艦船搭載用多重炉心大型魔導炉
[解説]
聖華暦320年も半ばを過ぎた時期の話である。
アルカディア帝国貴族ラズール公爵家は、カーライル王朝・聖王国との戦が近いことを悟り、北進征伐失敗を踏まえ、堅牢な装甲及び魔導障壁、強力な魔導砲を備え、機兵を複数輸送でき尚且つ移動し前線に陣を構築する兵器が必要であると提唱。
そして風力船をベースに、その理想を実現する兵器を建造させた。
アルカディア帝国貴族ラズール公爵家は、カーライル王朝・聖王国との戦が近いことを悟り、北進征伐失敗を踏まえ、堅牢な装甲及び魔導障壁、強力な魔導砲を備え、機兵を複数輸送でき尚且つ移動し前線に陣を構築する兵器が必要であると提唱。
そして風力船をベースに、その理想を実現する兵器を建造させた。
陸上艦のはじまりである。
翌321年に勃発した第二次聖帝戦争にて陸上艦は猛威を振るい、帝国のみならず聖王国でも同様の兵器が開発されるに至る。
更には聖華暦552年、天才技師エイジス・クリプトンの手によりホバー艦の試作品が完成、14年後の566年には民間用ホバー輸送船プリマビスタが販売開始。
そして578年には、エイジスの弟子にして天才技師たるニコラウス・テレスタインの手により、聖王国にて軍艦のホバー化が為された。
更には聖華暦552年、天才技師エイジス・クリプトンの手によりホバー艦の試作品が完成、14年後の566年には民間用ホバー輸送船プリマビスタが販売開始。
そして578年には、エイジスの弟子にして天才技師たるニコラウス・テレスタインの手により、聖王国にて軍艦のホバー化が為された。
これら陸上艦の動力源となっているのは、やはり魔導炉である。
その基本は、元々艦船が移動城塞として扱われていた事もあり、都市や要塞の魔導障壁動力源として用いられていた、固定式多重炉心大型魔導炉に求められた。
しかしながら、移動能力を持つ陸上艦に使用するという目的から重量の大幅軽減が必須となり、建造にあたった鍛冶師や助言を求められた魔導士はかなりの苦労を強いられたのである。
その基本は、元々艦船が移動城塞として扱われていた事もあり、都市や要塞の魔導障壁動力源として用いられていた、固定式多重炉心大型魔導炉に求められた。
しかしながら、移動能力を持つ陸上艦に使用するという目的から重量の大幅軽減が必須となり、建造にあたった鍛冶師や助言を求められた魔導士はかなりの苦労を強いられたのである。
そして最初の陸上艦、アルカディア帝国所属の移動城塞コンカラー及びそれ以後に続く陸上艦に使われた魔導炉炉心には、実はチタン合金が用いられていたのである。
この事は、聖華暦830年現代に遺されているどの古文書を調査しても、一切それに関する記述を見つける事はできない。
チタン合金は軽量で強固ではあったが、これは187年に結ばれたヴァース条約及びそれに基づいて制定された科学技術禁止法に、ぎりぎりのところで抵触する物品であったのだ。
この事は、聖華暦830年現代に遺されているどの古文書を調査しても、一切それに関する記述を見つける事はできない。
チタン合金は軽量で強固ではあったが、これは187年に結ばれたヴァース条約及びそれに基づいて制定された科学技術禁止法に、ぎりぎりのところで抵触する物品であったのだ。
鉄を基本にする合金の一部など、低位の冶金技術で生み出す事ができる一般的な合金などは『科学技術ではない』とされ、使用は禁じられていなかった。
しかしチタン合金は、ぎりぎりのところで『科学技術である』とされる物品に入っていたのである。
それ故に帝国も、そして後に陸上艦、移動城塞を実用化した聖王国も、この事柄に関しては一切口を噤み、全ての書類を廃棄したのである。
もしかしたら、関係者を極秘裏に処分する事さえもあった可能性もある。
しかしチタン合金は、ぎりぎりのところで『科学技術である』とされる物品に入っていたのである。
それ故に帝国も、そして後に陸上艦、移動城塞を実用化した聖王国も、この事柄に関しては一切口を噤み、全ての書類を廃棄したのである。
もしかしたら、関係者を極秘裏に処分する事さえもあった可能性もある。
後にレイヴァスキンが生み出され、更にはイシルディンが比較的とは言え安価に製造される様になった近代では、それらの錬金金属をもって比較的軽量な艦船搭載用の多重炉心大型魔導炉が製造される様になる。
エイジス・クリプトンの生み出したホバー艦の試作品にも、レイヴァスキンで炉心を造った艦船用魔導炉が搭載されていたらしい。
エイジス・クリプトンの生み出したホバー艦の試作品にも、レイヴァスキンで炉心を造った艦船用魔導炉が搭載されていたらしい。
ちなみに艦船搭載用の多重炉心大型魔導炉であるが、構造的には都市や要塞用の固定式多重炉心大型魔導炉となんら変わりは無い。
近代以降では、炉心に燃焼型魔導炉の構造が用いられている事も同様だ。
ただしその炉心の主要な材料に、高価な軽量の錬金金属が多用され、結果的に固定式のものよりも高価になっている点だけが違うのである。
近代以降では、炉心に燃焼型魔導炉の構造が用いられている事も同様だ。
ただしその炉心の主要な材料に、高価な軽量の錬金金属が多用され、結果的に固定式のものよりも高価になっている点だけが違うのである。