『定めの楔』 その4
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31 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 17:44:53.18 ID:Is6wKRk90
太った男「・・・・・」 カツカツ
ダルシム「! お待ち下さい、アルタネィティブ中将!」
太った男「…残念だ、ダルシム少佐。今度こそ成果が見られると思ったんだが」
ダルシム「検体の能力値と相性が悪かっただけなんです!次こそは・・・!」
太った男「そう言って、53回目の失敗か」
ダルシム「ぐっ・・・。今までのストライカーのような研究とはわけが違うんです。人を超越した兵士を創り出す……、理論が組み上がっていても、それを成功に繋げるのは・・・」
太った男「いつまでも実りの無い失敗続きの実験に金を出し、隠蔽工作に人員を割くつもりはない。次の機会で失敗すれば、実験打ち切りの可能性も大きくなると思え」
ダルシム「打ち切り・・・!?しかし、この計画は、元々あなたが・・・!」
太った男「君にならこの不可能を可能に出来ると思い、この強化ウィッチ計画に招き入れたのだ。だが絵空事でしかないのなら、打ち切りも必然の結果だ」
太った男「次に私がここへ来れるのは一週間後。その日の実験予定は?」
ダルシム「……検体番号・0057です」
太った男「では、それを最後のチャンスとしよう。何としてもそれまでに成果をあげるんだ」
太った男「わかったな? ダルシム少佐……いや、サリヴァン博士」
ダルシム「…………」
太った男「肝に銘じておけ。自分達にはもう後が無いという事を」
ガチャッ、キィッ……ガチャン!
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 17:45:38.21 ID:O7EO4yXW0
支援支援
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 17:47:40.71 ID:iQpFlSiG0
初期は普通に動物実験だったのだろうか支援しえん
34 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 17:47:46.28 ID:Is6wKRk90
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ダルシム(何故だ、何故うまくいかない……! 理論は完璧なんだ!)
ダルシム(あとは器……。実験に見合うだけの検体さえいれば、必ずうまくいくというのに……!!)
研究者A「少佐」
ダルシム「……何だ?」
研究者A「あの、御子息が……」
ダルシム「! ……すぐに行く」 タッ、タッ、タッ、タッ……
研究者A「…………」
<別室>
ダルシム「今日も1人で来たのか?」
オレ「うん」 コクッ
ダルシム「遠かっただろう。大変だったんじゃないか?」
オレ「大丈夫だよ」 フルフル
ダルシム「ご飯、ちゃんと食べているか?」
オレ「うん、食べてる」 コクッ
35 :試作な俺-25話 支援多謝です:2011/09/14(水) 17:51:26.71 ID:Is6wKRk90
ダルシム「体の調子はどうだ?また具合が悪くなってたりしてないか?ちゃんと健康診断は受けているか?」
オレ「大丈夫。昔と比べると、最近は結構調子がいいんだ」
ダルシム「そうか・・・。1人で寂しくないか? 家で───」
オレ「ねぇ、父さんは……大丈夫なの?」
ダルシム「私か……?」
オレ「うん。母さんが……死んでから、父さん研究所に籠もりっぱなしだし、全然家にも帰って来ないし、日に日にやつれていくみたいだし……」
オレ「母さんの仇を討ちたいのはボクも一緒だけど……これじゃあ父さんまで倒れちゃう」
オレ「そうなったらボク……本当に1人ぼっちになっちゃうよ」
ダルシム「オレ…………」
オレ「それに……前から思っていたんだけど、父さんって───」
ダルシム「・・・?」
オレ「・・・ううん、ごめんなさい。何でもないよ」
ダルシム「オレ・・・?」
オレ「・・・今日はもう帰るね。また来るよ。あんまり無茶しないでね……」
ダルシム「……ああ、オレも気をつけて帰りなさい」
36 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 17:53:56.39 ID:Is6wKRk90
───
研究者A「良かったんですか? あんなに早く帰して……」
ダルシム「……ああ」
研究者A「わざわざ月に何回も、まだ子供で体も弱いというのに遠路遙々少佐に会いに来ているのに……」
ダルシム「……オレにこの件には関わって欲しくない。これは私の復讐……巻き込めん。アイツには復讐なんて考えずに、普通に育ってもらいたいんだ」
ダルシム「カオリを失い、もしもオレまで失ってしまったら、私は・・・・・」
研究者A「少佐・・・」
<一週間後(実験継続の最後のチャンスの日)>
