流星 6
225 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 07:43:05.60 ID:sM2JeECD0
前スレ>>844から
………
……
…
数日後、作戦が発令された。
サイマ湖とラドガ湖をつなぐ川。
その橋にかかるヴォスク鉄橋を破壊する。それが任務だ。
この川にかかる全ての橋はネウロイ側の進行の手助けになる。
それを爆撃するのが当面の作戦。その一回目が今日というわけ。
俺「俺も爆撃か」
ハッキネン「あなたは爆弾を持ちながらも攻撃できます。もしもの時は中隊を守ってくださいね」
ニッコリとこちらに笑いかけるが、その目は全く笑っていない。
智子「大丈夫よ。敵さんなんて出てこないわ。最近の爆撃行だって、ずいぶんと数を減らしてるし」
キャサリン「ま、楽な任務でよかったねー」
護衛には第一中隊がでるというし、まあ楽な任務と見て間違いないだろう。
隊には楽勝だという空気がながれている。ただひとりを覗いて。
ビューリング「‥‥」
作戦説明を適当に聞き流し、ハンガーへと向かった。
226 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 07:46:09.91 ID:sM2JeECD0
皆が発進準備を整える間、俺は暇だ。
これから持っていく爆弾の資料を読む。
60キロ航空爆弾。鉄橋の資料からするとこれでは少々頼りないように思えるが。
ふと目をやると、智子とビューリングがなにか言い合っている。
今回は珍しくビューリングのほうが熱くなっているようだ。
たぶん俺には関係の無いことだろう。話を盗み聞きするのもあれだし、俺は資料を読むのに集中した。
‥‥そういえば結局智子は"あのこと"を覚えていないようだった。まあ、よかったと言っておこう。
全員が爆弾を抱え発進準備を整える。
60キロの爆弾を年端も行かない少女たちが抱えるのは"普通"無理であろうが、
ここにいる彼女たちは魔女なのでたやすいことだ。俺だけは魔法で浮遊させているが。
「スオムス一番、オーティーアール」
「リベリオン一番、オーティーアールねー」
「扶桑二番、オーティーアールですっ!」
「カールスラント一番、オーティーアール」
「……ブリタニア一番、オーティーアールだ」
リ ュ ウ セ イ
「シューティングスター、オーティーアール」
‥‥俺だけ固有の名前というのもおかしいものだが。慣れとは恐ろしい。
R O L L L A D I E S
「義勇独立飛行中隊、離陸せよ」
レディーズ‥‥か。
227 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 07:49:27.64 ID:sM2JeECD0
………
……
…
ヴォスク鉄橋までは少し遠い。その間にラロスが何機か出てきていたが、
護衛の第一中隊が適当にあしらってくれた。
妙なのはやけに弱かったことだ。
第一中隊が強くなったということも考えられなくはないが、あれは目に見えて弱かった。
まあ、脅威にならないならそのほうがいいに決まっている。
しばらくすると鉄橋が見えてきた。
アレを破壊する‥‥それが今回の任務だ。
と、右方の遠くの空に黒い点が見えた。何十も。
俺「おいおい‥‥何だあの数」
キャサリン「こりゃ、ちょっとまずいねー」
ハルカ「ネウロイさーん、今こっちは戦えませんよー」
苦笑しながら語る隊の面々。こんな状況であの数に襲われたらたまったもんじゃない。
智子「大丈夫よ。第一中隊がやってくれるわ」
見ると、第一中隊が黒い点達へ向かって加速していった。
228 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 07:52:14.40 ID:sM2JeECD0
………
……
…
第一中隊が黒い点と交戦し始める。
いつものように上空からの矢のような攻撃を叩き込む。
が、いかんせん数が多く、一回や二回の突撃だけでは全滅させるのは無理そうである。
それよりも気になるのは、その点達がまっすぐこっちに向かってきていること。
智子「ちょっとどういうことよ」
さすがにその異変に皆気づいているようだった。
キャサリン「まっすぐこっちに向かってきてるねー!」
ハルカ「ひとつだけ分かることがあります」
