『甦る翼』 その1




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



799 :試作な俺-26話:2011/10/22(土) 17:07:19 ID:TFM4SRy6


<三年前・某国研究所>

ドサッ!

栗色の髪の少女「うぐっ・・・」

所内の一室。それなりの広さはあるものの、寝具などの必要最低限の生活品しか置いていない素っ気ない雰囲気の部屋。
数人の兵士たちにより1人の少女が力ずくでそこに引き連られ、乱暴に部屋の中心へ投げ出された

金髪の少年「04!」

室内に居た金髪の少年は、ボロ雑巾のようになって連れて来られた栗髪の少女を ” 04 ” と呼び、すぐさま彼女に駆け寄る。
兵士たちはその様子を一瞥すると、そのまま足並みを揃えて部屋から去って行った

金髪の少年「ひ、酷い。こんな傷だらけに……」


ドクン・・・!


栗髪の少女「あっ・・・・・あぁ!」 ガクガク

終始グッタリとしていた栗髪の少女が、突然一回だけ大きく痙攣したかと思うと、首に手を当ててガクガク震え始めた。
その表情は恐怖で酷く青ざめており、両手で抑えている首には少々変わったデザインのチョーカーが付けられていた

「そいつから離れた方がいいわよ、01」

金髪の少年に対し、茶髪の少女が忠告する。
見れば室内には金髪の少年以外にも数人の少年少女がいるが、誰も栗髪の少女に近づいたりはしない。
全員冷ややかな目でその状況を見つめており、自分のスペースから出ようとしない。 ” 我関せず ” と言った感じだ

そしてその部屋に居る全員が、金髪の少年や栗髪の少女と同じチョーカーを首に付けていた


800 :試作な俺-26話:2011/10/22(土) 17:09:37 ID:TFM4SRy6

金髪の少年「何を言ってんだよ06! 04が死にかけてるってのに───」

栗髪の少女「い、イヤッ!死にたくない!あたしまだ死にたくないよ!!」

栗髪の少女「01・・・あたしたちの上位個体でしょ!?助けて!!死にたくない!!」 ガシッ

栗髪の少女は金髪の少年に縋り付き、懇願する


金髪の少年「ゼ、04・・・?」


栗髪の少女「い、いやだ!!死にたくない!死にたくないぃっ!!! 助けてっ、ねぇ01・・・!助けて!! 死にたくな───」


 ボ ン ッ !



栗髪の少女「い"・・・」 トサッ、コロコロコロ・・・


金髪の少年「え・・・ぁっ・・・・・」


栗髪の少女の首が爆発し、頭部が千切れ飛んだ


金髪の少年「う・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!! 04!!」

夥しい量の血飛沫が飛び、一番近くに居た少年の体を、部屋の中心を赤く染め上げる

「…………」

「あーあ、言わんこっちゃ無いわね」

{凄惨} クイクイッ


801 :試作な俺-26話:2011/10/22(土) 17:12:34 ID:TFM4SRy6

金髪の少年「ゼ、04・・・・・」

千切れ飛んだ少女の首。その碧い両の瞳は、じっと少年を見つめているように見えた

金髪の少年「うっ・・・おええええええ・・・・・」 ビチャビチャ

「1人だけ逃げ出そうとするからだっつーの。馬鹿が」

金髪の少年(04・・・何でこんな・・・・・)

金髪の少年「ゼロ・・フォ・・・ウ・・・・・」



─────



〈俺はあの時・・・気がついたんだ〉


〈逃げ出して自由になるなんて、絵空事に過ぎなかった。逆らって脱走しようとしたら……殺される〉


〈選択肢なんて始めから存在していない。俺たちが生き残る為には、従う以外の道はない〉


〈俺は・・・俺たちは、死ぬまでこの地獄から抜け出せない〉



〈実験……実験……、ひたすら実験だらけの日々。体を彼方此方強化され……脳まで弄くり回され……。仲間がどんどん死んで行っても、それだけは何も変わらなかった〉


〈やがて……いなくなった。俺以外のみんなは全員死んでしまった。うち1人は……俺が殺した〉


〈反抗の意志を見せれば、罰としてクスリを飲まされ、副作用の苦しみの中を放置される。苦しい思いはしたくない……〉


〈だから従うしかない。流れに身を任せ、破壊衝動のままに敵を殺すのはとても楽しかった〉


〈でも……戦いが終わって頭が冷えると、酷く惨めな気分になり……ひたすら虚しくなった〉


〈あの男が・・・アイツがそうさせた〉



〈それなのに・・・・・!〉


〈アイツが俺の実の父親・・・。有り得ない、有り得ない、有り得ない!!アリエナイ!!!〉


〈今まで散策苦しめてきて、それで今更死ぬ直前に父親だなんて・・・!有り得ない!〉


〈そうだ・・・夢なんだ〉


〈あんなの夢に決まっている。あんな酷い話が・・・現実であるわけがない〉



〈現実じゃないんだ〉


───


802 :試作な俺-26話:2011/10/22(土) 17:17:18 ID:TFM4SRy6


<実験部隊専用船ラオホウ・ダルシム私室>


『プロト04.女.被検体番号0181.個人データ……全て削除  固有魔法:「軌道操作」
 1942年△月○日、研究所より脱走。しかし翌日には捕らえられ、見せしめとして他の試作体たちの前で ” 首輪 ” を作動。処刑された。 最終撃墜数・146機』


