「蒼穹 EX-1」
―帰国命令―
電鍵を前に精神を統一する。もう一度、体の位置を調整する。右手首の運動をもう一度。
呼び出し開始。 二度目の呼び出し後待機時間で応答が来た。よし。
開始合図を送りながら、テキストを注視する。開始。一度で使い切る乱数表に基づいて作成した
数字の羅列を最大速度で打鍵していく。ブリタニアに向かった敵機の数、方位。終わった。
またレシーバーに注意を戻す。まもなく、受領確認のコードが送られてきた。完了。
撤収開始。無線機とアンテナを牛革の頑丈な箱に押し込める。アンテナを巻き取るのが最も面倒だ。
忘れ物なし。最後に先ほどのテキストと乱数表にライターで火をつける。火薬を含ませた紙が一瞬
にして灰と化す。さて、おさらばだ。
ストライカーユニットを装着し、欺瞞針路を取る。まもなく、私が居た地点でビームが閃くのが見えた。
今日もイタチゴッコは私の勝ちだ。
地表ギリギリを掠めながら、何度も針路を変える。慎重すぎて死んだ奴はいない。
隠れ家に到着。ホバースライドしつつ銃を構えて洞窟の中に入る。
?「おかえりなさい。ダーリン」
俺「ただいま。サンディ」
サンディ「相変わらず用心深いわね。異常無しよ」
俺「それはなにより」
ステンMK2のコッキングハンドルを安全位置にする。そっとサブマシンガンを手で横にずらしたサンディ
が抱きついてきた。彼女も私と同じブリタニアのコマンド服を着ている。豊かに盛り上がった胸元の
ボタンは三つ外されていた。ブラジャーは着けていない。白いズボンが暗がりで眼を引く。
サンディ「・・・」
激しくキスを交し合う。
俺「ユニットを外したいんだがね」
サンディ「手伝うわ」
太い木の枝で作った仮説台にユニットを安置し、鉄棒の要領で脚を抜き取る。彼女のユニットも横にある。
固定を済ませた彼女が、ブーツを履かせてくれた。
飛び降りると彼女がまた抱きついてキスしてきた。深く応える。うめき声を上げる彼女の腰のつぼを強く
押すと、下腹部を俺に摺りつけてきた。私も反応する。仕事の後は過敏になる。
サンディ「ねえ。私もう・・・。ベッドに行きましょう」
俺「水浴びしたいんだ」
サンディ「私はさっき済ませたわ。あなたの匂いが好きだから、水浴びは後にして」
彼女の唇が捲れ上がり、眼には霞が掛かっている。先に鎮めてやろう。
両手で彼女を抱きあげる。ズボンはすでに濡れている。
――――
汗にまみれた彼女がまどろんでいる。その髪の毛にタバコの煙を吹き込んで遊ぶ。
彼女が眼を開いた。まだ霞が掛かっている。
俺「ほんとうに好きだね、サンディは」
サンディ「上がりを迎えるまで我慢したんだもの。取り返さなくちゃ」
俺「眠っていた才能が開花した、か」
サンディ「バカ。あなたが教え込んだんじゃないの」
そうかな?背中を撫でながら思う。まあ、仕込んだのは事実だろう。
彼女がそっと私の唇からタバコをとり、自分も吸う。
サンディ「初めてをあなたにしたかったな。こんなに凄いって・・・。あなたに教わったのよ」
俺「君の才能だよ。俺もサンディのように感じやすい子を知らないし」
サンディ「褒められたと思うことにする。あ!仕事を忘れていたわ。明日の朝、一人来るそうよ。LZ2が
指定ポイント・・・」
俺「ふむ。新しい任務かな」
サンディ「そうよね・・・。あなたがここに来て、もう3ヶ月だし・・・」
俺「・・・・・」
ま、そういう仕事だ。割り切らないとな。
サンディ「あなたがもっと無能ならよかったのに・・・・そうしたら、ずっと二人で居れるのに・・・」
俺「無能なら君に会う前に死んでるな」