俺「なんだ?」
ハルカ「このままじゃ、やばいです!」
聞き流す。
229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/17(水) 07:53:12.52 ID:x/WrhYGi0
流石いらん子
230 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 07:55:27.14 ID:sM2JeECD0
俺「あいつら、こっちが橋を破壊しようとしているのが分かっているのか?」
ビューリング「信じたくないが、そうとしか考えられないな」
近くに他の敵がいるのに、こちらに向かってきているということはそういう事なのだろう。
ハルカ「ど、どうしましょう。ただでさえこんな重いもの持ってるのにー!」
智子「あいつらを信じるしか無いわね‥‥」
ちょうど二回目の突撃が行われたところだった。が、黒い点達は止まることを知らない。
231 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 07:58:10.72 ID:sM2JeECD0
俺「智子。俺が食い止める。その間に投下を完了してくれ」
智子「そうはいうけど‥‥あんたの爆弾はどうするのよ」
俺「こうする」
黒い鉄橋に狙いを定めこう唱える。
俺「惑星の意思によって生まれる者たちよ。その意志という鎖をちぎり、その場へ導け。」
俺「『グリーンムーブ』」
俺のそばで浮遊していた爆弾が緑色に発光し始めた。
その速度は他のウィッチ達と、先程までとほぼ同じ速度だ。
232 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:05:22.21 ID:sM2JeECD0
智子「そんな便利なことできるなら私たちのもやってよ」
苦笑しながら智子は提案した。
俺「制御できるのはひとつだけだし、一度魔法かけたらそこへまっすぐにしか進めないんだよ。
質量保存の法則の保存って奴だ。しかもこれに攻撃されたらそれだけでドカンだ。
そんなことになるぐらいなら、目の前までウィッチが運んだほうがよっぽどいいと思うが?」
箒は進行方向を地上の鉄橋から空中の点へ変更する。
俺「じゃ、頼んだぜ」
俺はそういうと編隊から離脱した。
ハルカ「理解をこえちゃいますね‥‥」
キャサリン「もうあいつひとりでいいんじゃないかねー」
キャサリンは割と真顔だった。
233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/17(水) 08:07:11.26 ID:x/WrhYGi0
割とwww
234 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:10:08.97 ID:sM2JeECD0
………
……
…
俺「さて、あんな事言って来たが‥‥こいつはちょっと多すぎないか?」
第一中隊の三度に渡る突撃が終了したが、点は減るには減ったがまだ二、三十はある。
いや、もう点とは呼べないほど近付いている。その形はしっかりとラロス改の姿をしていた。
とはいっても視力は魔力で強化してあるのだが。
思考を巡らせる。
あれだけの数を一網打尽にし、戦っている第一中隊に被害を加えず、なおかつチャンスは一回。
第一中隊の邪魔にならないように特大の一撃を叩き込む。時間と考慮すると‥‥あれしかないか。
俺は魔術書を開き両手をかざす。
俺「‥‥集中。俺ならできる。」
自分に暗示をかける。
俺「我に翼を。重力という名の鎖から開放を。『グリーンフィールド』」
呪文を唱えると足元に魔方陣が広がる。俺は箒から降りるとその魔方陣に降り立った。
俺という重りから解放された箒を機関銃のように抱え込み、穂先をネウロイたちの方向に向ける。
集中を切らさず、続けて詠唱を始める。
235 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:15:21.16 ID:sM2JeECD0
俺「光。それは全てを浄化する力。それは我らの歩むべき道を照らし出す力。」
俺の回りに不思議な空気が流れ始める。同時に雪とは違う白くて丸い何かが生まれる。
