『プロトタイプ』 その1


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668 :試作な俺-19話-プロトタイプ:2011/04/06(水) 17:12:51 ID:lDZ8Cuv2

???

バルクホルン(あれ・・・・・?) キョトン

バルクホルン(どこだ、ここは・・・。私は一体何を・・・? それにこの服は……)

バルクホルンは何も無い空間に1人立っていた。彼女は以前俺とローマに行った時の(※17話の)純白のワンピースを着ている


?「トゥルーデー!」

バルクホルン「きゃっ!」

突如誰かに抱きつかれる。その人物は───

俺「あははっ」

バルクホルン「お、俺!? 何故ここに・・・。体は大丈夫なのか?」

俺「そんな事よりもトゥルーデ、聞いて欲しい事があるんだよっ」 ギュッ

バルクホルン「へ?/////」

俺「この前の返事の続きがしたい」

バルクホルン「えっ、あ…………ああ///」 ドキドキ

俺「実は前から俺も、トゥルーデの事が大好きだったんだ」

バルクホルン「ほ・・・本当か!?」 パアァ

俺「本当も本当。トゥルーデが『好きだ』って言ってくれた時、凄い嬉しかった。本当は直ぐに俺も『好きだ』って言いたかったんだぞ?」

バルクホルン「そうだったのか・・・」 (やった!)

バルクホルン「ふふっ・・・」 ニコニコ

ギュッ

バルクホルン「なら、これからもずっと一緒だ。ずっとずっと、2人で一緒に居よう」

バルクホルン「もう、離してなんかやらないんだからな!/////」

バルクホルンは俺の体を、愛おしく包むように抱きしめる。まるで俺の存在、俺がそこに居るという事実を噛みしめるかのように


俺「・・・ごめん、トゥルーデ」

バルクホルン「え・・・?」

俺「俺は、トゥルーデやみんなとは一緒に居られないんだ」

バルクホルン「どういう……事だ?」

俺「もう、戻れないから。だって俺はもう───」


ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥーーッ!!


突如俺の体の所々が裂けて鮮血が迸り、バルクホルンの純白のワンピースが血潮に染まる

バルクホルン「!?!?」


俺「壊れちゃったから」


669 :試作な俺-19話 支援感謝おっすおっす:2011/04/06(水) 17:15:18 ID:lDZ8Cuv2

バルクホルン「お、おまえ! 体が!」

スッ

バルクホルン「あっ・・・」

俺はバルクホルンの両手をすり抜け、彼女に背を向ける

俺「俺も頑張ってみたんだけどさ、やっぱり・・・駄目だった」

バルクホルン「え……」

俺「”定め”ってのは変えられないんだよ。俺は、あんたやみんなとは・・・・・・・違うから」

バルクホルン「おまえ・・・」

俺はバルクホルンに向き直る。全身血塗れの状態で


俺「いっぱい想ってくれてありがとう、トゥルーデ」 ニコッ……


バルクホルン「っ・・・・・!」


俺「さようなら」



最後に寂しそうな笑みを浮かべると、俺はバルクホルンに背を向けて歩きだす。

バルクホルン「まっ・・・待て! 行くな!」

ゆっくりゆっくり歩く。俺の体は遠ざかり、徐々に闇へ溶けて行く

バルクホルンは俺を追いかけようとしたが、足が石になったかのように動かない

バルクホルン(何故だ・・・何故動かない!?)

バルクホルンは気がつく。己の服が白い部分を残さないくらい血で真っ赤に染まってしまった事に。それが俺の血だと言う事に

バルクホルン「あっ・・・あああああああああああああ!!」

その間にも俺はどんどん遠ざかる。闇へと消えて行く


バルクホルン「待て、行くな! 行かないでくれ・・・っ!」

バルクホルン「そっちに行っては駄目だ! 戻れ! 戻って来てくれ俺・・・! 俺!!」


バルクホルンの叫びも届かず俺は徐々に遠ざかり、その姿はとうとう闇に溶けて見えなくなった


バルクホルン「俺えええええええええええええええええええええええええええエエエエエエっ!!!!!」


―――――――――――――――――――
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―――――――――――
―――――――
――――
――


バルクホルン「俺ぇっ!!」 ガバッ!

バルクホルンはベッドから飛び起きた。回りを見渡せば見たことのある室内。彼女は医務室で寝ていたのだった


バルクホルン「っ・・・・・夢?」

バルクホルン(何故、私はここに───)



〔『・・・ごばっ、ガアぁッ!?』 ビチャビチャ〕

〔『ぐぎぃアがっ・・・ああああああ"あ"あ"あ"アアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァぁぁぁぁッ!?!?!?』〕

〔『急いで下さい!! お願いします! その子を・・・その子を助けて!!』〕



バルクホルン(───ッ!)

バルクホルン「そうだ・・・俺は!?」


ガチャッ

シャーリー「あ、起きたのか。よかった。ちょうど起こそうと───」

ガシッ!

