『プロトタイプ』 その2
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687 :試作な俺-19話:2011/04/06(水) 17:59:20 ID:lDZ8Cuv2
ペリーヌ「問題は、どうやってその実験計画を止めさせるかですわね」
ルッキーニ「うーん……」
そう、問題はそこなのだ。司令部公式の実験が相手となると迂闊な手は出せない。下手したらこちらが潰される
どうしたら終わらせられるのか
どうしたら救う事が出来るのか
どうしたらこの闇を祓えるのか
ルッキーニ「ネウロイをやっつけちゃえばいいんじゃないの?」
宮藤「え?」
ルッキーニ「あのおじさんはこのままだとネウロイに負けちゃうから強いウィッチが必要って言ってたんだよね。
じゃあ、あたし達でネウロイを全部やっつけちゃえば……」
リーネ「!」
坂本「そうか! 需要が無くなれば供給も無くなる。ネウロイを倒す為に強化ウィッチが必要だと言うのならば、我々でネウロイを片付けてしまえば───」
エーリカ「強化ウィッチの必要性も無くなり、実験計画は凍結・・・」
シャーリー「そういう事か、お手柄だぞルッキーニ! さッすが天才!」
宮藤「凄いよルッキーニちゃん!」
ルッキーニ「えへへー♪」
エイラ「元々私達はネウロイを倒す為に集められてるんだ。そのネウロイを私達で全部倒してしまえば───」
サーニャ「ロマーニャや色んな国々を守る事が出来るし……」
リーネ「実験の必要性を無くさせて、強化ウィッチになる人や俺さんを助ける事が出来る……!」
エーリカ「俺が目覚めるまでに、私達でネウロイを倒しちゃえばいいんだよ」
リーネ「俺さんが目を覚ますまでに世界からネウロイの巣を無くす、ってのはどうですか?」
シャーリー「お、いいなソレ! 俺の奴きっと驚くぞ~」
ペリーヌ「しかし、そんな簡単にネウロイを倒せるんですの?」
宮藤「できますよ! だって───」
坂本「ウィッチに不可能は無いからな!」
ペリーヌ「少佐・・・」
宮藤「───と言うことです。私達みんなが居れば出来ますよっ」
リーネ「そうですよ。ネウロイも実験も、絶対に倒せます! ね、ペリーヌさんっ」
ペリーヌ「あなた達……」
ペリーヌ「わ、わかっていますわ! そんな簡単な話では無いって言いたかったんですの」
宮藤「私、ペリーヌさんのそういう一歩引いた所から物を見れるところ、かっこいいと思います。ねー♪」 ニコニコ
リーネ「ねぇー♪」 ニコニコ
ペリーヌ「あなた達という人は……もう!///」
ミーナ(凄いわねみんな……、全然落ち込んでる暇なんて無い。もう立ち直っている)
ミーナ(でもそれは、決して容易では無い困難な道……。私も裏から色々と探らなきゃね……) チラッ
バルクホルン「・・・・・・・」
ミーナ(こっちの方は、まだまだ掛かりそうね……)
彼女は依然、表情に陰を落としたままなのだった
<その日の夜・基地内執務室>
坂本「グランディラーネ・アルタネィティブ……。奴が実験の後ろ盾を?」
ミーナ「ええ、その可能性は高いわね。当初の司令を出したのもあの人。昨日の司令部での態度。そしてあの人自身の軍内部での評判……」
坂本「どんなだ?」
ミーナ「出世欲旺盛で、何かと黒い噂の絶えない人物よ。ここ2、3年でダルシム大佐よりも先に頭角を現し、今の地位に上り詰めた。
何故か彼と対立していた人々は多くが死亡・行方不明になるという噂があるんだけど、証拠がまるで無いから言い掛かりにしかならない。そしてこの規模の実験……」
坂本「裏で糸を引く者が居る?」
ミーナ「居ないと考える方が不自然なくらいだわ。そしてそれが……」
坂本「その男だと言うのか」
ミーナ「その可能性は高いわ。どれほどの干渉かはわからないけど、援助なのか利害の一致なのか利用しているのか黒幕なのか。