俺「この惑星を照らす力の源よ。その一端を我が振るうことに許可を。」
白くて丸い何かが俺の箒に次々と吸い込まれていく。そのうち箒は白く輝きだし、その穂先に光の玉を形成し始める。
俺「黒は白に。全てを焼き尽くす光は今、我が手に!」
光の玉はどんどん大きくなり、今では1mほどにもなった。
それと同じようにネウロイたちもどんどんと大きくなってきていた。
俺「(‥‥次の第一中隊の突撃後に、撃つ!)」
その第一中隊が降下を開始し、通り過ぎた。
今だ。力を込める。
俺「俺色に染まれ!」
俺「『アポローンホワイト』!!」
238 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:20:53.57 ID:sM2JeECD0
穂先にたまった光のエネルギーを一気に解放する。その光は直径10m程に膨れ上がり、一本の白い放射状のビームとなり爆音と共にネウロイに襲いかかった。
その衝撃は凄まじい物で俺は箒を持っていることが精一杯だった。
光はネウロイを焼き尽くしていく。だがそのビームに巻き込まれたのはせいぜい10体ほど。
その光が編隊に着弾した場所はだいたい右の翼の辺りだった。まだこちらから見て右のほうに何十体も残っている。
俺は力を込め、魔方陣を踏みしめ、体全体で光を曲げる。
少しずつ、少しずつ、箒は角度を変え残りのネウロイを焼いていく。
俺「―――ぉぉぉおおおおおお!!!」
俺は声にならない絶叫をしながら必死に力を振り絞った。が、光は収束していき、いつしか消えてしまった。
どっと虚脱感が俺の体を襲う。
俺は魔方陣に膝を付き、肩で息をする。
なんとか顔を上げ、残ったネウロイを確認する。
俺「あと‥‥15体ぐらいか。」
ネウロイの数を確認するやいなや、俺は箒に乗りその場を離脱しようと試みた。
普段より数段遅く、しかし確実によろよろと上昇する。
するとさっきまで俺がいた場所をラロスたちが通りすぎていった。
俺「‥‥はぁ、はぁ、あいつら、捨て身かよ」
ネウロイ達は未だ爆弾を抱え爆撃せんとする、義勇独立飛行中隊の方へ向かっていった。
その後に続くように俺の上空を第一中隊が通り過ぎる。
その先頭にいたアホネン大尉が親指を付きだした拳をこちらに向けていたのがわかった。
239 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:26:15.58 ID:sM2JeECD0
………
……
…
いきなり現れた太陽に6人は目を凝らした。
エルマ「あんなすごいものまで使えるんですね‥‥」
智子「ほんとにあいつ一人で何とかなりそうね」
ネンリョウ
ビューリング「あんな強力な魔法ぽんぽん使ってたらすぐ魔法力が切れるんじゃないか」
光が収束していく。が、黒い点はまだなくなっていなかった。
そしてラロスの形を取り、こちらへ向かってくる。
キャサリン「ひゃー! こっちきたねー!」
智子「うろたえないで! 第一中隊とリュウセイがここまで減らしてくれたのよ!
なんとしてもこの爆撃を成功させましょう!」
ハルカ「そんな事言っても――きゃーきましたー!」
バリバリという音と共に光弾が編隊を襲う。
智子「全員散開!」
号令と共に6人のウィッチはバラバラの方向に逃げる。
その間にも第一中隊が突撃を加え、ネウロイの数は7、8体にまで減っていた。
240 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:30:05.61 ID:sM2JeECD0
………
……
…
エルマ「な、なんとしても橋を壊さないと‥‥わあ!」
2体のラロスがエルマを追ってきた。光弾が迫る。
なんとか避けてはいるが、時間の問題だった。
インカムから声が聞こえる。
ビューリング「エルマ! 爆弾を捨てろ!」
どこからか見ているのだろう、ビューリングの声だった。
エルマ「で、でも‥‥」
ビューリング「命まで落とすことになるぞ!!」
もしこのまま撃たれれば、誘爆によって跡形もなく吹き飛ぶだろう。
エルマ「‥‥くぅ!」
エルマは苦虫を噛み潰したような顔をすると、その手に持っていた爆弾を手放した。
すぐさまエルマは急上昇して旋回。ラロスを振り切ろうとする。
が、ラロスはしつこくついてくる。
重りがなくなったとはいえ、エルマでは振りきれない。
