第八話『誓ったはずです、あなたの涙を拭うと』~2人でならできる事~

~1950年 とある前線基地 上空~

背後からの銃撃をかわしながら私は飛ぶ、5年もの間常に最前線で戦ってきた今の私にとって今やこの程度朝飯前も当然なのだ

私を落としたかったら、ハルトマンさんを連れてこい!!


芳佳「・・・」


言ってみたかっただけです

芳佳「姿勢の軸がブレてる!!そんなんじゃ敵には当たらないよ!!」

坂本さん程ではありませんが、私も今や鬼上官として噂される程度には後輩を鍛えている
この立場になって解かる、後輩を厳しく鍛えるのは生き残って欲しいからだって

なかなか射撃の精度が上がらない後輩に、若干昔の自分の面影を感じて思わず頬が緩む
しかし甘やかしても彼女のためにはならないので、おもいきり左に旋回して背後を取る


芳佳「う~ん、良くなってはいるんだけどねぇ・・・もうちょっと体幹鍛えたら姿勢が安定するのかな?」


よーし、腹筋背筋のフルコース決定!!
そんな事を考えながら、ペイント弾の引き金を絞って模擬戦に決着をつける

後輩「・・・私本当にダメですね、宮藤少佐は15歳の時に単機で大和を襲撃した中型ネウロイを撃破してるって聞いてるのに・・・」

あー・・・そうか、公式記録では単機になってるのか

芳佳「ねぇ、どうして私達がロッテを組んでいるのか解かる?」

後輩「それは、2機編成の「あー!そういう小難しい話じゃなくって!!」

後輩の声を遮って大声を上げる私、少しビックリしてるな、彼女

芳佳「1人じゃできない事でも、2人ならできるからだよ」

後輩「2人なら・・・」

芳佳「そう、大切な人が私に教えてくれたの」

後輩「あ!俺さんですね!!」



なぜバレた!!!!




~1945年 アドリア海海上 大和 医務室~

芳佳「次の患者さんを!!どんどん連れてきてください!!」

事故により爆発が起こり、多くの乗組員が大小様々な怪我を負い阿鼻叫喚の様相をしている医務室で、私はただひたすらに治癒魔法をかけ続けます

リーネ「芳佳ちゃん、もう10人連続だよ?少し休憩したほうが・・・」

芳佳「ありがとうリーネちゃん、大丈夫だから・・・」

一つの命だって諦めない!どんな些細な痛みや苦しみだって私がすべて治してみせる
だって私は俺さんの主君なんだ!俺さんだったらきっとこんな時諦めない!

今は私の隣にはいないけど、彼は絶対に私の元に帰ってくる!
私を守ると誓ってくれた!私の涙を拭ってくれると誓ってくれた!!

だから、だからそれまで私は彼を信じて「私にできる事」をするんだ!!
これが、今飛べない私にできる事だから

芳佳「次の患者さんは!!??」





~大和 指令室~

副官「怪我人の治療が無事終わりました、奇跡的に死人は0です」

副官の報告を聞き、指令室に安堵のため息がいくつもあがる

杉田「また宮藤軍曹に救われたか・・・まったく彼女には頭が上がらんな」

宮藤芳佳軍曹と聞けば、大和のクルー達はみなあの天真爛漫な笑顔を思い出す
治癒魔法が身体の傷を癒してくれるものならば、あの笑顔は心の傷を治してしまうような・・・
そんな不思議な魅力を誰もが感じていたから

副官「少し、元気がありませんでしたね・・・」

そう、本日の事故による救護要請に駆けつけた彼女はどこか様子がおかしく感じた

杉田「そう言えば、今日はあの少年の姿が無いらしいな」

“あの少年”とはもちろん、いつも宮藤芳佳の後について歩いていた彼の事
赤城に乗ってブリタニアに向かった時から、常に宮藤芳佳の傍らにいた少年が今日はいないらしいのだ

あの2人の関係がどういった物かは誰も知らないが、何か直感めいたもので宮藤芳佳の様子がおかしい理由に彼が関与しているであろう事を予想する者は多かった

杉田「彼女を泣かせるような事をしたらタダではおかん!!」

杉田の独り言に頷くクルー達、大和のクルーの大半は元赤城の人間だ
彼等にとって宮藤芳佳は、かの「アフリカの星」よりも輝ける太陽のような存在
なのだからその理由は明白だろう