もしくはダルシム大佐とこの実験自体、全てが彼の手の内なのか……」
坂本「火の無い所に煙は立たない。その男が己の出世の為に人の道理を踏み外していても、何らおかしくは無い。叩けば出る埃もある筈だ」
ミーナ「そうね。でも今までとは規模の違う相手よ。より慎重かつ厳密な調査が必要になるわね」
坂本「それでもやるしか無いな」
ミーナ「ええ、勿論よ」
彼女達もまた、家族を守る為、そして歪んだ計画を阻止する為、戦い続ける事を決意するのだった
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<ラオホウ内部>
研究者A「大佐は50%って説明したみたいだけどよ、ホントは多く見積もっても20%くらいなんだろ? 01が目覚める確率」
研究者B「ああ、それもいつなのかは分からない。5日後なのか、1週間後なのか、1ヶ月後なのか、3ヶ月後なのか……」
研究者A「もう目覚めないのか、それとも本当の意味で永眠しちまうのか……。
拒絶反応起こして処置出来たのが仮死状態になってからだった、ってのはマズかったな」
助手「・・・・・・・」
研究者B「これから……実験はどうなると思う? 」
研究者A「01が目覚めたら普通に実験再開。
でも今回の件で限界も近づいた筈だし、そう遠く無い内に『最終実験』が行われるんじゃねーかな。それで量産に必要なデータも揃う筈だ」
助手「・・・!」
研究者A「でももしこのまま目覚めなけりゃ、今の状態で最終実験だろうよ」
研究者B「・・・意識が戻らない今の状態で『最終実験』を行っても、量産に必要なデータは揃わない筈だ」
研究者A「だろうな。だからその場合、そして最終実験を行う前に01が死亡した場合は、また新たな試作体が必要になる」
研究者B「『選別』、か」
研究者B(またアレを繰り返す事になるのか……)
助手「『選別』って、以前資料で読んだあの……」
研究者A「ああ、あなたは知らないんでしたっけ。まぁ当然ですよね。選別が行われていたのは4、5年前。まだ部隊に居なかったあなたが知る由もないですか」
助手「また……あんな事が繰り返されるって言うんですか?」
研究者A「その場合は仕方ないでしょう。量産に必要なデータも揃ってませんし、予備検体も居ないこの状況ではね。
でも以前より強化技術が段違いに進歩していますから、5年前ほど多くの被検体は必要無いでしょう」
研究者A「大体今更何言ってるんですか? 俺達はもう引き返せない所まで来てるんですよ。またヒューマニズムですか」
助手「う・・・。でも……」
研究者A「またそうやって中途半端な……、甘いんですよあなたは。俺達は全てを捨てて魂を売った人間なんです。いつまで一般人気取ってるんですか」
助手「だけど選別する事になったら、また罪の無い大勢の子供達が───」
研究者A「シィーーーッ!! 何言ってんですかあんたは。発言には気をつけて下さい! 第三者なんてどこに居るのか分からないんですから」
助手「す、すいません・・・」
研究者B「……おまえだってこの部隊の一員なら、入隊の時に聞かれただろう。
『例えどんな犠牲を払ったとしても、どんな手段を使っても、ネウロイに復讐する覚悟はあるか』…とな」
助手「……はい」
研究者A「前にも言いましたよね。中途半端な優しさなんて与えない方がマシだって。覚悟が足りないんですよ、あなたは」
助手「……後悔したり、しないんですか?」
研究者A「しませんね。俺はどんな手段を使っても、ネウロイを滅ぼすって決めましたから。後悔なんてあるわけない」
助手「そうなんですか……」
研究者A「なぁ、おまえもそうだろ?」
研究者B「……………………」
研究者A「……B?」
艦の外< ワーワー、ギャーギャー
研究者A「っと……、何の騒ぎだ?」
研究者B「外からだな」
助手(この声は……)
助手「私が見て来ます!」
