労働意欲旺盛無職俺9
「少女は天使、男は無職」
前回
ロマーニャで大いに働き、疲れてしまった俺
昨日ネウロイを撃墜したため、今日非番なので、優雅に休息をとって眠っていた
そして、エーリカと俺は抱えていた悩みに頭を痛ませ、そしてわずかな望みに口をとじていたわけである
そこで気晴らしに外に散歩に行くが、俺の元の世界から緊急会議に召集され突然引き戻されてしまう
置いて行かれたエーリカは一人不安を抱えていた
まさに単身赴任
~基地、ブリーフィングルームにて~
もっさん「そうか・・・俺は帰ってしまったか・・・。いきなりだな。無責任なやつめ。」
少佐が悔しそうな顔をしているのがわかる
ミーナ「しょうがないわ・・・。彼はあっちの世界が本当の世界だもの・・・。・・・今回の作戦は、彼抜きで実行します。」
バルクホルン「・・・わかった。作戦のことをつづけてくれ。」
ミーナもトゥルーデも苦々しい顔をしてる
ミーナ「明日の朝1000時に、戦艦型ネウロイ『ヨルムンガンド』を撃破します。オペレーション:トール。」
ミーナ「ヨルムンガンドは巣からロマーニャに一直線に向けて進行しているわけでなく、一旦海上にでて、ロマーニャ方面を目指しているそうです。」
ミーナ「このままの低速で進行した、ここ。このロマーニャから離れた海上でヨルムンガンドを落とします。」パチッ
もっさん「コアはおそらくネウロイ化赤城のように機関部であろう。接敵する事前に調べてから戦闘を開始する。」
もっさん「敵の機関部に侵入するために、この先端部分。ここを破壊する。そしてそこから、バルクホルン、ハルトマン、リーネ、宮藤。
その四人で侵入してコアまでたどり着きぶっ壊せ。」
宮藤「ええぇぇぇ!私がですか!」
もっさん「赤城の件もあったわけだし、たぶん中でもいくらか攻撃されるだろう。だからシールドを前方にひろげ、三人を導け。
リーネ、おまえは中にあるかもしれない隔壁に備え、もしあったなら対装甲ライフルで打ち抜いて壊すんだ。」
二人「りょ、了解です!」
ミーナ「とりあえずそのぐらいよ。資料を渡すので、目を通しておいてください。では、明日に備え英気を養ってください。解散。・・・フラウちょっときて。」
ガヤガヤ
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エーリカ「どうしたの?」
ミーナ「・・・大丈夫?泣きそうな顔してるわよ。」
エーリカ「・・・・。大丈夫だよ!大丈夫、だから・・・・。」
ミーナ「そんな顔してないでしょ。まったく・・・。」ギュッ
エーリカ「ミーナ・・・。うぅ・・・ぐすっ・・・俺がいなくなっちゃった・・・。勝手に消えたんだ。」
ミーナ「フラウ・・・。今はだれもいないわ・・・。泣いてもいいのよ。俺さんのこと好きだったんでしょう。」
エーリカ「ぐすっ・・・うん・・・。私、知らない間に俺にやたらかまってて・・・それで気がついたらいつも隣にいたんだ・・・。
正直楽しかったし、心が落ち着いたんだ。」
エーリカ「知らない間に俺と一緒にいたんだ。でも・・・俺があっちの世界にいる方が幸せだと思って何も言わなかった・・・。
家族といることが・・・どれだけ幸せかも知ってるから・・・。」
ミーナ「フラウ・・・。あなたは優しすぎるのね。俺さんはこっちの世界で幸せになれるかわからない。だから返したかったんでしょう。
でも・・・一緒にいたかった。今つらいのはそれを伝えられなかったていうのもあるでしょう?」
エーリカ「だって・・・俺がここにとどまってしまえば・・・・・・・。確かに一緒にいたいよ。でも私のわがままでいさせちゃいけないよ・・・。」
ミーナ「・・・フラウ、それはちがうわ。あなたは優しい。でもね、自分の気持ちを押し殺してまで人の幸せを願うのはやめなさい。
そこまでしてやっても誰も喜びはしないわ。自分の幸せを考えなさい。そしてそれができて人に分けることが出来るようになってから
人のために働きなさい。俺さんはたぶん迷っていたと思うわ。おそらくなにか決定的なものがほしかったんだと思うわ。」
ミーナ「―――ここにいる理由が。世界を選択できるほどの理由が。フラウ、あなたが自分の幸せを願うなら・・・思いを伝えなさい。
そして彼の選択を待ちなさい。彼の選択が出てから、彼の幸せを祈りなさい。あなたはまだなにもしてないわ。
フラウは、後悔しない道を・・・歩みなさい・・・。」ギュゥ
エーリカ「私でいいのかな・・・?私が引き止めてもいいのかな?」
ミーナ「ふふっ、大丈夫よ。あなたしかできないわ。彼は必ずここにもう一度戻ってくる。そこで伝えなさい。私はあなたの幸せを願っているわ。」
エーリカ「うん・・・う゛ん・・・。俺が帰ってくるのを信じて待つよ・・・。ううぅぅ・・・ぐすっ・・・。」
一人の少女の泣き声がかすかに響いていた
空を舞うウィッチではなくただの心優しい女の子
自分の気持ちを押し殺して、人の幸せを願っていた少女
