「蒼穹の絆2-2」
―変態の一面―
昼食。食堂に隊員が勢ぞろい。
皆、盛んに食事を口に運ぶが、一際健啖ぶりを発揮している俺が居る。
俺「この基地の食事、美味いね!これこそ人間の食べ物だ!」
下品にならない程度にがっついている。食事を褒められた隊員も笑顔。
坂本「そうだ、大尉は21歳だって?魔力消失は問題ないのか?」
俺「ええ。発動が遅かったからかな?今のところ問題は見当たらないよ」
ミーナ「俺さんの固有魔法の『増幅』とは?」
俺「他の人の魔力を一時的にですが増幅するんですよ。距離の制限はあります」
ミーナ「どのくらい?」
俺「私を中心として、半径2マイルの球形圏内。それ以外は駄目。」
バルクホルン「3.2キロメートル?」
俺「だね!ご名答」
ニコッとバルクホルンに微笑むが黙殺される。
ミーナ「どのくらいの増幅率?もとを100としたら?」
俺「物理的な魔力ならば150~180位です。相性がよいと200を越したこともある。想念系は
120~150位。受ける側には影響はなし」
エイラ「未来予知も増幅出来るノカ?」
俺「ああ。そのエリアにいて、事前に魔力波特長を俺に記憶させてくれりゃいい」
俺「俺とディープキス1分間で登録できるよ」
何人かが咽る。そして全員が顔を赤らめる。
俺「ん?御嫌??なら仕方ない。別に今の能力に不満はないんだろ?」
坂本「否!私で!是非最初に試してもらおうか!!!」
どよめきが上がる。
坂本「では食事後早速!」
俺「了解。歯磨きしておきますよ♪」
ルッキーニ「俺って大人ぁ!クールゥ!」
**********
昼食後のテラス。小春日和の午後である。
俺は食事後、早々にテントに戻って歯磨きを済ませ、テラスで寛いでいる。皮のジャケットの
襟を立て、組んだ足をぶらぶら。坂本以外の隊員も勢ぞろいしている。誰もお茶に手をつけない。
そこに坂本少佐が戻ってきた。余程念入りに歯を磨いてきたのだろうか。唇がいつもより赤い。
坂本「大尉。準備は完璧だ。では、お願いしよう」
俺「はいよっ!と。ああ、サムライソードは置いといて。邪魔です」
ペリーヌがササッとすすみでて刀を預かった。一歩下がって顔を赤くしたまま立っている。
俺「では、心を開いてください。少佐のお名前は?」
坂本「エ・・・美緒///」
俺「素敵な響きです。あなたにふさわしい。では、ミオ。アイパッチを外して、私の目を見て」
ついっと距離を縮めた俺に、おずおずと顔を上げて目を覗き込む坂本少佐。
俺「心を開いて。リラックスして・・・・」
囁きながらそっと顎を押し上げ、更に顔を接近させる。
徐々に坂本少佐の目が潤みだす。頬が赤い。
俺「私を拒否しないで・・・。そうです。もっと心を開いて・・・・。
では、あなたの左手を私の右手と握り合わせてください」
目を合わせたまま、二人の手が触れあいしっかりと握られた。俺の左手が坂本少佐の
腰に周り、しっかりと抱き寄せられる。密着。坂本の右手も自然と俺に添えられた。
俺「魔力を発動させて」
坂本に耳と尻尾が出現。俺からも。尻尾には横縞模様が入っている。
俺「心を開いて。そうです。そのまま目を瞑ってください・・・」
坂本「・・・ええ・・・・/////」
俺「では・・・・」
