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聖華世界 @ wiki

医療について

最終更新:2024年02月11日 03:20

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医療について


[解説]

 聖華世界における医療技術は、三国の各国で特色が異なる。
 また、医療レベル自体にも若干の優劣が見受けられる。
 ここでは聖華世界の医療技術について、各国ごとに解説していく。

[カーライル王朝・聖王国]

 その神官は自らが属する治療院の待機室で、自由都市同盟から一般の流通ルートを通じて流れて来た、レッド・クロスという同盟の医療機関が発行した医術書を紐解き、勉強をしていた。
 彼は光魔法での治癒術を使う事ができる聖痕持ちだ。
 しかしその力を十全に振るうためには、しっかりとしたイメージが大切なのである。
 それ故、彼は人体の構造をきちんと知るべく、しっかりとした挿し絵入りの医術書で、必死に勉強をしていたのだ。

 と、そこへ1人の施療士が駆け込んで来る。

「きゅ、急患ですっ!急いで下さい!」

「容体、症状その他を説明して。」

 彼はそう言いつつ、小走りで救急処置室へと急ぐ。
 彼が部屋にやって来た時、患者は魔法陣の中央に置かれた寝台に横たわり、口から血を吐いて苦しんでいた。
 彼は、患者の傍らに立って長々とした詠唱を行っている、水魔法の達人である魔導士へ顔を向ける。
 魔導士は詠唱を続けながら頷いた。と、床に置かれた水をはったタライから物凄い勢いで湯気が立ち、それは霧と化す。
 そして次の瞬間、その霧をスクリーンとして、影絵の様に患者の体内の様子が映し出された。
 この魔導士は、儀式魔法によって患者の体内の水分密度を読み取り、それによって患者の患部の様子を透視しつつ、その映像を霧の影絵に映し出したのである。

「……まずいですな。折れた肋骨が、内臓を傷つけている。出血多量で死ぬのが早いか、吐いた血が肺に流れ込んで溺れ死ぬのが早いか……。」

「死なせないさ。」

 神官は、急ぎ頭の中でイメージを形作ると、魔法の詠唱を開始する。
 まずは折れた肋骨を元の位置に戻し、折れた部位を創り直す。そして傷付いた内臓の損傷部位もまた、創り直す。
 流れ出した血を消滅させ、足りなくなった分の血はこれもまた創り出した。そこまでやって、彼はふらっと倒れそうになる。
 この程度の術ならば、本当はもっと魔力の消耗が少なくても行使できなければならないのだ。
 彼は自分の未熟さに歯噛みをした。

「おお!さ、流石ですな!」

「あれだけの重篤な患者が、あっという間に!」

 周囲の施療士が、驚き騒ぐ。と、魔導士が口を開いた。

「わたしと神官殿は、次の患者に備えて休みを取る。かまわないかね?」

「あ、は、はい!」

「ありがとうございました!」

「ふむ、では待機室へと参りましょう。」

「ああ。」

 神官は、魔導士に礼の気持ちを込めた視線を送る。
 魔導士はかすかに微笑んで見せた。と、魔導士もまた少々よろける。
 彼の方も、神官同様に疲労していたのだ。苦笑した魔導士に、神官は微笑を送った。



[聖王国での医療]

 聖王国は、三国中で最も魔法の研究が進んでいる。
 それもあり、聖王国では魔法による治療が一般的だ。
 小さな切り傷などは、基本的に薬草や魔法薬による治療で済ませるが、手ひどい負傷、または病を患った場合などは、魔法屋で魔法の巻物(スクロール)を求める事になる。

 スクロールとは、中位までの魔法を基本的に紙や羊皮紙の巻物に、ルーン文字で記した物である。
 余談であるが、魔法屋ではスクロール、魔法薬、聖水、薬草などを取り扱う他、錬金術などで用いる触媒なども販売している。

 スクロールで対処できないような重傷や重症の場合、聖導教会が運営する「治療院」と言う医療施設へ行く事になる。
 大きな治療院には最低でも1人は必ず、光魔法を使える神官が常駐している。



[聖王国での輸血事情]