~アドリア海 上空~

温暖な気候のアドリア海、その美しさは世界でも有数なモノであろう

そんなアドリア海を進行する大和に迫る二つの影

一つは己が主君のため、何よりも大切な人の涙を拭うために仲間の助力を得て飛ぶ忠実なる影

一つは人類の天敵、異形の軍勢、その漆黒のボディは一目見た者を畏怖させる爆弾の様な形を成している

奇妙な怪鳥音のような鳴き声を発して、ネウロイは行く

その目的は誰も知らない

ただただ、本能に身を任せて



そんな彼等が道中に鉢会う事は無い、互いに別方向から目的地へと向かっているから


俺「姫、只今参ります!もう一度、彼方と共に飛ぶために!!」






~アドリア海海上 大和~

リーネ「芳佳ちゃん、お疲れ様」

なんとか、全員分の治療を終え少し安堵する私にリーネちゃんが労いの言葉をかけてくれた

芳佳「うん・・・良かった、みんな無事で」

リーネ「芳佳ちゃんが頑張ったからだね、だからみんな助かったんだよ」

芳佳「私が?」

私が救った・・・

自分にできる事で救える命がある、その事実を再認識する
お父さんとの約束、そして私の望む事

同時に、もう一つの事実も思い出す
今の私は空を満足に飛べない、そして魔力供給をおこなえば俺さんを傷つけてしまう

傷つき苦しむ人を助けてあげられても、これから傷つく人を守る事が・・・できない


私は「守りたい」のに、目の前で傷つく人すべてを、苦しむ人すべてを
傲慢だと笑われるだろうか?
それでも、いつだって私のそんな話を真剣に聞いてくれる人がいたから、私は今でもそう思っていられるんだ
昔はお父さん
今は俺さん




あぁ、あなたの声が聞きたいよ




「姫、大丈夫です」

ってあなたの声があれば、きっと私のこんな不安なんて一瞬で吹き飛んでしまうんだろうな

あなたが側にいてくれるだけで、きっと私は・・・・



芳佳「会いたいよ・・・」



そんな私の逡巡など、まったく意に介さず、大和の警報が鳴り響く

《総員第一種戦闘配備!!ネウロイの接近を確認!!繰り返す・・・》

リーネ「芳佳ちゃん・・・」

リーネちゃんが、心配そうな私を見つめる
言葉が出てこないのだろう、それはリーネちゃんの優しさだ

芳佳「行こう!リーネちゃん!」

大丈夫、大丈夫

そう自分に言い聞かせながら、私はハンガーへと走る

折れそうな心を、精一杯誤魔化しながら






~大和 ハンガー~

窓から見た戦場は、一方的な虐殺の場でした
襲撃してきたネウロイの装甲は非常に強固で、大和の主砲ですら全く効果がありません

私とリーネちゃんは、ストライカーを履き、戦いの準備をします

魔力をストライカーに浸透させ、飛び立つ準備は万端

しかし

嫌な音を立て、私のストライカーは機能を停止してしまう

芳佳「そんな!!・・・今飛べなきゃ!!守れないのに!!私!!・・・守りたいのに!!守らなきゃいけないのに!!・・・・どうして・・・」

思わず慟哭してしまう、そんな私をリーネちゃんは決意を決めた表情で見つめて
そして語りかける

リーネ「芳佳ちゃん、私・・・いくね」

ダメだ!!リーネちゃんは1人で戦う気だ!!自分の事、犠牲にする気だ!!

