『穏やかな日に』
_______________________________



<翌日・早朝>

俺「ぅん………」 パチッ

俺「ふああああぁぁぁ…………」

俺(医務室・・・そうか、助かったんだっけ。……ん?)

ふと人の気配を近くに感じ、横をみる。
するとそこには宮藤が、ベッドに突っ伏して眠っている。バルクホルンはもう部屋にはいなかった

宮藤「スー・・・、スー・・・」

俺「寝てる……」

宮藤「・・・俺さーん……」 ムニャムニャ

俺(寝言か?)

宮藤「死んじゃ・・・・・死んじゃ嫌だよ俺さん……」

俺「…………!」

宮藤「俺さん・・・」

俺「……………………」

ポンっ

宮藤「ん…」 ムニャムニャ

俺「ありがとうな」 ナデナデ

宮藤「スー…、スー…」

そこで、昨晩よりは少し体の痛みが引いている事に気がついた

俺「そうか、治癒魔法…」

俺「俺が助かったのは、おまえのおかげでもあるんだよな」 ナデナデ

俺「おまえにも・・・いや、おまえらに助けられちったな」 ナデナデ

俺「………………」 ナデナデ

俺(なんか小犬みたいだ……) ナデナデ

宮藤「う~ん・・・」

宮藤「あれ?俺さん……?」 ハッ

俺(っと、起こしちったか……) サッ

俺「悪い。起こしちゃったな―――」

宮藤「俺さん!!!」

俺「うおっ?」

宮藤「生きている!?大丈夫!?痛くない!?」

俺「い、生きているし大丈夫だぞ。体は滅茶苦茶痛いけど」

宮藤「やっぱりまだ痛いよね!?じゃあ……」

そう言うと宮藤は、両手を俺にかざして治癒魔法を使用し始めたたが―――

宮藤「ハァ・・・、ハァ・・・」

すぐに疲労が顔に表れる。相当魔法力を消費した状態である事が見てとれた

俺「お、おい宮藤、無理すんな」

宮藤「大丈夫。今治すから・・・」

俺(こいつ、自分がこんなに衰弱しているってのに……)

宮藤「ごめんね、私ったらいつの間にか寝ちゃってたみたい。すぐに治すから」 ハァ…、ハァ…

そう言って宮藤は治療を続ける。自分がフラフラだというのにもかかわらず

俺「そりゃ寝たんじゃなくて倒れたんだよ!もういい―――」

宮藤「今、助けるから」

俺「っ!」

パシッ

俺は腕を無理やり動かし、宮藤の手を握る。
あまりの激痛に顔が歪みそうになり、苦痛の声をあげそうにもなったが、何とか平然を装う

俺「……大丈夫だ」 ズキッ

宮藤「! 俺さん……?」

俺「宮藤の治療のおかげでもう平気さ。心配かけたな」

宮藤「本当に?」

俺「ホントホント!ホントに大丈夫だって!ホラホラ!」 グリングリン

宮藤「良かった・・・」

俺「だから無理はしないでくれ。また、美味い飯でも作ってくれれば、それでいいから」

宮藤「……俺さん?」

俺「俺、おまえの作る飯好きだな。美味しいし、結構いつも楽しみにしているんだぜ?」

宮藤「///・・・。わ、私、みんなを呼んでくるね!」 タッタッタッタッ

俺「あっ、おい無理すんな休んでけー……って、行っちったよ」

俺(………………)

俺「ぅっ・・・ぐぁ…」 ズキッ

俺「い、いてぇ……。さすがに腕を回すのはやりすぎたか」 ズキズキ


?「ふーん、ミヤフジに気を使わせない為?優しいんだね」

俺「別にそんなんじゃねぇよ。フラフラなあいつが見ていられなかっただけだ」

?「それが優しさでしょう?素直じゃないなー」

俺「……そんなもんか?」

?「そんなもんだよっ」

俺「ふーん。……って、いつから居たんだ?ハルトマン」

エーリカ「ミヤフジが起きたくらいかな」

俺(最初からじゃねーか)

エーリカ「それにしても俺も無茶するねー。あんまりトゥルーデに心配かけちゃダメだよ?」

俺「トゥルーデ?」

エーリカ「あっと、バルクホルン大尉の事。トゥルーデ、凄い落ち込んでたんだよ」

俺「……そうだな、ごめん」

俺(昨日みたいにか)

