『定めの楔』 その2




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757 :試作な俺-25話:2011/09/06(火) 02:06:14.38 ID:u0o8FSEpO


<ラオホウ内部・助手の部屋>

辿り着いた部屋の中は綺麗に片付けられていた。研究者という立場からか、ほとんど華やかさが感じられない質素な部屋だ

バルクホルン「あった!」

机の引き出しの中から「Elixir」と書いてあるラベルの貼られた、手の中に収まるほど小さい瓶を発見した

バルクホルン(あとはこれを俺に飲ませれば、首輪を解除出来る……!)

小瓶をポケットに仕舞い込んで部屋から出ると、先ほど俺が居た部屋に戻るため通って来た通路を急いで引き返す


タタタタタ…………ピタッ

バルクホルン「・・・!」

実験部隊兵「…………」 カツ、カツ、カツ、カツ……

しかし半分も戻らぬうちに、またしても兵士と遭遇してしまった

バルクホルン(またか・・・!)

敵は遠いしまだこちらに気がついた様子は無いが、このまま近寄られてはすぐに発見されてしまうだろう

バルクホルン(くっ・・・仕方ない) ガチャッ

キィッ……ガチャン

バルクホルンは身を隠す為にやむを得ず、すぐ隣にあった扉をそっと開けて室内が無人である事を確認すると、滑り込むように中へ入って行った


758 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/06(火) 02:08:21.92 ID:Alt97tSK0
お姉ちゃんがメタルギアやってる
支援


759 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/06(火) 02:09:51.49 ID:J6UneWK30
グギギ………待っていたSSなのに睡魔には勝てないよママン
起きたら一気読みしよう、最後の支援


760 :試作な俺-25話 支援感謝です >>759マジすかありがとう。おやすみなさい:2011/09/06(火) 02:13:27.56 ID:u0o8FSEpO

<?の部屋>

部屋の中は薄暗かった。バルクホルンはドアに耳を当てると、廊下に居る兵士の足音を注意深く聴く


カツ、カツ、カツ、カツ……


バルクホルン(まっすぐこっちに向かって来ている……!)


兵士の接近を察知すると素早く部屋の奥へ移動し、ドアから死角になるようにデスクの陰へ身を隠す

コンコンッ

「大佐、いらっしゃいますか?」

バルクホルン「…………」

息を殺し、気配を絶つ

バルクホルン(あと少し。あと少しだというのに……!)

万が一部屋に入られて見つかってしまった場合、他に知らされる前に片をつけなくてはならない。
バルクホルンとしては俺の首輪を解除するまでは、敵との接触だけはなんとしても避けたかった


「……部屋にはいらっしゃらないか」

カツ、カツ、カツ、カツ……


761 :試作な俺-25話:2011/09/06(火) 02:20:07.82 ID:u0o8FSEpO

バルクホルン(……行ったか) ホッ

危機が去ったことに安心し、そっと胸を撫で下ろす

バルクホルン(ここは……あの男の部屋だったのだな)

ゆっくりと立ち上がり室内を見渡す。薄闇に目が慣れてきており、さっきよりもはっきりと見えるようになっていた

部屋から生活感はあまり感じられず、ベッドも使い込まれたような形跡は無い

室内の至る所に大量のデータが所狭しと積み上げられ、計算機や用途不明の何らかの装置も幾つか確認できる。
先ほど陰に身を隠していたデスクの上も、走り書きのメモやデータで散らかっている

そしてその隅には、机上の散らかり具合から隔離された綺麗な写真立てが、伏せられたままの状態で置かれていた


バルクホルン(こんなにも大量のデータがあるとは……。これほどの計画が秘密裏に五年以上も続いていたなんて、俄には信じられんものだろうな) ペラッ

バルクホルンは何気なく、机上に置かれた書類の一枚を手に取る。そこに書かれていたのは……


『プロト08.女.被検体番号0370.個人データ……全て抹消  固有魔法:「斥力制御」  
 1942年○月○日、ネウロイとの戦闘後にブラックアウトを引き起こしネウロイ化。直後に処分済み』


バルクホルン(! これは……)


『プロト07.女.被検体番号0326.個人データ……全て抹消  固有魔法:「空間制圧(相互間瞬間移動)」  
 1942年○月×日、ネウロイとの戦いにより戦死』


762 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/06(火) 02:21:18.02 ID:Alt97tSK0
支援
寝る

763 :試作な俺-25話 支援ありがとう おやすみなさい:2011/09/06(火) 02:28:30.93 ID:u0o8FSEpO

バルクホルンが手にした書類は、過去に居たと言われていた俺の同類……他の試作体たちのデータであった


『プロト06.女.被検体番号0325.個人データ……全て抹消  固有魔法:「ハイパージャマー(高性能ステルス+ジャミング)」  
 1942年×月×日、ネウロイとの戦いにより戦死』

『プロト05.男.被検体番号0252.個人データ……全て抹消  固有魔法:「ヘビーアームズ(魔弾発射)」
 能力低下により戦列より除外。その後も復帰の兆しは無く、1942年△月×日、プロト01との実験により死亡』


バルクホルン(なんだ……何なんだコレは!)