241 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:35:09.39 ID:sM2JeECD0
一方キャサリンも爆弾を放棄し、そして二体のラロスに追われていた。
キャサリン「乙女の尻を追っかけるなんてネウロイもとんだ変態ねー!」
たどたどしく逃げまわるキャサリン。エルマよりも危なっかしくぎりぎりのところで光弾を避けていく。
しかし、完全に射程に入ってしまったキャサリンに光弾が襲いかかるのは、もはや時間の問題だった。
キャサリン「くぅ‥‥」
なんとかシールドで防ぐが、別の方向からも光弾が迫っていた。
防ぎきれない。この数が直撃すれば確実に墜落――いや、空中爆散するだろう。
キャサリン「(ああ、パパ、ママ。先立つ不幸を許して欲しいね‥‥)」
覚悟したその瞬間、目の前に黒髪の剣士が立ちふさがった。
シールドで光弾を捌ききると、向かってくるラロスに突進。
そして一閃。
次の瞬間ラロスの左の翼が本体から離れた。
智子はもう爆弾を投下し終えていた。見ると橋からは煙が上がっている。
が、破壊した、とはいえない破損状況だった。
キャサリン「わーお! サムライあっぱれ!トモコあっぱれねー!!」
智子「ホメるのは後! 次がくるわよ!」
243 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:40:09.14 ID:sM2JeECD0
智子の言うとおり残ったネウロイが向かってきていた。
二人はほぼ同時に、キャサリンは右へ、智子は左へと逃げる。ネウロイはキャサリンの方へ向かった。
キャサリン「あんまりモテるのも困りものねー!」
一体になったとはいえ、今のキャサリンに攻撃手段はない。
とにかく避ける。避ける。避ける。
智子「ちっ‥‥追いつけない」
智子はネウロイを追い、ネウロイはキャサリンを追う。どちらも同じようなスピードなので、刀では届かない。
と、目の前から爆弾を投下し終えたらしいビューリングが突撃してきた。
キャサリン「ひゃー!ぶつかるねー!」
ビューリング「そのまままっすぐ来い!」
言うや否やビューリングは体を起こし、その手に光る銀色を大きく振りかぶった。
まるで跳び箱のようにビューリングのまたの間をくぐるキャサリン。
その直後、飛び込んできたラロスの頭――のような部分に、ビューリングはナイフを力のかぎり突き立てた。
バランスを崩したラロスが急に失速する。すぐにナイフを抜き上昇するビューリング。
そこへ下からすく上げるように刀が通り過ぎ、黒い翼はまっぷたつになった。
ビューリング「お見事」
智子「あんたもね」
翼を破壊されたラロスは無残にも墜落して行った。
244 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:45:13.13 ID:sM2JeECD0
………
……
…
フリーになっていたウルスラは爆弾を投下し終えた。
ボンッ!という音と共に黒煙を上げるヴォスク鉄橋。が、未だに破壊完了とはいえない。
智子、ビューリングに遅れたものの、無事に任務を遂行したウルスラは内心ほっとしていた。
と、後ろから爆弾を抱えたハルカが左側から近づき、通り過ぎ、右側へ旋回して行った。
ハルカ「ウルスラさーん! たすけてくださーい!!」
ハルカは一体のラロスに追われていた。
この調子では投下できない。
ウルスラはせめて囮になろうとハルカのもとへ急いだ。
ウルスラ「クロス」
ハルカ「え? あ、はいわかりました!」
猛スピードでハルカの右斜め後方から突っ込んでくるウルスラ。
そのスピードに合わせるようにハルカは徐々に加速していく。
二人が交差するとき、ハルカは急失速し、旋回する。
と、ネウロイは急にスピードの変わったハルカを追うことはできず、
目の間に新しく現れた的、ウルスラを追い始めた。
246 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 08:50:14.58 ID:sM2JeECD0
よし、私についてきた。後はこの間にハルカが爆撃を成功させれば‥‥
後ろからバリバリという音と共に光弾が飛ぶ。
なんとか避けてはいるが、攻撃手段がないのではこの状態を打破できない。
と、視界の端に七色の光が見えた。
