労働意欲旺盛無職俺10

「覚悟って難しい」 

前回 

緊急会議のため突然元の世界に戻されてしまった俺 
エーリカをひとりおいて、元の世界に戻ってきてしまった俺はうんざりして、なにもかものやる気をなくしてしまう 
一方エーリカはミーナに励まされ、僅かな希望を持って、俺の帰りを待つ 

エリートな俺は悩みに頭をかかえ、さっさと仕事を終わらせて501世界の方へもう一度戻りたいと考えていた 
エーリカは作戦のため、自分の迷いを無理やり押し込め、戦場に向かっていくのである 



~俺世界、早朝、部屋にて~ 



ふと日が昇ったのに気がつき、ベッドから起き上がる 

俺「寝れなかったな・・・。」 

今日は・・・なにをしようかと思ったが、なにもしたくはなかった 


俺「さて・・・飯でも作るか・・・。」 


重いのは心か体か 

たぶん両方だろうが、その二つをなんとかして持ち上げ、台所に向かおうとする 



しかしそこで、普段だれからもかかってこない、家族以外登録されていない、携帯電話がぴりぴりと鳴る 

俺「なんだ、メールか・・・。どうせ広告だな。」 

とうんざりしながら、来たメールを不慣れにも見る 



ああ、驚いたわ 

朝からびっくりだわ 

いつぞやの朝みたいに、驚いた 


from母上 

本文はこうだ 

事故っちまった 
例の病院に入院した 



俺「あのおふくろが事故とは・・・まぁ驚くことでもないか。死なないのも驚くことじゃないな。」 

例の病院ってどこだよって思ったが、なんとなく理解した 


俺「こりゃ、見舞いにいかなきゃな・・・。」 

急いで果物を買って、例の病院に向かった 

ここは・・・俺が昔入院したときにお世話になったところだ 

だからうちの家族じゃ馴染み、といったところか 




~病院、朝九時~ 


コンコン 


俺「おーい、母さんいるか?」 

ああ、いたわ 


母「ああ?俺じゃないか。久しぶり。」 

俺「ああ、ちょっと用事があったからな。」 

母「おまえに用事なんてあるわけないだろ?無理するなよ、ははっ。」 

俺「あるわ!で、具合どうなの?」 


母「ん?ああ、別に大丈夫だわ。よっぱらって友達と帰ってるときに、ちょっとふらっと車道にでちゃってね。 
  そしたら安っすい車にこの高級なボディーがぶつけられちまったんだよ。」 