バルクホルンはベッドから跳ね起き、シャーリーの肩を掴む


シャーリー「お、おいっ・・・」

バルクホルン「あれから何日経った! 俺はどうなったんだ!? 無事なのか!?」

物凄い剣幕でシャーリーに詰め寄るバルクホルン

シャーリー「お、落ち着けよ」

バルクホルン「これが落ち着いていられるか! 俺はどうなったんだ!?」

シャーリー「落ち着けって!!」

バルクホルン「っ・・・」 ビクッ

シャーリー「おまえまで取り乱してどうするんだ。いつもの調子はどうしたんだよ」

バルクホルン「だ、だって俺が…………」


〔『さようなら』〕


バルクホルン「俺が………………」 シュン

シャーリー(完全に参っちゃってるな・・・)

バルクホルン「・・・・・」

シャーリー「今は翌日の昼だ。それで俺の事なんだが・・・・・、これからダルシム大佐から説明があるみたいなんだ」

バルクホルン「大佐が・・・?」

シャーリー「ああ、ブリーフィングルームに行くぞ」


<ブリーフィングルーム>

ガチャッ

シャーリー「連れて来たぞー」

宮藤「バルクホルンさん」

リーネ「もう起きても大丈夫なんですか?」

バルクホルン「……ああ、心配かけてすまなかったな。大丈夫だ」 ニコッ

エーリカ(やっぱりまだ駄目そうだね……)

2人が部屋に着くと、基地不在の坂本とミーナを除く残りのメンバーが集まっていた。当然俺の姿は無い

バルクホルン「大佐はまだ来てないか・・・」

エイラ「まったく、呼び出すなら最初から部屋で待ってるくらいしろよナー」 ブツブツ

サーニャ「何の話をするんでしょうか・・・。やっぱり───」

ペリーヌ「俺さんの事・・・ですわね。きっと」

ルッキーニ「うじゅー…………」


空気が重い。まるで葬式だ。いつも元気いっぱいなルッキーニまで沈み込んでいる。
軍人とはいえ部隊では最年少で13歳の少女。仲間が死に直面した瞬間を見たと言うのは、彼女には些かショックが強すぎたのだろう。
勿論他のみんなも、大なり小なりショックを受けていた


ガチャッ

ブリーフィングルームの扉が開かれ、4人の人間が部屋に入る。ダルシムと助手、それと───

バルクホルン「ミーナ!」

宮藤「坂本さん・・・いつ戻ったんですか」

坂本「今朝早くにな」

ミーナ「・・・シャーリーさん達から、大凡の話は聞いているわ」

ダルシム「……さて、みなさん」

部屋の中心に移動したダルシムが、ゆっくりと話し始めた。視線が集まる

ダルシム「まずはバルクホルン大尉、そしてイェーガー大尉。御二方に礼をさせて貰います」

バルクホルン「礼だと・・・?」

ダルシム「迅速な救助活動に感謝しています。お二人のあの速さが無ければ、俺中尉の命はありませんでしたからね」

シャーリー「っ!  よくも・・・よくもそんな事が言えるな!」

バルクホルン「・・・俺は無事なんだろうな?」

ダルシム「無事…………ですか。あの状態が無事と言えるかどうかは微妙な所ですが、まぁ生きていますよ」

バルクホルン「何だと・・・!」

リーネ「……それってどういう事なんですか?」

ダルシム「我々に出来る限りの手は尽くしました。現在俺中尉の容態は安定していますが、意識の回復はありません。
     あとは目覚めるかどうかは、本人次第だと言う事です」

坂本「・・・意識を取り戻す確率は」

ダルシム「精々50%程度くらいでしょうか。どちらにせよ本人次第です。目覚め無ければこのまま植物状態でしょうね。もしくは・・・」

宮藤「!」

バルクホルン「貴様・・・!」

エイラ「オマエ・・・!」 ガタッ

ミーナ「トゥルーデ、エイラさん」 スッ

バルクホルン「くっ・・・」

まるで悪びれて無いような淡泊な態度で言うダルシムを、バルクホルンとエイラが諫めようとしたがミーナが制止する

ミーナ「・・・大佐、今回俺さんの身に何があったんですか?」

ルッキーニ「そうだー! 無事じゃなかったら許さないんだからぁ!!」

ダルシム「今回の事態は偶発的な事故のようなものです。我々にとっても予想外だった。事前に処置をしておけば、決してあんな事にはならなかった」

エーリカ「事故・・・、一体俺に何が起きたの?」

ダルシム「それを話すには、まず他に話すべき事項があるんですが」

ミーナ「大佐。こうなった以上、洗いざらい話していただけますよね」

ダルシム「まぁ、話せる範囲で話すつもりですよ。・・・さて、一体何から話したらよいものですか……」

助手「・・・・・・・」

ダルシム「そうですね。まずは我々の目標からにしましょうか」

ダルシムがゆっくりと口を開き、全員が彼を注視する。

ついに、真実が語られる



ダルシム「……古来より人は、文明の発展と共に生きていました。歯車、菌、電気、火薬、鉄、ネジ、車輪、飛行機…。そこには技術の結晶である、数多の発明品があった」


ダルシム「そして例えるならば人の歴史とは、終わらないワルツのようなもの。平和・戦争・革命の三拍子がいつまでも続く」


ダルシム「その戦争の中で扱われる兵器も時代と共に変化していった。箒はストライカーユニットに。石器と投石は剣と弓に。剣と弓は鉄と硝煙に……。
      兵器の進化もまた、技術の発展と共にあったのです」