研究者A(あれから結局、54、55、56回目の実験も失敗した……。もうあとが無い)
研究者A(今日の57回目の実験が最後のチャンスだ……。失敗は許されない)
オレ「あの・・・」
研究者A「君は……オレ君」
オレ「こんにちは。父がいつもお世話になっています」 ペコリ
研究者A「あ、ああ」
37 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 17:56:11.24 ID:Is6wKRk90
オレ「それであの、父さんに会いたいんですけど……今、会えますか?」
研究者A「悪いけど今日は大事な実験があるから、しばらくは無理だと思う」
研究者A「応接室に通すよ。待てるのならそこで待てばいい」
オレ「あっ…大丈夫です。前にも行ったことあるんで、1人でも行けます」
研究者A「そうか……何かわかったら伝えに行くよ」
オレ「お気遣いありがとうございます。失礼します」 ペコリ
タッ、タッ、タッ、タッ…………
研究者A(……礼儀正しいいい子だな。俺の娘も……生きていたらあのくらいの年か)
研究者A「さてっ、そろそろアルタネィティブ中将が見えるころだ……。急がねーと」
<研究所内・応接室>
オレ(母さん……。どうすればいいんだろう)
ガチャ
太った男「まったく、まだ実験の準備が出来ていないだと・・・? 奴らはこの私を待たせようというのか!」
オレ「!」 (この人の服装は確か……父さんよりもずっと偉い軍人さんの……)
太った男「む・・・?」 (子供?)
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 18:00:41.03 ID:M7zNhfzA0
しえーん
39 :試作な俺-25話 支援感謝です:2011/09/14(水) 18:01:05.55 ID:Is6wKRk90
太った男「何故ここにいる。ここは子供が居ていい場所ではない」
オレ「え、あ、その……っ。ボクは父さんに……」
太った男「父さん? ……君の名前は」
オレ「……オレです」
太った男(オレ……。どこかで聞いたような───)
太った男「・・・そうか、君はダルシム少佐の……」
オレ「は、はい。息子です」
太った男「なるほど。父親に会いに来たとはそういうことか……」
オレ「い、いきなりすいません。おじさんって……父さんよりも、ずっと偉い軍人さんなんですよね?」
太った男「ん?・・・ああ。私は中将だからな。君の父の上官に当たるな」
オレ「・・・・・」
オレ「あ、あのっ…………」
太った男「んん?」
オレ「聞いてもらいたい話があるんです…………」
───
40 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 18:04:43.34 ID:Is6wKRk90
<数十分後・実験室>
ダルシム「どういうことだ、これは……」
オレ(実験カプセル内)「…………」
ダルシム「何故・・・何故オレが強化装置に繋がれているぅっ!!?」
研究者A「少佐……」
ダルシム「何をしているんだ貴様らはァ!!オレに何をしたぁ!」
研究者D「ち、違うんです少佐。これは……」
太った男「私が命じたんだよ、ダルシム少佐」
ダルシム「アルタネィティブ中将……!?」
太った男「部下達を責めないでやってくれ。彼らは私の命令に従ったまでだ。元々オレ君には魔力の素養があった筈だし、ちょうどよいのではないか?」
ダルシム「中将……。いくら中将とは言えども、こんな事を……!!」 ギリッ
太った男「おおっと勘違いするな。この状況は、彼が願ったことなのだから」
ダルシム「何・・・!?」
太った男「……そう。これは彼……オレ君が自ら望んだことだ」
太った男「オレ君は私に……自分を強化ウィッチの被検体にしてくれと懇願したんだよ」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 18:06:21.88 ID:O7EO4yXW0
支援支援
42 :試作な俺-25話 支援ありがとう:2011/09/14(水) 18:07:09.13 ID:Is6wKRk90
ダルシム「なっ・・・何をバカな!」
太った男「彼は私に相談したよ。 ”母の仇を討ちたい。自分自身の手でネウロイを滅ぼしたい。その為にも力が欲しい ”と」
太った男「そして彼は、我々がしていることにも何となく気がついていた。 父に頼んでも絶対に反対されるだろうから、上官であるこの私に頼んだのだ」
太った男「『ボクを被験体として使って下さい』・・・とな」
ダルシム「あ、有り得ん。そんなことが……!」
太った男「少佐。信じようと信じなかろうと、これは揺るぎない事実なのだ。そして既に……賽は投げられた」
ダルシム「!」
太った男「既にオレ君の強化処理は始まっている。もう引き返せん。ならば……君がすべき事は1つだろう?」
ダルシム(そうか、もう……)
ダルシム「・・・どけ、私が自分で操作する」
研究者E「は、はい」
ダルシム(既に強化処理は始まっている。もう俺を助けるには、実験の成功……俺を強化ウィッチにするしかない!)