――――――――――基地内・執務室――――――――――

ガチャッ

宮藤「ミーナさん!俺さんが目を覚ましました!」

坂本「宮藤か」

宮藤「坂本さんとバルクホルンさん?こんな朝早くに何を・・・」

バルクホルン「いや、それは……」

ミーナ「ちょっとした話です。
    俺中尉の事はわかりました。あとで様子を見に行きますので、さがって下さい」

宮藤「わ、わかりました」
  (なんか深刻そうな雰囲気…)

ガチャン

坂本「……行ったか」

ミーナ「無事に俺さんの容態も安定したみたいね。……トゥルーデ、資料は?」

バルクホルン「ここに」

スッ

ミーナ「………………」

ミーナはバルクホルンから資料を受け取ると、軽く俯きながら口を開く

ミーナ「ごめんなさい、トゥルーデ」

バルクホルン「・・・何故謝る?」

ミーナ「情報の漏洩を防ぐ為にわざわざあなたに取りに行って貰ったのに、まさかあんな事になるなんて……」

バルクホルン「仕方がなかったさ。なんたって―――」


――――――――――同時刻・医務室――――――――――

俺「ネウロイが複数同時に現れたぁ?」

シャーリー「そうなんだよ~!予報じゃ一体も現れないって出てたのにさ」

ペリーヌ「最初の一体は南東の海からでしたわ」

エイラ「サーニャの魔導針がネウロイを捕捉してナ。私と坂本少佐、シャーリーとルッキーニが出撃したんだよ。けど……」

サーニャ「少ししたら、また別の方向からネウロイが現れたんです……」

宮藤「大型の子機とかじゃなくて、どれもコアのある本体だったんだよ」

ルッキーニ「それでね、次はあっちだー!そしたらこっちだー!って感じで、大変だった!」

エイラ「夜間哨戒で疲れてたサーニャまで出撃る事になってナ、てんてこ舞いだったよ」

俺「どーりで誰も来ないわけだ」

リーネ「ごめんなさい。私と芳佳ちゃんとハルトマンさんが着いた時には、もう俺さんは血だらけで倒れていて・・・」

エーリカ「ちょうど向かう途中、遠くでバスターライフルの青白い光が見えたんだよね」

シャーリー「ローマに向かったのが宮藤達で良かったなぁ、ギリギリ間に合ったんだろ?治療」

エーリカ「私最初見たとき死んじゃったのかと思ったもん。トゥルーデなんて泣いちゃってたし」

シャーリー「へ~、あいつにもそういうとこあるんだな」

ルッキーニ「じゃあ、芳佳のおかげで俺は助かったんだねっ」

俺「そうだな。宮藤、本当にありがとう」

エイラ「でかしたゾ宮藤」

宮藤「えへへー、俺さんが無事でよかったよ///」

俺「それとみんなにも心配かけちゃったな、ごめん」

ペリーヌ「全くです。とんでもない無茶をする人なんて、誰かさん1人で十分ですわ」 チラッ

宮藤「何で私を見るの?」

エイラ「あんまサーニャに心配させんなよー」

サーニャ「エイラだって心配してたよね」

俺「それにしてもネウロイが複数同時出現ねぇ。どうなってんだ?」

リーネ「その事なんですけど―――」


――――――――――再び隊長室――――――――――

バルクホルン「つまり、私達がまだ確認していない巣がある可能性が高いと」

坂本「いや、巣と言うよりは要塞型、もしくは小規模な拠点だろう。あんな大きな物をそうそう見落としたりはしないさ」