『第××次実験。同調開始21秒後に検体の肉体に異常発生。体組織を維持できずにカプセル内で分解。84秒後に死亡を確認』

『第○○次実験。同調開始2分13秒後に検体が拒絶反応を発症。もはや治療を施せるレベルでなく、ブラックアウトの危険性があるために殺処分』

バルクホルン(何故、こんな事が・・・)

『△月△日。実験開始直前で検体番号0023が脱走。外部への逃亡が危うぶまれた為、研究所所内で射殺』

バルクホルン(何故こんな事が出来る・・・!) ギリッ…

事前に助手から聞いていた、過去に実験で多くの罪無き人間が殺されていると言う真実。
バルクホルンは実際にその片鱗に触れ、再び心の奥から煮えたぎるような怒りを込み上げさせる


バルクホルン(こうしてはいられない。急がないと───・・・!) ピタッ

部屋から立ち去ろうとしたバルクホルン。しかし偶々机上にあった書類の文面が目に入り、思わず立ち止まってしまった


764 :試作な俺-25話:2011/09/06(火) 02:34:46.98 ID:u0o8FSEpO

バルクホルン「これは……」 ペラッ

『第△×次実験における被検体、検体番号0064がインプラント同調に一時的に成功。しかし直後にブラックアウトを発症し、ネウロイ化を引き起こす』

『不意を突かれた為に処分に失敗。人型ネウロイと化した検体番号0064は研究員13名、所員44名を殺害して外部へ逃亡。捜索するも発見できず、行方不明となる』

バルクホルン「・・・・・・」 パラッ

『検体番号0064.男.個人データ無し ブラックアウト発症後脱走。行方不明
 固有魔法:「意識共有(テレパス+記憶解析)」 念じることで相手の頭の中に直接音声メッセージを送るテレパス。及び直接触れることで、対象の記憶を断片的に読み取ることを可能とする』

バルクホルン「まさか・・・」


〔《目の前で守るべきものが壊されるってのは、どういう気分なんだ? 教えてくれよ、人間》〕


バルクホルン「まさかあの人型ネウロイは───」




「どうかそのまま動かないでいただきたい」



バルクホルン「!!」


迂闊だった。書類を読むことに気をとられていたバルクホルンは、ドアの開けられた音に気がつかなかったのだ。
そして彼女が振り返ると、唯一の部屋の出入り口であるドア前にダルシムが立ち塞がり、こちらに銃口を向けていた


766 :試作な俺-25話:2011/09/06(火) 02:39:36.52 ID:u0o8FSEpO

バルクホルン(しまった・・・)


ダルシムはその魔力により、距離や場所に関係なく瞬時に ” 首輪 ” を作動させることを可能としている

そして首輪の解除前に彼と対峙してしまったことは、作戦の失敗を意味していた


ダルシム「これはこれはバルクホルン大尉、あなたでしたか。忍び込んだネズミとやらは」

ダルシム「残念ですがここまでですお嬢さん。あなたはチェックメイトに嵌ったんですよ」

バルクホルン「くっ・・・」

ダルシムは見透かしたような態度でバルクホルンを小馬鹿にする

ダルシム「しつこいですね貴方たちも。わざわざこんな所まで追いかけて来るとは……」

ダルシム「そこまでして我々の計画を阻止したいと? ……それとも、目当てはあの出来損ないの救出ですかね」


バルクホルン「!」


ダルシム「貴方たちも物好きですね。アレを仲間……いや、家族だなんて」

ダルシム「アレはただの試作品……もう人間ですらないと言うのに! フハハハハハ!」


バルクホルン「違う、アイツは人間だ!」


767 :試作な俺-25話:2011/09/06(火) 02:48:14.12 ID:u0o8FSEpO

ダルシム「本当の話だ。アレの名前はプロト01。強化ウィッチ量産化の為に創られた試作体。俺と言う名も偽物だ」

ダルシム「貴方たちがどんなに人間扱いしようと、現実は変わりません。結局アレは人形でしかない。しかも、もう壊れかけだ」


バルクホルン「おまえ達が壊したんじゃないか……!」


バルクホルン「あんなになるまで俺を追い詰めた! この実験が、貴様の歪んだ計画が……!」


ダルシム「何度も言わせないで下さい。最初にも言ったでしょう?」

ダルシム「全ては世界の為です。この計画は世界を救う。彼の犠牲は、その為にも必要な事なんですよ」

バルクホルン「よくもそんな事が言える。黒幕に顎で使われるだけの男が……!」

ダルシム「何……?!」

バルクホルン「貴様は計画の全面援助をしてもらう見返りとして、黒幕……アルタネィティブ空軍大将の命ずるままに、幾度と虐殺行為を行っている」

バルクホルン「それだけじゃない。過去には俺以外にも試作体や何百人もの被験者が居たが、全て実験という名目で殺された」

ダルシム「・・・・・」

バルクホルン「貴様達のこの所業。知らないとは言わせない」

ダルシム「……驚きました。まさかそこまで知っているとは」

ダルシム(アルタネィティブ大将の機密保持は完璧。このレベルの情報ならば、知るのは彼の腹心か我々のみ。…と、なると───)