サーニャ「・・・?」

ダルシム「だが人間はどうですか? 二足歩行・言語機能・道具を扱う手の発達……どれも素晴らしい進化だと言える。・・・しかし、それも遥か遠く昔の事だ」

ダルシム「技術の革新とは違い、人は変わらない。人の革新は止まってしまっている。
      だが技術は続いているのだ。当然そこには差異が生まれ、人の身に余る兵器などが登場する」

ダルシム「件のジェットストライカーがいい例だろう。あれは失敗作の烙印を押されてしまったが、もしも使いこなせていたら?
      もしも過剰な魔力の消費を克服し、そのスペックを100%引き出せる者が居るのなら? あれは失敗作では無くなるのだ」

バルクホルン「・・・前口上はいい。何が言いたいんだ」

ダルシム「ならば、創ってしまえば良いのですよ。人の身に余る兵器を自在に扱い、オーバースペックとも言える過ぎた性能を引き出せる者を」

宮藤「創る・・・」

ダルシム「そうだ、身に余ると言うならこちらが合わせればいい事だ。創造するのだよ。
      桁違いに高い魔法力と並外れた戦闘能力、特異な固有魔法を持つ、人を超えたより上位の存在を・・・適格者を」

ウィッチ達「!」


674 :試作な俺-19話-プロトタイプ:2011/04/06(水) 17:28:50 ID:lDZ8Cuv2

ミーナ・坂本「……………………」


ダルシム「現在行われている試作型新兵器……バスターライフルやテウルギストの性能実験は、あくまで二次的なものに過ぎない。
      我々の真の目標は、人を超えし人…………『強化ウィッチ』の量産計画」



ダルシム「真に行われている実験は、全てその為に必要な試作体の生体データ採取。強化ウィッチ試作体壱号……『プロト01』。個体名、『俺』」


バルクホルン「……!!」



ダルシム「彼の正体は、その実験計画の為に創り出されたプロトタイプ…………『試作品』なんですよ」



隊員全員に緊張が走った


675 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/04/06(水) 17:30:41 ID:LFPJ0sVA
カン(ry


676 :試作な俺-19話:2011/04/06(水) 17:33:53 ID:lDZ8Cuv2

推奨BGM的な物


バルクホルン(ははっ、何を言っているんだこの男は…………)

バルクホルン(創り出された? それじゃまるで、俺が人間では無いみたいじゃないか…………)

坂本(プロト01・・・、実験個体名だったのか)

ペリーヌ「で、では俺さんは、人造人間だと言う事になりますの……?」

ダルシム「まさか。彼だって女性から生まれた人の子ですよ。人造人間と言うよりも、『強化人間』と言った方が的確でしょうね」

サーニャ「強化人間…………」

ダルシム「そう・・・私の最高傑作です。インプラント同調率、グリフェプタン適性値、魔法力、戦闘能力、どれをとっても輝かしい」

ダルシム「最初の被検体にして唯一の存在。常人には持ち得ない程の強化ウィッチとしての素質。究極体───まさに神が私に授けてくれた奇跡だ。
      彼が強化ウィッチとなるのは定めだったと言っても過言ではない。10年…いや100年に1人の逸材だった。だが……失ったのだ」

シャーリー「・・・失った?」

ダルシム「・・・みなさんは501入隊時での、プロト01の戦歴をご存知で?」

ミーナ「事前に受け取った書類では、実戦経験は0だと・・・」

ダルシム「それはあくまで書類上ですからね。01の撃墜数は非公式で131機。強化ウィッチとして数年前から幾度と戦い続けており、実戦経験はエース級だと言える」

坂本「しかし俺は空戦法や戦術を身につけていなかったし、動きもデタラメな事が・・・」

ダルシム「まともな訓練を受けていない我流の戦法ですからね。何しろネウロイとの戦闘経験しか無かった。
      それでも奴らを叩き潰すには十分だった。戦闘力では決してあなた達に引けを取ってはいなかったでしょう?」

宮藤「確かに、特訓を受けるようになる前からバルクホルンさんと引き分けたりしてたし……」 (※5話)

ミーナ(素人では無いと思っていたけど、まさかこんな・・・)

エーリカ「じゃあ、基地に来たばかりの頃の俺がやけに非力だったのはどういう事なの。それも強化処理のせい?」

ダルシム「そうです。『強化代償』と言いましてね。強化された影響で、本来持つ身体能力の大半を失ってしまっていたのですよ」

シャーリー(年頃にしてはちょっと非力で痩せてると思ってたけど、そういう事情があったのか……)