ダルシム(待っていろ、俺・・・。必ずお父さんが助けてやるからな・・・・・!)
太った男(……ふふっ)
43 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 18:08:58.00 ID:Is6wKRk90
<数分後>
研究者F「検体の体内に異常発生! 拒絶反応です!」
ダルシム「ぐっ・・・ぬっ・・・!!」
研究者D「体内グリア値低下!インプラント同調率が、どんどん低下していきます!」
研究者A「少佐、このままでは・・・!」
ダルシム「わかっている!そのまま報告を続けろ!」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ
ダルシム(死なせるか・・・死なせるか! 必ず助ける!)
オレ(実験カプセル内)「あっ・・・ぐ、あァ・・・・・」 ガボゴボ
ダルシム(苦しいだろう?辛いだろう?オレ……。今、お父さんが助けてやるからな・・・)
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ・・・
<更に数分後>
研究者A「……同調率、安全領域にて安定。体内グリア値、及び全数値が正常値です」
太った男「おぉっ・・・!」
研究者A「やりました。実験は、成功です!」
44 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 18:11:13.32 ID:Is6wKRk90
研究者たち「やった、ついに成功だー!」「やったなオイ!ハハハハ!」「
初めて成功した!実験継続だー!」 ワイワイガヤガヤ
研究者A(・・・オレ君は無事だったか) ホッ
太った男「おめでとう、ダルシム少佐。実験成功だな」
ダルシム「」 ダッ!
研究者A「少佐!」
太った男「おや、こちらに目もくれないとは……。よほどあの子供が大事なようだな」
<隣の部屋(実験カプセルのある部屋)>
ガチャッ
ダルシム「俺!」
研究者A「危険です少佐! まだ迂闊に近づかれては───」
ダルシム「そんな事を言っていられるか!今ここに居るのはオレなんだぞ!」
研究者A「少佐…………」
ガシャン、シュウゥ~~~~~・・・
研究者A「……気を失っているだけのようですね」
ダルシム「すぐに別室に運ぶ。器具をつけるのを忘れるな!」
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 18:15:36.94 ID:12qArR8p0
支援
46 :試作な俺-25話 支援ありがとう:2011/09/14(水) 18:15:57.35 ID:Is6wKRk90
<別室>
オレ「・・・・・」(ベッドの上で眠っている)
太った男「良かったではないかダルシム少佐。初の実験成功……それもその被検体は君の息子だ」
太った男「しかも見ろ、この数値……素晴らしい! 我々の予測の範囲を遥かに超えている。間違いなくこの子は我々の未来を創る先兵となるだろう!」
研究者A「・・・・・」
太った男「さぁこれから忙しくなるぞ!何せ初めての試作体だからな。次の試作体や他の実験の為にも、大量のデータを取らねばならん!」
太った男「オレ君には彼自身の目標の為にも、たっぷりと働いて貰わねばな!はっはっはっ!」
ダルシム「アルタネィティブ中将、あなたという人は・・・」 ギリッ
オレ「んっ…………」 パチッ
研究者A「! 少佐、オレ君が目を覚ましました」
ダルシム「おお!」
オレ「…………? ? ……? ??」 キョロキョロ
ダルシム「オレ、大丈夫か?どこか痛んだりしないか?」
オレ「………………おっ……」
オレ「おじさん、だれ・・・?」
47 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 18:20:10.87 ID:Is6wKRk90
ダルシム「え・・・」
オレ「ここ、どこなの? オレって、誰の事・・・?」
研究者A「なっ・・・!」
オレ「父さんと母さんは……(ズキッ)痛いっ……!」
オレ「何、これ…………何も思い出せない」
研究者A(まさか、記憶が・・・!?)