ミーナ「いずれにせよ警戒と探索は必要よ。このまま手放しには出来ないわ」

坂本「ロマーニャ空軍に探索協力を要請するべきか」

ミーナ「ええ、それがいいわね」

ミーナ「・・・さて、本題に入るわ」

ミーナがそう言うと、3人は手元の資料に目を通し始めた



――――――――――再び医務室――――――――――

エーリカ「さて、そろそろ行くかー」

ルッキーニ「え~?もう行くのぉ?」

リーネ「ルッキーニちゃん、俺さんは怪我人なんだから、あまり無茶させちゃ駄目だよ?」

ルッキーニ「はぁーい・・・」

俺「あっと、ちょっと待って。宮藤、トラックにあった俺の荷物ってどうなったかわかるか?」

宮藤「それなら俺さんの部屋に運ばれたみたいだよ?」

俺「良かった。なら赤いデカい袋があるはずだからさ、それ土産だからみんなで分けてくれ」

宮藤「お土産?」

俺「おまえとハルトマンに頼まれた菓子だよ。文字通り腐る程買ったから、全員分あるぞ」

エーリカ「お菓子!?やった!俺ありがとーっ!」 タッタッタッタッ

サーニャ「エイラ、私達も行こう?」

エイラ「そうだナ行こう。ホラ、おまえも行くゾ?」

ペリーヌ「私も?ま、まぁ付き合ってもよろし「いらないならいいけどナ」 テクテクテク

ペリーヌ「ちょっ、お待ちになって! 」タッタッタッタッ

ルッキーニ「………………」

シャーリー「どうしたルッキーニ?行かないのか?」

ルッキーニ「ちょっと待って!」

そう言ってルッキーニは、ベッドで体を半分起こした状態で横たわっている俺の横に来る

ルッキーニ「ねー俺、ちょっと耳貸して?」

俺「? ああ」

俺はそう言って右耳を差し出した。ルッキーニは顔を近づけると―――


チュッ


俺「!??」
宮藤「え!?」
リーネ「へっ?」
シャーリー「ほほぅ…」 ニヤリ

頬にキスをした

俺「な、な、な、ななな、ななななに?」 アタフタ

ルッキーニ「俺、ロマーニャを守ってくれてありがとーっ!」 ニコッ

ルッキーニ「行こっ、シャーリー!」 タッタッタッタッ

シャーリー「よし来た、行くぞルッキーニ!」 タッタッタッタッ

302 :-Prototype-試作品-8話[]:2010/11/19(金) 19:16:16.87 ID:E3jUk30jO

俺「」 ポカーン

リーネ(ルッキーニちゃんたら大胆・・・///)

宮藤(なーんか面白くないなー…)

俺「」 ハッ!

俺「…………///」

俺「」 ブンブンブンブン

俺(な、何なんだこの感じは!?俺はこんな感覚は初めて……いや、あんな事されたのも初めてだが。でも・・・あぁあれは……いや、しかし……) ブンブンブンブンブンブン

俺「///」 カァー

宮藤「」 イラッ

リーネ(俺さんが赤くなってすごく挙動不審に・・・)

俺(一体なんなんだこれは…………なんていうかデ、デカルチャー?) ブンブンブンブン

俺「///」 カァー

宮藤「俺さん!!」 バンッ!

俺「ひゃいっ!?」

リーネ(芳佳ちゃんちょっと怒ってる……?)

宮藤「俺さんは怪我人なんだから、もう休まなくちゃ」

俺「なぁ宮藤、この感覚は―――」

宮藤「知らない!」 バンッ!

俺「」 ビクッ!

宮藤「ほら、怪我人は寝て?」

俺「あ、うん……」 (なんか怖い)