768 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/06(火) 02:50:02.31 ID:dl3C05cR0
支援

769 :試作な俺-25話 支援ありがとう:2011/09/06(火) 02:53:51.20 ID:u0o8FSEpO

ダルシム「・・・なるほど、助手軍曹ですか」

バルクホルン「…ああ」

ダルシム「まさかあれで生きていたとは…………裏切り者が」

バルクホルン「彼女は我々に全てを話した。強化ウィッチの正体、最終実験、選別、特殊任務、貴様達の闇全てを・・・!」

ダルシム「……で、それがどうしたと言うんですか」

バルクホルン「何・・・!?」

ダルシム「選別は01や試作体と同じく、実験全体の一部でしかない。そして特殊任務は、実験そのものを続ける為には仕方ない」

ダルシム「どれも計画には必要なことであり、我々はそれを為しただけだ。犠牲はつきものだろう。これまでも、これからもな」

バルクホルン「っ・・・! ふざけるな!! 貴様達の行いで、一体どれほどの人間が死んだと思っている!」

ダルシム「聞きたいですか?」

バルクホルン「なっ・・・!?」

ダルシム「フッ、冗談ですよ。もう人数なんて覚えていません。ましてや名前なんて尚更」

バルクホルン「貴様ぁ!!」 ガタッ

ダルシム「動くな。こちらには人質が居ることを忘れないでいただきたい」

バルクホルン「っ・・・」 ピタッ


770 :試作な俺-25話:2011/09/06(火) 02:58:09.97 ID:u0o8FSEpO

ダルシム「どうせ首輪の事も彼女から聞いたのでしょう? ならば、わかりますよね」

バルクホルン「くっ・・・」

首輪が作動すれば、瞬時に爆発が起きて俺の首をもぎとってしまう。
首輪を解除する前にダルシムと対峙してしまった時点で、もうバルクホルンにはどうすることも出来なかった


バルクホルン「何故だ……。何故こんな方法を選んだ!」


バルクホルン「世界の為でも、他のやり方だってあっただろう! それなのに何故、貴様はここまで……!」


ダルシム「……ネウロイは私の妻を殺し、子を奪った」


バルクホルン「!」


ダルシム「奴らは報いを受けなくてはならない……。私の大切なものを奪った罰を!!」


バルクホルン「それでは・・・復讐ではないか!」

ダルシム「ならば……どうしろと? この身を焦がすような怒りを無理やり捨て、全てを忘れて生きろと言うのか?」

バルクホルン「! それは……」

ダルシムはいつもの人を食ったような態度を止め、言葉を荒げて感情的になる


771 :試作な俺-25話:2011/09/06(火) 03:02:19.50 ID:u0o8FSEpO

ダルシム「私は決心したのだ。我が故郷を奴らに蹂躙され、妻を……カオリを殺されたあの時に!」

バルクホルン(カオリ……? 扶桑の女性の名前か?)

ダルシム「故郷を救えなかったウィッチ共に用は無い。だから私は、『自分自身』の研究で奴らを根絶やしにすると決めた」

バルクホルン「その答えが強化ウィッチか……!」

ダルシム「そうだ。私は復讐の為に計画を成し遂げ……そしてその結果、世界は救われる! 救われるんだからなぁ! ハハハハハ!」

バルクホルン「うっ……」


ダルシムの放つ狂気、プレッシャーに気押されそうになるが、バルクホルンも折れずに反論する


バルクホルン「・・・違う。貴様は結局、自分の復讐がしたいだけだ。それ以外何も見えていない……!」

バルクホルン「どんな理屈を並べ立てたところで、貴様の行動を正当化することなど出来ない!」

ダルシム「……まぁ、そうだろうな。確かに貴様の言うように、我々の行いは決して正しいとは言えない。寧ろ、悪と呼ばれるべきだろう」

バルクホルン「! それがわかっているのなら何故───」

ダルシム「履き違えるなよバルクホルン大尉。そんな偽善的な感情は、もうとっくに 捨 て て い る 」 ギロッ……

バルクホルン「」 ゾクッ

ダルシムの暗い眼差しに気押されて、バルクホルンは思わず後退りをする。
これが気迫と言うものなのだろうか。何の力も持たない筈の初老の男が、歴戦の兵士であるバルクホルンには大きく、そして悍ましく見えた


772 :試作な俺-25話:2011/09/06(火) 03:05:51.47 ID:u0o8FSEpO

ダルシム「疾うに私は狂っているのだよ。全てを失ったあの日からな!」

バルクホルン「っ・・・・・・」 ジリッ……

ダルシムに圧され、バルクホルンは一歩一歩後ろへ退がる。意識した訳ではない。自然に足が動いてしまったのだ

ドンッ、ガシャン……ッ!

