滑走路、海前~


俺「ふぅ……なんだよ、あんなに睨まなくてもいいだろうに……」

俺「たしかに、今回のは俺が圧倒的に悪いけどさ……」


シャーリー「お、おれ~……」

俺「ん……シャーリーか、どうしたんだ?」

シャーリー「い、いや~、なにしてるのかと思って。き、今日はいい天気だな~」

俺「曇ってるけどな」

シャーリー「う、海がきれいだな」

俺「ちょっと荒れてるけどな」

シャーリー「か、風がきもちいいじゃないか」

俺「まぁたしかにそうだが……。どうした?」

シャーリー「えっと~、そのなんていうか……ど、どうしたんだ?」

俺「シャーリーにしては妙に歯切れがわるいな。俺とトゥルーデのことか?」

シャーリー「ああ、なんか聞いちゃいけない気がして……。喧嘩でもしたのか?」

俺「ああ、そうだな。喧嘩したよ」


シャーリー「力になれるかもしれないからさ、話してくれよ」

俺「さては、皆に言うつもりだな?……まぁいいけど。ちょっと長いぞ?」

シャーリー「ああ、別にかまわないよ。よっと」



シャーリーが俺の隣に腰を下ろし、不機嫌そうな俺の顔を覗きこんでくる。

どきりとはしないが、きれいな顔だ、リベリオンじゃきっと女神扱いされてるんじゃないだろうか。

580 :氷男:2011/02/09(水) 22:26:00 ID:G3U1Ad.Y

俺「じゃあちょっと長いけど……気分が晴れることをねがって。ちょっと前のことから話すとするか」

シャーリー「よし、きた!さあさあどんどん語ってくれ」


どれから話して良いかわからないが。

ダイナモ作戦時にあったときのことから病院のこと、約束のこと、俺が姿をくらませたこと、ここで再会したときのこと。

そしてさっきの医務室での出来事について片っ端から言葉にしてだしていった。


その間、シャーリーは相槌をうったり、重そうな胸を支えるように腕を組んだり、話を聞いてくれて……。


俺「―――話は終わりだ。結果、俺が悪いのは確かだ」

シャーリー「話してくれてありがとな。今回のは、俺が悪いとは思うけど……」

俺「だよな……。ちゃんと謝らないと、やつを倒したら……」

シャーリー「そうだな……。あ~、でも嫌い、といったのは俺のそういう性格が嫌いなんだと思うぞ?」

俺「俺の性格?まぁうっとしいのは知ってるよ」

シャーリー「俺は勝手に一人で突っ走るのと自分が傷つくことで他人が悲しむことを知らないのが、だめだな」

俺「俺が傷つくことで……悲しむ?」

シャーリー「そ。それを知れば、あんなことはできないと思うけどな」

俺「でも、俺の中であれが最善だと思ったからそうしたんだ」

シャーリー「弾丸みたいに突っ走って、堅く生きても、周りを苦しませるだけだぞ~」

俺「……そうか。どうすりゃ治るかな」


581 :氷男:2011/02/09(水) 22:27:44 ID:G3U1Ad.Y

シャーリー「いきなり変わるもんじゃいないぞ。じっくりな。あと一つ聞いていいか?」

俺「なんだ?」

シャーリー「なんか失礼だけどさ、どうして俺はそこまで約束に命をかけるんだ?」

俺「くだらない理由だけど……」

シャーリー「大抵の理由はそういうもんさ」


俺「……トゥルーデはさ、俺になにかを守ることを教えてくれたんだ。例え……自分に力しかなくても」

俺「俺には魔法力と名前くらいしかなかったからな。教えられた当時はなにを守れっていうんだよ、って悩んだよ」

シャーリー「そういえば、ここに来た時もそんなことをいってたっけ」

俺「俺はさ、約束をした時初めて気づいたんだよ、遅いけどな。今まで自分のことしか守ることをしなかったのに」

俺「ま、その証拠に今まで生きてきたんだよ、俺の部隊にいた他の人間が全員死んでも上官と俺だけは生き残った。自分だけを守っていたから」

シャーリー「そうか……」

俺「トゥルーデが力の使い方と生き方を教えてくれたようなもんなんだ。だからこそ、俺は命をかける」