『プロト03.女.被検体番号0144.個人データ……全て削除  固有魔法:「光の装甲(全方位強化シールド)」
 1942年□月○日、ネウロイとの戦いにより戦死。 最終撃墜数・98機』


『プロト02.男.被検体番号0113.個人データ……全て削除  固有魔法:「魔法刃精製+自由操作」
 1942年□月□日、高高度におけるネウロイとの戦闘中にストライカーを破壊され、そのまま海中へ落下して行方不明。死亡扱い。 最終撃墜数・252機』


坂本「…………」 ペラッ


『プロト01.男.被検体番号0057.個人データ……全て抹消  固有魔法:「魔力変換」
 1943年◇月○日、原因は不明だが能力の覚醒を確認。比類無き魔力の強さは、一種の暴走状態とも呼べるだろう。同月×日、辺境にある建造途中のネウロイの巣を単機で急襲。殲滅と巣の破壊に成功。
 しかしその直後、精神的ショックにより力の大半を消失。PSフィールド・強化シールドなどの基礎能力も使えなくなり、覚醒前の状態よりも弱体化してしまう。
 その後幾度となく行われた再覚醒の為の実験を経ても力は戻らず、効率は大幅に落ちるが弱体化したままでの量産の為のデータ採取を行う。再覚醒の可能性は極めて低いとの事。
 撃墜数(第501統合戦闘航空団移籍前)・131機+α(αとはネウロイの巣:1、及び小型中型大型超大型の無数のネウロイ(測定不能)である)』


坂本「暴走状態か……」

ミーナ「少佐? 何を読んでいるのかしら」

坂本「……いや、大した物ではない。そっちは何か見つかったか?」


実験部隊の離反、そして陰謀の発覚、壊滅という事件から、2日が経っていた

あの時、何故かインペラトールが去った為になんとか轟沈を免れたラオホウは、ギリギリ航行が可能だったので早急にロマーニャ基地へ移動させられた。
あちこちにビームが撃ち込まれてボロボロになってしまったが、まだ何とか船の形は保っている。しかし施設の半分ほどは吹き飛んでしまっていた

ミーナ「駄目ね。この部屋はまだ無事な方なんだけど……」

助手「散乱した資料やデータで滅茶苦茶ですね。足の踏み場も無いくらいですよ。……バルクホルン大尉は何か見つけましたか?」

バルクホルン「……これだ」 スッ

坂本「写真立て?」

バルクホルンが見つけたのは、高さ20cmほどの小さな写真立てだった。額面に付着した煤を拭き取ると……

ミーナ「幸せそうね」

坂本「そうだな」

バルクホルン「…………」


写真に写っていたのは、今より若干若く見えるダルシムと、黒髪の美しい女性。そして俺によく似た幼い子供だ。
子供は色白で体は弱そうだが、それでも元気いっぱい楽しそうに笑っている。父と母も笑顔で、如何にも幸せそうな家族の一枚だった。

ちなみにこの写真立てこそ、この部屋でバルクホルンがダルシムと対峙した時に落としてしまった ” 何か ” の正体であり、これによりバルクホルンは一足先に真実を知ったのだった(※25話)

ミーナ「大切なものを失って、大佐は狂ってしまった……」

バルクホルン「あの男はわかっていた、己の愚かさを。気が付いていたけど憎しみに抗えなかった」


〔『履き違えるなよバルクホルン大尉。そんな偽善的な感情は、もうとっくに 捨 て て い る 』〕

〔『疾うに私は狂っているのだよ。全てを失ったあの日からな!』〕


坂本「復讐、か……」

ミーナ「あなたは知っていたんですか? あの人と俺さんが……実の親子だということは」

助手「……いえ、知りませんでした」

バルクホルンはラオホウで起きた一部始終の出来事を皆に話し、全員には話さなかったが研究者Cとダルシムの明かした真実を、坂本・ミーナ・助手の3人に伝えていた

助手「私が知っていたのは、あの子が記憶を失った原因が強化の影響ということだけ。強化代償についてだけです」

坂本「強化代償とは確か……」

助手「強化ウィッチ達は強化成功の代償として、必ず ”何か ”を失っています。それが『強化代償』です」

助手「以前大佐がお話しした時(※19話)、あの子の強化代償は『身体能力』だと仰有られていましたが、それは嘘です。正確には、『身体能力+記憶喪失』というのが真の強化代償でした」