俺「こい、ウルスラ!」
すぐさま、進行方向をその場に停滞しているであろう魔法使いのもとへ変える。
俺「それは遮る物。我に許されざる者は通り過ぎることもままならん」
両手をこちらにかざすリュウセイ。そのすぐ横を通り過ぎる。
俺「仇なす物を阻め!『パープルウォール』!」
瞬間リュウセイとネウロイの間に3枚の壁が現れた。
猛スピードで追撃していたラロスはスピードを落とすことができず、その壁にぶつかった。
一枚目の壁を壊し、二枚目の壁にぶつかったラロスは紙くずのようにくしゃくしゃになった。
数瞬後、爆発。その爆発によって三枚目の壁も吹き飛んだ。
その爆炎の中から七色の光をまき散らしながら、こちらへ向かってくる影があった。
俺「ここを通りたかったら、壁殴りのプロでも呼んでくるんだな」
ちょっと意味が分からない。
247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/17(水) 08:53:43.70 ID:5PX/2fEOO
鉄也「呼んだ?」
248 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:00:16.63 ID:sM2JeECD0
俺「大丈夫かウルスラ」
ウルスラ「大丈夫」
見ると、荒い息遣いをしている。たぶん、魔法力を使い過ぎたのだろう。
あれだけ派手に魔法を使ったのだ。彼はもとから持久力には自信がないと語っていた。
俺「よし、あとはハルカの爆弾を投下すれば作戦は完了だな。」
ここでウルスラは疑問を持った。もともとリュウセイが持っていた爆弾はどうなったのだ?
ラロスに襲われてから所在を確認していなかったのだが。
ウルスラ「あなたの爆弾は?」
俺「あそこ」
リュウセイが指さした先――橋の袂には緑色に光る爆弾が置いてある。
そう。置いてあるのだ。爆発も何もせずに。
249 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:05:45.50 ID:sM2JeECD0
不思議そうな顔を浮かべていたらしい私の顔を見ると彼は説明を始めた。
俺「アレにはじつは強化呪文がかかってるんだ。しかも自分では爆発しない」
ウルスラ「どういうこと」
俺「他の爆弾の誘爆で一気に爆発させようとしたんだよ。
資料を読んだけどあの量じゃ一気に投下でもさせないと破壊できない」
ウルスラ「‥‥」
俺「まあ、ハルカがちゃんと落とせれば誘爆するだろう」
話している内に他の皆も集まってきた。
250 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:10:24.59 ID:sM2JeECD0
ハルカ「投下します!」
橋の上まで行ったハルカはそう宣言すると爆弾を投下した。
爆弾はハルカの手を離れ、対空射撃もくぐり抜け、橋の袂へ落ち――それだけだった。
智子「な、不発!? 」
ビューリング「とんだ不良品だな‥‥! 」
ハルカが決死の覚悟で投下した爆弾は地面に落ち、ズンという音しか生み出さなかった。
そんな音だけではネウロイを倒すことなどできない。まして、橋を破壊することなどもってのほかだ。
俺「ちっ‥‥なら俺が炎を当てて爆発させてやる! 」
火の玉一発でも当てられれば爆発するはず。そうすればこの橋はその役目を終え、今回の作戦は成功するんだ。
‥‥まだ後一発ぐらいなら撃てる。ただこの距離から撃っても当たらないだろうし、対空砲火でかき消されてしまう。
俺は箒を滑らせ急降下し、地面へ近づいていった。
智子「ちょっと! あぶないわ!」
ビューリング「ちっ‥‥あのバカ」
キャサリン「困った男ねー!」
ウルスラ「まったく」
エルマ「あいかわらず無茶をしますね‥‥」
251 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:15:55.90 ID:sM2JeECD0
爆弾の落下地点まで約250m。
こちらの火の玉の射程は約50m。
あと200‥‥その距離の間に嫌というほど地上ネウロイが待ち構えている。
銃弾の雨の中、右へ左へ滑るように近づいていく。
あと150‥‥
雨が激しくなった。だが、まだ被弾するわけにはいかない。
あと100‥‥
あと少し‥‥あと少しで届く‥‥!