ダルシム「!」

体がデスクにぶつかり、その衝撃で机上から ”何か ”が落下した。

バルクホルン「・・・?」 チラッ

思わずバルクホルンは自分が落としたものに目をやる。するとそこあったのは─────


バルクホルン「なっ・・・・・!?」


〔『「ほとんどいない筈の魔法力を持つ男性が、私達の近くに2人も……。偶然ってあるんですのね」』〕


バルクホルン「何なんだ、これは……」


ダルシム「・・・見たか」


バルクホルン「!」


773 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/06(火) 03:07:46.43 ID:9Pu1XFZt0
追い付いた
支援を開始する


774 :試作な俺-25話 支援ありがとう:2011/09/06(火) 03:08:23.41 ID:u0o8FSEpO

ダルシム「それを見てしまったからには、ますます生かして帰すわけにはいかなくなったな」


バルクホルン「どういうことだ!? 何故……何故貴様が───」


ダルシム「 何 も 喋 る な 」 ギ ロ ッ


バルクホルン「っ…………」

ダルシム「困ったものだ。まさか貴様にそれを見られてしまうとは……。抵抗は止めて付いて来て貰おうか」

バルクホルン「私をどうするつもりだ……」

ダルシム「決まっているだろう? 貴様は知りすぎた。そして……来るのが遅すぎたのだ」



ダルシム「ゲルトルート・バルクホルン。貴様を処刑する」



バルクホルン(すまない。俺…………)


245 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 14:42:48.66 ID:Yzdx5bdK0


<ラオホウ・甲板上>

時間的には日の出が近いはずだが、空はまだまだ暗く太陽は出ていない

冷たい空気と静寂に包まれた甲板上で、バルクホルンと実験部隊の面々が距離をとって対峙していた。
実験部隊はダルシムと研究者AとB。そして軽機関銃を構えた兵士が数名で、その銃口は揃ってバルクホルンへ向けられていた


研究者A「この女、一体どうやって船内に……」

研究者B「恐らくはインペラトールのハイパージャマーの影響のせいだろうな。アレがまだ近くに居た時点の初期段階で潜入したんだろう」

研究者A「なるほど、インペラトールの能力はまだ不完全で調整中だからな。偶発的にその隙を突いたってことか」

研究者B「……正確には、我々のトラブルの隙だけどな。不意を衝くのは失敗に終わってしまった」

研究者A「そうか。確かにあの甘い女さえ裏切らなければ、連中に刃向かわれることも無く当初の予定通り基地ごと焼き払えたんだもんな」

研究者B「・・・ああ、その通りだ」



ダルシム「場所を変えさせてもらいました。大事なデータのある場所での流血沙汰は避けたかったんでね」

ダルシム「さぁー見て下さい、ロマーニャの海が一望できますよ! 暗いために見えづらいかもしれませんが、それでも中々のものですね」

ダルシム「そしてこれは……貴方が見る最後の景色となります」


バルクホルン「…………」

246 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 14:45:47.79 ID:Yzdx5bdK0

ダルシム「ほら、ここからでも見えますよ? 戦いの光が」


そう言ってダルシムは、目を凝らして遠くの空を凝視する

そこからでも僅かに見える魔力の青やビームの赤の光。インペラトールとウィッチーズが交戦している光だ


ダルシム「悪足掻きしてますねー。抵抗しても無駄だというのに」

ダルシム「ウィッチ風情が10人くらい居たところで、インペラトールには適いません。勝てるわけないんですよ」

バルクホルン(みんな…………) チラッ

ダルシム「つまり貴方は今から死ぬわけですが、何も心配は要らないんです。お仲間もすぐに送って差し上げますから」

バルクホルン「…………」

ダルシム「……何を言っても無視ですか。つまらないですね」


ダルシムの言葉は一応は耳に入っていたが、彼女はそれどころではない。
現在バルクホルンは脳をフル回転させて、この最悪の状況からの起死回生の方法を探していた


バルクホルン(何か……何か手は無いのか!)


バルクホルン(考えろ! この最悪の状況を切り開く打開策、突破口を・・・!)


