第六話 『俺さん!私を見てください!!』~女の意地と男の純情~


~1950年 とある前線基地 大浴場~

『風呂は心の洗濯』昔の人は上手い事を言うものだ、と私は思う

この丁度よい温度の湯に体を肩までつからせて一息つけば、先程までのちょっとしたモヤモヤした気分も体から流れ落ちていく


芳佳「はー・・・極楽極楽」


そしてまたお風呂は私の数少ない「一人」でいられる時間でもあるのだ

芳佳「初めて会った頃は関係なくお風呂にも入ってきたのにねー♪」

そう、今はあの鈍感男も私を“女”だと意識しているのだ!!

いったいどういう心境の変化が彼にあったかは私には定かではないが、あの日、私の作戦通りに彼は私に“女”を意識しはじめた
ロマーニャ基地にお風呂ができた日から彼は私がお風呂に入ると言うとどこかへ行くようになったのだ



芳佳「まぁでも、これはいい傾向なのかな?」






~1945年 501基地 芳佳・リーネ・ペリーヌ自室~

『小悪魔的な痴女っ子で、気になる男を誘惑する10の方法』・・・

ふむふむ、これは役に立ちそうな気が・・・

ほんの少しの期待を込めて、ページをめくる指にも力は入る



1. お酒の席で、太ももに乗せた手をそのままゆっくりと男の子の股間のほうに持っていっちゃえ!

2. 氷を口にくわえてさりげなく首元に落としちゃえ!男の子が「ひゃっふ!」って言ったら、強引に首元にキスしちゃおう

3. 男の子と二人きりになったら、「○○君って耳可愛いよね」って言って耳たぶをかぷっと食べてしまおう。
「あうっ」っとなって、男の子は自然とエッチな気分になっちゃう

4. キスより先に関係が進まない貴方は、ナッシングズボンにチャレンジしてみよう。
部屋で二人きりの時にすっと立ち上がってベルトをゆっくりめくりあげれば、彼はその瞬間に獣に(照)

etc…



芳佳「・・・」


芳佳「・・・で・・・」


芳佳「できるかぁ―――――――――ッ!!!!」


そもそもナッシングズボンってなんですか!!??



は!失礼しました、取り乱しました

お久しぶりです宮藤芳佳です

リーネ「芳佳ちゃん・・・どうしたの?大丈夫?」

芳佳「あ、リーネちゃん、ごめんね、大声だして・・・大丈夫だよちょっとツッコマズにはいられなくて・・・」

リーネ「?」


そう、私がさっきまで読んでいた雑誌「小悪魔ageha」は、今は横浜の師範学校に通っているみっちゃんに恋の相談を手紙で送ったら【今、扶桑の女子高生の間で大人気な雑誌だよ!勉強になるよ!!】という返信と共に送られてきたものです

みっちゃん・・・私が知らない間に・・・大人になってしまったのかな・・・



閑話休題です!



そもそもなぜ私がこんな物にすがってまで恋の勉強をしようと思ったかといえば、全ての原因はあの鈍感な男にあります



いや、確かに私も自分から直接気持ちを伝えたわけではないんですけどね・・・

芳佳「・・・はぁ」

どうすればいいかわかりません、だって初恋なんだもん

どうすれば彼が喜んでくれるか、私の事ちゃんと見てくれるか・・・そればかり考えてしまいます

いや、見てくれてはいるんですけどね、そういう意味では無くて・・・うー・・・






~翌日~

なんと!今日は我等が基地に大浴場が完成する日です!!パチパチパチ

浴場の使用開始の正午まであと5分程です、せっかくの大浴場を存分に楽しむために私達は坂本さんによって訓練をさせられました!
ルッキーニちゃんが大きな虫を捕まえたとか言っていましたがそのルッキーニちゃん本人も今はお風呂に興味津々です

坂本「うむ、時間だな!入ってよし!!」


いやったーっ!!


まず最初にルッキーニちゃんが真っ先に入っていきます、続いてリーネちゃん、エイラさん、私、そして俺さん・・・え!?



え!!??