芳佳「ダメ!いけないリーネちゃん!!いっちゃダメ!!」

そんな私の声を無視して・・・私に微笑んで・・・リーネちゃんは飛び立って行ってしまいました

芳佳「ダメ・・・リーネちゃん・・・」



そろそろ、私の心は限界みたいです・・・






~アドリア海上空 大和近辺~

己の主君がいると聞いた大和へと辿りついた忍者は驚き、柄にもなく慌ててしまっていた

大和の護衛艦の役半数は撃沈され、黒煙をまき散らしながら残骸と化している

その破壊を振り撒いた存在が戦っているのは、主君の親友である少女リネット・ビショップだった

彼女はどうやら大和を退避させるために、己の身体を盾にしながら戦っているようで、ネウロイの猛攻をその小さな身体で精一杯防いでいる


俺「リネット――――――――ッ!!!!!」


手裏剣・苦無などを金遁を利用し、魔力を込めてネウロイに撃ち込む

装甲がかなり固い相手なのだろうか?ネウロイの装甲は少し爆ぜたものの、ダメージは通っていないようだ、変わらずに大和へと攻撃をしかける

再び、ネウロイの発した赤い破滅の光をシールドで防いでリネットは俺を睨む


リーネ「あなたは何をしているんですか!!??」


俺「どういう意味だ!?まずはこいつを仕留めるぞ!!」

再びリネットが俺を睨みつける、彼女には珍しく怒りの感情を隠そうともしていない


リーネ「あなたが今守るべき人間は私ではありません!!!あなたの主君は誰ですか!?あなたの大切な人は誰ですか!?それを間違えないでください!!」


ネウロイの猛攻を防ぎながら、彼女は叫ぶ
なりふり構わず、叫ぶ


俺「しかし!!貴様を放って「みくびらないでください!!!」


リーネ「私も、ストライクウィッチーズの一員なんです、ネウロイの一体や二体なんの問題もありません」

先程とはうって変って、今度は柔らかに微笑むリーネ

俺「チッ!代わりに、分身を10体置いて行く・・・気休め程度だが・・・多少はマシだろう」

そう言って俺は印を結び、己の分身を製造
それをリーネの周りに配置する

リーネ「芳佳ちゃんはハンガーです・・・多分、そろそろ限界・・・次に会った時に、芳佳ちゃんが泣いていたら、解かってますよね?」

俺がリーネの脇を通りすぎる時に、彼女がそっと囁く
すかさず、彼を狙ったビームを防ぎながら

俺「彼女の涙を拭うためにきたんだ、そんな結果にはさせやしない」

頼もしい仲間の助力を受けて、彼は大事な姫の元へと飛ぶ

そう、ハッピーエンドに向かって






~大和 ハンガー~

ダメだ・・・涙が止まらない・・・

私の心は完全に折れてしまったみたい

守りたい物を守れない、大好きな人を傷つけてしまう

お父さんとの約束も、もう果たせない

芳佳「ぅ・・うぅ・・・ぐすっ・・・」

泣いても、なんの解決にもならないのに、今の私にできる事はない

そんな時でも、私の頭にあったのは私の一番好きな人

私を守ると言ってくれた人

私の涙を拭ってくれるって言った人



芳佳「す・・てよ・・・」



芳佳「助け・・・よ・・ん・・・」



芳佳「助けてよ!!!俺さん!!!」



いないはずの彼の名前を叫んでしまう、

縋ってしまう

私が彼の事を傷つけてしまったのに



「お呼びでしょうか?」



私の嗚咽をさえぎるように声が響いた


優しい声


私の大好きな声


聞きたくて、聞きたくて、もうどうしようも無かった声


ハンガーの奥のエレベーターが作動する

ゆっくりと上がってくるエレベーターには、見た事も無いストライカーと私のヒーローが乗っていました


俺「姫、只今推参いたしました」






~大和 指令室~

副官「よかったのですか?艦長、震電はまだテスト飛行もすんでいない機体ですよ?」

リーネの必死の援護によって無事に退避する事ができた大和の指令室に、会話が響く

杉田「構わん、あの少年が宮藤軍曹のためにと言うのだからそうなのだろう」

杉田は思いだす、突然指令室に現れ「震電」の位置を訪ねてきた少年を

彼の迷いの無い、真っ直ぐな目は間違いなく嘘を述べていなかった
真っ直ぐに、愚直に宮藤芳佳の事を案じているのが伝わってきたから

彼もまた、自分と同じ彼女の不思議な魅力に取りつかれた1人なのだろう

杉田「若さという物はいいものだと思わんかね?」

副官「は?」

杉田「あの少女はいずれ人類の希望になる、任せたぞ少年!!」





~大和 ハンガー~

芳佳「お・・・俺さん・・・どうして・・・ここに・・・」