ミーナ「なら、五年前に本当は何があったかは、何も知らないんですね」

助手「はい。……あ、でも、Aさんなら何か知っているかもしれません。Aさんは確か、研究チーム設立前から大佐との付き合いがあると聞いていましたし」

坂本「しかし、あの研究者は……」

一同「…………」


バルクホルン「……それで、俺の様子は?」

助手「今は眠っています。それはもう静かすぎるくらいに」

バルクホルン「容態は? 目を覚まさないのか?」

助手「……あの子の体はもう限界なんです。感覚消失に続いて起きる自我の消失の危険性も考えられますが、それ以前に体自体も危ない状態です」

助手「元々は最終実験で使い切られる予定でしたので……もう余分な生命力は残っていません」

バルクホルン「…………」

助手「現状維持を続けた場合でも、あの子に残された時間は……長く見積もっても1ヶ月程度です」

坂本「1ヶ月!? そんなに短いのか!?」

ミーナ「そんな……」

バルクホルン「……救う手立てはないのか?」

助手「現在あの子の体を蝕んでいるのは、体内に蓄積された覚醒薬(γ─グリフェプタン)と、未だ稼働中のネウロイのコア(インプラント)の2つです」

助手「だから体内からγ─グリフェプタンを除去し、インプラントを停止させて体とのリンクを外す手術を行えば……全ては元通りに。感覚消失や寿命の短縮も治る筈です」

バルクホルン「そうか……治るんだな」

助手「はい。……ですが一度施した強化処理を解除するのは、非常に困難な作業になると思われます」


804 :試作な俺-26話:2011/10/22(土) 17:25:42 ID:TFM4SRy6

ミーナ「手術の成功率はどれくらいなの?」

助手「あの子の体が持つかどうかにかかっていますが、成功率は三割から四割程度だと思われます」

坂本「……半分にも満たないのか」

ミーナ「じゃあ、もしも失敗したら俺さんは……」

助手「いえ、そんなことにはさせませんよ。そうなってしまわない為にも、私が居るんです」

助手の眼には、決意の光が灯っていた

助手「あの子の命が尽きるまでに、私が絶対に救ってみせます。必ず」

スッ

バルクホルンは、そっと助手に手を差し伸べる

助手「バルクホルン大尉」

バルクホルン「あなたの創った解除薬が、首輪を破り大佐の呪縛を断ち切った。そのおかげで私は俺を救えた」

助手「…………」

バルクホルン「だから私は、またあなたを信じる。信じさせてくれ」

バルクホルン「俺の事を頼む」

助手「……はい!」

2人は固い握手を交わした

坂本「話は纏まったな」

ミーナ「良かったわね」 フフッ

バルクホルン「ああ。……そういえばミーナ、そろそろじゃないか? あの作戦が始まるのは」

ミーナ「えっ? ええ。もうそろそろ開始時刻よ」

助手「作戦……? 何の作戦ですか?」


坂本「実験の支援者であり、その裏で反乱を企んでいたグランディラーネ・アルタネィティブ大将……」


坂本「その企みが明らかになった今、彼らに対する制圧作戦が開始される。まもなく始まる筈だ」



────────────────────




<某国極寒の地・軍事基地>


ドンッ!

太った男「くそっ!!役立たず共が!」


都市部より遠く離れた軍事基地、その最奥の部屋。そこに1人の男が居た

男は毒を吐きながら表情を歪ませて机を強く殴りつけ、怒りに身を震わせる。鈍重そうな肥えた体は、幾つかの勲章をつけられた軍服に包まれていた


兵士「二番三番ゲートが持ちません!突破されそうです!」

太った男「何を手こずっている!相手はそこまでの数でもない筈だろう!?」

兵士「そ、それがっ、相手方にウィッチが居るようで……。こちらの戦力も十分に集結していませんし……」

太った男「えぇい! 忌々しい魔女共が!!」


元々得意ではなかったのだ。
男は裏でコソコソと根回しして謀殺・工作などの闇に紛れて戦う才には恵まれていたが、こういった直接的な戦闘。しかも戦力差を覆すような指揮能力は持ち合わせていなかった。

第一まだ戦う為の準備が不十分だ。強化ウィッチは量産体制に入っておらず、とても世界をひっくり返すような戦力は有していない

実験部隊がウィッチーズの抹殺に失敗し、更にその後始末役だった研究者Cが役目を果たせず、その上クーデターという企みが露顕してしまった事は、男の計画に致命的なダメージを与えてしまったのだった


太った男(おのれダム・ダ・ダルシム……! 奴さえしくじらなければ、こんな無様なことには……!! 無能が!)

太った男(CもCだ!何の為に潜入させたと思っている!肝心な場面で失敗しおって……使えん男め!!)

実際はインペラトールを暴走させてラオホウを襲わせた時点で、研究者Cは己の役目を終えていた。(何故かインペラトールが攻撃を止めて逃亡したので、結果的には失敗という事になったが)

だが、男にはそんなことはどうでもよかっただろう


今となっては、全てが手遅れだった


806 :試作な俺-26話:2011/10/22(土) 17:31:32 ID:TFM4SRy6

ドッガァァァァァァァァンッ!!!