坂本の頭が俺に向かって伸びる。同時に燐光が二人を包んだ。
・・・・・
俺「はい。出来ました。お疲れ様!」
ぽん!と坂本少佐の腰を叩く俺。
そのまますたすたと先ほど寛いでいたチェアに歩き出す。
ミーナ「え?一分間のディープキスは??」
この一言で呪縛が解かれた。呑んでいた息を吐き出す者。ほっとして胸を押さえる者。
そして
坂本「俺ぇ!貴様、謀ったなあっ!!!」
怒声とともに、背後で安堵しているペリーヌから刀を奪い取り抜刀しようとする。
ツッ!と距離を縮めた俺が、がっしりと刀の柄に右手を置いた。
俺「ミオ、落ち着いて」
真っ赤なまま、睨みつけて刀を抜こうとする坂本少佐と俺の視線がぶつかり合う。
刀の柄は力比べ状態で微妙に前後する。しかし、抜くに至らない。周りは息を呑んで
それを見つめる。
俺が坂本少佐の耳元で何かを囁いた。
ふっ・・・と坂本少佐の顔から怒りが消えていく。
俺「すみません」
俺が柄から手を離すと、坂本少佐も手を離した。
坂本「いや・・・済まん。取り乱した」
俺「では、テストしてみますか?どうぞ?」
何事もなかったかのように坂本を促す俺。
坂本も素直に従う。
坂本「おお! 距離・・・3万。カモメが見える!」
感嘆の声が周囲から漏れる。今までは2万がやっとだった。1.5倍。確かに増幅
されている。
俺「では、私の魔力を終了します。いいね?」
でていた縞尻尾と耳が引っ込んだ。
坂本「・・・見えなくなったよ」
俺「というわけです。証明終了、と♪」
ミーナ「・・・キスは冗談だったのw?」
危険な微笑みを浮かべて問う隊長。
俺「いえ。一部は真実です。普通のキスなら5秒ですね。でも、乙女には辛いでしょう。私も、自分
のことを好いてくれる相手としたいですしw。
ですから、手と体を接しての10秒ほどです。事前に目をあわせること、心を開いて貰うことは必須
ですけどね。信頼関係がないと駄目なんです」
安堵と落胆の入り混じった溜息があちこちで漏れた。
ミーナ「なるほど。では、後で私も登録してくださる?」
俺「はい、了解ですよ♪ 今やりますか?」
ミーナ「そうね・・・。何時敵襲があるか判りませんし・・・/////」
俺「では、ミーナ。心を・・・・」
返事を聞くが早いか、既に腰に手が廻っている。
ミーナ「ところで、俺さん。あの使い魔は?変わった尻尾でしたけどw」
周りが爆笑。確かに灰色地に黒縞の粗い毛、太めで目立った。
俺「あー。アライグマね。リベリオン名物の狸みたいな奴でw」
シャーリー「ぎゃははは!やっぱりそうかあ!よーし、俺さん、あんたは今日から『ラスカル』だ!
いいよねw??」
俺「グォ!シャーリー!それh―」
ルッキーニ「らすかる?なにそれ?」
シャーリー「やんちゃ坊主、って意味だよ。可愛いんだけどさぁ、結構強面なんだよ!アライグマはw!」
何気ない一言で、スタリオンからラスカルに転落。
********
その晩の宿舎風呂。俺は2300時から1時間と定められたのでテントに戻ってなにやらやっている。
ハルトマン「トゥルーデったらw。何であんなに時間が掛かったのさ?3分半だよ!210秒!」
バルクホルン「五月蝿い!なんであんな奴に抱きしめられにゃぁならんのだ!気に食わん!