タッタッタッタッ……
研究者A「……行っちまったよ」
研究者B「………………」
<艦の外>
実験部隊兵a「ですから、ラオホウは第三者立ち入り禁止なんです! お引き取り下さい」
バルクホルン「なら大佐を呼んでくれ。話があるんだ!」
実験部隊兵b「無理です! 誰も通すなと言われているんです。相手にされるわけが無い」
バルクホルン「試しに聞くだけでいいんだ。頼む!」
タッタッタッタッ……
助手「何の騒ぎですか?」
実験部隊兵a「助手軍曹……。バルクホルン大尉が俺中尉に会わ───」
バルクホルン「そうだ、俺に会わせて欲しい。頼む!」
助手「………………」
実験部隊兵b「ですから無理なんです。ラオホウは第三者立ち入り禁───」
助手「・・・いいですよ」
実験部隊兵b「へ?」
バルクホルン「……………………」
実験部隊兵a「ちょ、まずいですよ助手軍曹」
助手「私が監視に付きますし、機密部は避けますから問題ありません。行きましょうバルクホルン大尉」
バルクホルン「・・・頼む」
テクテクテクテク……
実験部隊兵a「入ってしまった……」
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助手に連れられ、バルクホルンはラオホウの中を歩く
どうやらラオホウは戦艦に研究所としての機能を追加した艦のようだ。所々に通常艦との違いが見える
テクテクテクテク……
しばらく歩いた後、2人は「調整室」と書かれた部屋の前で停止した
助手「着きました。この中です」
バルクホルン「・・・・・俺!」 ダッ
助手「あ、ちょっと!」
ガチャッ
居ても立ってもいられずに、バルクホルンはそのドアを開けた。するとそこには───
バルクホルン「……!!!」
調整室に入る。室内にはそこら中に実験用と思われる装置が設置されており、いかにも研究船らしい。
そして壁に区切られた隣の部屋。大きめのガラス窓からその様子が見えた
大きな装置が立ち並び、それに取り囲まれるように中央に立つ、人一人が入れるくらいのカプセル
俺「……………………」
その中に俺が居た
体中のあちこちに幾つものコードと電極を繋がれ、口には呼吸器がとりつけられている。
周りの装置の一部と化し、まるで死んでいるかのように眠り続けているのだった
851 :試作な俺-19話:2011/04/08(金) 23:14:46 ID:gXgdypJc
推進BGM的な物
バルクホルン「お、俺…………」
バルクホルンは呆然とする。まるで器物のように眠る自分の想い人を見て
助手「本当に……本当に危なかったんです。あと少し処置が遅れていたら、間違いなくこの子の命はありませんでした」
助手「お二人の素早い対応が、この子を救ったんです。本当、何てお礼を言ったらいいか……」
バルクホルン「・・・何とも思わないのか」
助手「え……?」
バルクホルン「あなたは以前、俺が倒れた時に言っていた。(※8話) 『研究者の助手軍曹では無く、助手と言う一人の人間として感謝している』と」
バルクホルン「つまりあなたは……、俺の事を研究材料としてだけでは無く、一人の人として見ていたという事だ」
助手「!」
バルクホルン「何故だ! 何故あなたはあんなにも俺の事を想っていながら、こんな研究に手を貸している!」
助手「・・・・・」
バルクホルン「あの時俺の事を話すあなたは、本当に楽しそうだった! 心の底からアイツを大事に想っているように見えた! なのに……何故だ!」
助手「・・・あんなのは所詮、私の自己満足に過ぎません」
バルクホルン「何・・・?」
助手「だってそうじゃないですか。どんな小奇麗な事を言ったって、結局私は研究者の一員なんですよ?」
助手「優しい振りして自分が満足したいだけ。助ける気なんて無い。あの子の心を弄んでいるんですよ」
バルクホルン「・・・っ!」 グッ……!