自分で名前を叫んだくせにキョトンとしてしまう

彼はゆっくり私に近づいてきて、私のすぐ側に跪き・・・
そっと手の甲で私の涙を拭った

俺「誓ったはずでず、あなたの涙を拭うと・・・」

そうだった、この人はこういう人だったんだ・・・
私のためなら、どんな事だって、どんな不可能だって可能にしてくれるんだ

芳佳「遅いよ・・・バカ・・・」

私は立ち上がる、もう大丈夫
私の心はもう揺るがない、1人じゃない、彼が・・・俺さんが側にいてくれるから

俺「姫、リネットが1人で外で戦っています!共に行きましょう!!」

芳佳「でも、私・・・飛べない・・・」

俺「大丈夫です、姫の翼ならここにあります」

そう言って俺さんは傍らのストライカーに目をやる

芳佳「これは?」

俺「詳しい事は解かりませんが、坂本がこのストライカーなら姫でも飛べると・・・一郎様が、姫のために遺した物です」

芳佳「お父さんの・・・」

お父さんが、私の事助けてくれるの?
いつも肝心な時にいなかったのに・・・不思議だね、本当に

芳佳「お父さん・・・ありがとう」

お父さんが私に会わせてくれた、この人と
お父さんが私にくれたこの翼で・・・
もう一度、私は飛びます!!

ストライカーを履き、私は横に並んだ俺さんを見る

2人をカタパルトのある大和の甲板までエレベーターが運んでくれる

彼の顔は真っ直ぐ前を見据えて、すでに戦いの準備に入っている


芳佳「・・・ありがとう」


俺「は?何かおっしゃいましたか?」

芳佳「ううん!何も!さぁ行こう!!リーネちゃんを救いに!!」

俺「はっ!!!」



1人ではダメな事、だけどあなたとなら・・・できる事






~アドリア海海上 大和近辺~

リーネ「はぁ・・・はぁ・・・」

これでもう何度めだろうか?数え切れない程ネウロイの攻撃をシールドで防ぎ、彼女は吹き飛ばされる
俺の残していった分身のおかげで、なんとか命を落とさずにはいられたが、もう分身もすべて消滅してしまった

リーネ「芳佳ちゃん無事に離脱できたかな?・・・俺さんは芳佳ちゃんに会えたかな?・・・」

奇妙な怪鳥音を発し、ネウロイはリーネに迫る
目の前に命を刈り取る閃光を収束する

リーネ「シールド・・・もう・・・張れない・・・」

己の命の終わりを覚悟した時、リーネ後方からとてつもない速度で迫る二つの気配を感じた

リーネ「よかった・・・俺さん・・・芳佳ちゃん・・・」

そう呟き、彼女は気を失うそんな彼女を抱きとめたのは親友である宮藤芳佳
ネウロイの放ったビームも、彼女の張った規格外の強度を誇るシールドに弾かれ、霧散した


芳佳「よくも・・・リーネちゃんを!!」


傷ついた親友の姿を見た宮藤芳佳に、人生において初めてともいえる激情が沸き起こる
俺が分身を一つ作成し、その分身にリーネを抱えさせ、戦線から離脱させる

その姿を見送って、芳佳は凛とした、それでいてどこか親愛の情のこもった声で告げる



芳佳「宮藤芳佳が命じます!!ネウロイを、破壊します!!援護を!!」



戦場に彼女の声が響き渡る

異形の敵と対するは、魔女の姫と天駆忍者


芳佳「魔力供給を行います!!帰って来たって事は、大丈夫なんだよね!?」


俺「当然です!姫のためなら、不可能を「可能に!!だよね!?」

芳佳が途中で台詞を奪う、悪戯っぽい表情で、微笑みながら

俺「その通りです」

微笑む芳佳、不敵に笑う俺、そんな2人はネウロイの放つビームの雨をかわしながら接近していく

そして、再度放たれたビームをかわした時、2人の距離は0になる

重ねる唇

体を駆け巡る魔力

戦場でキスを行ったのは恐らくこの2人が初めてだろう

俺は余剰魔力を坂本から授けられた妖刀へと吸わせ、適切な量の魔力を身体に留める

離れる唇、離れる2人の距離

しかし、2人の心の距離は、今最大に近づいていた

俺「さぁ、反撃開始だ・・・」

そう呟き、彼は印を結んだ






~アドリア海上空 大和近辺~

無数の分身を作成した俺さんは、分身をネウロイト張りつかせます
まるで蛙のように

俺『天駆忍法秘伝、影分身弐の法・爆遁・・・神風』

俺さんが印を切る
と、同時にネウロイの装甲にはりついた俺さんの無数の分身はとてつもない威力の爆発を起こしていきます

芳佳「・・・」

いやね、凄いんですよ、威力は!!ネウロイの体の半分は吹き飛びましたもん
でもね恋する乙女にとって、例え分身とはいえ自分の想い人が爆散していくのはあまりいい気分がしないもので・・・