オレ「何も思い出せない!何も思い出せないよ!! どうなっているの!?」
ダルシム「ま、待てオレ。落ち着け───」
オレ「い、いやだ!来ないで! こんなのいやだ!!いや!いや!!い───」
ドンッ
オレ「やっ・・・」ドサッ
ダルシム「!」
研究者A「……すいません。酷く錯乱していたようなので、少し眠ってもらいました。……少佐?」
ダルシム「オ、レ…………。何でこんなことに…………」
オレ「・・・・・・」
48 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 18:22:51.11 ID:Is6wKRk90
<数時間後>
研究者A「・・・駄目です、記憶は戻りませんでした。完全な記憶喪失のようです」
研究者A「少佐や母親や故郷のことや……自分の名前さえも、何一つ覚えていませんでした」
ダルシム「馬鹿な。こんなことが……」
太った男「恐らくは強化処理の影響だろうな。成功の代償に記憶を失ったということか」
太った男「しかし……そんなに嘆くことでもないだろう。寧ろ好都合ではないか?」
ダルシム「なに・・・!?」 ガタッ
太った男「これからオレ君は試作体の壱号として、様々な実験に臨まなければならない。中には過酷なものもあるだろう」
太った男「なまじ記憶が残ったままでは、父親に頼ってしまう。しかし君は彼を助けることは出来ん。その絶望がどれほどのものか、な」
ダルシム「じ、冗談ではない!オレを実験に巻き込めるか!」
太った男「少佐……。もはや彼の肉体は彼だけのものではない。唯一の強化成功体として、彼が実験に協力するのはもう確定事項だ」
太った男「それに……言っただろう?記憶こそ失ったが、これこそ『彼が願ったこと』なんだよ」
太った男「ならば……叶えてやろうじゃないか。復讐という彼の本懐をね」
ダルシム「し、しかしそんな……」
太った男「……いい加減にしろダルシム少佐。私は命令しているのだよ!」
49 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 18:27:34.68 ID:Is6wKRk90
ダルシム「ぐっ……」
太った男「オレ君が試作体としての使命を背負って生きて行くのはもう決まったことだ。なら・・・後は君の好きにしろ」
太った男「記憶を戻させようとするか否か……自分が父だと名乗り出るか出ないか、な」
カツ、カツ、カツ、カツ…………
研究者A(……すいません。少佐…………)
ダルシム「私、は・・・・・・」
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推奨BGM的なもの
<現在>
ダルシム「あの日……私の見てないところで何があったのかはわからない」
ダルシム「私が気づいた時にはもう……おまえは意識を失い強化装置に繋がれていた。あの時点でおまえを助けるには、もう強化ウィッチにするしかなかった……」
俺「そん、な・・・」
ダルシム「そしておまえは……強化成功の引き換えに記憶を失った。それが真の強化代償だったのだ」
俺「・・・・・・」
ダルシム「そして私は……捨てた。自分がおまえの父親であるということを」
ダルシム「オレと言う息子が居たという事実を・・・!」
50 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 18:29:55.44 ID:Is6wKRk90
俺「どうして……名乗ってくれなかったんだ? 父親だって……」
ダルシム「今思えば私は……怖かったんだ」
俺「怖い・・・?」
ダルシム「私だけの力では、初めての強化成功体となったおまえを、実験から守ることは出来なかった……。
父親だと名乗っていれば、当然おまえは私に助けを乞う。救済を求めた目で私を見る。しかし私はそれに応えることは出来ない……」
ダルシム「父に見捨てられ、助けてもらえないという絶望を与えるくらいなら、いっそのこと名乗らない方がいいと思った。何も知らせない方がいいと思った」
俺「…………」
ダルシム「そして何より、その目を自分へ向けられるのが……恐ろしかったんだ・・・」
俺「・・・なんだよ、それ」
絞り出すように声は出た。やり切れない、切ない、そんな思いを乗せて
俺「ふざけんな!何なんだよ!」
話された事実、明かされた呆気ない真実に対するどうにもならない叫び。血管が浮き出るほど拳を強く握りしめる
俺「そりゃあ……あんたからしたら怖かったのかもしれない!急に忘れられて……どうすることも出来なくて!」
俺「それなのに助けを求められたって、きっと辛いだけだろうさ!耐えられないだろうさ!」
ダルシム「…………」
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 18:31:08.65 ID:O7EO4yXW0
支援支援
52 :試作な俺-25話 支援ありがとう:2011/09/14(水) 18:32:03.17 ID:Is6wKRk90
俺「でも・・・!」
俺の脳裏に、かつての孤独と絶望が過ぎる
俺「例え利用されているのが分かってても……駒扱いだったとしても……」
俺「それでも俺は・・・誰かに傍に居て欲しかった!!!」
不安と孤独な中の戦い・実験だらけの日々を過ごすうちに、彼の心はゆっくりと壊れて行った
元が温厚な善人だったとしても、モルモット扱いされ続けければ心だって腐るだろう。そしてその先には諦め・絶望しかない
(俺の場合は、仲間が次々に死んでいくというのが強い負荷になっていた)
しかし、もしも傍に父親が居たら?