全くもって不愉快極まりないっ!」
ハルトマン「ラスカルだって困っていたじゃん。あ、それとも計算したの?逞しい胸にタップリって」
バルクホルン「ハルトマン!お前に無いのが羞恥心だ!」
ハルトマン「ええー!他の人だって10秒で終わったじゃん。トゥルーデ、他の人も羞恥心が無いの?」
理詰めで押されるバルクホルン。顔がどんどん赤くなっている。
坂本「恥ずかしかったぞ、わたしも」
バルクホルン以外、うんうん、と頷く。圧倒的形勢不利。
サーニャ「・・・胸まで真っ赤です・・・バルクホルンさん・・・」
エイラ「おお!本当ダ!色っぽいゾ!本当は大尉?・・・グフッ」
バ「やめてくれ」
リーネ「でも・・・恥ずかしかったです//////」
ハ「リーネ、膝抱っこされて真っ赤だったよねェ。可愛かったぁ!」
サーニャ、ペリーヌ、リーネが真っ赤になる。身長の低い隊員。一方、ルッキーニはキャヒキャヒ
喜んでいる。
ルッキーニ「抱っこされてドッキドッキしちゃったーぁ!あたしの腕、全然廻らないんだもーん。
たっくましいぃ!かっこいい!」
ハルトマン「いいよねー。男の大人って感じでさ」
バルクホルン「ハルトマン!カールスラント軍人がそんなことで!」
ハルトマン「へーへー。三分半も抱擁楽しんでいた人が居たっけー。誰だったっけかなー」
バルクホルン「//////// ヤメロ」
シャーリー「おーい。堅物ぅ。リベリアンにもいいものは有るだろ?な?だろw?」
バルクホルン「く・・・・」
サーニャ「・・・
初めて抱っこされちゃいました・・・嬉しかった・・・///」
エイラ「サササァニャーーーーーーーお父上の立場はぁ?」
サーニャ「エヘヘ・・・・ 別物」
エイラ「」
ペリーヌ「なんか騙されたような気がしてなりませんの!」
坂本「はっはっは!人を疑うのはよくないぞ?ペリーヌ」
ペリーヌ「でも、あの人なんか軽くて・・・信用できませんわ!」
シャーリー「おいおい、ペリーヌ。リベリオンの戦闘機パイロットなんてアレが普通さ。空でも
陸でもナンバーワン!おいらが大将!ってねw」
坂本「空はわかるが、陸って何だ?」
シャーリー「女に手が早いってことですよー♪喧嘩に強いってのもあるw。まあ、女だなw」
「「「「「「キャァァァァァァッ!」リベリアン!何をいっとるかぁ!」」」」」
坂本「ほーぉ!そうなのか。ふーむ。解らんでもないな・・・・」
ペリーヌ「少佐!!!」
坂本「いや、わたしも覚悟を決めたぞ?ああ、ラスカルが初キッスの相手ならいいか、ってな。
はっはっは!」
ぺリーヌ「」
ハルトマン「そうか!!」
バルクホルン「どうした?何かわかったのか?ハルトマン」
ハルトマン「ふふん。あのさー、トゥルーデ?」
バルクホルン「なんだ?気味の悪い顔をするな」
ハルトマン「美女10名のこの基地に!色男が一匹!その名はラスカル!」
バルクホルン「ヤメロ・・・・」
ハルトマン「ラスカルが誰を選ぶか!いや?誰がラスカルを墜すか!これは興味深い!」
サーニャ「・・・・私もラスカルさんの照準に入れて貰えるんでしょうか・・・」
エイラ「ザァニャァ~~~~~」
阿鼻叫喚となる風呂場。坂本少佐の高笑いも混じる。
*****
2200時。俺大尉のテントを訪問するバルクホルン大尉。
バルクホルン「俺大尉。いるか?入るぞ」
俺「おう。どうぞ。鍵は掛けていない」
くだらん!そもそもテントだろうが!
幕をめくって一歩踏み込んだバルクホルンは足を止める。
俺が作業台でなにやら工作中?