俺「姫、チャンスです!作戦通りいきます!!」

芳佳「あ、うん!行こう!!」

そう言って俺さんはネウロイの上空へと上がっていく
私はシールドを収束し、前方に構えて突撃をかける

当然、ネウロイも黙って見ているわけではなく“前”から迫る私に向かって赤い輝きを収束し、私が今まで見た事もない程の大きさの破壊力の塊を生成し、放つ

ネウロイの“前”から迫る私はシールドでその破壊力の塊を防げる訳も無く、消滅

そう“前”から迫る私は消滅しました、正確に言えば「私の姿に変化した、俺さんの分身」ですが

え?本物の私ですか?

すでに、ネウロイの後方5メートル、もう私を遮るものは何もない

芳佳「うおぉぉぉぉぉぉぉッ」

気合を入れ、シールドに力を込めてネウロイの装甲を突き破り敵の内部に侵入する

手にした機銃をガムシャラに乱射して、コアを撃ち抜く
コアを撃ち抜かれたネウロイはまるで、現の夢かのように美しい白く輝く破片に変わり消滅



俺「姫、お見事でした」



ネウロイの破片が降り注ぐ中、初めて俺さんに褒められた私の顔はきっとトマトの様に赤くなっていたに違いありません



あー、恥ずかしい





~同日 夜 501基地 滑走路~

最近俺さんの監視時間から外れたお風呂に入り終え、彼の姿を探す
って言ってもこの時間は絶対に滑走路にいるんですけどね

予想通り、彼の姿を見つける
滑走路の一番奥、海に向かって座禅を組んで精神統一をしている

私はそっと、彼と背中合わせに体育座りで腰掛ける

俺「・・・」

芳佳「・・・」


北半球の満天の星空の下、私達はお互いに黙りこくったまま
私の心臓はバクバクだ・・・・・彼に伝わっているのかな?


芳佳「あのね、少し・・・お話聞いてもらえるかな?」

ちょっと勇気を振り絞って彼に話しかける
返事はありません、ちなみにこれは肯定、さすがに1年付き合えば解かります



芳佳「私ね、今回自分で飛べなくなって・・・・俺さんの事傷つけてしまって・・・色々思ったんだ」

芳佳「今まで私の戦う理由って、『お父さんとの約束』だと思っていたんだ・・・でもね、違った、ううん、そんな事私はとっくの昔に気付いていたんだ・・・」

芳佳「私・・・守りたい物いっぱいあるんだ、世界中の人!苦しんでいる人!傷付いてる人!みんなを救いたいんだ!!」

芳佳「でも・・・きっと私1人じゃ・・・できない・・・」

芳佳「・・・だから・・・お父さんとの契約が終わった後も・・・・私を守ってください!」

芳佳「1人じゃできなくても2人なら・・・・俺さんと一緒なら!きっとできるから!!」

芳佳「・・・・・私に・・・・ついてきて・・・・くれますか?」

地べたに置いてある私の手に、俺さんが手を重ねる
暖かくて、優しくて、大きい手

俺「お供いたします、例えそこが地獄の果てでも」



振り向かずに、俺さんが答えてくれる
私も振り向かずに

芳佳「ありがとう」

こう告げる


お互いの手を重ねて、私達はアドリア海の夜風に吹かれながら満天の星を眺めていました

この時間が、少しでも長く続きますように・・・






《次回予告》

~1950年 とある前線基地~

うわ!!うっわ!!思い出しただけで赤面してきた!!

昔の私!意外に大胆じゃないか!!!

今じゃそんな事恥ずかしすぎてできねぇよ・・・

模擬戦を終え、可愛い部下に地獄の体幹メニューを言い渡して私は部屋に戻る

と、ドアに挟まっている郵便物を発見する

芳佳「誰だろ?ていうか今日2通目だ・・・」

差出人を確認する・・・・

芳佳「あ!ペリーヌさんだ!!!」

内容はガリアの復興状況と、私達への労いの言葉だった

そう、ペリーヌさんの決死の努力が実を結び、ガリアの復興は着々と進んでいる

ペリーヌさんはいつも、とっても一生懸命だったなー

そう、あの探検の時も・・・

芳佳「ふふっ・・・・しかし、あの時はおかしかったなー」

次回 第9話『姫の仇は・・・かならず・・・』~勘違いの嵐~
最終更新:2013年01月31日 15:08