太った男「!」

兵士「た、大将! お逃げ下さ──ぎゃぁっ!」 ドサッ

制圧部隊「」 ザッザッザッザッ

武装した兵士たちが爆音と共に室内に突入し、瞬く間に内部を制圧して男へ銃を向けた

太った男「ぐっ……くッ!」 チャキッ

男も一応拳銃を構えるが、どう見ても多勢に無勢だった。
そして兵士たちの後ろから、1人の女性が姿を現す

ウィッチ「ターゲットを発見しました。……はい。拘束します。了解」

太った男「……ウィッチか」

ウィッチ「既にこの基地は我々の部隊が制圧しました。抵抗は無意味です」

ウィッチ「銃を捨て、投降して下さい。グランディラーネ・アルタネィティブ大将」

太った男「…………」

ウィッチ「あなた方が今までしてきたこと。そしてこれからしようとしたことは、ストライクウィッチーズとその協力者により全て明るみに出ました。……どうか潔く、法のもとに裁きを」

太った男「どうせ極刑なのだろう。それなのに私が大人しく着いていくと思うのか?」

ウィッチ「……力ずくでも来てもらいます。あなたには償う義務がある」


807 :試作な俺-26話:2011/10/22(土) 17:33:44 ID:TFM4SRy6

太った男「クハハハハハ……」

太った男「 ” 魔導砲 ” が完成し、強化ウィッチ達も量産目前。我が野望……あと、一歩であったものを……」 トサッ

ウィッチ「……確保を」

男は銃を下ろし、そのまま床に捨てた。ウィッチの指示に従い、兵士たちがゆっくりと男に近づく


太った男「……殺せんよ」

ウィッチ「何……?」

太った男「貴様のような小娘では、この私は殺せない」

太った男「……いや、誰も俺を殺せない。誰にも俺を殺すことなんて出来ない!俺は誰にも傷つけられない!俺は誰にも殺されない!!」

ウィッチ「何を言っている……?」


太った男「殺せない!殺せない!俺は死なない!! 俺が王だ! 支配者だ! 全ての人間は俺の為に働き俺の為に死ね! 俺が絶対者!俺が法! だから俺は誰にも殺されない!!!」


ウィッチ「……まさか」


太った男「俺は誰にも…………殺されんぞおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


ウィッチ「よせっ!やめろぉ!!」


ガチンッ!ドサッ!!


強く口を閉じて歯音を部屋に響かせた直後、男はビクンと大きく一回痙攣して倒れ、そのまま動かなくなった


808 :試作な俺-26話:2011/10/22(土) 17:35:01 ID:TFM4SRy6

ウィッチ「歯に毒を……くっ!」

即座にウィッチが駆け寄り、蘇生処置を施そうとする

しかし、もう男は完全に事切れていた

ウィッチ「……なんてことだ」

制圧部隊兵「隊長……」

ウィッチ「……本部、こちら制圧部隊、聞こえますか?応答して下さい」


ウィッチ「任務は失敗に終わった。ターゲットは捕縛直前で自害した。繰り返す……」


ウィッチ「クーデターを画策していたグランディラーネ・アルタネィティブ大将は、こちらが捕縛する直前で歯に仕込んでいた毒を飲み…………」



ウィッチ「自害した」



────────────────────


830 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 17:22:20 ID:kLFXTYNY


<数日後>

助手「あの子の手術を行える目処が立ちました」

坂本「もう出来るのか?」

助手「はい。後押ししてくれる物も見つかりましたし」 パサッ

ミーナ「この書類は?」

助手「体内インプラントの停止と、γ-グリフェプタンの除去……つまり、あの子を助け出すための研究が書かれた書類です」

助手「……今朝、大佐のデスクの隠しスペースから発見しました」

坂本「大佐の部屋から・・・どういうことだ。何故あの男が……?」

助手「どうやら大佐は……強化処理を解除する為の研究を独自で行っていたようです。私たちは何も知らされていませんでしたし」

バルクホルン「まさか大佐は俺を救おうとしていたとでもいうのか? その為に研究を?」

助手「大佐が亡くなった今となっては、それは誰にも分かりません。あの人がどうしたかったのか、俺のことを救うつもりがあったのか……」

助手「……でも、この研究データは私たちの手元にある。それは今ここにある、揺るぎない ” 真実 ” です」

助手「この大佐の研究……そして、私自身が行っていた研究を合わせれば、手術を行えます。ですが……」

ミーナ「何か問題が……?」

助手「……こちらの予想以上にあの子の衰弱が激しく、もう長くありません。持ってあと3日……。
   もう本国の研究所へ移送する時間も無いですし、それにもあの子の体が耐えられない」