宮藤「リーネちゃんごめんね、先に行ってて?少ししたら行くから」

リーネ「わ、わかったよ芳佳ちゃん」テクテクテク

宮藤「私が居てあげるから、おやすみ」

俺「お、おやすみ……」


――――――――――再び隊長室――――――――――

坂本「……なるほど」

バルクホルン「………………」

ミーナ「少し、まとめるわ。・・・まずは、D特殊実験戦闘部隊ね」

坂本「成立されたのは、この基地で実験が始まるほんの1ヶ月前。軍属の研究者チームをそのまま実験の名目のもと、部隊として成立させているな」

ミーナ「そしてそれをしたのが―――」

バルクホルン「ダム・ダ・ダルシム大佐か」

ミーナ「ええ」 コクリ

坂本「ダルシム大佐はカールスラント空軍大佐の立場でありながら、それとは別にもう1つの顔を持っていた」

バルクホルン「それがその研究チームのリーダー……。自ら研究者の筆頭として、研究を続けていた」

ミーナ「つまり、D特殊実験戦闘部隊は研究者の寄せ集めであり、ダルシム大佐の私兵でもあるようね」

ミーナ「そして……、そのダム・ダ・ダルシム大佐の事だけど」

ミーナ「大佐は、宮藤一郎博士―――つまり宮藤さんの父親と共に、ストライカーを開発していたようね」

坂本「通りで顔と名前に覚えがある訳だ(※4話)。大佐が宮藤博士と一緒の研究チームだったとはな」

バルクホルン「ストライカーユニットの生みの親の1人か……」

ミーナ「ストライカーの開発後は更なる研究を続けていたようだけど、数年前から急に軍の表から姿を消していた」

坂本「そして今になって再び表舞台に姿を現した、か」

ミーナ「恐らくは、今回の試作品の開発をしていたのでしょうね」

バルクホルン「バスターライフルとテウルギストか。確かにあれ程の物は簡単に開発出来る物では無いな」

ミーナ「そして、最後に俺中尉なんだけど・・・」

バルクホルン「どうした?」

ミーナ「それが、過去や経歴などは一切判明しなかったのよ。この前と同じような基礎情報だけ」

バルクホルン「………………」

ミーナ「新しく書類に書かれているのはこのくらいね」 スッ

坂本「どれ」 サッ

坂本「俺中尉、D特殊実験戦闘部隊所属。『プロト01』。個人のデータ………………全て削除!?」

坂本「削除か・・・、穏やかな話ではないな。それに『プロト01』?コードネームか何かか?」

ミーナ「わからないわ。でも俺中尉に関係あるのは確かよ。・・・とにかく俺中尉の事といい、やはりこの実験には不透明な所が多いわ」

坂本「そうだな、もう少し調べてもらうしかないか……」

坂本「そういえばバルクホルンは、先日俺中尉と一緒だった時に何かわかった事はあったか?」

バルクホルン「………………」

308 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/11/19(金) 19:31:50.67 ID:RMQJn9jX0
支援

309 :-Prototype-試作品-8話 支援感謝![]:2010/11/19(金) 19:35:52.75 ID:E3jUk30jO

ミーナ「トゥルーデ?」

バルクホルン「…………いや、特には何も」

ミーナ「……そう、わかったわ」

坂本「さてっ、この話はここまでにして、俺中尉の様子でも見に行くとするか」

ミーナ「ええ、そうね。トゥルーデはもう会ったんでしょう?最初に目を覚ました時に付いていたようだし」

バルクホルン「いや、私も行くぞ。少し聞きたい事があるからな」

坂本「じゃあ3人で行くか」


――――――――――医務室――――――――――

俺「(-.-)zzZ」 スー…、スー…

宮藤(ふふっ、俺さん……、寝顔は可愛いんだなぁ)

宮藤(さっきは言い過ぎちゃったかな。俺さんは悪く無いのに)

宮藤(でもだからって、俺さんもあんなにデレデレすることないよね?ほっぺにキスされただけであんな……)

宮藤(あん、な・・・・・)

俺「(-.-)zzZ」 スー…、スー…

宮藤は寝ている彼の顔をじっと見つめる。そして口元に目が行った―――


宮藤「………………」スッ

プニュ

宮藤(俺さんの唇・・・柔らかいなぁ)

宮藤(って、何しているの私!こんな事したら駄目だよ!) バッ

唇から指を放し、宮藤は自分に言い聞かせる

宮藤(でも・・・)

先ほど唇に触れていた指を、今度は自分の唇に触れさせた

宮藤(本当のキスって、唇同士のを言うんだよね……)

宮藤(ほっぺのキスであんなになってたんだもん。唇にしたら俺さん、どうなっちゃうのかなぁ・・・)

宮藤(私でも、さっきみたいになってくれるのかなぁ・・・///)

宮藤(・・・・・)

宮藤は少しの間思い悩んだあと、寝ている彼の顔に自分の顔を近付けていく

宮藤「俺さん……」 スッ

俺「……」 スー…、スー…

宮藤「な、何をしてるの宮藤芳佳・・・」

宮藤「だ、駄目だよ。こんな事・・・」

どんどん顔を近付けていく。自分でも赤面しているのがわかる程、顔が熱くなっている

トクン
トクン
トクン

宮藤「私は別に俺さんの事・・・」

宮藤「好き・・・?嫌い・・・?」

宮藤「少なくとも、嫌いじゃないよね・・・」

宮藤「じゃあ、いいよね…!///」 ドキドキ

トクン!

トクン!

トクン!

更に顔を近付ける。自分の心臓の鼓動が速くなっているのがわかる。互いの吐息を肌で感じる程、顔が近付く。宮藤はそっと目を閉じる

宮藤「俺さん・・・」ドキドキ

罪悪感などは無い。無垢な好奇心と己の無自覚な好意が、今の宮藤を突き動かしていた

そして、そのまま宮藤の唇が彼の唇へ―――

俺「か・・・」

宮藤「!」 ビクッ!

宮藤の動きが止まる。俺の唇まで、あと2、3cm程だった

宮藤「あっ、その、これは違うんです!違うっていうか、その・・・」

宮藤はそっと目を開ける。だが眼の前の両目は閉じられたままで、こちらに気付いている様子は無い

宮藤(ね、寝言・・・?)

宮藤「ふぇ~。びっくりした~」 ヘナヘナ

体の力が抜け、宮藤はそのまま後ろの椅子へ倒れ込んだ

宮藤(あんな事しようとした罰が当たったのかなぁ……)

宮藤(…………でも)

先ほどと同じ指を己の唇に当て、切なそうな表情で呟く

宮藤「やっぱり、したかったなぁ・・・」

宮藤「………………」

宮藤(いいよね?)