利用されていると分かっていても、駒扱いだとしても、父の為という思いがあれば?
”父 ”という光が近くにあることを知っていれば?
あの孤独と絶望は無かったのかもしれないし、2人の立場ももっと別のものになっていたのかもしれなかった
ダルシム「そうか・・・そうだったのか・・・・・」
ダルシム「そんなことにすら気づけなかったとは・・・ははっ。やはり私は・・・父親失格だな」 パラ、パラ……
俺「! な、なんだコレ……」
ダルシムの体が、足先から徐々に灰となって崩れ始めた
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 18:32:49.68 ID:O7EO4yXW0
ダルシム……
支援
54 :試作な俺-25話 支援ありがとう:2011/09/14(水) 18:38:02.47 ID:Is6wKRk90
バルクホルン(大佐の体が……)
俺「どういう事だよ、コレ……!」
ダルシム「……貴様らの ”首輪 ”を制御していた魔法は、呪いのようなものだ。言わばこれはその代償……」
ダルシム「命が消える時、骨も残りはしない。肉体は灰になり……やがて完全に消滅する。欠片も残らん」
俺「死ぬ、のか・・・?」
ダルシム「もう手遅れなのだろう。呪いがそう判断して体が灰になり始めた今、もうどうしようもない。もはや痛みも感じん」 パラ・・・パラ・・・
両足が膝まで灰になる。出血もしない
俺「おい死ぬなよ!まだ、あんたには聞きたいことが山ほど・・・!」
ダルシム「……これを」 スッ
俺「えっ……」
ダルシム「おまえの母……カオリの形見だ。家も焼かれ、もうこれしか残っていない……」
ダルシムは胸ポケットから取り出した母の形見……一つの指輪を俺に渡す。
俺が彼から指輪を受け取ると同時に、彼の手は灰となって崩れ落ちた。気がつけば両足は完全に灰となり、両腕も崩れ始めている
ダルシム「それはおまえが持っているといい。……大切にするんだ」
俺「待てよ、こんな・・・。こんな一方的に……!」
ダルシム「もう、どうしようもない」
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 18:39:47.79 ID:iQpFlSiG0
おい待てパパン、途中に明らかに私怨混じった虐待があった気が
……もしや美少女に囲まれて嫉妬を(ry
しえーん
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 18:39:54.10 ID:hPTzBQlF0
前予約していた者ですが19時半から20時に変更します
支援
57 :試作な俺-25話 支援感謝です:2011/09/14(水) 18:40:48.01 ID:Is6wKRk90
俺「ふざけるなよ……何なんだよそれ!」
そう言って俺は、両腕でダルシムを支える。必死に彼へ訴えかける
俺「今まで散々苦しめて来て!最後に父親だって明かして!それで死んじまうなんて・・・そんなのってありかよ!!」
俺「死ぬな!死ねなよ!生きろよォッ!!!」
ダルシム「……は、はは……」
ダルシム「まさか……、貴様にそんな事を言われる日が来るとは…………。運命とは、わからないものだな・・・・・」
胸の辺りまでも体が灰になり、両腕が完全に消滅する
俺「お、おいっ!」
ダルシム(……だが、一つだけ感謝しよう。自分勝手な話だが、捨てた筈の……息子の腕の中で死ねるのだからな…………)
パラ・・・パラ・・・
ダルシム(カオリ……。オレ…………)
ダルシム(すま・・・・な・・・い・・・・・・・・) パラ・・・ッ
俺「あっ…………」
ダルシムの肉体は、俺の腕の中で完全に灰となって崩れ落ちた
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/14(水) 18:42:59.67 ID:O7EO4yXW0
ダルシムェ……
支援
60 :試作な俺-25話:2011/09/14(水) 18:46:03.91 ID:Is6wKRk90
俺「・・・嘘だ」
灰となった彼の肉体が、指の隙間から床に落ちる
俺「嘘だ」
俺の足元に、父親だった白い灰が小さな山になる
程なくして、徐々に灰の山が消滅して行く
俺「嘘だ……!」
一分も経たないうちに、灰の山は完全に消滅した
俺「嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだウソだウソダウソダウソダ」
バルクホルン「俺…………」
俺「嘘だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアッ!!!!!」
朝日が水平線の向こうに顔を出し、ロマーニャの海を照らしていく
夜明けの光とは逆に、俺の心は深い闇へと沈んでいった
最終更新:2013年01月29日 15:36