助手「今夜は準備をし、明日正午……この基地で手術を行います。これが最初で最後のチャンスです」

坂本「最初で……」

バルクホルン「最後……」

ミーナ「だけど、そんな大変な手術をあなた1人で出来るの? 何かこちらが出来ることは……」

助手「いえ、1人じゃありませんよ」

坂本「何?」

助手「入って下さい」

ガチャッ

研究者B「…………」

バルクホルン「っ! おまえは……!」

助手「待って下さいバルクホルン大尉。Bさんが今回の手術を手伝ってくれる人なんです」

バルクホルン「この男が……、信用出来るのか?コイツは実験部隊の一員なんだぞ!」

助手「そんなことを言ったら、私だって実験部隊の一員です。……私はこの人を信じます」

ミーナ「聞かせてもらえないかしら。一体どういうつもりで俺さんの手術に協力を?」

研究者B「……目の前で救える命があるのなら、救おうと思っただけだ」

バルクホルン「何を今更・・・! 散々奪っておきながらそんなこと言って、信用できるか!」


坂本「一体どういう心変わりなんだ?」

研究者B「・・・俺には親友と呼べる男がいた。……しかし、今はもういない。ネウロイに殺されたんだ。あの……ダイナモ作戦の最中で」

ミーナ&バルクホルン「!」

坂本「…………」

研究者B「馬鹿な奴だよ。魔力を持っていたりした訳でもないのに、恋人であるウィッチの手助けをする為に夢を捨ててまで軍に入り……その結果死んでしまった」

ミーナ「…………」

研究者B「俺は憎んだ。ネウロイや名前も知らないそのウィッチをじゃない。自分の無力をだ。アイツを止めることも助けることも出来なかった」

研究者B「俺はその時には既に研究者として働いていたんだが、何もかも虚しくなったよ。自分のしてきたことは何だったんだ。
     ストライカーやウィッチがいたって、それだけでネウロイに勝てるわけじゃない。悪化する戦況と共に、俺にはウィッチや自分自身が信じられなくなっていった」

バルクホルン「…………」

研究者B「そんな時だ、ダルシム大佐に声を掛けられたのは。絶対的な力、圧倒的な力。自分の研究ならそんな兵士を創り出せる。ネウロイを倒し、世界を救うことが出来る!」


研究者B「俺は大佐に着いて行くことに決めたよ。実験の闇や抱えている事情も聞いたが、そんなことはどうでもよかった。
     ただ、自分の能力を役立てたかった。その為にはあの人の所が一番だと思ったんだ」

バルクホルン「…………」

研究者B「だけど俺は……間違っていたみたいだな。大佐は死に、実験は瓦解した。勝ったのはおまえ達だ」

助手「Bさん……」

研究者B「今の01を救えるのは、助手と俺の2人だけだ。これだけで償えるとは思っていない。だが……どうか俺にも手伝わせて欲しい」

研究者B「頼む」 ペコッ


833 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 17:37:30 ID:kLFXTYNY

助手「皆さん、私からもお願いします」 ペコッ

坂本「助手軍曹」

助手「Bさんの力が必要なんです。お願いします」

バルクホルン「……わかった。助手軍曹がそう言うなら、信じることにする」

助手「バルクホルン大尉……!」 パアァ

ミーナ「いいのかしら?トゥルーデ」

バルクホルン「ああ。……2人もそれでいいだろうか」

坂本「私は異存ない」

ミーナ「トゥルーデがそう言うなら、私が文句を言うわけにはいかないじゃない」

研究者B「すまない。そして……ありがとう」

バルクホルン「俺を頼む」

助手「任せてください。ここから先は、私達の戦いです」

助手「行きましょう、Bさん!」

研究者B「ああ」 コクッ


ガチャッ、キィッ……ガチャン!


834 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 17:43:47 ID:kLFXTYNY

<その日の夜・基地内談話室>

ミーナ「……以上が哨戒のシフトです。明日からはその表に従い哨戒任務にあたって下さい」

エーリカ「哨戒強化かぁ……」

ミーナ「オペレーション・エピオンが終わってから今日で10日。だけどリーブラ以降のネウロイは、小型1機も報告されていないわ」

シャーリー「良いことじゃないか。きっと虎の子のアレを落とされたから、奴らの戦力もズタズタなんだろう?」

ミーナ「それなら良いのだけれど……警戒するに越したことはないわ。静か過ぎるのよ。ネウロイも、その巣も」

サーニャ「確かリーブラも、何の前触れも無く現れたんですよね? 俺さんの助言が無ければ発見が遅れていたかもしれないって……」

ミーナ「ええ。……とにかく、明日からは各員説明した通りに哨戒して下さい。敵を見つけても、絶対に深追いしないように」

坂本「それと、宮藤とリーネは基地待機だ。ストライカーが壊れていては飛べないからな」

ルッキーニ「あれ、まだ修理終わってなかったの?」

ミーナ「オペレーション・エピオンの影響で、どこも物資が不足してて資材の搬入が遅れているのよ。修理にはもう少し時間がかかるわ」

坂本「あれだけの規模の作戦だったからな。どこもまだ大なり小なりゴタゴタしている」

坂本「補給を考えると、3日もすればまた飛べるようになる筈だ。そうしたら飛べなかった分を取り戻す為にも、みっちり訓練だ!覚悟しておけよ?」

宮藤「は、はい!よろしくお願いします!」

リーネ「お願いしますっ!」


835 :名無しの俺:2011/10/24(月) 17:47:03 ID:v1Lo79YA
試作さんが来ていたーーーー!!
支援ー!!