316 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/11/19(金) 20:00:58.38 ID:UtEnl2Mm0
ぐぎぎ

317 :支援感謝![]:2010/11/19(金) 20:05:45.26 ID:E3jUk30jO

宮藤はすぐに立ち直り、再び彼にキスをしようと―――

俺「うぅ……」

宮藤「ご、ごめんなさい!」 ビクッ!

宮藤(やっぱり起きてる!?)

しかし再び俺が寝言を言い、宮藤は思い止まる。そして寝ていると思われる彼の顔を見る

宮藤(やっぱり寝ている……?) ドキドキ

俺「か、あさ・・・・・、に……げ……」

宮藤「!」

宮藤(魘されているの?)

俺「うぅ…、にげ・・・」

宮藤「………………」

クシャッ…

宮藤はそっと優しく、いつもは自分が彼にしてもらっているように、そっと彼の頭に手を置いた

318 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/11/19(金) 20:09:00.64 ID:vglR61eMP
芳佳ちゃんマジ母性に溢れる無邪気な天使

319 :-Prototype-試作品-8話[]:2010/11/19(金) 20:09:44.04 ID:E3jUk30jO

宮藤「大丈夫」 ナデナデ

俺「う・・・く・・・」

宮藤「私が居るから」 ナデナデ

宮藤「そばに居るから」 ナデナデ

宮藤「怖くないよ」 ナデナデ

俺「ん・・・・・」

宮藤「だから今は、安心して」 ナデナデ

宮藤「おやすみ……」 ナデナデ

数分後、彼は穏やかな寝顔を取り戻していた

宮藤「良かった。落ち着いたみたい・・・」

宮藤「………………」 スッ

宮藤は手を放し、彼の顔を見る。そして再び彼の顔に自分の顔を近付け―――

チュッ

宮藤(えへへ、これくらいなら罰も当たらないよね)

彼の頬にそっとキスをしたのだった


<数分後>

ガチャッ

坂本「おや?」

ミーナ「あら、まあ……」

バルクホルン「宮藤か」

3人が部屋に着くと、宮藤が俺の顔の近くに突っ伏して眠っていた

ミーナ「仲がいいわね」

バルクホルン「……そうだな」

坂本「また寝てしまったか。まぁ、怪我人だし仕方がないか」

ミーナ「2人共、気持ち良さそうに寝ているわね・・・」

坂本「可愛らしい顔をしているな。普段愚痴をこぼす時の小憎らしい表情からは、想像も出来ん」

バルクホルン「………………」

ミーナ「トゥルーデ、どうかしたの?」

バルクホルン「……いや、なんでもない」

坂本「さて、寝ているなら仕方がないか」

ミーナ「ええ、起こす訳にもいかないし、戻りましょう」

バルクホルン「………………」

ミーナ「トゥルーデ?」

バルクホルン「すまない、先に戻っててくれないか?私はもう少しここに居るから」

ミーナ「え?ええ。わかったわ。美緒、行きましょう」

坂本「ああ」

テクテクテク……

バルクホルン「………………」 トサッ

バルクホルンは椅子に腰を掛け、考え始める

バルクホルン(個人のデータは全て『削除』、か・・・。記憶喪失というのは確実みたいだな)

バルクホルン(『削除』か、まるで意図的に消したかのようだ)

バルクホルン(つまり俺は、記憶を消されて無理やり戦わされているとでもいうのか?)

ガチャッ

バルクホルン「ミーナ?」 クルッ

助手「あれっ、バルクホルン大尉ですか?」

バルクホルン「あなたは確か・・・助手軍曹」


――――――――――基地内・俺の部屋――――――――――

エーリカ「おっ菓子♪おっ菓子♪」 ガサゴソ

サーニャ「すごい量・・・」

シャーリー「はははっ、こりゃ食べ放題だぞルッキーニ!」

ルッキーニ「やったー!!食ーべ放ーだーいっ!」 ルンルン

ペリーヌ「それにしても、殺風景な部屋ですわね。何もありませんわ」

エイラ「でも見てみろ。いっぱい買ったみたいだゾ」

リーネ「エ、エイラさん、勝手に見たらまずいですよ」

ルッキーニ「見せて見せて!」 ガサゴソ

ルッキーニ達は菓子の入ったのとは違う、もう1つの袋の中身を見始めた

エイラ「お、レコードか『ぐら…ろ、で』?」

ペリーヌ「これは……、ロマーニャのペナントですわね」

パカッ

ビヨンビヨンビヨン!