サンディ「その憎まれ口が悔しい!畜生!他の女をどこかでたぶらかすんでしょう!」
俺「もっとそっと握ってくれ」
サンディ「嫌!今は、あなたは私のもの!」
タバコを地面に投げ捨てた彼女が口を使い出す。やれやれ。いつも・・・ま、女はそういうもんだ。
俺「サンディ。今はお前のもんさ」
彼女の腰に手を伸ばす。そっと寄せるとうめき声を上げながら俺の顔に跨ってきた。キスしつつ舌を
使う。一緒に居る限りは恋人だ、サンディ。離れたら他人。
喘ぎながら腰を振っていた彼女が身体を入れ替え、自分で導いた。腰の前後運動に伴って、ブロンド
の髪が胸と共に揺れる。優しく彼女の胸を揉み解す。乳首を人差し指で押しつぶすようにすると喘ぎ
が激しくなり、目が焦点を結ばなくなっていく。
彼女の作る料理は美味かったのに・・・。腰を使いつつ、ぼんやり考える。呪詛の言葉を吐いていたサン
ディが絶叫を漏らし始めた。
――――――――
?「マーガレット・オハラ大尉です。あなたが俺中佐ね?女垂らしで有名な」
俺「詰まらん場所にようこそ、大尉。女垂らし?そりゃどうか知らんが、俺だ。荷物はこれだけ?」
オハラ「ええ」
俺「解った。両方私が持っていく。ベースに案内するから、ついて来てくれ」
会合場所に現れた黒髪の大尉。荷物があるって事は、私の替わりだろう。新任務か。よし!
迂回路をとりつつ洞穴に戻る。サンディはちゃんと着替えたかな?結局、昨夜は食事する以外は
ベッドの中だった。私も腰がちょっと張っている。
俺「おい。コバーン中尉?」
返事なし。
俺「アレクサンドラ!」
サンディ「はい・・・」
俺「マーガレット・オハラ大尉。彼女はアレクサンドラ・コバーン中尉」
オハラ「あなたと一緒に監視活動に付くことになりました。よろしく、コバーン中尉」
サンディ「はい。よろしく。大尉殿」
オハラ「かわいい子ね。たっぷり可愛がってあげる」
俺「は?」
サンディ「男が好きなんだけどさ、私」
――――――――――-
五日間で引継ぎを終え、私は単機でブリタニアに旅立った。
星と手元のコンパスで進路を決める。よし。このまま40分。
サンディと私のベッドにマーガレットが入ってきたのが三日目だった。初日から、あてつけるように
求めてきたサンディ。あんなことも起こるのだろう。真性レズだった筈のマーガレットも男を知っ
た。サンディもマーガレットに教え込まれた。ま、これで丸く収まった。昨日は昼過ぎから別れを
惜しんだ二人に求め続けられたが・・・。
暫く、女無しの戦地生活もいいかも知れんな。サンディのお陰で傷のリハビリも終わったし。
?「所属不明機。コード知らせ」
俺「私かな?」
?「多分、お前だ。自分だと思うなら高度を1000上げろ」
俺「了解。上昇するぞ」
―――
?「今上昇した不明機、お前でいい。コードは?」
俺「ジングルベル-オリオン-1-7」
?「了解。こちら防空本部。そのまま飛行せよ。左翼からエスコートを接近させる。スタンバイ」
俺「了解。スタンバイ」
まもなく、スピットファイア戦闘機が二機、翼端灯を点滅させつつ近づいてきた。俺も翼端灯を
点滅させて応える。
パイロット「SOEだかOSIのコマンドってアンタかい?」
俺「そうらしいよ。お迎え有難う。引っ張ってくれ」
パイロット「男かよ!へー。あ、お帰りな。んじゃ、案内するよ。付いておいで」
本部「合流を確認した。本部終わり」
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最終更新:2013年02月02日 12:20