836 :試作な俺-26話 支援感謝です:2011/10/24(月) 17:47:51 ID:kLFXTYNY

ミーナ「……それと、逃走したインペラトールは未だ発見されていません。あれから一週間以上も経つのに一度も姿を現さないわ」

ミーナ「どこで何をしているのか、何を企んでいるのか、全く分かっていません。場合によってはネウロイよりも危険な相手です。遭遇しても、絶対に深追いしないように」

サーニャ「はい」

エイラ(もしも私とサーニャが哨戒の時に現れたら……その時は絶対に私がサーニャを守る!)

エーリカ(出来ればもう戦いたくないような相手だったけど……そうも言ってられないよなー)

ミーナ「……そして最後に、俺さんについてです」

一同「…………」

ミーナ「現在俺さんは昏睡状態で……明日、手術が行われます」

ミーナは父親などの記憶喪失関係や、感覚消失のこと、俺にはもう時間が残されていないことを伏せたまま、掻い摘んで事情を隊員に話した


宮藤「体内のネウロイのコアを停止させる為の手術……。俺さんを人間に戻す……」

ペリーヌ「あの、コアの摘出は出来ないんですか? そのままにしておくのは危険なのでは……」

シャーリー「そうだよな。体ん中にネウロイのコアが残るんじゃ、なんかな……。物騒だ」

ミーナ「残念だけど、一度埋め込まれたコアを取り除くことは不可能らしいの。停止が精一杯だそうよ」

ミーナ「だけど、今回はそれでも問題ないらしいわ。手術が成功すれば全てが元通りになる。……それだけに非常に困難な作業らしいけれど」


837 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 17:54:55 ID:kLFXTYNY

リーネ「困難な作業って……」

ミーナ「ええ。一口に ” 手術 ” と言っても、私達が知っているような体を切り開いたりするそれとは違うわ。専用の機械を使って行われるの」

ミーナ「大丈夫。きっと俺さんは元気になって、またすぐに飛べるようになるわ」 ニコッ

エーリカ(あくまで手術が成功すれば……だろうけどね)

ミーナ「だから、信じましょう。あの人たちを信じて、私達は私達に出来ることをしましょう」

一同「…………」

ミーナ「これで通達は以上です。では……解散」

宮藤(俺さん……)


<そして翌日>

基地内の一室。そこには普段は見られないような大型の機械が幾つも運び込まれ、その中心にはカプセル内で眠る俺が置かれた。
全身にコードを繋がれて呼吸用のマスクを装着をした姿は、先日バルクホルンが見たときと同じ姿であった(※19話)

薄暗い部屋の中で助手と研究者Bは、制御パネルを操作し続けていた

助手「いよいよですね」

研究者B「ああ」

助手「アラキドノイル……足りると思います?」

研究者B「数値的には足りる筈だ。計算上で必要なのが約12本。ここにあるのが24本……」

研究者B「こういった時に不測の事態は付き物だが、出来るだけの準備はしたんだ。これ以上はどうしようもないだろう」

助手「そうですよね……。船倉を始めとした船内は探せるだけ探しましたし、本国の研究所からクスリを送ってもらうにしても、時間が足りませんから……」

研究者B「今はこれが精一杯だ。これで出来るだけのことをするしかあるまいよ」

助手「そうですね……」

研究者B「じゃあ、始めよう。こいつを実験体の鎖から解放する為に」

助手「……はい!この子を人間に戻してみせます!」


助手(待ってて下さい、俺。今私が助けます……。だから俺も生きて下さい。死なないで下さい)


助手(私はまだ、あなたに言いたいことがあります。だから……だからお願い)


俺(カプセル内)「…………」


助手(生きて・・・!)


─────

” 手術 ” が始まり、装置の作動音が基地内に低く響き渡る

助手と研究者Bは額に汗を浮かべながら、一生懸命に手を動かし続けた


838 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 17:58:57 ID:kLFXTYNY
ストライクウィッチーズ各員は、仲間の生還を信じてそれぞれ己が為すべきことに集中する

ある者は近辺を哨戒し、ある者は上層部への報告をまとめ、ある者はひたすら待ち続ける

もとより強化ウィッチの手術など専門外。ひたすら信じて待つしかなかった


─────そして5時間後─────


研究者B「ここまで来て抵抗値279だと・・・!?アラキドノイルは!」

助手「あと三本です!これじゃあ・・・」

研究者B「くそっ!一本分足りねぇ・・・!あとたった一本だけあれば、助けられるってのに・・・!」

助手「わ、私ラオホウを見て来ます!もう一回船倉とかを探せば、一本くらい見つかるかもしれません!」

研究者B「・・・いや、俺が行く。お前は残れ」

助手「えっ、でも……」

研究者B「いいから傍に居てやれ。……それに、こう言った作業はお前の方が得意だ。だから俺が行く」

助手「……わかりました。それならBさんが戻るまでの間、私が絶対にこの子を持たせてみせます」

研究者B「……頼んだ。ヘマするなよ」

助手「はい!」


─────

バルクホルンはじっと扉を見つめ、ただただ待ち続けていた。
今にも扉が開いて、手術を行っている2人が成否を告げに来るかもしれないと考えると、とても眠ってなんかいられない