ダルシム「……それと+αです」

ルッキーニ「α?」

ダルシム「巣ですよ。巣」

リーネ「えっ・・・」


ダルシム「プロト01はここに来る以前、ネウロイの巣を単機で攻め滅ぼした事があります」


ウィッチ達「!!?」


まるで法螺ともとれるダルシムの発言に、坂本達は言葉を失った


坂本「バカな・・・! 単機で巣を落とすだなんて、そんな事が出来るわけがない」

シャーリー(・・・正気の沙汰とは思えないな)

ダルシム「実際にやったんですよ、正面からネウロイの巣を完全に殲滅した。賢しい手段や小細工などを一切使わず、ただ純粋なる”力”でね」

ペリーヌ「そんな事が・・・・・」

ダルシム「何しろ、最高傑作ですからね。普通の強化ウィッチでさえ通常のウィッチを大きく凌駕する。その最高傑作となれば桁違いですよ」

リーネ「でも、今の俺さんにそんな力は……」

ダルシム「失ったと言ったでしょう? 能力を覚醒させた時の01はそこまでの力を有していた。だが失った。
      今の01の魔力覚醒値は、全盛期と比べても精々10%程度でしょう。当時はバスターライフルやテウルギストを使わなかった。……いや、必要が無かった」

ダルシム「何しろ当時はバスターライフルクラスのビームなら手から何発でも撃てましたし、敵の攻撃は全て無効化するのでわざわざ躱す必要も無いのですから」

ペリーヌ「それだけの力を持ちながら、何故失ってしまったんですの・・・?」

ダルシム「恐らくは精神的なショックによるものです。だから精神干渉を行って失った力を再覚醒させる実験を行ったりしましたが、失敗に終わっています。
      現在の01が完全に当時の力を取り戻すのは難しいでしょう」

宮藤「精神的ショック・・・何があったんですか?」

ダルシム「さぁ、私にはわかりかねますがね。プロト01は……皆さんの前では俺中尉と呼びましょうか。
      ともかく彼は力を失った。最高傑作から一気に落ちてしまったのだ。出来損ないの試作品(プロトタイプ)にね……。
      まぁ、量産に必要なデータ採取は問題なく進んでいますがね」

バルクホルン「き、貴様ァッ!!!」 ガタッ

ショックを受けて半ば放心状態だったバルクホルンが立ち上がる。ダルシムの今の発言は、彼女を奮い立たせるには十分過ぎた

ミーナ「トゥルーデ……!」 スッ

バルクホルン「何故止める!? コイツは今、俺の事を・・・!」

ダルシム「残念ながら事実を言ったまでですよ。アレがあんな出来損ないでなければ、実験は大きく進捗する筈だったんですがねぇ」

バルクホルン「貴様・・・貴様! 貴様アアアアアァ!!」

坂本「落ち着けバルクホルン!」

エーリカ「じゃあ!」

顔を真っ赤にして憤怒の形相で今にも殴りかかりそうなバルクホルンと、それを止めようとする坂本とミーナ。
そんなやり取りを断ち切るかのように、突如ハルトマンが声をあげた。一同は思わず彼女を見る