あと50‥‥
と、急に目の前にラロス改があらわれた。
通れない。倒せない。ここで魔法力を消費するわけにはいかない。
ここまで来て‥‥
252 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:20:43.32 ID:sM2JeECD0
俺は仕方なく空中へ逃げる。が、そこには別のネウロイが待ち構えていた。
俺「くっ‥‥」
避けきれなかった。銃弾が俺を襲う。
なんとか咄嗟のシールドで直撃は防いだが俺はバランスを崩してしまった。
気付いた時には目の前には地面。
ああ、死んだな。
俺は死を覚悟した。‥‥姉さん、ごめん。
253 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:25:56.92 ID:sM2JeECD0
冷たい。誰かが俺の手をつかんでいた。目を開ける。
その手に導かれるまま、俺は急上昇しネウロイの驚異から逃れた。
視界に入ったのは流れるような銀髪。
その銀髪を翻し、こちらに顔を向けた彼女。
ビューリング「よう生きてるか馬鹿」
俺「ビ、ビューリング‥‥」
彼女の顔は、泣きそうで、うれしそうで、今までに見たこともないような表情だった。
ビューリング「お前がいなくなったら、誰がわたしのタバコに火をつけるんだ」
俺「‥‥ああ、そうだな」
俺は、まだ死ねない。
俺には、役目がある。
俺は、まだ死ぬわけにはいかない。
255 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:30:14.89 ID:sM2JeECD0
とりあえず上空高くに逃げる俺たち。
どうする。このままでは近づけない。かと言って一体ずつ相手をしている魔法力もない。
ここまでか‥‥爆弾の場所は分かっているのに‥‥。
そのときビューリングが口を開いた。
ビューリング「なあ」
俺「なんだ」
彼女は口角を上げてこう言った。
ビューリング「お前は、火種だろ?」
俺「!‥‥ああ、そうだったな」
そうだ、こんな簡単なことだったんだ。
『というのも、自然現象はいわゆる"火種"と"材料"さえ揃えば勝手に大きくなる。
燃えやすい空気の中に小さな火を送り込めば爆発する。そういう事だ。』
俺は右手を高く掲げ、
俺「『ワープ』」
そうつぶやき、指を鳴らした。
轟音と熱が橋を襲った。
257 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:35:29.58 ID:sM2JeECD0
………
……
…
スオムス、カウハバ基地。年も開けてふた月は過ぎたという頃。
長めの銀髪をなびかせ、彼女は煙を吐いた。
ビューリング「‥‥相変わらず変な魔法だな」
俺「褒め言葉か? 」
ビューリング「好きに取れ」
俺「そりゃどうも」
彼女はいつものようにタバコを咥え、
俺はいつものように本を開く。
258 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:40:31.86 ID:sM2JeECD0
俺「そういえば、また補給が来るんだってな」
ビューリング「ああ、私も"また"新しいユニットに変わるらしい」
俺「楽しみか?」
ビューリング「まあな」
俺「俺はそう言うのないからな、なんにも楽しくはないよ」
ビューリング「おまえもユニットに乗ればいいだろう」
俺「‥‥いやだね」
ビューリング「知ってる」
俺「だろうな」
とりとめもない会話。すぎる時間。漂う煙。
260 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 09:45:14.72 ID:sM2JeECD0
俺「‥‥そうだ、まだ言ってなかった」
ビューリング「ん?」
俺「ありがとうな、助けてくれて」
ビューリング「ああ」
彼女は吸殻を踏みしめ、
ビューリング「いったろ?」
あたらしいタバコを咥えた。
ビューリング「お前がいなくなったら、誰がわたしのタバコに火をつけるんだ」
俺は呆れたように笑い、指を鳴らした。
スオムスにも、もうすぐ春がくる。
-火種-
終わり
264 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 10:00:09.06 ID:sM2JeECD0
あとがき