幼いながら戦場に身を投じ、幾多もこの歳じゃ考えられないようなことを経験してきただろう
しかし、それを忘れさせてくれるような時間を作ってくれるようなやつがいたら・・・居心地のいい人がいたなら
たぶん、その人の隣にいたいのではないか
この子は少女なのだ
強いように見えても、やはり弱くもろい
一方、いつも一緒にいてくれた男は、その少女の心をいつのまにかつかんでいたにも関わらず
その少女にはもっといい人がいると思い、身を引き幸せを願っていた
この男も彼女の幸福を祈ってなにも言わなかったのだ
なんとまぁ・・・たいそうなことであろうか
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エーリカは泣きつかれて寝てしまった
心に不安と後悔と希望を抱きながら明日の戦いに向け、ベッドで一人眠りについていた
ふと、同部屋のもう一人の女は、まくらをもって、エーリカの元にいく
そしてなにをするかと思えば、ベッドにはいって横になってエーリカの頭をなで、手を握り締める
その女もエーリカの幸せを願っている一人だった
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~ハンガーにて~
整備班長「おい、もういいぞ。今日はもう休め。明日は早いからな。遅れたやつはぶっとばして簀巻きにして海にほうりこんでやるからな!」
整備班長「おい!整備兵!それはもういい!明日使わない!なんでも露出してセクハラしようとして、その罰に自室禁固だそうだ!」
整備兵「いえ!それでも万全にしておくのが私の役目です!」
整備班長「だからつかわねぇと!・・・いやまぁいい。好きにしろ。でも明日遅れるなよ?」
整備兵「感謝します!」
整備兵「ふう・・・あいつが自室禁固とか・・・。信じられないな。そんな度胸ありそうなやつじゃなかったし。」カチャカチャ
整備兵「なんとか万全の状態にしておかないとな・・・。今日は徹夜だな。この線も新品に換えてっと。」キリキリ カチャカチャ
~俺世界、深夜、自分の部屋にて~
ああ、またこの部屋に戻ってきた
エーリカほどは汚くはなく、かといって片付いているわけではない空間
いつも俺がなにも考えも、なにも決心せず、なにもしなかった時間が思い出される
壁には・・・俺の好きな人のポスターが飾ってあって、パソコンの横には・・・その人のフィギュアもあった
空虚にまみれた俺の心は体を支えることもできず、ベッドに倒れこむ
俺「あれは・・・夢だったのかな・・・。」
夢・・・といっても信じたくはない
あれほど、リアルであれほど温かい夢などみたことはほとんどなかった
でも・・・夢だったと強制的に納得しようとしてしまう
自分を守るためだろうか
俺「・・・また無職に逆もどりか・・・。ははっ・・・。」
乾いた笑い声が空気を伝わり、部屋をわずかにみたすが、すぐに掻き消える
俺「もう・・・どうすりゃいいんだ・・・。この世界じゃ・・・。」
希望はない、とでも言いたいのだろうか
自分が弱いことを世間のせいにするとは、なんと情けないのだろうとひそかに思うがそれを振り払う
俺「あれは、俺にやる気を出させるために神様が見せた幻覚なのか?」
また話がループする
俺はその汚い部屋で、光を失った目で天井を見つめながら、前のように天井に話しかけていた
日が昇るまで
~501世界、日が昇る、俺がいた部屋にて~
ああ、私はまたこの部屋に来てしまった
私ほど汚くなく、かといって片付けているわけではない空間
やさしくて、私みたいにぐうたらして、変なあいつを思い出させる
壁には・・・なにもなくて、机には・・・なにか紙がおいてある
わずかな希望と虚無感が私をいつものようにベッドに寝転がらせる
エーリカ「あいつ・・・戻ってこなかったらゆるさないからな・・・。」
私は信じていた
一人の男の帰りを、ひたすらに
少しだけ考えてみると、私は軍人だ
トゥルーデにはもう少し軍人の心をもてとよく言われるが、私はこれでも一応軍人だ
戦場に身を投じている
それだからだろうか
あの男が戦場とはまったく関係ないところにいて、それをうらやましく思ったのは
あいつが私に戦場を忘れさせてくれる時間を与えてくれたのだろうか
そのせいで・・・惹きつけられたのだろうか・・・
エーリカ「・・・でも俺は消えちゃった・・・。あはは・・・。」
苦笑いが空気を伝わり、本来ならあの男がいるはずの部屋を満たすが、すぐにかき消される
エーリカ「はやく・・・戻ってきてよ・・・。この世界に・・・。」
胸にはわずかな希望がある
でも私は強くないことを私自身知っている
今は強がってないと、すぐに崩れてしまいそうになる
エーリカ「どんな結果になっても大丈夫・・・。」
今日はネウロイを落とすんだ
余計なことを考えるな
でも、どっかで俺がひょっこり戻ってきて、空に来そうな気がする
なんせ・・・前に空で待ってるって約束したしね
私は部屋を名残惜しくもでて、食堂に向かった
最終更新:2013年01月30日 15:06