バルクホルン「ハルトマン・・・?」

ダルシム「・・・何ですか」


エーリカ「じゃあ…………、俺が記憶喪失ってのはどういう事なの?」

バルクホルン・宮藤「「!!」」


エーリカ「俺には五年以上前……生まれてから11歳までの記憶が無くて、自分の名前・家族・故郷・友達の事とか全く覚えてないんでしょ」

ダルシム「ほほぅ……」

リーネ「ハ、ハルトマンさん……!」

ルッキーニ「記憶そーしつ……記憶が無いの?」

エイラ「ど、どういう事だヨ!」

バルクホルン「な、何故おまえが知っているんだハルトマン!」

エーリカ「・・・ごめんねトゥルーデ。この前、俺とトゥルーデとミヤフジが話しているのが聞こえちゃったんだ」

リーネ「ごめんなさい。本当はあの時(※10話)、全部聞こえちゃってたんです」

宮藤「リーネちゃんまで……」

リーネ「ごめんね芳佳ちゃん。盗み聞きなんてして……」

宮藤「……ううん、いいよ。だってリーネちゃんもハルトマンさんも内緒にしてくれていたもんね」


シャーリー「オイどういう事なんだよ。俺が記憶喪失って……」

エーリカ「記憶が無いのは実は俺がその時生まれたばかりの人造人間で、だから記憶は元々無いのが当たり前・・・とかじゃないの?」

ダルシム「だから違いますよ。彼は人の子ですって」

バルクホルン「そうだ。ならおまえ達は俺の記憶を奪い、無理やり戦わせているんだろ・・・!」

ダルシム「それも違います。第一、マインドコントロールが可能だと言うのならばとっくにやっていますよ。モルモットに自我があったって邪魔なだけですから」

バルクホルン「なっ・・・貴様───」

ミーナ「トゥルーデ」 スッ

再び猛りだしそうなバルクホルンをミーナが窘める

ダルシム「しかしまさか、あなた方がその話をご存知だったとは……」

助手「・・・・・・・」

ダルシム「いいですよ、説明しましょう。そうですね……」

宮藤「・・・・・・・」

ダルシム「私は数年前、ネウロイに滅ばされたある街に行きました。その時に私は見つけたんですよ」

エイラ「見つけた?」

ダルシム「その街は避難が間に合わず、ほとんどの市民が逃げ遅れたそうです。右を見ても死体の山。左を見ても死体の山。
      街並みは原型を残さずに破壊され、残った少ない建物も血溜まりで汚されていた。辺りには誰のかも分からない肉片が散乱し、まさに地獄絵図でしたよ」

サーニャ「う・・・・・」

ダルシム「その時に見つけたんです、私は。血と肉と死体の中で何かに護られるかのように倒れる、生き残った男の子を。私は彼に何かを感じた」

リーネ「生き残った男の子……それが」

ダルシム「そう、現在の俺中尉です。我々が気を失っていた彼を保護して次に彼が目覚めたその時、既に彼は全ての記憶を失っていました」

ペリーヌ「何故それで記憶喪失に・・・?」

ダルシム「彼は目覚めるまでの間、魘されながらも父と母の事を仕切りに呟いていました。「父さん、母さん逃げて」とね。そして起きたら記憶喪失……」

ダルシム「我々の推測ですが、恐らく彼の両親はネウロイに殺された。そのショックで彼は記憶を失い、悪夢に苛まれていた。余程怖い思いをしたのでしょうね」

バルクホルン(じゃあ、あの時の俺は・・・・・) (※6話)

宮藤(お母さんが殺される夢を見ていたんだ・・・) (※8話)


ミーナ(個人のデータは全て削除……。こういう事だったのね)

坂本(最初からある筈の無いデータが記載される訳が無い、か……)

ダルシム「そして判明した。彼が男の身でありながら、その身に魔法力を宿している事。それが既存のウィッチ達を遥かに凌駕しえる潜在能力だと言う事が……!」

ダルシム「当時我々の研究は行き詰まっていた。強化理論が成り立っていても、それに見合うだけの器が居ない。・・・だが私は見つけたのだ、適格者をな」

サーニャ「それで強化されて、俺さんは最高傑作に……」

ダルシム「そうだ、強化成功体にして最高傑作。遺憾ながら最高傑作としての力は失ったが、強化成功体としての役目ならまだ果たせる」

宮藤「ちょ、ちょっと待って下さい!
    じゃあ俺さんは・・・故郷や家族を奪われて、その上記憶を失って自分の名前まで全部を忘れてしまった挙げ句、体を改造され戦わされているんですか!?」

ダルシム「まぁ、そう言う事になりますね」

宮藤「酷い・・・。そんなのって酷すぎます!!」

宮藤「それにひょっとしたら記憶喪失になったのは何か別の事が原因で、本当は俺さんの家族もどこかで生きてるかもしれないじゃないですか! なのに───」

ダルシム「・・・彼の父と母は死にました。もうこの世には居ません」

シャーリー「だからって、それでアイツを戦わせていい理由にはならないだろ!」

ダルシム「彼の存在そのものが理由です。唯一の試作体としてのアレの役目は、強化ウィッチ量産の為に必要な生体データ採取……これが01の全てだ」

サーニャ「酷い・・・!」

エイラ「何だよソレ! ふざけんナ!」

ダルシム「世界の為だ! 言った筈だ、私の研究は必ず世界を救うと。(※3話)
      技術の進化は続いているが、彼我の戦力差は絶対だ。このままでは人間は負ける」

坂本「っ! そんな事は───」

バンッ

宮藤「そんな事はありません!!」

坂本「宮藤……」

宮藤「ウィッチに不可能はありません! ウィッチは……必ず勝ちます!!」

ダルシム「・・・いくらあなた方が優秀なウィッチだとしても、それだけで全てを救う事など出来はしない。
      以前のあなた達501航空団にした所で、ネウロイの巣を直接倒した訳ではないでしょう」

宮藤「っ・・・! でも……!」

ダルシム「だが出来るのだ、私の強化ウィッチなら! 強化ウィッチ量産の暁には、ネウロイなぞあっという間に叩いてみせる!」

エーリカ「量産…………」

ダルシム「そう。強化ウィッチの量産が為された時、普通のウィッチは最前線から姿を消す。強化ウィッチの戦闘能力……あなた方ならよくご存知でしょう?」


大型ネウロイや無数のネウロイを一撃で葬り去るバスターライフル。適格者が使えばエースウィッチと4対1で戦っても圧勝出来るテウルギスト
戦場には何条もの青白い巨大な閃光が走り、ネウロイ達は飲み込まれて消滅する。
強化ウィッチ達はネウロイの間を縦横無尽に飛び交い、ネウロイは何も出来ずに叩き落とされる。