バルクホルンは助手の襟元を捻り上げる
助手「うっ……」
バルクホルン「あなたは・・・俺が自分の事をどう思っているのか知っているのか」
助手「え・・・?」
バルクホルン「私は、俺とあなたの間に何があったのかを知っている訳では無い」
バルクホルン「だがアイツは……俺は、あなたは他の研究者とは違うと言っていた。親身になって話してくれる。そういう所には感謝していると」
助手「!」
助手(嘘。そんな訳無い。あの子は私たちを、殺したい程憎んでいる筈……)
バルクホルン「それなのに貴様は……! 今だって俺は、目を覚まさない……!!」
薄暗い調整室内。そこに居る2人の女性
片方の女性……バルクホルンは相手の襟元を掴み上げ、怒りと悲しみに満ちた目で睨みつけている
もう一人……助手はバルクホルンにされるがまま、抵抗せずに無気力な目で彼女を見ている
そして大きなガラス窓から見える隣の部屋。
機械に囲まれたカプセルの中で、俺は死んだように眠り続ける
バルクホルン「貴様が、貴様らが…………、貴様らが俺を……!!」
徐々に声にも悲しみが宿って行き、襟元を掴む力が強くなる
853 :試作な俺-19話:2011/04/08(金) 23:18:52 ID:gXgdypJc
バルクホルン「返せ・・・、返してくれ・・・・・!」
助手「・・・・・・」
バルクホルンは助手を睨み続ける。息を荒げ、声を震わせ、瞳を濡らし、それでも悲しみを抑え続けて
バルクホルン「アイツを……! 俺を………………!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
〔『はっ! 分かったよ……!』〕
〔『俺もあんたを信じる! 本当に……信じている!!!』〕
〔『だからさ、戦うよ』〕
〔『過去や今までの事はもういい。これからは未来の為―――守る為に戦う』〕
〔『あんたらとなら、俺でも出来る気がするんだ』〕
〔『バルクホルン大尉、ご指導ありがとうございました』 ペコッ〕
〔『あんたの言った事、俺なりにやってみたんだけど・・・出来てた、かな……?』〕
〔『ああ、良くやったぞおまえは』〕
〔『へへっ、ありがと♪』 ニッ〕
〔『じゃ、じゃあ脱出成功は2人のおかげって事にしようぜ』〕
〔『2人の?』〕
〔『どっちのおかげでもあるなら2人のおかげだ。それなら公平だろ?』 ニコッ〕
〔『っ…………///』〕
〔『そ、そうだな///』〕
〔『だからあんたと、あんたの守りたい物を守る。いや、共に守らせてくれ』〕
〔『改めてよろしくな。トゥッ…、トゥ・・・・』〕
〔『トゥルーデ///』〕
〔『あんたは、大切な”家族”だ。その事に……変わりはないからさ』〕
〔『・・・ははっ、幸せだなぁ・・・』〕
〔『え・・・?』〕
〔『なんかさ。今俺、すげぇ幸せだ』〕
〔『俺?』〕
〔『戦いは辛いけど、みんなが居るから・・・トゥルーデが居るから戦える。もう一人じゃない。怖くない』〕
〔『・・・・・・本当に、幸せ者だよ。俺は・・・』 ポロ・・・、ポロ・・・〕
〔『俺、泣いているのか?』〕
〔『え・・・?』〕
〔『……本当だ』〕
〔『おかしいな。同じ事言ってるのに、何で俺達喧嘩してるんだ?』〕
〔『あははっ、やっぱさぁ……、あんたと居ると本当に楽しいよ』〕
〔『その顔。俺に気を使うくらいなら、そうやって笑っててくれ。あんたには笑っていて欲しい』〕
〔『俺、あんたの笑顔が好きなんだから』 ニコッ〕
〔『っ・・・・・///』〕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バルクホルン「俺を……、楽しそうに笑っていたアイツを……返して、返してくれ…………・・・」
助手「・・・ごめんなさい」
バルクホルン「う・・・あ、あっ…………」
バルクホルン「うああああああああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"・・・!!!」
悲しみは溢れ、彼女の双眸から流れ出て行く。軍人では無く、一人の少女の涙として
854 :集中読書週間開催中!詳しくはWikiトップページにて!:2011/04/08(金) 23:20:08 ID:QKQJLH56
回想って積み重ねがもろに出るよね
しえん
855 :試作な俺-19話 支援ありがとう:2011/04/08(金) 23:22:17 ID:gXgdypJc
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助手「・・・そろそろ、出ませんと」
バルクホルン「………………」 スッ