247 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 14:48:22.77 ID:Yzdx5bdK0

バルクホルン(……今ここで連中を取り押さえることは、私1人でも簡単に出来る。魔法力を使えばな)

バルクホルン(でも、それじゃあ駄目なんだ。ダルシムは俺を人質にしている。そんなことをしたらただでは済まない)

バルクホルン(俺の首輪は解除できていない。それなのに抵抗したりしたら……)

バルクホルン(いや、駄目なんだ。可能性云々の問題では無い。今私が動いたら……俺は殺される。例え計画を阻止できても、それでは私たちの目標は失敗だ)


ダルシム(……やはりコイツらは甘い。仲間の為にわざわざ1つしかない命を差し出すとはな)

ダルシム(便所の鼠の糞にも匹敵する、くだらない理想論。そんな馴れ合いなんぞで敵を倒せれば苦労はせん。自分が生き残らなければ……意味はないのだよ!)

ダルシム「それでは、そろそろ終わりにするとしますか」

バルクホルン(それを見透かして……奴は私が動けない…いや、絶対に動かないことを知っている。くそ! 俺の首輪さえ解除出来ていれば、こんな奴らに……!)

バルクホルン(逆らえば俺は死ぬ。でも、このままでは……)

ダルシム「射撃用意」

実験部隊兵たち「……はっ!」 チャキッ

バルクホルン(どうすれば……どうすれば!!)

ダルシム「よし。撃t───」

タッタッタッタッ……

俺「待ってくれ!!!」


248 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 14:53:39.66 ID:Yzdx5bdK0

ダルシム「!」

今にも兵士たちが銃を撃とうとしたその時、船内から俺が姿を現した

バルクホルン「俺……!」

俺「トゥルーデ……くっ!」

タッタッタッタッ……

バルクホルン「!」

状況をすぐに把握した俺は、バルクホルンを庇うように、彼女と兵士たちの間に立ち塞がる

ちょうどバルクホルンの僅か2メートルほど前に、俺の背中が来た

バルクホルン(これは……)

兵士たちは銃を構えたままだが、距離は離れているしまだ撃つ様子は無い。
ダルシムや研究者たちも、突然の俺の登場に若干驚きの表情を見せている

そう。これが ”首輪 ”を解除する、最後のチャンスだった


バルクホルンの手が、ゆっくりとポケットに伸びる。
中に手を突っ込む事はしないが、服の上から触って小瓶の存在を再確認するが……


バルクホルン(駄目だ。隙がない……!)


249 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 14:55:43.69 ID:Yzdx5bdK0

ダルシムたちとの距離は約20メートル。
しかし、此方を注視しているのだ。これでは行動できない


バルクホルン(こうも警戒されていては……くそっ!)

バルクホルン(ほんの少しだけ……たったの数秒でいいんだ!)

バルクホルン(数秒の間……奴らの気を逸らす事が出来れば……!)


───


ダルシム「……それは何の真似だ? プロト01」

自分達の前に立ちはだかった俺を見て、ダルシムは冷酷な声で俺に問う。
彼は普段の人を煽るような言葉使いでもなく、先ほどバルクホルンにも見せた、場における絶対者としての表情をしていた


俺「頼む! トゥルーデは……トゥルーデだけは見逃してくれ!!」

そう言って俺は、ダルシムに深く頭を下げる

俺「あんたが命令するなら何でもする! 俺はどうなってもいい!」

俺「だから・・・トゥルーデだけは・・・っ!」


ダルシム「・・・馬鹿か? 貴様は」


250 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 14:57:57.01 ID:Yzdx5bdK0

俺「えっ・・・・・」


ダルシム「この場においての貴様のその行為は、何の意味も持たない愚行でしかない。無駄な事だ」

ダルシム「第一、貴様の生殺与奪は私が握っているのだ。ほんの少し念じるだけで、その首が一瞬で弾け飛ぶ」


俺「う・・・」


ダルシム「それなのにまだ貴様は……自分が私に何かを頼める立場だとでも思っているのか?」


俺(それは…………そうだけど)

俺「でも・・・っ! それでも俺は・・・・!」


ダルシム「……何故その女をそこまで庇う。生に執着していた貴様が、どうして私に逆らってまで守ろうとする」

ダルシム「まさか・・・惚れたか?」


俺「っ・・・!」

俺は言葉を発さない。しかしその反応からだけでも、ダルシムには充分に理解できた


ダルシム「・・・まさか。ハハッ、ハハハハハハハ!!! こいつは傑作だ!」


251 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 14:59:38.92 ID:Yzdx5bdK0

ダルシム「懐柔されたか01。まさか貴様がそこまでキテいたとは……」

ダルシム「・・・だが、残念だったな。貴様の望みが叶う事は決して無い」

ダルシム「向こうもそろそろ決着がつくころだろうしな」 チラッ

俺「えっ・・・」 チラッ


ダルシムが一瞬視線を送った先を見る。そこで俺は初めて、遠くの空に微かに見える戦いの光に気がついた


ダルシム「奴らはつくづく愚か者だ。所詮は生身のウィッチ。インペラトールには勝てん」

俺(みんなが……戦っているのか……?)