これらの驚異とも言える性能を知る宮藤達には、このような想像は容易に出来た


そしてその裏では強化ウィッチ達が道具として扱われ、消費されるように戦場で次々と戦死していく様も


宮藤「でもその為に俺さんがあんな目に・・・! 今だって目を覚まさないのに……」

シャーリー「それに量産されるって言ったって、強化ウィッチになるのも人間の筈だ。その人達だって犠牲になるだろ」

ダルシム「世界を救う為の先兵となるのだ。その者達も本望だろう」

エイラ「そんなこと・・・!」

ダルシム「わかりませんね。勝ち目の無い戦いに、『死んでこい』と自分の部下を送るような人達より、私の方が余程良心的だと思いますが」

宮藤「でもそれで俺さんが、その人達が犠牲になるだなんて…………!」

ダルシム「そんな道徳的な話ではない。既存のウィッチのやり方では非効率過ぎるのだよ。科学の発展に犠牲は付き物だ。
      一部の人間がその身を捧げる事で、残る何十億の人間を救う事が出来る・・・。効率的な話、どちらを選ぶかは明白な事でしょう」

坂本「バカな・・・守るべきものを自ら壊して、何になると言うのだ! そんな最初から犠牲を前提にした勝利など・・・!」

ダルシム「はっ、反吐が出るような理想論ですね。甘いんですよ。そのような絵空事で、この世界を守ることなど───」


 ───プツン


バルクホルン「言いたいことは……それだけか?」

エーリカ「トゥ、トゥルーデ……?」

バルクホルンが立ち上がる。彼女は今、ミーナやエーリカ達ですら見た事の無い鬼のような形相をしていた

宮藤(バルクホルンさん、凄い怖い顔をしてる……)