サーニャ「ひゃっ!び、びっくり箱・・・?」

シャーリー「似合うか?」 キメッ

ルッキーニ「シャーリーその帽子カッコイイ~!似合ってる!」

シャーリー「ルッキーニこそ、そのサングラス似合っているぞ?」

ルッキーニ「真っ暗ー!」

ペリーヌ「ジョブナイル小説に筆、服に枕に時計に置物に玩具にペナントにブローチにペンダントに……。まるで、手当たり次第に買った感じですわね」

リーネ「あのぅ・・・やっぱり勝手に見るのはまずいんじゃ……」

エーリカ「見るだけだって、大丈夫だよ」 ニシシ~

リーネ(うう…、芳佳ちゃん、まだかなぁ・・・)

ルッキーニ「他には~……。あれ、何コレ?」

シャーリー「ん、どうした?」

ルッキーニが手にしたのは、プラスチック容器に入った、謎の液体だった

シャーリー「薬じゃないか?」

ルッキーニ「クスリ?え~、クスリ嫌い~!」

シャーリー「案外、虫に効く薬かもな」

ルッキーニ「ムシに!?」

シャーリー「はははっ、どうだろうな~」

ルッキーニ「うーん・・・」

ルッキーニ(1本貰っちゃお~っと) ヒョイッ

ルッキーニはこっそり、謎のクスリをポケットに仕舞い込んだ


―――そのクスリが、どんなクスリかも知らずに―――


――――――――――再び医務室――――――――――

助手「……………………」

バルクホルン「……………………」

助手(き、気まずい・・・)

真ん中のベッドで眠っている俺を挟んで、医務室の椅子に助手とバルクホルンが座っている。バルクホルンは眠っている宮藤の隣だ

助手(何を話せばいいんだろう・・・)

助手(年下の上官ってどうやって接すればいいの?)

助手(バルクホルン大尉と言えば、軍規に厳しい堅実な軍人。250機撃墜のスペシャルエース・・・。この子とはまるで正反対ね……)

助手(っと、いけないいけない)

助手「・・・ざいました」

バルクホルン「え・・・?」

助手「あ、ありがとうございましたっ!」

バルクホルン「シッ、起きてしまいますよ」

助手「あぁぅ、ごめんなさい・・・」

バルクホルン「………………いえ」

助手「あなたの……あなた方のおかげで、この子を失わずに済みました」

助手「本当に・・・本当にありがとう」

宮藤(ん…………あれ・・・?誰かいる?)

宮藤(バルクホルンさんと・・・助手さん?)

337 :-Prototype-試作品-8話>>335ありがとう。すぐに終わります[]:2010/11/19(金) 21:01:31.74 ID:E3jUk30jO

バルクホルン「それは……『研究者』として、優秀なテストウィッチを失わずに済んだ―――そういう事ですか?」

助手「……え?」

バルクホルン「答えて下さい」

助手「・・・違いますよ。『研究者の助手軍曹』では無く、『助手という1人の人』として、感謝しています」

助手「この子を助けてくれて、ありがとうございました」 ペコリ

宮藤(………………)

助手は場を取り繕うように、話し始めた

助手「私、この子の世話係りなんですよ。目を覚ましたって聞いて飛んできたんです」

助手「あ、勿論世話係りだったから、とかじゃなくて、普通に心配だったから来たんですよ!?」 アタフタ

助手「以前この子に『おまえは頼まれたから仕方なく世話やってんだろ』って怒られちゃいまして。あれは失敗でしたねー」

助手「私、部隊の中でも最年少で、年も近いからって任されているんです」

助手「あ、でも全然嫌じゃないんですよ?新しい弟が出来たみたいでとても―――」

助手「って何言っているの私?」 ハッ

助手「す、すいません大尉。私ったら聞かれてもいない事をペラペラと・・・」

宮藤(助手さん…………)

バルクホルン「・・・いえ」

助手「え?」

バルクホルン「少しですが、助手軍曹の気持ちがわかりました。俺の事を大切に思っているみたいですね」

助手「…………違うんです」

助手「私は……こんな綺麗事言っても、結局私は……」

バルクホルン「助手軍曹…?」

バルクホルン「私は、私達はこの子に・・・―――」


助手(―――殺されても仕方がない程、酷い事をしてしまっているのだから)


バルクホルン「助手軍曹・・・?」

助手「すいません。少し考え事が。……それと、敬語などお使いにならないで結構ですよ。年などお気になさらず、下士官として扱い下さい」

バルクホルン「・・・わかった。では助手」

助手「はい」

宮藤「………………」

バルクホルンは改めて助手に向き直る。既に宮藤が目を覚ましている事には、誰も気がついてはいない

バルクホルン「単刀直入に聞くぞ。俺中尉の事だ」

宮藤(俺さんの事……?)