俺「寒いだろ?そっちの椅子に座れよ。ガスヒーターでそっちは暖かいから」
バ「あ・・・ああ。邪魔する。 何をやっている?」
俺「機銃の装弾作り。もうすぐ終わるから待ってくれ。ウィスキーでよければテーブルの上」
野戦テーブルの上にウィスキーの瓶とナプキンが掛かったグラスがいくつか。
まあ、折角だから貰うか。
バ「いただこう。お前も飲むだろう?用意しておく」
背中越しに礼を言う俺。ガソリン・ランタンで明るく照らされたその表情は真剣だ。
空薬莢から装弾を組んでいるらしい。ごつい工具に薬莢を挟み、それに弾頭を手で添えて、空いた手で
ハンドルをゆっくり、しっかり下ろして戻すと装弾が一つ出来上がる。出来たものをテーブルの上の完成
装弾を尻から入れるトレイに刺して、また作業に戻る。
なるほど。あの薬莢は雷管と発射薬が既に入っているのか。残りはあと20個ほど?その工具の横にも、
様々な器具が台に固定されている。あれも使うんだな。
グラスのウィスキーを舐めながら、黙ってみているうちに俺は作業を終えた。手をタオルで拭くと、椅子を
バルクホルンのテーブルに移す。どかりと座った。
俺「待たせたね。すまん。では乾杯!」
手に持ったグラスを少し持ち上げて。
バ「ああ、乾杯。自分で全部やるのか?」
俺「ああ。機銃もノーマルではないモデファイドだからな。回転レートは700発/分に上げている。通常弾の
反動では作動しないんだ。火薬の燃焼速度を高いものとし、さらに量をコンプレス・ロッドとして、重AP
弾頭を主に組んでいる。750グレインの弾を銃口初速2800フィート/秒で撃ち出す。小型なら一発だ」
一気に呷り、説明しながら2杯目を自分で注ぎ、バルクホルンにも継ぎ足す。
俺「皆忙しいからな。自分でできることだし、そのほうが気が楽さ!」
あっけらかんと笑う俺。それを見て戸惑うバルクホルン。さっきまでと態度が違う?
バ「ところでだ。大尉」
大きくグラスを呷って切り出した。
俺「同じ階級だ。堅いのは無し!俺かラスカルでいい。オケ?」
バ「ああ。わかった。えーと、ラスカル。ちょっと話がある」
俺「どうぞ? ほれ、飲めよ」
バ「あ、すまん。お前、仲間に手を出す・・・・つまり、ここで彼女を作るつもりか?」
俺「あ?・・・難しいだろう、あはははは」
バ「遊び相手か?」
俺「おいおい。種馬だからってひどいな。・・・まあ、そう思われても仕方がないが」
バ「(ああ。そう思わないほうがおかしいぞ!)演技だったというのか?」
俺「・・・・・・」
黙ってバルクホルンの目を見つめる。 暫く立って、ため息を漏らした。
俺「タバコ失礼する。風向きは・・・あっちか」
椅子の向きをちょっと変え、彼女に煙を吹き付けず、隙間風でそのまま煙が出る
方向に。
俺「・・・さあ、な? 本当の俺は、今はいない。もし、俺の昔の姿が残っているなら、
あの垂れの向うをな、見てみろ。少しは何か感じるかもな」
そういうと、足を組んでタバコをふかしだした。バルクホルンは躊躇いを見せるが、
結局、グラスを置いて立ち上がる。俺は我関せず、タバコとグラスを交互に口に
運ぶ。
幕をずらして覗き込む。野戦用ベッドと、その上にある寝袋、毛布が目に入る。
ベッド下には・・・・大量の本。他を見回すが、二つのロッカーボックス、酒の刻印が記されたダンボール
などが積み上げてあるだけ。 本か?ハードカバー。真面目な内容のものだろう。フム。ピンナップ
雑誌は一冊もない。ほお。
俺「俺の口から説明しても、普段の俺の行動がそれを否定するだろう?」
「だから、バルクホルン。あんたが自分で結論出せよ。俺はそれを否定しない」
バ「ああ。解った。そうさせて貰う」