ダルシム「分不相応な望みを持つな。貴様に家族と言うものは居ないし……必要ない!」


バルクホルン(この男…………)

ダルシム「その女は……そして、奴らは知りすぎた。もう生かして帰すことなど出来んのだ」

俺「そん、な…………」

ダルシム「もう貴様の願いは届かない。わかったなら……いや、わからなくてもいい」


ダルシム「部屋に戻れ。そして……全て忘れろ」


252 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 15:04:50.57 ID:Yzdx5bdK0

俺「ま、待ってくれ! みんなを───」

ダルシム「01……、貴様は私に二回目を言わせるつもりか?」

俺「・・・!」

ダルシム「命令には従え。その首と胴体がまだ繋がっている内にな」

俺「…………」


俺(どうすればいい、どうすれば……!)

俺(このままじゃトゥルーデが……みんなが!)

俺(きっとある筈だ、考えろ! トゥルーデと、みんなを助ける方法が───)


《ねぇよ、そんなモン》


俺(……!!!)


その時、頭の中に例の ” 声 ”が響いた

俺(おまえ、こんな時に……)


《粘り強いっていうよりも、随分と往生際が悪いんだな、01。あの女共の影響かぁ?》


253 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 15:09:58.14 ID:Yzdx5bdK0

俺(うるさい……! 今おまえに構ってる暇なんて───)

《どうやらわかってねぇようだから、この際ハッキリと言ってやるよ……!》

《もうオマエはなぁ・・・詰んだんだよォ!!》

俺(詰んだ・・・?)

《さっきあの爺が言っていた通りってことだ。もうオマエの願いは届かない》

《道は別れちまった。オマエの ” 生きたい ”という望みと、” みんなを助けたい ”という望みは、もう絶対に両立できねぇんだよ》

俺(そんなことは……!)

《無いわけねぇだろ。オマエ……まだ自分に何かが出来るとでも思ってんのかァ?》

《その後ろの女だって、オマエの(首輪の)せいで動けねぇんだろうが。本来ならこんな連中、軽ーくぶちのめせる筈なのによォ》

俺(っ…………)

《諦めな。オマエに出来ることなんて、もう何にも───》

《……いや、あったか。オマエに出来る……と言うより、オマエがやらなくてはいけないことが》

俺(何……?)


《その女を殺せ、01》


俺(なっ・・・!?)


254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/09(金) 15:12:23.53 ID:QHEK3/dKi
おや、きたか支援


255 :試作な俺-25話 支援感謝です:2011/09/09(金) 15:15:51.53 ID:Yzdx5bdK0

俺(馬鹿なことを言うな! トゥルーデを殺すなんて、そんなことっ・・・出来るわけねぇだろ!!!)

《イヤイヤ、それがそうでもねぇんだ。必要なんだよ、オマエが生き残る為にはな》

俺(生き残る……?)

《オマエの命なんてちっぽけなモンだ。あの爺が少し念じるだけで首が飛んで死ぬ》

《そして、もしもその女がオマエの事を諦めて計画阻止を優先し、爺を取り押さえようものなら……野郎は首輪を作動させるだろう》

俺(…………)

《ああ、”もしも ”なんかじゃねぇか。間違いなくやるだろうな。何故なら、もうどうしようも無いんだから》

《だったら、オマエがやるこたァ1つだろ》

俺(……トゥルーデが逆らってクソジジイが首輪を作動させたら俺が死ぬから……トゥルーデが変な動きをする前に今ここで殺しとけって言うのかよ!!)

《そうそう、分かってんじゃねぇか!》

俺(ざっけんな! そんなこと出来るわけ───)

《やらなきゃ死ぬのはオマエだ》

俺(!)

《話は簡単だ。殺られる前に殺れ》

《あの05の時と同じってことだ。少しでも永く生きたいだろう? 死ぬのは怖いだろう?》

《生きてきたよなぁ……。周りの奴らが脱落しても、自分の存在すら分からなくても、オマエは執念で生き残ってきた》


256 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 15:22:13.55 ID:Yzdx5bdK0


『おじさん、誰・・・? ここ、どこなの? 父さんと、母さんは・・・』 『何これ……思い出せない! 何も思い出せない!! どうなっているの!!?』

『お、教えて下さい! ボクの名前は・・・、父さんと母さんは!?』 『し、死んだ・・・? 父さんと母さんは、もう居ないの……?』 『強化成功体? プロト01? 何、それ…………』

『い、いやだ! 痛い!痛いよ!やめて下さい!』 『標準を合わせてトリガーを……出来た!』 『ネウロイは敵。ネウロイは敵。ネウロイは敵。ネウロイは敵……!』

『俺以外の、試作体?』 『なんか、あまり仲間って雰囲気じゃないなぁ……』 『そんな! だってアレは08なんだよ!? 何とかして助けないと……!』

『リーザ・・・なん、で・・・』 『殺す……! ネウロイ全部、私がぶっ殺す!!』 『い、イヤッ!死にたくない!あたしまだ死にたくないよ!!』

『何で……何で仲間同士でなんて……!』 『俺の為に死ね!ゼロワンンンンンンーーーッ!!!』 『くっ、来るなあああああアアアアアアアアアアァァァァ───ッ!!!!!』