バルクホルン「俺中尉が記憶喪失というのは事実か?」

助手「っ! ……何故それを」

バルクホルン「やはり、事実のようだな」

宮藤(記憶喪失……?俺さんが!?)

助手「……この子に聞いたんですね」

バルクホルン「ああ」

助手「この子、自分の事なんて滅多に人に話さないんですよ。羨ましいなぁ・・・」

バルクホルン「俺は言った。『気がついたら施設にいた。自分の両親はネウロイに殺されたと聞いた。』」

助手「………………」

バルクホルン「『その後色々あってウィッチになった』と俺は言った。でも肝心な事は話してくれなかったがな」

バルクホルン「だからこれは推測でしかない。しかし、それでも私にもわかる事はある」

助手「わかること・・・?」

バルクホルン「俺のような高い魔法力、そしてこの実験に都合の良い能力を持つ人間が、『何故か』記憶喪失になっている事」

バルクホルン「そして俺は言っていた。『自分は状況により戦っているだけの歯車だ。自分にとって戦いとは、ただ壊すだけの行為だ』とな」

宮藤「・・・・・・・」

バルクホルン「つまり、だ」

助手「………………」



バルクホルン「俺中尉は、あなた方によって意図的に記憶を『消され』、戦わなくちゃいけない状況を無理やり『強いられている』のではないのか?」



助手「………………」

宮藤(!!)

バルクホルン「沈黙は肯定と取るぞ」

助手「……機密事項です。お答え出来ません」

バルクホルン「許される事ではない。記憶を奪い、無理やり戦わせるなど!!」

助手「まさか・・・。意図的に記憶を消すなど、出来る訳ないじゃないですか」

バルクホルン「・・・なら、何を隠しているというんだお前たちは!」

助手「シッ、2人が起きてしまいます」

バルクホルン「…………」

俺「…………」 スー…、スー…

宮藤(………………)

俺はいまだに寝続けている。宮藤はとっくに目を覚ましているのだが、顔を伏せているために2人は気付いていない

助手「・・・何故そのような詮索を?あなた方には関係の無い事かと思われますが」

バルクホルン「仲間が―――家族がそんな目に遭っているかもしれないというのに、見逃せはしない」

助手「! 家族、ですか……」

宮藤(バルクホルンさん・・・)

バルクホルン「ああ。俺は既に、私達ストライクウィッチーズの一員だ。それに……」

助手「それに……何ですか?」

バルクホルン「カールスラント軍人として、そして1人の人間として、そんな非道を認める訳にはいかない。俺の為にも」

助手「この子の為ですか……」

バルクホルン「そうだ」

助手「……本当に俺中尉の事を思っての事なら、これ以上深入りはしない方がいいです。この子の為にもやめて下さい」

バルクホルン「なに?」

助手「許されないとか、認める訳にはいかないとか、そんな道徳的な問題ではないんです」

どこかしら憮然とした態度で、助手は話し続ける

助手「あなたが探りをいれたとしても、何も変わりませんよ。・・・それどころか、大佐の耳に入ったら、この子が傷つく事になる」

助手「だからもう・・・この子の為にもやめて下さい」

バルクホルン「どういうことだ・・・?」

リーネ『芳佳ちゃーん、まだ居る~?』

ドア越しにリーネの声が聞こえる。どうやら宮藤がなかなか来ないため、様子を見に来たようだ

助手「……この話は、ここまでですね」  スタッ

ガチャッ

リーネ「芳佳ちゃ……?」(誰?)

助手はバルクホルンを一瞥すると、医務室から去ろうとする

344 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/11/19(金) 21:20:15.90 ID:UtEnl2Mm0
俺の記憶喪失より100倍面白い、すごい
支援

345 :-Prototype-試作品-8話 終わりです[]:2010/11/19(金) 21:26:23.52 ID:E3jUk30jO

バルクホルン「待て、一体どういう―――」

助手「安心して下さい。ダルシム大佐に告げ口したりはしませんよ」

助手「そんな事したって、その子が傷つくだけですから……」

助手(いつか、地獄に落ちるわね、私達は・・・)

キィッ……、バタンッ!