しばらくして泣き止んだバルクホルンは涙を拭うと、ようやく助手の服から手を離して無言で了解の意を示す
助手「じゃあ、戻りましょう」
乱れた襟元を直しつつ、助手はバルクホルンを連れて調整室から出ようと───
ガチャッ
ダルシム「ここで何をしている」
助手「!」
研究者C「ん、あなたは……」
バルクホルン「ダム・ダ・ダルシム……」 ギリッ
ダルシム「バルクホルン大尉が何故ここに……」
助手「も、申し訳ありません! 私の独断で、大尉をここまでお連れしたんです」
研究者C「な、何をしているんですかあなたは……! ラオホウは第三者立ち入り禁止ですよ」
ダルシム「そうか、貴様が…………」 チラッ
ダルシムは頭を下げて謝る助手、敵意の籠もった目つきで自分を見つめるバルクホルン、そしてカプセル内で眠る俺を交互に見つめる。
ダルシム「なるほど。そういう事ですか・・・」
バルクホルン「・・・・・・・」
助手「申し訳ありません。すぐに外に───「いいでしょう」
助手「……へ?」
ダルシム「バルクホルン大尉にのみ、ラオホウへの立ち入りを許可します。その代わり立ち入りは、この調整室のみと限定します」
バルクホルン「・・・!?」
研究者C「何を仰られてるんですか大佐! これ以上ウィッチの入艦を許すなど・・・!」
ダルシム「それと助手軍曹。その際には必ずあなたが監視に付きなさい。よろしいですね?」
助手「大佐……、ありがとうございます!」 ペコリ
ダルシム「わかったなら今日はこれまでです。もう戻りなさい」
助手「はい。バルクホルン大尉、こちらに…」 ガシッ
バルクホルン「あ、ああ」
助手に手を引かれ、バルクホルンは部屋から出て行った
研究者C「どういうおつもりですか大佐。万一連中に裏の事実を知られたら……」
ダルシム「大丈夫だ、問題ない。情報の漏洩には極めて気を使っている」
研究者C「それでもこちらにメリットは無い筈です。大佐……、一体貴方は何をお考えなのですか?」
ダルシム「……………………」
<艦の外>
助手「次からはここで私を呼び出して下さい。直ぐに向かいます」
バルクホルン「・・・わかった」
助手「・・・では、私はこれで」 ペコリ
もう一度バルクホルンを一瞥して、助手はラオホウの中へ戻ろうと───
バルクホルン「・・・私は認めない」
助手「」 ピタッ
戻りかけた足を止め、彼女はバルクホルンに背中を向けたまま声を聞く
バルクホルン「あなた達のやり方も、思想も、こんな研究も絶対に認めない」
バルクホルン「俺をそこから絶対に救い出す。私が・・・私達がだ」
助手「・・・聞いてもいいですか?」
バルクホルン「………………」
助手「何故……あの子の為にそこまでするんですか」
バルクホルン「家族だから」
助手「!」
バルクホルン「前にも言った筈だ、こんな非道は見過ごせ無いと」
バルクホルン「そして仲間が苦しめられていると言うのなら、助けるのに理由は要らない。それが家族だ」
助手「そう、ですか…………」
バルクホルン(あいつは私を闇の中から救ってくれた……。今度は私があいつを、この深い闇の中から救い出す)
バルクホルン(待ってろ俺。おまえは私が守る・・・。必ず救い出してみせる。必ず!)
彼女は決意した。
歪んだ研究を止め、家族を───自分の想い人を救おうと
既に彼女は泣き崩れていたか弱い少女ではなく、戦う者の目をしていた
それは悲しみを心の奥に押しとどめて、上から塗り替えただけの継ぎ接ぎの決意かもしれない。
だがそれでも彼女は、大切な家族を・・・愛する人を守ろうと胸に誓ったのだった
858 :試作な俺-19話:2011/04/08(金) 23:30:29 ID:gXgdypJc
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<ラオホウ内部・助手の部屋>
助手(わかっていた筈なんだよね、私……。いつかこうなるって)
助手(だって、とっくの昔に賽は投げられてたんだもん。後は時間の問題だった)
助手(覚悟が足りない・・・。確かにあの人の言う通りだったよね)
ふと先ほど自分に向けられた、バルクホルンの決意の言葉を思い出す
助手「家族かぁ」
〔『俺をそこから絶対に救い出す。私が・・・私達がだ』〕
助手「……………………」 スッ。ゴソゴソ
徐に机の引き出しを開けて、手の平に納まるくらいの小さな小瓶を1つ取り出す
助手「こんなの、今更過ぎるよね……」
彼女が取り出した小瓶にはラベルが貼られ、中身の液体の名前と思われる物が書いてあった
『Elixir』
助手「本当、何がしたいんだろ。私…………」
最終更新:2013年01月29日 15:26