助手たちを信じる、信じたいとは思っているものの、教えられている成功率の低さを考えるとやはり不安になる。
強化ウィッチや医療の知識を持ち合わせていない為に、バルクホルンには手術の全容が想像もつかない。その事実が、更に彼女の不安を加速させる

次にこの扉が開き中から出てくる人物は、手術の成功を告げるかもしれない。もしくは、仲間の死を告げるかもしれない。
その瞬間まで答えはどちらか分からない。そのことを考えると、不安で仕方がなかった


バルクホルン(「待つ」というのは・・・こんなにも辛いことだったんだな)


生かさず殺さず、真綿で首を絞められるような感覚

まるで体に爆弾を着けられて誰かにそのスイッチを握られ、今にもそれを爆発させられるかもしれないという感覚

言いようの無い焦燥感ともどかしさ、そして地に足が着かないような圧倒的な不安が、バルクホルンを苦しめ続けていた


バルクホルン(ついこの前までの俺も……こんな嫌な気持ちを味わいながら過ごしていたのだろうか。確かにこれでは生きた心地がしないな……)

手遅れになる瞬間までそのことに気がつけなかった自分をハハと自虐的に笑いつつ、時計に視線を送る

バルクホルン(五時か……)

ルッキーニ「うじゅ……」

シャーリー「眠くないか?ルッキーニ」

ルッキーニ「ううん、大丈夫」

エーリカ「もう五時間……。やっぱり一筋縄じゃいかないんだね」

バルクホルン「ああ。…………ん?」


< ─────! ─────!!


宮藤「何か言い合ってるみたいですよ?」

エーリカ「どうしたんだろう」


ガチャッ

研究者B「・・・・・」

バルクホルン「どうしたんだ。何があった・・・?」

研究者B「! ……ちょうどいい。お前たちにも手を貸して貰いたい」

宮藤「あっ、はい。私たちに出来ることなら」

シャーリー「何をすればいい?」

研究者B「時間が無いから手短に説明する。ついて来てくれ」

そう言ってBは移動を始め、バルクホルンたち5人もそれについて行く

足早に移動しながら、研究者Bが説明を始めた

研究者B「時間が無いから手短に説明する。場合によっては……覚悟を決めてくれ」

バルクホルン「・・・!」

その言葉を聞いて5人は息を呑んだ

研究者B「今手術を行っているのは当然知っていると思うが、状況があまり良くない。クスリが足りなくなりそうなんだ。
      こちらが想定していたよりも遥かに抵抗が激しく、必要量の二倍も用意していたにもかかわらずにだ。
      あとほんの少しそのクスリがあれば、01を助けることが出来るんだが……」

ルッキーニ「じ、じゃあ今はラオホウにそのクスリを取りに向かっているの?」

研究者B「ああ、だが知っての通りラオホウはインペラトールの攻撃で滅茶苦茶だ。そのクスリを保管していた部屋も、攻撃で穴だらけになってしまった」

研究者B「そして事前に俺たちが用意出来たのが24本。多人数で室内を探したが、使えるのがそれしか見つからなかったんだ。
     当初の予定では足りる筈だったんだが、足りなくなってしまった今となっては、もう一度あそこを探さないとならない」

エーリカ「じゃあ、私たちはそれを探すのを手伝えばいいんだね」

研究者B「そうだ。ウィッチの力があれば、デカい瓦礫の下とかも探せるだろうからな」

シャーリー「そういう事なら任せておけよ。こっちには力だけなら誰にも負けない奴が居るんだ。なっ?」

バルクホルン「…………」

宮藤「バルクホルンさん……?」

バルクホルン「あっ……、ああ。大丈夫だ。任せてくれ」

エーリカ(トゥルーデ、やっぱり不安なんだね……)


シャーリー「それで、そのクスリってのはどんな奴なんだ?」

研究者B「これだ」 スッ

研究者Bは移動しつつ懐から、ボールペンほどの細長いプラスチック容器を取り出した

ルッキーニ(・・・あれっ?)