『殺さなきゃ……殺される。殺さなきゃ……殺される……! 殺さなきゃ殺される!!』 『あっ、01ッ・・・助けt───』 『03!? チイィッ!!!』 『殺す!ぶっ殺す!!』


『みんな……死んだ。独りになっちまった』 『誰も居ない。誰も……。どうして俺だけ生き残って……』 『ハハッ、ハハハハハ・・・・・』


~~~


《生きてきた。必死に生き続けてきた。それをこんな形でふいに出来ねぇよなぁ?》

《オマエは生き抜かなくてはならない。例えどんな犠牲を払ったとしてもな》

俺(・・・・・)

《さぁ……殺せ》


《死にたくなければ殺せ! 生き延びたければ殺せ! 殺されたくなければ殺せ!!!》


《自分が生き残る為に……殺せ!!!!!》



俺「……ごめん、トゥルーデ」 チャキッ


そう言って俺は、銃口を向けた


257 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 15:26:02.37 ID:Yzdx5bdK0

ダルシム「01・・・!」


───ダルシムへ目掛けて


《な、何やってんだオイ!!》

ダルシム「01貴様・・・、自分が何をしているのか分かっているのか! 私が死ねば貴様も……!」

俺「知ってるよ、そんなの」

《オマエ・・・・・!》

俺の突然の行動に動揺する、ダルシムや実験部隊の面々。今この瞬間、彼らは完全に俺へと目が行っていた

  ゴ ソ ッ・・・

俺「ごめんトゥルーデ。やっぱり俺、我が儘だ」

首を僅かに後ろに向け、彼女へ微笑みかける

バルクホルン「俺…………」

俺「だけど……例えあんたに恨まれても、憎まれ続けても、それでも俺はあんたに死んで欲しくないから。だから───」

再び前を向き、引き金に掛けた指へ力を入れた


俺「生きて、ね……?」


258 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/09(金) 15:29:58.54 ID:SCdXdR3B0
支援だ!


259 :試作な俺-25話 支援感謝です:2011/09/09(金) 15:30:14.81 ID:Yzdx5bdK0

ギュッ……

俺「!」

しかし俺が引き金を引く直前、バルクホルンがその指を掴んで止めさせた

バルクホルン「大丈夫だ、俺」

俺「あっ・・・」

俺の体の向きを自分と向かい合うように変えさせ、そのまま抱きしめて顔を寄せる


バルクホルン「おまえは・・・───」


俺「トゥ、トゥルーデ─────んむっ!!?」


バルクホルン(───私が守る)


そのまま2人は、唇を重ねた

バルクホルン「んふ……んっ、んぅ……」 ムゴムゴ

俺「ん……んっ…………」 ゴクッ

唇が触れ合うだけではない深い口付けを10秒ほど交わしてから、ようやく2人の顔が離れた


260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/09(金) 15:32:49.86 ID:l/tROfEH0
(壁が壊れる音)
支援


261 :試作な俺-25話 支援ありがとう:2011/09/09(金) 15:33:11.57 ID:Yzdx5bdK0

ダルシム「……何だ、最期の別れのつもりか?」

バルクホルン「いいや、違うさ」 グッ

ダルシム「!」

そう言ってバルクホルンは、俺の首に着けられたチョーカー…… ” 首輪 ” を掴んだ

ダルシム「よせっ!やめろ!!」

俺「だ、駄目だよトゥルーデ。これ外したら爆発───」

───ブチン

俺「する……………………へっ?」

ダルシム「何だと……!?」

研究者A「爆発しない……!?馬鹿な!」

バルクホルンが ” 首輪 ” を引きちぎって俺の首から外したにもかかわらず、体内の爆発は起きなかった

バルクホルン「やった!成功だ!」

俺「トゥルーデ、これってどういう……」

バルクホルン「自由だ! おまえは・・・自由になったんだ!!」

俺「! 自由…………」

俺(俺が……自由に…………?)

262 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 15:37:01.64 ID:Yzdx5bdK0

ダルシム「何を呆けている! 撃て! バルクホルンを殺せ!」

実験部隊兵たち「り、了解!」

ダルシムが我に返り、兵士たちに指示を出す。直ぐに彼らは従い、バルクホルン目掛けて発砲した

ダダダダダダダダダダダダダダダ!

バルクホルン「はぁ!」 パキィン!

実験部隊兵「きっ、効かない!シールドが!」

バルクホルン「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」 ダッ

バルクホルンはシールド張って銃撃を防ぎつつ、兵士たちに向かって突っ込んで行った