ミーナ「トゥルーデ、駄目よ」

バルクホルン「すまないミーナ。もう───」


バルクホルン「 我 慢 の 限 界 だ 」



純粋なる怒り


身を焦がすような怒りの炎が、今の彼女を支配していた


バルクホルンは拳を握り締め、かつて無い殺気じみた目つきでダルシムを睨みつける。
まるで故郷を焼かれ、妹を傷つけられたあの日のような───

バルクホルン「貴様が……、貴様が…………」




〔『…………俺とあんた達は『違う』。それだけだよ』〕

〔『そう、記憶喪失』〕

〔『五年以上前の記憶が全く無し。つまりは生まれてから11歳までの記憶は0っ!』〕

〔『それがなるんだよ。俺は『状況』に流されてウィッチになったに過ぎない。だから俺には……あんたみたいに立派な『信念』が無い』〕

〔『戦えと言われたから戦っているだけ、俺はただの歯車なんだよ』〕

〔『だから俺は、あんたらとは違う』〕

〔『俺にとって戦いなんてただ壊すだけ、それだけなんだ』〕

〔『誰かを守る為の戦いなんて、した事もない。いつも自分を守るので精一杯なんだよ』〕

〔『……どうでも良くはないさ。俺だって、罪も無い誰かが傷付けられたりするのは…………好きじゃない』〕

〔『無理なんだよ……、俺には。誰かを守る事なんざ……』〕


〔『俺にも……、出来ると思うか? 誰かを……守る事……』〕

〔『当たり前だ。おまえと私達は同じなのだからな』〕

〔『………………』〕




バルクホルン「貴様が俺をっ!!」 ダッ

バルクホルンは使い魔を解放し、そのままダルシムに駆けより拳を振りかぶる

坂本「よせっ、バルクホルン!!」

ミーナ「トゥルーデ!!!」



バルクホルン「うおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」 ブンッ


ダルシム「・・・私に手を出したら、彼はもう助かりませんよ」


バルクホルン「───!!?」


ピタッ


拳が止まる


ダルシムの顔面に突き刺さる数cm手前での事だった


ダルシム「やれやれ怖い顔だ。拳をどけてもらえませんか?」

ミーナ「バルクホルン大尉、席に戻りなさい」

バルクホルン「だが・・・・・」

ミーナ「命令です」

バルクホルン「くっ……!」

使い魔をしまいバルクホルンは席に戻る。屈辱の表情を浮かべ、その拳を血が滲むほどに力強く握り締めて

ダルシム「危うく殴り殺される所でした。まったく……困ったものですね」

ダルシム「軍は・・・司令部は、この実験の全てを容認している。すなわちこの実験は公式な物なのです」

ウィッチ達「!」

ペリーヌ「そんな…………」

シャーリー「おいおい、正気かよ…!」

バルクホルン「バカな・・・!」

ダルシム「我々の邪魔をしないようにするよう、アルタネィティブ大将に命令されたでしょう? ヴィルケ中佐」

ミーナ「・・・はい」

ミーナは苦虫を噛み潰したような表情でダルシムの言葉を肯定する。
彼女も不本意極まりないのだろう。唇が微かに震えている

エーリカ「ミーナ……」

ルッキーニ「あるたねーてぃぶ・・・?」

ダルシム「間違えないで下さい。我々の敵は共通、ネウロイの筈です。何と戦わねばならぬのか・・・お忘れなく」

ウィッチ達「・・・・・」

ダルシム「さて、話は終わりです。行きますよ助手軍曹」

助手「・・・はい」

坂本「ダルシム大佐……」

ダルシム「最低限の義務は果たしました。私に話せるのはこまでです。では・・・」

助手「…失礼します」 ペコリ


ガチャッ、キィッ……ガチャン


ダルシムと助手は部屋から去り、ウィッチ達だけが取り残された


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ダルシムが彼女らに話した実験計画の真実。・・・そして俺の正体とその役割。それらの事実は彼女ら全員に強い衝撃を与えた
屈辱、怒り、困惑、不安……皆様々な表情を浮かべている

坂本「くっ・・・」

サーニャ「こんな……こんな事が…………」

シャーリー「何だよコレ……ふざけんなッ!!」 バンッ!

ルッキーニ「」 ビクッ

シャーリー「人を超えた人を創り出す? 俺の正体は試作品? 世界を救う為の先兵? ・・・馬鹿げている!!」

ルッキーニ「シ、シャーリー怖いよ……」

エイラ「前から何か企んでそうな奴だとは思ってたけど、まさかこんな・・・!」 ギリッ…

エーリカ「……ミーナと少佐は司令部に行ってたんだよね」

シャーリー「そうだ。今回の事で上に何か言わなかったのかよ」

ミーナ「……想定していた中でも最悪のパターンよ」

ペリーヌ「最悪とは……?」

ミーナ「先ほど大佐が言っていたように、この実験が・・・人体実験を含めた全てが、正式な命令に基づいた公式な物だって事よ」

坂本「我々は人体実験が行われているであろう事を訴えた。・・・だが相手にもされなかった」

坂本「『実験は正式な物だ。あなた方に止める権限は無い。干渉するな。余計な詮索をするならネウロイを倒せ』・・・とな!」

宮藤「そんなぁ!」

ミーナ「……………………」


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ミーナ『しかし、彼は私の部下であり我々の仲間です。このような実験は───』

太った男『困りますねぇヴィルケ中佐、そんな感情論で物を言われては……』

軍司令部。端の席の太った男がミーナと坂本を見据える


坂本『アルタネィティブ大将……』

太った男『いいですかヴィルケ中佐。あなたは確かにその部隊のウィッチを指揮する隊長なのかもしれない。
      けどねその上には、もっとこの戦争全体を見ながら、考えたり指揮したりする人間が居るんですよ』

太った男『彼らに協力するようにと要請したでしょう? それをお忘れ無く。探偵ごっこも程々にしておいて下さい。この意味が分かりますね?』

ミーナ『くっ…………』 ギリッ…

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シャーリー「グランディラーネ・アルタネィティブ……、空軍大将だったか」