坂本「待て!俺、一体どういうつもりだ?」

俺「・・・何か・・・問題があるのか?」

坂本「問題しかない!!」

私も同感です

俺「俺は姫をあらゆる物から守らなければならない、故に俺は姫の行く所にはどこまでもついて行こう・・・例えそこが地獄でもな」

え・・・なんか照れちゃいますね////

坂本「貴様のその決意はともかく、ここは女風呂だ、宮藤以外の隊員も入るんだ自重してくれ」

俺「姫、どうしましょうか?」

こういうものを世間では愚問だと言うのでしょう

芳佳「ダメです!!!」






~大浴場~

少し遅れて私が大浴場に入っていけば湯船の中に竹筒が水面から突き出ています

あれですよね、明らかに下に誰かいますよね

芳佳「・・・」

でも俺さんが私の言いつけを破るとは思えないし・・・

不審に思って竹筒に近づいた私は迂闊でした

ルッキーニ「ばぁ――!!」

竹筒の下に隠れていたのはルッキーニちゃんでした、驚く私にかまわず俺さんが見ていないのをいい事に私の胸を揉みしだきます

やっと離れたルッキーニちゃんは自慢気に語りはじめる

ルッキーニ「エへへ~!俺にニンジュツ教えてもらったんだ~!!やーい芳佳ひっかかったー!!♪これスイトンって言うんだよ!!!すっごいでしょ~」

ルッキーニ「これで私もクノイチになれる~!知ってる芳佳?クノイチは色気が無いとなれないんだって!芳佳には無理だね~♪」

芳佳「ル、ルッキーニちゃんだって変わらないでしょー!!」



主に胸の事を言っているのは理解できました



ルッキーニ「だって私は成長期まだだもん、それに俺がさっき言ってたようなものじゃん、芳佳の裸見たって平気だって」

え!?・・・いや確かに・・・あの男は私がお風呂に入っていようが後をついてくる・・・

わ、わたし・・・女だと思われていない?

ルッキーニ「芳佳??大丈夫?顔真っ青だよ?」

どうしよう・・・

その時、私の頭をよぎったのは、昨晩のあの頭の悪い雑誌

そう、ならばあの男に教えてやればいいのだ!私も“女”である事を!!

よーし!今にみていろー・・・






脱衣所ではルッキーニちゃんの虫がみんなのズボンの中に次々に侵入して大騒ぎになりましたが、今の私の関心は虫にではなく、他の事にあります

芳佳「俺さん!!」

俺「はっ!!」

私が呼べばいつもすぐに駆けつける、一体どこに待機していたのか・・・

あの雑誌の通り行動してみる、1はまだお互いに未成年なのでお酒は飲んだらいけません!よって論外・・・なので2を実行する事にします!!

跪く彼の首元に食堂から持ってきた氷を落とす、さぁ「ひゃっふ!!」って言え!言ってください!!

俺「・・・」

芳佳「・・・」

俺「どうかされましたか?」

どうやら彼はよく訓練された忍者のようでこれしきの事では動じません

芳佳「・・・」

盛大に失敗しました






~談話室~

どうやら私達がくだらない事をしている内に、事態は大きくなっていたようで、ルッキーニちゃんが捕まえてきた虫はどうやら小型のネウロイだったらしく基地の電力を次々に奪い、機能を停止させているそうです

そんなワケで、私と俺さんもみんなで対策を話し合うためにこの部屋に呼ばれました

しかし、なぜその小型ネウロイが私達のズボンの中に侵入してくるのでしょうか・・・?

シャーリーさんいわく“それは尻ません”だって

あ、そうですか

そんなお茶目なシャーリーさんがなんと!小型ネウロイが発する特殊な電波を探知する機械を作っていたそうです!!凄いです!シャーリーさん!!

シャーリー「ふむふむ、反応は・・・」

シャーリーさんが機械を両手に反応を辿ります・・・一列に並ぶ私達の前をいったりきたり・・・

シャーリー「近いな・・・」

そしてシャーリーさんの足が止まります

シャーリー「そこだ!!」

私の目の前で・・・


芳佳「えええええぇぇぇぇ―――――――ッ!!」


その瞬間・・お尻にモゾモゾしたものがががががが

芳佳「ひぃぃぃぃぃ――――いい嫌ぁぁぁぁ――――」

リーネ「芳佳ちゃん!!」

ルッキーニ「私の虫~♪」

芳佳「モゾモゾする―――ッ!!」

あまりの嫌悪感に我慢しきれず走りだす私、自分でもなぜ走ったかはわかりません

坂本「宮藤!脱ぐんだ!!」

芳佳「嫌です~!!」

坂本さんが恐ろしい提案をします

ペリーヌ「宮藤さん観念なさいなさい!!」

私の前に立ちはだかるペリーヌさん

芳佳「絶対嫌!!」

逃げ続ける私の前に501の仲間達が次々とたちはだかります、このままでは捕まって脱がされるのは時間の問題です・・・



芳佳「く~、俺さーん!助けて――!!」



そう、周りは敵だらけのこの危機的状況の中私を助けだせるのは彼だけ!!