──────────


実験部隊兵たち「いてえ……」「うぅ……」「がぁっ……」 ボロッ…


研究者B「たった1人で、6人全員倒してしまった……」

バルクホルン「これで形勢逆転だな、ダルシム大佐」

ダルシム「ぐっ…………」

バルクホルン「もう逃げ場は無い。復讐を止めて己の罪を明白にし、然るべき罰を受けるんだ」


263 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 15:41:16.65 ID:Yzdx5bdK0

ダルシム「……フフフッ」

ダルシム「ハハハハハ…………! ハハハハ! アハハハハハハハハハ!!!」

研究者B「大佐……?」

ダルシム(復讐をやめろ? 罪を明かせ? 罰を受けろ……?)

ダルシム(ふざけるな。認められるか! 計画完遂まであと一歩のところで……あと一歩のところでこんな小娘ごときに───)

ダルシム「嘗めるなよ小娘がぁ!!」 チャキッ!

バルクホルン「!」

ダルシム「死ね!」

パァンッ!

ダルシム「ぐぁっ! 銃を・・・!」

バルクホルンの一瞬の隙を突き、彼女を撃とうとしたダルシム。だが別方向からの銃撃により、手に持っていた拳銃を落とされた

俺「…………」 チャキッ

ダルシム「01!貴様───」

バルクホルン「せやっ!」 バキッ!

ダルシム「ごガッぁっ!?」 ゴロゴロドサッ!


264 :試作な俺-25話:2011/09/09(金) 15:45:14.69 ID:Yzdx5bdK0

研究者B「大佐!」

研究者A「てめっ……相手の年を考えやがれよ!」

ダルシムを殴り倒し、研究者の2人を拘束する。先に兵士たちをノックアウトした今、これはこの場での相手の戦力の無力化が達成されたことを意味していた

バルクホルン(……今度こそ終わったか)

ダルシム「あっ、が……此処まで、だと言うのか……」 スクッ

ダルシムがゆっくりと体を起こす。しかし立ち上がる事はせずに甲板に腰を落としたままだ。
そしてもう、彼の顔から抵抗の意志は感じられなかった

ダルシム「……1つ聞かせろ。何故01の ” 首輪 ” を外すことが出来た」

血の気混じりの唾を吐き捨てながら、ダルシムはバルクホルンへ尋ねる

ダルシム「私が意図的にしなくとも、無理やり外そうとすれば ” 首輪 ” は作動し、首を吹き飛ばす。そう出来ているのだ」

ダルシム「貴様……何をしたんだ?」

バルクホルン「……これだ」 ポイッ

バルクホルンはポケットから小さな瓶を取り出すと、それをダルシムへ投げ渡した

ダルシム「なんだこれは。『Elixir』……?」

バルクホルン「そのクスリを飲めば、一定時間だが直ぐに ” 首輪 ” を外せるようになる。貴様の魔力と首輪の特性を研究して創られた代物だ」

ダルシム「飲ませる……? こんなもの、一体いつどうやって01に飲ませて───(ハッ)」


265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/09(金) 15:47:57.56 ID:SCdXdR3B0
ひゃっほう!さすがお姉ちゃんだぜ!


266 :試作な俺ー25話:2011/09/09(金) 15:51:57.51 ID:1X72sS79O

ダルシム「なるほど。それで先ほどの接吻か……」

バルクホルン「ああ。あの状況では、他の方法が思いつかなかったからな」

ダルシム「……で、誰がこれを作ったんだ?」

バルクホルン「助手軍曹だ。作ったものの、使う勇気が無かったみたいだが」

ダルシム「! 彼女がこれを…………」

ダルシム「そうか……。やはり私の目に狂いは無かった。彼女は私の見込んだ通りの才の持ち主だったのだな……」

バルクホルン「あの人は自分の行いを悔いていた。……貴方だって道を誤らなければ、大勢の人を救えた筈だ」

ダルシム「私が救う……フン、馬鹿を言うな。笑うがいい、この有り様を」

ダルシム「矛盾を孕んだ復讐にひたすらしがみつき続け……最後は達成直前で部下に裏切られて潰されるんだからな。とんだお笑い種だ」

バルクホルン「矛盾だと……?」

ダルシム「……どうせ助手軍曹から聞いているだろうが、強化ウィッチの正体はネウロイ人間だ。
     ウィッチとなる魔法力の持ち主で適性のある者に、特殊な装置で制御したネウロイのコアを体内に埋め込み、宿主の魔力と同調させて並外れた力を引き出せる者……」

バルクホルン「ああ、それは助手軍曹に聞いたが……それが何だと言うんだ?」

ダルシム「単純な事だろう。私が復讐の為に研究していた強化ウィッチの正体がそれだ。故郷や家族を奪ったネウロイと、無力だと今まで蔑んできたウィッチ達……その掛け合わせだ」

バルクホルン「!」

ダルシム「私の復讐は、そんな忌み嫌う2つに依存しないと成り立たない、酷く脆いものだったのだよ」
最終更新:2013年01月29日 15:35