バルクホルン「これは確か……俺が戦闘時に飲んでいる ” γ-グリフェプタン ” とか言う覚醒薬ではないのか? 以前俺に見せてもらったことがある」

研究者B「いや違う。コイツは ” アラキドノイル ” 、γ-グリフェプタンの副作用を治す治療薬だ。向こうは白ずんだ色だが、こいつは無色透明だろ」

バルクホルン「そう言えば……確かに」

シャーリー「よし、それを探せばいいんだな? 一本くらい見つけられるだろ!」

エーリカ(こんなちっちゃい物をそんな簡単に見つけられるかなぁ……)

ルッキーニ「…………」

宮藤「ルッキーニちゃん、どうしたの?」

ルッキーニ「……うーーーん。やっぱり気のせいじゃないのかもぉ……」

宮藤「?」

シャーリー「どうしたんだよルッキーニ」

ルッキーニ「ねぇ。そのクスリの入れ物、もう一度見せてちょーだい?」


842 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 18:17:15 ID:kLFXTYNY

研究者B「……? ほらよ」 スッ

研究者Bが差し出した空のプラスチック容器を受け取り、まじまじと眺めるルッキーニ

ルッキーニ「ん~~~・・・。やっぱり・・・」

シャーリー「何を1人で納得してるんだよ。ルッキーニ」

ルッキーニ「・・・うん。間違いないよ」



ルッキーニ「あたし・・・その『あらきどのいる』ってクスリ、持ってるかも」


 ピタッ・・・


ルッキーニの言葉を聞いた途端、全員が足を止めて彼女に注目した

バルクホルン「なっ、なに・・・!?」

研究者B「おいウィッチの嬢さん。冗談聞いてる時間なんざ無いんだよ。部隊の違うあんたがうちの機密の品を持ってるわけ───」

ルッキーニ「冗談なんかじゃないもん!本当だよ!」

研究者B「・・・マジ?」

シャーリー「本当なんだな?ルッキーニ」

ルッキーニ「うん」 コクッ


843 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 18:21:19 ID:kLFXTYNY

研究者B「どういう事だ・・・?何故ウィッチがアラキドノイルを……」

バルクホルン「そんな事情は後でいい!そいつはどこにあるんだ?」

ルッキーニ「多分、あたしの部屋に……」

バルクホルン「」 ダッ!

ルッキーニ「あっ!待ってよバルクホルン~!」 タッタッタッタッ……

エーリカ「……どういうことなの?」

シャーリー「あたしにもわかんねー。……でも、何か忘れているような・・・・・?」


<数分後>

宮藤「あっ、戻ってきました」

タッタッタッタッ……

バルクホルン「これか・・・!?」

そう言ってバルクホルンは、研究者Bへ一本のプラスチック容器を手渡した

研究者B「!! 間違いない……。アラキドノイルだ」

バルクホルン「よ、よかった……」 ホッ

研究者B「これで手術を続けられる。協力に感謝する!」 ダッ


844 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 18:26:56 ID:kLFXTYNY

短く礼を済ませると、研究者Bは走り去って行った

タッタッタッタッ……

ルッキーニ「バ、バルクホルン足速すぎぃー・・・」

シャーリー「おかえり、ルッキーニ。やったな!」

エーリカ「お手柄だなー、ルッキーニ」

ルッキーニ「ふぇ・・・?」

宮藤「凄いよルッキーニちゃん!」

バルクホルン「クスリは本物だった。ありがとう、ルッキーニ少尉」

ルッキーニ「そうなんだ。よかったぁ~・・・」 ホッ

宮藤「だけど、何でルッキーニちゃんがあのクスリを持っていたの?」

ルッキーニ「そ、それは─────」


~~~~~~~~~~~~


〔『他には~……。あれ、何コレ?』〕

〔『薬じゃないか?』〕

〔『クスリ?え~、クスリ嫌い~!』〕

〔『案外、虫に効く薬かもな』〕

〔『ムシに!?』〕

〔『はははっ、どうだろうな~』〕

〔『うーん・・・』〕

~~~~~~~~~~


シャーリー「ああ"っ!あの時か!」(※8話)

バルクホルン「盗んだのか・・・」

ルッキーニ「ごっ、ごめんなさい!後でちゃんと返すつもりだったけど、そのまま忘れちゃって……。
       それでさっきあの入れ物を見て、ようやく思い出したの……」

宮藤「泥棒は駄目だよ、ルッキーニちゃん」

ルッキーニ「うじゅ……」 ションボリ

バルクホルン「……だが、今回はルッキーニ少尉の悪戯が巡り巡って俺を救うことになったんだ。今回だけは感謝しよう」

シャーリー「そうだ、お手柄だぞルッキーニ」

ルッキーニ「う、うんっ!」 パアァ


845 :試作な俺-26話:2011/10/24(月) 18:29:03 ID:kLFXTYNY

宮藤「よかったね、ルッキーニちゃん」

ルッキーニ「えへへー」


エーリカ「これで後は……あの人たち次第だね。うまく行くかな?」

バルクホルン「うまく行くさ。きっと」


バルクホルン(私たちに出来ることはやった。あとは───) 

バルクホルン(生か死か。それは神のみぞ知ること、か…………)


ギュッ……


以前俺に贈られたペンダントを、そっと握りしめる


バルクホルン(帰ってこい、俺)


バルクホルン(私だって、おまえに生きていて欲しいんだ……。もしもこのまま死んだりしたら───)


バルクホルン(地獄の果てまで追いかけて行って、その面をひっぱたいてやるからな・・・!)



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最終更新:2013年01月29日 15:36