ミーナ「忠告……いえ、警告でしょうね。もし私たちが強行策で実験を制圧したりしたら、咎めを受けるのは私たちの方よ」

坂本「恐らく部隊解散だけでは済まない。最低でも軍法会議。最悪の場合は…………」

そこまで言って坂本が口を噤む。だがその先は誰にも容易に想像出来た

エイラ「だからって諦めるのかよ! 俺を見捨て───」

ミーナ「そんな訳無いでしょう!」

エイラ「あっ・・・」

坂本「・・・・・・・」

エイラは直ぐに己の発言を後悔した。ミーナと坂本だって認めたく無い筈だ。許せない筈だ。こんな事実は、こんなイカレた実験は。

だが彼女たちには部隊を守る義務があるのだ。司令部が相手では如何せんこちらに分が悪い。真っ正面から力づくで事を構えるのは危険だと理解していた

エイラ「……ごめん。少佐、中佐」

坂本「・・・いや、いい。気にするな」

宮藤「何とか出来ないのかな・・・」

リーネ「そうだ。あの時みたいに報告義務違反でも探し出せば、こちらが強気に出れるんじゃないですか?」

『あの時』。それがブリタニアでのマロニー大将による一連の騒ぎである事は、部屋に居る誰もが理解出来た

坂本「・・・難しいだろう。実験計画が正式なものだとなれば、此方も迂闊な動きは出来ない」

ペリーヌ「そんな・・・。ではどうすれば……」

バルクホルン「……私のせいだ」

ダルシムに殴りかかってからしばらく口を閉ざしていた彼女が言ったのは、そんな自虐的な言葉だった

エーリカ「トゥルーデ……?」

怒りは去り、今の彼女をを包んでいるのは深い悲しみだけ

宮藤「バルクホルンさんのせいって……どういう事なんですか?」

バルクホルン「今まで何度もあった。普通の実験な訳がない。裏に何かがある。俺達は何かを隠していると思った事が・・・!」




〔『……プハッ!!はぁ……、はぁ…………』〕

〔『どうしたんだ中尉!』〕

〔『な、何でも……何でもねー……ですよ…』 ハァ…、ハァ…〕

〔『何でも無い事は無いだろう……! 今のは一体―――』〕


〔『俺中尉、D特殊実験戦闘部隊所属。『プロト01』。個人のデータ………………全て削除!?』〕


〔『俺中尉はあなた方によって意図的に記憶を『消され』、戦わなくちゃいけない状況を無理やり『強いられている』のではないのか?』〕

〔『許される事ではない。記憶を奪い、無理やり戦わせるなど!!』〕

〔『まさか・・・。意図的に記憶を消すなど、出来る訳ないじゃないですか』〕

〔『・・・なら、何を隠しているというんだお前たちは!』〕


〔『離せ!』 グッ〕

〔『!?』 グググググ・・・〕

〔(私が、力で押し負けている・・・・・俺に!?) グググ・・・〕




バルクホルン「なのに私は目を背けてしまった。分かりかけてた筈なのに、「俺は大丈夫だ」って。「何かある訳が無い」って」

バルクホルン「けど本当のあいつは試作品扱いで、今だって目を覚まさない……」

バルクホルン「私の弱さが・・・今回の事態を招いたんだ・・・!」

リーネ「バルクホルンさん……」

ミーナ「あなたの責任では無いわトゥルーデ。私達だって気がつけなかった。・・・最初から示されてたと言うのにね」

シャーリー「示されていた?」

ミーナ「・・・これを見て」 スッ

そう言ってミーナが取り出したのは一枚の書類。
それは以前ここでの実験が始まる前に(※1話)、司令部から送られて来た物だった

パラッ

シャーリー「えーと何々……『今回の実験目標は試作型新兵器の性能テスト、及びデータ収集である』

シャーリー『第501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」は、D特殊実験戦闘部隊と共にネウロイの殲滅、及び俺中尉のデータ収集に尽力せよ』

シャーリー『尚、今回の実験結果次第では、全世界のネウロイとの戦いに大きく貢献するものとなる。貴公らの健闘を祈っている』

ペリーヌ「こんな命令が……」

シャーリー「・・・これがどうかしたのか?」

坂本「二行目をもう一度読んでみてくれ」

シャーリー「え? えぇっと……『第501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」は、D特殊実験戦闘部隊と共にネウロイの殲滅、及び俺中尉のデータ収集に尽力せ───!」

シャーリー「ま、まさか・・・!?」

ルッキーニ「なになにどうしたの!?」

シャーリー「この最後の部分……『俺中尉のデータ収集に尽力せよ』って所・・・」


エーリカ「……読み方によっては『俺がデータ収集するのを手伝え』じゃなくて、『俺自身のデータ収集を手伝え』って意味にも読めるね」


一同「・・・!」


リーネ「じゃあ、最初から……」

ペリーヌ「人体実験も、容認されていたって事になりますわね」

エイラ「そんな……」

宮藤「こんなのってないよ・・・。絶対おかしいよ!」

リーネ「芳佳ちゃん……」

バルクホルン「その書類なら私も読んだ。……だけど、何も気がつけなかった。理不尽な命令だと愚痴るだけで、その裏側にある闇を見逃してしまったんだ」

バルクホルン「そのせいで俺が……。私のせいで…………」

エーリカ「………………」


いつに無い弱気な発言

度重なる事実の発覚に、いつしか彼女の心は折れてしまっていた。
今の彼女に普段の気丈さは微塵も感じられない。それ程の重すぎる事実


今の彼女は250機撃墜のトップエース、「ゲルトルート・バルクホルン大尉」では無く、「トゥルーデ」と言う1人のか弱い少女でしかなかった


エーリカ「トゥルーデ。今は誰のせいだとか言ってたって何も変わらないし何も始まらないよ」

バルクホルン「!」

シャーリー「そうだ、おまえが気にするなよ。悪いのは全部あのオッサンなんだから」

バルクホルン「・・・・・・・」

サーニャ「それよりも今は、どうやったらこの実験を止めて俺さんを助けられるのか考えましょう」

一同「!」

サーニャの言葉に呼応するように、彼女らの目に光が宿り始める

シャーリー「その通りだ。このままになんて出来ないよな」

エイラ「そうダナ! サーニャの言うとおりだ!」

バルクホルン「おまえ達……」

宮藤「坂本さん達も一緒に考えましょうよ。どうやったら実験を止めて俺さんを助けられるのか」

坂本「そうか・・・。はっはっは! まったく大した奴らだ」

ミーナ「ふふっ、そうね……。私達も後輩に負けてなんかいられないわ」

バルクホルン「ミーナ……」

リーネ「そうですよ。諦めるにはまだ早いです!」

ルッキーニ「うんっ!」

エーリカ「だってさトゥルーデ。後輩に遅れをとってる場合じゃないんじゃない?」

バルクホルン「フラウ・・・」

バルクホルン(私は…………)
最終更新:2013年01月29日 15:25