俺「さっきの質問だが、この隊のレディ達には恋人がいないのか?」
バ「・・・・解らないのか?」
俺「ああ?バージンを喪うと魔力がウンタラかい?」
頷くバルクホルンに向けて、溜息を深くつく。
俺「あのなあ。恋人とセックスしなくちゃならんのか?義務?絶対のこと?真理?」
バ「おい。女性に向かって何無茶苦茶な質問をしているんだ!」
俺「悪かった。えーと、さ。大事な人がいるとする。まあ、気分次第で盛り上がってすることもあるだろう。
でも、それがその大事な人に重大な決断を迫ることになる」
バルクホルンをまたまっすぐ見つめる。
俺「する奴と、しない奴。自制できない奴と、出来る奴。二つに分かれるかね」
バ「自制できないのが男だろう?学校でそう警告された。仲間内でもそう聞くぞ?」
俺「うんにゃ!自制心を持つ男もそれなりに居る。なぜ自制するかわかるか?」
バ「・・・・解らない・・・」
ほれ、飲め!とウィスキーを二つのグラスに満たす俺。
俺「例え話で。例えだぞ? バルクホルンが俺の恋人だとする。大事な恋人だ。オケ?」
頷くバルクホルン。
俺「バルク・・・悪い、気分が出ないからトゥルーデと呼ばせて貰うよ。トゥルーデは」
親友にしか呼ばれない名前。でも、話の重さと俺の押しの強さで押し切られる。
俺「他の人には出来ない大事な事をしている。自己欲の為ではない。自己犠牲を強いられる事だ。誰にも
できるもんじゃない。でも、彼女の生まれ持った能力がそれを可能とし、他の人からはそれを使うことを
期待されている。とても重い人生だ。傍からは憧れの対象だがな」
ああ。ウィッチとしての義務・・・・それを言っているのか。思わず頷く。
俺「義務、だな。それに敢然として従っているのがトゥルーデ、君だ」
「そういう相手に恋をし、トゥルーデも俺を受け入れてくれた。これは幸せ。でも、彼女とは幾ら欲しても、
彼女がその日を迎えるまでは、魔力を失くすまで、そして軍から退くまでは。
それまでは彼女の全てを愛せない。彼女も同じだ。恋しい、愛しい人と激しい愛の一つのピリオドを打つこと
ができない。中には、気持ちがどうにも高まってしまうカップルもあるだろう」
頷くバルクホルン。そういう噂を聞いたことはある・・・・。不名誉な出来事として・・・。
俺「まあ、お互い人間だからな。責めることはできないと思うよ。余程の冷血漢以外は、ね」
「俺も責めないだろう。人を恋したことがあるなら、愛したことがあるなら、その気持ちが理解出来ないわけ
がない。でも、トゥルーデ?その苦しさが解っているならば。彼女にそういう気持ち、苦しみを与えたくない
と思うのも有りだろう?」
バ「・・・ああ・・・。そうだな・・・」
俺「今までに恋をしたことが無いのか?すまん、茶化しているんじゃないから許してくれ。そうなら、家族を思い
出して考えてくれればいい。同じことさ。恋人もいつか家族になるのだから」
バ「(クリス!!!!!!!!!!!!!)・・・・よく、理解できる」
俺「有難う。例え話はこれでお仕舞い。だから・・・・
だから、俺は種馬の真似事はするが、恋はしても愛には・・・な?片思いくらいでいいんだ。片思いなら、おれが
切なくなるだけでいい。軽はずみな行動はしない。一般の娘さんに対しても同じ。
何時死ぬかわからぬ男だから、な。死んだ男が禍根を残してなんになる?」
バ「ああ・・・よく解ったよ。(ずっと私の目を見ていた・・・)」
俺「ま、隊の中ではバカとまともを適当に演じるさ。部隊の士気も絡むしな。殴り込みがモットーのマリンコー。
死ぬときが来たら受け入れるだけだ」
バ「死を望むのか?(自殺志願者は真っ平だ!)」