俺「そして、トゥルーデが大好きだしな」

シャーリー「か~、結局のろけかよ~」

俺「今現在嫌われてるけど……」

シャーリー「ま、大丈夫さ。なんとかなるって。ドゲザでもすりゃいいなんじゃないか?」

俺「はははっ、してみる価値はあるな~」

582 :氷男、本スレのほうに直枝√だと……?:2011/02/09(水) 22:33:17 ID:G3U1Ad.Y

シャーリー「俺は本当にあのカタブツが好きだな~。将来は一緒にすむのか?」ニヤニヤ


俺「さてな。俺は、あいつが幸せならなんでもいいからな」

俺「誰とくっつこうが、なにをしようが、どうやって生きようが……」

俺「なんでもいい。俺は嫌われてもいい。ただあいつが幸せになるなら、笑顔でいられるなら、俺はなんでもするだけだ」

俺「例え……命を削ってもな」


シャーリー「あははははは!かっこいいじゃないか!でも自分の手でなるべく幸せにしてやりたいんじゃないのか?」

俺「そりゃそうだ。男なら誰だって好きな人を自分の手で宇宙一幸せにしてやりたいと思うもんだろ」

シャーリー「うんうん!それでいいじゃないか」

583 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 22:34:38 ID:mzDliMZ6
   あぁ、支援だ

584 :氷男、支援感謝なんだぜ:2011/02/09(水) 22:37:41 ID:G3U1Ad.Y
俺「まぁトゥルーデにはこういうことは言えないけどね、恥ずかしくて。あ~、すっきりした。なんか気分が晴れたよ。ありがとう、シャーリー」

シャーリー「いやいや、気にするなよ~。仲間、いや『家族』だろ?」

俺「そうだな……。家族だ……」


シャーリー「また喧嘩したらこいよ。次も慰めてやるぞ~」

俺「ふふ、ありがとな!」

シャーリー「泣きたいなら胸でも貸してやるぞ~?」ニヤニヤ

俺「勘弁してくれ、その後に殺されちまう」

シャーリー「まぁ明日あいつを撃墜してやろうじゃないか!じゃあ、色々がんばれよ~」

俺「ありがとな!」



そういってシャーリーは元気よくハンガーのほうへと髪をたなびかせながら歩いていった。


だが、心はまだ晴れきらない。トゥルーデに明日謝れば治るのだろうか。

あいつが不機嫌なところなんてみたくないから、なんとしてでも機嫌を治さないとな……。


鈍い体を力を踏ん張って立ち上がらせ、基地のほうへと歩き始める。風が俺の背中をおしている。

なにか心強い味方でも手に入れた気分だ。

俺は、もうひとりじゃない、か。

本気をだして、敵を落としてあいつらを守って、全力で謝るとするか……明日。


585 :氷男:2011/02/09(水) 22:41:19 ID:G3U1Ad.Y
一方バルクホルン……


バルクホルン「俺のやつ!なにをへらへらしているんだ!リベリアンなんかみてどうする!」

バルクホルン「くぅ~!にやにやしおって!そういうところがだめなんだ!!」

ペリーヌ「あ、あのバルクホルン大尉?」

バルクホルン「なんだ!?ペリーヌ!!」

ペリーヌ「そろそろ望遠鏡はよろしいですか……?俺さんをみるのが終わったら返してくださいまし……」

バルクホルン「あ、すまない……。あとちょっとだけ……」



ペリーヌ「(唐突に押しかけてきてやることはそれですの……?ストーカー……?)」

バルクホルン「あの馬鹿!シャーリーの胸をみて、何をしてるんだ!」

ペリーヌ「(怖いですわ……。私はこうならないように気をつけなければ……)」

バルクホルン「まったく……!ああいうところがだめなんだ!」

ペリーヌ「バルクホルン大尉、そろそろ……」

バルクホルン「くそ~……ん?あれは宮藤じゃないか……!うむ……癒されるぞ……」

ペリーヌ「(30分この状態……この調子だともう30分かかりますわね……)」

バルクホルン「ふふっ……ふふふふ……」ギギギ


バキッ!