俺「戦車とぶつかった車も大変だな。」 

母「しばくぞ。で、今までなにしてたんだ?おとといくらいに電話かけたんだけど。」 

俺「だから用事だと・・・。」 

母「なぁんだ、つまんないの。で、その果物は?」 


俺「なけなしの金で買ってきた。包丁あるか?」 

母「ああ、ほれ。」ポイッ 

俺「このりんごでいいか。」パシッ 




母「・・・・。あんた本当はなにしてたんだい?おまえが私にはぐらかすのは、たいていやましいことだと相場は決まってるんだよ。」 

俺「どこの相場だよ。・・・まぁちょっとな。聞いてもばかばかしい話だ。だから話さない。」 

母「おまえが馬鹿なのは知ってるよ。で、ひまつぶしに聞いてやるさ。あ、手は止めるなよ?」 

俺「・・・・。くだらねぇ話だけど・・・。実は――」 



俺はまじめ半分冗談半分に今まであったことを話し始めた 

不思議なことばっかりで、自分も信じられないということ 


夢話 


それが適当な言葉だ 

なんせ無職が戦争の時代にいって女の子と仲良くなりながらも戦って、仲間として認められて、自分が生まれ変わったような物語だ 

一部始終、いやひどい話はのけて、俺は話した 

その間おふくろは、火のついてないたばこをくわえ、携帯をいじっていた 




俺「と、いうわけだ。話し聞けよ・・・。」 

母「ん、ああ聞いてる聞いてる。」 

俺「で、そこにいた子がとてもいい子で。」 

母「ああ、聞いてる聞いてる。」 

俺「なんて親だ・・・。ほれ、りんごだ。」 



母はリンゴをかじりながら、携帯をとじて、なにか考え事をしている 


俺「どうした?」 

母「いや、おまえをどこの精神病院にいれようかと悩んでいてな・・・。」 

俺「隣町のところは評判がいいみたいだが、俺は正常だ。」 

母「さて、冗談はおいといてそれが本当ならおもしろい話だな。夢にしてはできすぎているし、現実にしては信じがたい。」 



母「おまえ向こうを証明できるなにかもってないのか?」 

俺「うーん・・・。あ、まてよ。確かポケットに・・・これ!この硬貨!」 


いつぞや、買い物に行ったときにもらった整備兵のコインだ・・・ 


こんなところで役に立つとはな・・・ 


母「ほー、これか。・・・これは、この世界のじゃないな。」 

俺「やっぱりか・・・。」 




母「じゃあ、信じるしかないな。・・・で。お前は女の子をおいておめおめ尻尾巻いて逃げ帰ってきたのか?」 

俺「無理やりこっちに帰らされたんだよ。海につかったときにな・・・。今でも理解できないけど。」 

母「じゃあ、さっさと向こういけよ。なに逃げ帰ってきてんだ?父ちゃんがいたらぼこぼこものだぞ?」 

俺「落ち着いてくれ・・・。俺も一回もどろうとしたけど、海に浸かっても無理だったんだよ・・・!」 

母「気合がたりないんだろ。父ちゃんが言ってなかったか?気合でなんでも大丈夫なんだよって。」 

俺「言ってません。いや・・・言ったのかな・・・。まぁどうでもいいわ。正直言うと、俺だって逃げたくてこっちに帰ってきたわけじゃねぇんだよ。」 


俺は語気を荒くする 


そうだ、あきらめきれるわけがない 



母「逃げるのはいつも自分だ。なにか逃げたいことがあったから帰ってきたんだろ?」 



確かにあった 

俺の頭をガサガサとさがしてやると、ぶるぶるふるえているやつを見つけた 

...............エーリカの隣にいたいが、もっといい人がいるはずだという事実におびえる俺がいる 



俺「・・・たしかにそうかもしれない。俺は・・・また逃げたのかもしれないな。」 


母「オラァッ!」 

ドゴッ!! 

俺「ぶごッ!」 



俺はおもいっきり頬を強打され、イスから転げ落ち床に打ち付けられる 

よかった・・・包丁を手が届かないところにおいてて・・・ 




母「おい、俺。いいか、昔から何度もいってるだろう。もう一度いってやる。」 


母「くだらないこと考えてる暇があったら、行動しろと。人間の一生なんざすぐに消える。いいか、後悔しないように生きろ。 
  あとで泣いても時間はもどらない。自分で自分の手をひっぱてみろ。自身の本当にだいじなことにはだれも手が出せないんだよ。」 