リーネ「バルクホルンさん?」

バルクホルン「…………」

ガチャッ、キィッ、バタン

リーネ「あ、行っちゃった……」

俺「(-.-)zzZ」 スー…、スー…

宮藤(………………)

リーネ「芳佳ちゃーん……、寝ちゃったの?」

宮藤は既に起きているが、応える事は出来なかった。

ただ、今聞いてしまった会話。その内容。それらを受け止めるには今の宮藤には重すぎて、思考が止まってしまっていた

宮藤(俺さん・・・・・)


――――――――――ラオホウ・ダルシム私室――――――――――

助手「―――以上です。報告を終了します」

ダルシム「わかりました。さがって下さい」

助手「・・・失礼します」

ガチャッ、キィッ……、バタン


ダルシム(一命は取り留めたか。そうでなくては困る)


ダルシム(ふん……、ウィッチなんぞを庇って負傷するとは、なんて間抜けな奴だ)


ダルシム(実験計画の大幅な変更が必要か……、これもあれが不完全なせい)



ダルシム「出来損ないの『試作品(プロトタイプ)』が……!」


<基地内・医務室>

俺「…………」

俺「…………」

俺「…………」

俺「…………暇だ」


ガチャッ


バルクホルン「俺、入るぞ」

俺「バルクホルン?」

バルクホルン「夕食を持ってきた」 コトッ

俺「ああ、悪いな」

バルクホルン「・・・もう食べても平気なのか?」

俺「こっち(内臓)の方は宮藤が魔法で治してくれたしな。昼は点滴で我慢してるけど、夜はこうして食わせて貰えるってわけ」

バルクホルン「なるほどな」

俺「それにしても、まさかあんたが持って来てくれるなんてな。宮藤あたりが持ってくると思ってたよ」

バルクホルン「・・・私じゃ不満だったか?」

俺「ははっ、そんな事無いって。ありがとうな、バルクホルン」 ニコッ

バルクホルン「・・・ああ」

643 :-Prototype-試作品-8話[]:2010/11/22(月) 17:28:09.17 ID:P+jUfYOIO

バルクホルン「そもそも、宮藤が私に頼んだんだぞ?」

俺「宮藤があんたに?リーネとかじゃなくて?珍しいな。何かあったのかねぇ」

バルクホルン「詳しくはわからん。だが今日の宮藤は、目に見えて様子がおかしかった」

バルクホルン「・・・おまえ、宮藤に何かしてないだろうな?」

俺「いやぁ、何にも?」

バルクホルン「・・ならいいのだが」

俺(あいつ、俺が寝る前から何かおかしかったよな……) スッ


ズキッ


俺「いでっ」

ポロッ

バルクホルン「痛むのか?」

俺「……ああ、腕の方はまだな」

バルクホルン「無理をするな。食べづらいだろう?」


バルクホルン「どれ、私が食べさせてやる」

俺「…………へ?」

バルクホルン「腕がまだ不自由なんだろう?遠慮するな」

俺「あ、うん・・・」


バルクホルン「ホラ」スッ

バルクホルン「あーん」

俺「あ、あーん・・・」パクッ

俺「…………」モグモグ

バルクホルン「おいしいか?」

俺「あ、ああ。とても」

バルクホルン「良かった。作ったのは宮藤だけどな」

俺「へぇー」

バルクホルン「ホ、ホラ。次だ」 スッ

バルクホルン「あーん」

俺「あーん・・・」

パクッ

俺「…………」モグモグ

647 :-Prototype-試作品-8話 支援感謝する![]:2010/11/22(月) 17:39:33.76 ID:P+jUfYOIO

バルクホルン(しかし・・・)スッ

俺(何て言うか・・・)パクッ

バルクホルン(自分から始めといてなんだが・・・)

俺(これは・・・)モグモグ


バルクホルン・俺(恥ずかしい・・・///)


バルクホルン(普段の俺からして、断られるかと思ったんだが・・・) スッ

俺(なんで俺こんな事されているんだ?・・・ああ、怪我したからか) パクッ

バルクホルン(しかし私から始めた手前、途中で止めるのもな……) スッ

俺(食べさせてくれるのはありがたいが……「あーん」は少し恥ずかしいな・・・) パクッ


バルクホルン(いかんしっかりしろ私!怪我人の介護を恥ずかしがってどうする?もっと気をきかせねば……) スッ


俺(って、何贅沢考えてんだ俺。せっかくバルクホルンがやってくれてんだぞ?その善意に応えねーと……) モグモグ



バルクホルン「ほーら。どんどん食べて早く治すんだぞ?私が全部食べさせてやるからなっ」 キラキラ


俺「嬉しーい。バルクホルンのおかげで助かるよ。もっと食べたいなぁ」 キラキラ


バルクホルン・俺「「えっ?」」
最終更新:2013年01月29日 15:04