バルクホルン「あっ……」

ペリーヌ「なんてことですの……」

586 :氷男:2011/02/09(水) 22:43:51 ID:G3U1Ad.Y
バルクホルン「す、すまん宮藤がかわいくてつい……」

ペリーヌ「限度がありますわよ……。はぁ……大尉も俺さんに謝罪をしたらどうですの?」

バルクホルン「私がか?なぜだ、今回は俺がさすがにがんこすぎる」


ペリーヌ「私は、俺さんの気持ちを少しわかりますわ。自分の命をかけてでも守りたいものがあるということを」

ペリーヌ「それが戦うことでしか守れないのなら、なおさら力を行使するでしょうに」

バルクホルン「……それでもあいつは自分のことばかりさ。あそこまで……私のためだけにやることはないはずだ……」

ペリーヌ「俺さんは、不器用そうだから、少しだけでも理解してやるつもりでないとわかりませんわよ」

バルクホルン「しかし……」

ペリーヌ「たしかに俺さんは馬鹿ですわ。ですが、いい殿方だと思いますわよ」

ペリーヌ「自分の命が危ないのに、体を張って命を燃やして誰かを守るのは、並大抵のことではありませんわ。それだけは頭にとめておいたほうが……」

バルクホルン「それはわかっているつもりなんだ……」



ペリーヌ「体のことはミーナ中佐や少佐は知っていらっしゃるようなので、この作戦が終わったら出撃回数を減らせられるように提言すればよいのでは?」

バルクホルン「……そうだな。そうするか。」

ペリーヌ「バルクホルン大尉も俺さんが嫌いではないのでしょう?」

バルクホルン「……嫌いだ、あんな勝手なやつ」

ペリーヌ「そんなに簡単に人が嫌いになれたら苦労しませんわ。私がいうんですから、正しいはずですわ」

バルクホルン「……」


ペリーヌ「今日はもう部屋でお休みになってくださいまし」

バルクホルン「すまんな……ペリーヌ。色々と感謝する」

ペリーヌ「どういたしましてですわ」

バルクホルン「じゃあな、修理費は今度もってこよう」


587 :氷男:2011/02/09(水) 22:50:03 ID:G3U1Ad.Y
これで投下終わりです
いや、もうなんか書いててだめだろって思うところが多々あった……
支援してくれた方読んでくれた方ありがとう

次回「オペレーション:サギッタ」
まぁ期待しないでください。相変わらず成長もしない駄文なので。
戦闘です。それだけです。

俺の設定とかはwikiのほうの設定集の一覧にあるのと、氷男のページに本編であまり触れなかった設定のページをおいてあります
暇な方はよんでみてくださいな。
では、ありがとう、長々占拠してすみません。
他の作者様の筆が進みますように。

588 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 22:50:42 ID:kZmGLBVg
   乙!超乙!!!

589 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 22:51:38 ID:mzDliMZ6
   おつおっつ!

590 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 22:56:35 ID:fZ0QpuI2
   おつん

591 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 23:01:20 ID:4BTUvFc6
   乙っす

592 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 23:02:38 ID:mzDliMZ6
   改めて乙

   それでは15分から投下おk?

593 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 23:03:31 ID:G3U1Ad.Y
   GOGO!

594 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 23:04:14 ID:YnoD1LQg
   >>592全力で支援する。

   1か月前くらいに投下した奴の続きを書いたので>>592の次に投下する、たぶん

595 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/02/09(水) 23:04:56 ID:Zyp4fOA2
   おっと乙
   ずたぼろにするのもいいけど救済もつくってやってね…
   腐っても俺は俺だからな!

   GOだ! 








最終更新:2013年01月29日 13:50