きついこというな・・・ 

悩んでる時間ももったいないが、後悔しないように生きるって難しいだろ 

それでもその女は厳しく、俺を見下しながら続ける 



母「時勢は常に変わる。その流れの中でどう生きるかが、生きる鍵だ。流れに身を任せるんじゃない。」 

母「自分の好きな流れに変えてやるんだよ。今のおまえはただ流れに身を任せてその状況を受け入れてるだけなんだよ。 



「それに妥協してるなら死んだ方がいい。」 



俺「無理いってくれるな・・・。」 

母「自分のやりたいことをしろ。と前から言ってはいるが、おまえはなにもしなかったな。やっとしたいことができたんなら、命がけでやってみろ。」 

俺「・・・・。・・・・ははは・・・わかったよ。まったく俺の家は厳しいな・・・。いや俺が甘えすぎなだけか。」 



頬がいてぇな・・・ 


ほんといてぇ・・・ 



俺「すんません。目が覚めました。はははっ、ちょっと・・・好きな人、いやみんなと世界救いにいってくるわ。」 




母「ああ、わかった。がんばってこい。あ、じゃああの部屋はもういらないな。」 

俺「ああ、いらないよ。あ、でもフィギュアは・・・。」 

母「捨てとくから、早く行け。あ、ちょっとはいいプレゼントでも買っていくんだな。」 

俺「大丈夫だ。金は全額引き出したし。じゃあいってきます。いつ戻ってくるかわかんないけど。」 

母「もうもどってこなくてもいいさ。それじゃあいってらっしゃい。」 




俺は勢い良く病室を飛び出した 

やはり母親強しだな 

なんだかいまなら何でもできそうな気がするな・・・ 

今まで悩んでた俺が馬鹿らしいぜ・・・ 

世界が超えられない?戻れない?ふざけんな、気合で超えてやる 


エーリカの元に意地でも戻ってやる 


そしてなにもかも伝えてやる! 



~~~~~~~~~~~~~~ 

あわただしく一人の決意をした男が出て行った 

昔の父親に似ている 

ストライクウィッチーズか・・・ 

母「ストライクウィッチーズねぇ・・・。」 

私はタバコに火をつけ、白い天井へと煙を吐き出した 

ため息のように 



~~~~~~~~~~~~~~~ 



走り出した男は止まらない 

人にぶつかりながらもはやくはやくと駆け抜ける 

風の様に体を走らせ、火のように心を焚きつける 


俺「ぜぇ・・・ぜぇ・・・、そうだ。刀を取りにいこう!」 



俺は思いつき、急いで家に戻ろうとする 


ドン 

ヤンキー1「あーいってぇじゃん!なにすんだよ!ちょっとまてよおらぁ!」 

俺「ってなんだよ?いいからはなせや!」 

ヤンキー2「あんちゃんにぶつかっておいて、なんだその態度!金だせやこら!」 

俺「(前にもあったな・・・。)しかたないな・・・。わかったよ、ちょっとそこの路地裏にいこう。」 

ヤンキー1「ん・・・?やけにものわかりいいと思ったらこいつ・・・俺じゃね?ぎゃはは!こいつ俺だわ!」 

ヤンキー2「うわっ!まじじゃん!こいつまだ生きてたんだ。超笑えるな!」 

俺「(だれだこいつら?話からするに俺をいじめてたやつか・・・。ちょうどいい。)」 




~路地裏~ 


ヤンキー1「昔コイツの机だけなくして、授業受けさせたの笑えたわー。こいつ棒立ちでいるからな~。」 

ヤンキー2「まじぱねぇwwwとりあえずお金だせよ!」 

俺「お金?すまないが、クズに出す金はないんだ。変わりにいいものをみせてやるよ。」 

ヤンキー2「ああん?そんなものいらねぇんだよ!さっさと金出せや!」ヒュッ 

俺「御代は結構。すまないが急いでるんでな。」パシッ  



ドゴッドゴッ バキッ ドカッ ドゴッ ガシャーン 

路地裏から生々しい音が聞こえてくる 

だが、最後に路地裏からでてくるのは・・・? 




俺「さて、はやく家かえって、向こうに行かなきゃな。出社時間に遅れちまう。」タッタッタ 




~部屋~ 


俺「よっと・・・。親父から受け継いだ剣!つっても無銘だけど。大業物らしいから大切にはしてたが・・・。」 


俺は少しだけ刃を出してみる 

青白く鋭い 

まるで今の自分の心みたく澄んでいる 




俺「もっていかせてもらうわ。使わないと思っていたが、こんなときに役に立つとはな。人生わからないもんだ。」 

俺は刀を布にいれ、背中に背負う 

俺の背負っているものは重い 

昔の俺ならすぐに崩れ落ちていたはずだ 



俺「だが・・・今の俺なら・・・。さて、ふう・・・いくか・・・空へっ!」 


俺は部屋を勢いよく飛び出し、空に・・・青く輝く希望の空へ向かった 


そのために前と同じように海へ 


あのときとは正反対の志で
最終更新:2013年01月30日 15:07