第弐話 『宮藤芳佳に誓います』~再結成ストライクウィッチーズ+1~


~1950年 とある戦場 最前線基地 宮藤少佐自室~

芳佳「すー・・・すー・・・zzz」

俺「こうして寝ている顔は、あの頃のまんまだな」

つい先刻まで思い出話を語り合っていた自らの主君を見つめながら、毛布をかける

俺「俺は・・・ちゃんとあの日の誓い通りに守れているのかな?」

彼女の身体には大小問わず、無数の傷跡が残っている

俺「何を弱気になっているんだ!誓ったんだろうが、全てを懸けてこの少女を守ると」

もう一度自分を戒めよう

彼女が「恥ずかしい誓い」と呼ぶ

あの日を思い出して





~1945年 ロマーニャ 第501統合戦闘航空団基地~

お久しぶりです、宮藤芳佳です

突然ですが私は再び、ストライクウィッチーズとして戦う事になりました

そこに至るまでの理由は死んでしまったはずの父からの突然の手紙や、親友であるリーネちゃんの危機

坂本さんの私を戦わせたくないという優しさ

私の誰かを守りたいという決意がありました

突然のネウロイの襲来による危機に絶体絶命の私達のために

かっての仲間達が助けにきてくれた事

ミーナさんの努力もあって(具体的な事は難しくてよくわかりません)

私達ストライクウィッチーズは再結成されました

あ、もちろん非公式にはだけど、俺さんも一緒です


―――――――――――――――――――――――――――――


芳佳「リーネちゃん、また一緒に頑張ろうね!!」

リーネ「うん!芳佳ちゃん!」

ルッキーニ「うじゅ~」

ルッキーニちゃんがこちらを警戒した目で見つめている

シャーリー「どうしたルッキーニ?いつもみたいに芳佳の胸の成長確かめないのか?」

ルッキーニ「だって~、触ろうとすると・・・あいつが~」

そう言いながら近づいてきたルッキーニちゃんが私の胸を触ろうとした瞬間

カカッ

ルッキーニちゃんのすぐ真下、どこからともなく手裏剣が投げつけられる

ルッキーニ「ほらね~、私フソーニンジャきら~い」

シャーリー「あっはっは、相変わらず過保護にされてんだな、お姫様は!」

芳佳「もーう、その呼び方やめてくださいってばぁー!!」

ゲルト「久しぶりなんだ、顔くらい見せたらどうだ?俺」

シーン

エーリカ「ププッ」

ゲルト「笑うなハルトマン!そして無視するな俺!」

ペリーヌ「相変わらず宮藤さん以外の命令は聞きませんのね、全く、こんな豆狸が姫だなんて、ちゃんちゃらおかしいで・・・」

カカッ

再び地面に刺さる手裏剣、一体何枚持ち歩いているんだろう?

ペリーヌ「きぃ―――っ!宮藤さん!下僕の躾くらいしっかりしておきなさいな!!」

芳佳「俺さんは下僕じゃありません!」

芳佳「それと俺さん、みなさんに謝って!!」

どこからともなく、俺さんが音も無く現れる、一体どこにいたのだろうか?

いつも気になる

俺「すいませんでした!」

ゲルト「宮藤に対してだけ、あきれる程忠実なのも変わらんな」

シャーリー「まぁともかく、これからもよろしくな、俺」

俺「・・・」

芳佳「俺さん」 ニコッ

俺「よ、よろしくお願いします」





~同日 夜 ミーナ執務室~

ミーナ「ふぅ・・・」

姫の上官でもあり、ストライクウィッチーズの司令官でもある彼女は先程から机に向かい、大量の書類と格闘していた

ミーナ「で、何か用かしら俺さん?」

驚いた、気配は消していたのに、ハルトマンは勘の良さ、リドヴャクは固有魔法で、ミーナは・・・年の功か?とにかく気配に敏感な奴が多すぎる流石は各国のエースを集めた精鋭部隊だという訳だ