俺「死にたいとは思わんよ。将来の夢もある。家族と幸せにってさ。でも、人は永遠には生きられない。仲間・・・
死んだ仲間の為にも、その時が来てしまったら・・・まあ、暴れて死ぬさ。俺が頑張って仲間を一人でも救えりゃ
バランスシートは合うだろう?センパーファイ。忠誠を誓う相手は好きな人、さ」
バ「・・・(違うんだな)ラスカルの将来の夢ってなんだ?」
俺「ほれ、飲めよ。夢か?笑うなよ?小説家。歴史小説を書きたいんだ」
バ「プリンストンの首席だろ?もっと株トレードとかw金融とかw稼げるだろう?」
思わず噴出すバルクホルン。笑いやがったな、と憮然とする俺。
俺「笑いすぎだろ、トゥルーデ。まあ、株程度なら簡単だな。それで稼いで、大好きな人を守りながら執筆する
さw。 あ、すまん、バルクホルンだった」
バ「いいよ。二人のときならな。隊員には聴かれたくないが。で?恋人はいないのか?」
俺「昔居たが、海兵隊に入ったらあっさりバッサリ振られたよ。結婚したとか聞いた」
バ「喧嘩したのか?海兵隊が原因で?」
軍人の義務、それに与えられる名誉を信じていたバルクホルンには信じられない言葉。
俺「ああ。巨万の富が待っているのに!ってさ。お嬢さんには男の冒険心が解らんのさ」
バ「冒険したくて海兵隊!?」
国家や家族の為じゃないのか??
俺「一番最初に出張るからな、世界各地に。何時でもどこでも誰とでも!冒険は出来たよ。
仲間を喪うことまで考えが至らなかったが、ね」
寂しそうに苦笑する俺。バルクホルンがウィスキーを注いでやる。
バ「ああ・・・戦争は、な・・・」
俺「で?ここの隊員に恋人はいないのかw?」
バ「全員いないぞ。わたしがちゃんと見ている」
俺「トゥルーデ!君が監督か!いやー!これは厳しい!参ったな~。そうか、全員フリーか」
バ「ラスカル?何を企んでいるw?」
俺「なんでもない!けど力が湧いてきた!あはは」
笑って誤魔化す俺。
?「俺大尉!入るぞ!」
俺「どうぞ!」
五月蝿いのが来たの?とバルクホルンに囁いてウィンクする。バルクホルンが釣られて笑う。
坂本「やあ、こんばんは。賑やかだな」
手には一升瓶。
坂本「歓迎の一献を、と思ってね。もう二人で飲っていたのか」
俺「ええ。バルクホルンが励ましに来てくれましてね」
バルクホルン「何?私は釘を刺しに来ただけだ!」
俺「ああ!そうだった!隊員に手を出すのは禁止!見てよいのはバルクホルンだけだと言われたんだw!
そうでした!」
バルクホルン「おい!誰がお前と!」
坂本「w・・・ほう。バルクホルン、私は対象にならんと?」
バルクホルン「坂本少佐!!」
いや、上官侮辱とかそういう積りでは!と慌てるバルクホルン。
坂本「人の恋路を邪魔する奴は」
何を言い出すんだ?と黙る二人。
坂本「馬に蹴られて死んぢまえ、とな。まあ、他人の恋愛は邪魔するな、無粋だぞってことだな」
はあ・・・そうですか?と二人。
バ「!ということは。坂本少佐は俺に対して、その・・・・?」
ようやく理解したバルクホルンが問い掛ける。ラスカルは笑っているだけ。
坂本「悪い男とは思わんが? ただ、個人的好みとしてはだな、落ち着いた相手がいいんだ。俺は
賑やか過ぎる!はっはっは!」
俺「ありゃー。失格ですか。撃墜記録が更新できないか!残念!わはははは!」
一緒に笑う坂本に一升瓶の中身をグラスに注いで渡しながら、バルクホルンは思う。
「(俺の別の一面を知るのは・・・・私だけ、か。少佐の好みに合っていると思いますけど?)」
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最終更新:2013年02月02日 12:05