天井から颯爽と現れた私のヒーロー(予定)は、私の前に立ちはだかり・・・

俺「姫!ご観念を!これも姫の身の安全のためです!」



嘘!!ここにきてまさかの裏切りですか!?



芳佳「裏切り者~」

俺「これも姫のためです!!」

俺さんの目の前でナッシングズボンなんて屈辱的な事をされてはたまらないとまたまた必死に逃げる私、あまり必死だったものだから・・・

シャーリー「うわ!!」

シャーリーさんに勢いよくぶつかってしまい、二人して倒れこんでしまいました

シャーリー「イテテ・・」

ボン!!

シャーリー「あ!!」

私のお尻から逃げた小型ネウロイがシャーリーさんの“虫探知機”を破壊して逃げていきます

ゲルト「あっちに逃げたぞ!!」

ルッキーニ「私の虫―!!」

坂本「追え!!」

みんな小型ネウロイを追いかけて部屋から出て行ってしまいました

で、私はと言うと・・・





芳佳「痛たた・・・」

転んだひょうしに足をくじいてしまいました

俺「姫、お手を・・・」

俺さんが私に手を差し伸べ、起き上がらせおぶってくれます

芳佳「うわわ」////

俺さんの背中、おっきいな・・・

俺「医務室へ向かいましょう」

正直に言えば、治癒魔法を使えば足は治せたけれど・・・

ちょっとくらいは甘えてもいいですよね






~医務室へ向かう途中~

俺「・・・」

芳佳「・・・」

言葉も無く俺さんは私を背負ったまま医務室へと歩を進めます

よくよく考えてみれば、魔力供給の時以外に俺さんの顔にこんなに近づいたのは初めてだった気がする

私の心臓はバクバクなのに、相も変わらず俺さんは無表情のまま

私がどれだけ望んでも俺さんの中では私達の関係は“姫と忍者”のままなのかな・・・

うんうん違う、私はそれを変えてやるんだ!この間そう決めたばかりではないか!
そう、まずは私を“女”だと意識させなければ・・・これは女の意地だ!!

今の顔の距離、そして俺さんの背後を取ったという好条件!今ならあの雑誌の3を実行できます!!

よーし!耳を・・・カプッと・・・

俺「どうかされましたか?」

避けられた・・・のだが・・・



芳佳「んあっ!!」////

俺「!!!!!?????」



お、お、お、俺さんの手が・・手が・・・私が噛みつこうと姿勢を変えた拍子に・・・わ、わ、私のお尻に・・・



俺「////」

俺さんが顔を真っ赤にしながら手をお尻から離して、今度は足をしっかりホールドしました

今!!今!!俺さん!私のお尻に触って照れました!!これってそうですよね!!私の事“女”だと意識しましたよね!?だから照れたんですよね!!!

ささやかだけど!目標は達成です!こうやって一歩一歩進んでいけば、いつかきっと・・・想いは届きますよね!!











あ、ちなみに小型ネウロイはミーナさんが撃破したそうです、さすがですよねー!でもどうやって倒したかは教えてくれません・・・なんでだろう?







~夜 芳佳・リーネ・ペリーヌ自室 屋根裏~

俺「・・・」

どうしたものか・・・

忘れられない・・・

両手に残る、姫のあの柔らかなお尻の感触が!!

俺の理性を狂わせる!!!

マズイ・・・もう邪な目でしか姫を見れない!!!

俺が姫に対して抱いていた感情は“憧れ”と“使命”だったはずだ・・・

そうだ!落ちつけ!素数を数えろ!1・2・・・ダメだ!!数えられない!!

俺「はぁ・・・」

姫の事が頭から離れない・・・

俺「ヤベ!また鼻血でてきた・・・」

こりゃ、もう風呂まで護衛につくのは無理だな・・・






《次回予告》

~1950年 とある前線基地 脱衣場~

お風呂からあがり、この魅惑()のボディを服におしこむ

ふと時計を見れば、時間はすでに正午過ぎ・・・

芳佳「うわわ!正午から部下に訓練をつける約束してたのに!!」

急いでハンガーにある私の愛用のストライカーユニットの元へと向かう

あのストライカーユニットについては思い出がありすぎて、何を語ればいいのやら・・・

お父さんの遺志・・・私の絶望・・・そして俺さんの挫折・・・

あの震電がなければ、きっと私は・・・

次回『もう・・・俺では姫をお守りできません・・・』~その力、誰がために~
最終更新:2013年01月31日 15:07