これで流星君の物語は一区切りです。
まあ、第一章完と言った所でしょうか。
いらん子中隊のキャラが掴みきれていない中書き始めてしまいましたが、
キャラ崩壊など気になった方は申し訳ございませんでした。
やっぱり読みにくいかなあ、と投下中思いましたが、まあ一応完結できたのでよしと思います。
途中の智子とのアレはいらん子書くならこのネタはいける!と思って書きました。
でもいくら俺でも挿入までやったら殺される、というかこの俺が殺すので自重しました。
戦闘シーンも、俺の脳内の映像が少しでも伝わっていれば幸いです。
今回は最初から連作として書き始めたので伏線も何個か回収してませんが、
書き切るかどうかは未定です。
ここまで読んでくださった奇特な方、ありがとうございました。
265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/17(水) 10:01:44.66 ID:wYTcxk+B0
ビューさんルートだったか
266 名前:流星 設定[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 10:02:44.93 ID:sM2JeECD0
俺 年齢 14歳 (1940年)
・リュウセイはあだ名。
所属 リベリオン空軍 スオムス義勇独立飛行中隊
身長 162cm 誕生日 3月5日
階級 少尉 使い魔 黒猫「ムーンライト」
通称「シューティングスター」 パーソナルマーク 虹色の絵の具が付いている筆がしっぽになっている黒猫
ユニット 航空:箒「アポロブルーム」
・お手製の箒。手入れはかかせない。スケートボードのように乗る。
武装 魔術書:サンオブハート
・想いを力に変える魔術書。
固有魔法「魔術書使い」
・魔術書を使い様々な魔法を操る。呪文を唱えることで発動させることができる。
・呪文を破棄することも可能だが、精密なイメージ化が必要。
撃墜数 17機(公式) ※物語開始時
・この時代に箒を愛用するだけでも珍しい上に、魔力を持つ数少ない男ウィッチ。
・気分屋。俗に言う中二病が入っている。
・魔術書を常に持ち歩く。魔術を使うときは浮遊させる。
・箒を愛用している理由は、魔力が安定するため。
・飛ぶときに箒から七色のエーテルが出る。
・ネウロイへの攻撃法は魔術のみ。銃も使わないので補給いらず。
・魔術を使う際に呪文を用いる。中二臭い。一応魔術を使う際には必須とも言えるので仕方ない。
・空軍の厄介払いでスオムス派遣が決まった。
・自分のスタイルを馬鹿にする奴は嫌い。
・酒豪。70度のウイスキーをストレートで飲むのが好き。
・長めの黒髪。童顔。
267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 10:05:55.44 ID:c1bUAyH/O
乙!
いらん子見た事ないけど、この作品見て買うことを決意した。
268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/17(水) 10:06:14.94 ID:5PX/2fEOO
乙
地の文かける人はマジ尊敬するわ
俺のちょこちょこ地の文入れてみても違和感バリバリで死にたくなる
269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/17(水) 10:10:25.76 ID:/bv9KQQBO
乙乙
穴吹さん活躍してるの見てると嬉しくなる
270 名前:流星 設定[sage] 投稿日:2010/11/17(水) 10:11:35.70 ID:sM2JeECD0
>>267
いらんこはこれの100倍面白いからぜひ読んでね!!!
271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/17(水) 10:35:21.46 ID:fnL0hP4rO
乙
スレで聞かれた質問でしたがここで答えておきます。
Q.
とりあえずいらん子全員爆装しないでリュウセイくん護衛して
リュウセイくんの魔法で橋壊せばいいんじゃね?
A.
リュウセイという不確定要素に任せるのは部隊的に芳しくないという上の判断
本人もそのほうがいいと思ったが、どうせ上に言っても聞き入れてくれ無いだろうし黙ってた
最終更新:2013年01月30日 14:49