俺「いえ、感謝の言葉を言いにきました」

ミーナ「あら珍しい、どういう経緯でかしら?」

俺「俺がここに・・・姫の側にいられるように、便宜を計ってくれた件についてです」

ミーナ「あぁ、その件については感謝される必要は無いわ」

ミーナ「非公式の忠実で強力な戦力がどれほど便利なものかは、ブリタニアの最終決戦時に十分に理解できたから」

ミーナ「これは取引のような物です、あなたをここに置く代わりに、天駆忍者の戦力を借りるというね」

俺「どちらにせよ姫が戦場に出る以上、俺も戦場に出なければならないのでそんな事は問題では無いのですが・・・」

ミーナ「そうね」

美しい司令官は微笑んでいる、そうか、俺がここにいられるだけの理由を・・・作ってくれたのか・・・

俺「もう一度いいます、ありがとうございます」





それからの姫は朝には早く起きて朝食を作り、昼は訓練、その合間を縫って家事をするというブリタニア時代と変わらない日々を過ごしている

一見いつも通りに笑顔でひたむきに努力を続ける姫の姿が、俺にはどうしてもどこか無理をしているように見えていた

そう、一郎さんから届いた手紙がまたしても生存の決定的な証にならないと知った時から姫の笑顔に少し陰を感じるのだ

ある日、いつも通りに家事を終えた姫は、一郎さんから届いた手紙を手に、基地の外へ向かう





~滑走路~

ついて行ってはいけないと感じもしたが、何かあってからでは遅いので、尾行をする

職業上の事とはいえ、誰にでもある知られたくない部分を覗き見するというのはやはりいい気分がしないものだ

芳佳「・・・」

姫は滑走路の端に腰かけ、海の先を見つめている、やはりその目はどこか寂しそうに感じる

芳佳「俺さん、どうせいるんでしょ?」

姫にもバレている、忍者廃業しようかな

俺「はい」

芳佳「少し、お話聞いてもらっていいかな?」

黙って姫の隣に腰掛ける

芳佳「私ね、お父さんから2回目の手紙が届いた時、もしかしてって期待しちゃったんだ」

芳佳「私、頑張ったんだよ」

芳佳「お父さんとの約束を守れるように」

芳佳「その力を多くの人のために・・・」

芳佳「お父さんに・・・褒めて・・・もらえると・・・」

目から涙が溢れている、その先は言葉になっていなかった

空を駆け、世界のために戦っているとはいえ、彼女はまだ15歳の少女である

最愛の父が生きているかもしれないという可能性を示され、2度も裏切られたのだ、その衝撃は俺には計り知れない

俺「・・・」

いつの間にか、姫は俺にしがみついて泣いていた

俺には、泣いている女の子にどんな言葉をかけてあげればいいのか解からない

どれくらいの時間が流れたのだろうか

いつの間にか姫も泣きやんでいる

芳佳「俺さん、ありがとう」

お礼を述べる姫

芳佳「聞いてくれてありがとう、思いっきり泣いたらスッキリしたよ」

俺には何もできなかったのに、目の前で泣いている女の子の涙を拭ってあげる事すらできなかったのに

芳佳「俺さんは、いなくならないでね」

姫が望む、側にいてくれと

芳佳「いなくなったら・・・嫌だよ」

悲しむ彼女を救えなかった俺に、望む

芳佳「さて!そろそろ戻ろうか」

俺は、無力だ・・・何も守れていないじゃないか!!

立ち上がり、背を向け歩き出す姫に向け、俺は叫ぶ

俺「我が主君!宮藤芳佳に再び誓います!」

これは戒め、俺が誰よりも強くなるための

芳佳「え?」

姫が驚き振り返るが気にせず続ける

俺「彼方に降りかかる脅威を弾く盾となり!」

俺「彼方を悲しませる全てを払う刀となり!」

俺「彼方の流す涙を拭えるような強き男になる事を!」

俺「一郎様との約束を果されるその時まで!」

俺「彼方の為に生き!彼方のために死ぬ事を!」

俺「ここに再び誓います!」






もう、姫の涙を見たくないから


――――――――――――――――


芳佳「え、えっと、それは私が『誰かのために戦う』事を助けてくれるって事?」

俺「は、はい」(あれ、伝わらなかったか?)

お、驚いた・・・プ、プロポーズかと思ってしまった

私のために生きて、死ぬなんて言うんだから

もう!

芳佳「その誓いは受け取れません」

俺「え!?」

芳佳「私のために死ぬなんて、絶対認めませんから」

芳佳「だから、宮藤芳佳が命じます、私のために生きてください」

跪いている俺さんに手を差し伸べる

芳佳「これからも、よろしくお願いします」

俺さんが私の手を握る

きっと俺さんは知らないんだろうな、私の支えになってくれている事も

そうだ、明日は俺さんの大好物の卵焼きを作ろう

喜んでくれるといいな





~1950年 とある戦場 前線基地 芳佳自室~

俺「とりあえず、俺は生きている」

かって己の全てを懸けて守ると誓った少女は今なお、父親との約束を守り続けている

俺「そして、これからも・・・」

俺「もっと強くならないと」


―――――――――――――――――――


俺さんが出て行った、また修練だろう

芳佳「大丈夫、ちゃーんと守れてるよ」

芳佳「ありがとう」

芳佳「よーし、今日の朝御飯は卵焼きにでもしようかな」





《次回予告》

~1950年 とある戦場 前線基地 芳佳自室~

ガチャ

芳佳「お帰り、御飯できてるよ」

俺「あ、卵焼き・・・」

芳佳「えへへ」

芳佳・俺「「いただきます」」

芳佳「最近思い出話が多かったから思い出したよ、俺さんバルクホルンさんと卵焼きを巡ってケンカしてたよね?」

俺「そんな事もありましたね」

芳佳「それで模擬戦で決着つけよう!ってなって・・・ネウロイが襲撃してきて、私がピンチになって・・・」

芳佳「あー、思い出すなぁーバルクホルンさんと俺さんがキスしたのー」

俺「あ!あれは魔力補給のために仕方なく!!」

芳佳「はいはい」
最終更新:2013年01月31日 15:05