 カーライル王朝・聖王国における輸血事情は、実のところかなり難しい物がある。聖華暦830年現在に於ける三国での輸血と言えば、その割合の1/2が錬金術によって、ある種の魔獣の血液から創り出された代替血液によって行われているからだ。
 だがしかし聖王国に於いては、魔獣そのものを不浄として忌み嫌っている。そのため、魔獣の血液から創り出された代替血液は、聖王国では用いられてはいない。しかしながら光魔法による治療が受けられる場合、これによる造血/増血魔法で輸血の代わりとする事が可能であった。まあ光魔法による治療が受けられる幸運な者に限られるのだが。
 そして近年の聖王国に於いては、自由都市同盟のロココ設計所系列会社、そしてそことの取引がある関連会社からもたらされたクリエイト・ブラッドの簡易術式が刻まれた魔導器により、そこそこの量の人工血液が確保されている。この人工血液は、一回に付き1L未満までしか輸血できないという制限はあるが、これにより助かる命が増えたのは間違い無い。
 この人工血液による処方は、三国で行われる輸血の1/4を占めている。ただし聖王国に限っては、魔獣製代替血液の割合が零に近いため、割合は1/2となっている。
 一方で三国に於ける輸血の割合の内、最後の1/4は献血もしくは売血によって賄われている。だが実際のところ、献血はその1/4の内、更に1/10にも満たないと思われる。聖華暦830年代に於いても、見ず知らずの他人のために自らの血肉を分け与える様な余裕のある者は、基本的に特権階級のみである。そして献血による品質の高い血液は、それこそ特権階級への輸血に回されるのが基本だ。一般市民階級に回って来る輸血用血液は、売血による品質の悪い物が主である。
 ちなみに貧困階級の者達が、売血の繰り返しにより自らの生命維持が不可能になり、死亡する事故なども多々聞かれる。このような売血常習者から売られた血液は、それこそ血液成分が薄くなっており、医療的な価値はあまり高く無い。また売血業者によっては品質管理もいい加減であり、病人から売られた病原体に汚染された血液や、保存状態が悪く血球などが死んでしまっている血液なども、出回っている模様だ。
 ここで再び聖王国に話を戻すと、先ほども言った様に魔獣製代替血液の割合が零に近いため、献血や売血の占める割合は1/2となっている。ただし830年現在では聖王国の政庁や聖導教会内部では腐敗が蔓延しており、医療も特権階級がその上澄みを独占。当然ながら、光魔法による治療も特権階級が優先され、その次点の階級の者達あたりで献血などによる高品質の血液が消費されているらしい。また下層階級の者達に、献血を強制しているという噂も聞かれる。更に下の者達は、売血によって得られた品質の悪い輸血用血液か、あるいは命の危険を覚悟してクリエイト・ブラッドによる人工血液を上限を超えて輸血する場合もあるとのことだ。
 この様な事情により、過去に於いてはもっとも患者の生存率が高かったはずの聖王国であるが、今現在では既に自由都市同盟にトップの座を奪われている。しかしながら、医療関連の魔法技術の高さから、輸血時の不手際をリカバリーする技術は高く、少なくとも最低には落ち込んではいない。

[アルカディア帝国]

 病院の入院病棟にて、今しがた1人の患者が息を引き取った。
 その患者を担当していた医師は、悔しさを噛み締める。彼の傍らに立つ、水魔法を操る魔導士も、無念さを隠せないでいた。
 患者の家族は先程まで遺体に取り縋って泣いていたが、今は気力が尽きたのか落ち着いたのか、悄然としている。

 医師は内心だけで愚痴を吐く。その思いは、帝国においては決して口に出してはいけない事であった。

(……光魔法が、何故禁術なのだ。単なる魔法技術ではないか、科学技術と違って……。アレが使える者がいるだけで、どれだけの者の命を救える事か……。)

 彼がこの様な思いを抱くようになったのは、そこまで昔の事ではない。
 つい数年前に彼が医科大学で教鞭を取っていた頃、教えていた学生の1人が自由都市同盟へと亡命してしまってから、彼は帝国政庁に対して批判的な考えを抱く様になったのだ。

(あの学生は、今頃何をやっているだろうか……。聖痕持ちである事を隠して、怪我や病に苦しむ人々を助けようと一生懸命勉学に励んでいた、あの青年は……。)

 光魔法を行使するのに欠かせない要素である聖痕は、それを持つ者に高い魔力を与え、光の魔素を制御する能力を与える。
 だがそれは、長年敵対しているカーライル王朝・聖王国の聖騎士……厳密に言うならば、その中でもクルセイダーと呼ばれる上位聖騎士の象徴である。
 そのために、アルカディア帝国に於いては聖痕は異端とされ、迫害されるのだ。
 ただそれだけの理由で。

 そして例の学生は、ちょっとした事故……。
 けつまづいて転びかけた他の学生がその学生の服に掴まり、服が破れてしまったと言うただそれだけの、他愛のない事故によって、聖痕持ちである事がバレてしまったのだ。
 その学生の友であった者も、その学生を優等生として期待をかけていた大学当局も、掌を返して迫害側に回る。
 そして当時教授として教鞭を取っていた彼は、しかしその学生を護ってやる事ができなかったのだ。
 結局、その学生は、帝国の医科大学で学び続けることができなくなり、ついには同盟へと亡命してしまう。

 医師は瞑目して、当時の事を思い出す。
 学生が亡命後、帝国当局や帝国軍より捜査官がやって来ては、当時教授であった彼に根掘り葉掘り事情聴取と言う名の尋問を行った。
 そして彼は、教育者としてやって行く自信を無くす。自分の学生から亡命者を出した事により周囲の風当たりが強くなったのもそうであったが、それ以上に学生を護ってやれなかった事が彼を苦しめたのだ。

 そして彼は一介の医師として、この病院に赴任し、罪滅ぼしのためなのか何なのかは彼自身にもわかっていなかったが、1人でも多くの命を救うべく奮闘を続けていたのだ。
 だが衆寡敵せず、今度も医師である彼は、またあの世へと旅立つ1人の患者を見送る羽目になった。

「……ご愁傷様です。御遺体を霊安室へ移します。ご遺族の方はこちらへ……。」

 型通りの言葉が医師の口から流れ出る。
 その荒れ狂う内心の様子は、わずかほどにも外に漏れ出る事は無かった。



[帝国での医療]

 帝国の医療で目立つのは、魔法薬や薬草である。
 帝国においては錬金術が三国中で最も進歩しており、その分野に於いては他国の追随を許していない。
 負傷の回復を行う「ポーション」や、病気治療のための「エリクシール」の効能は、帝国製の物が群を抜いており、他の二国で生産されるソレとは一線を画する。
 いや、それどころか比べ物にならないとまで言えるだろう。
 帝国製の治療薬を始めとした魔法薬を他国で購入する場合、ほんのちょっとした物であっても財布が極めて軽くなる事を覚悟すべきである。

 薬草を扱う本草学に関しても、帝国は他二国を突き放している。
 薬草に関しては、帝国には「魔女」と呼ばれる強力な魔術師集団がおり、彼女らが古くから研究を続けている。
 その成果を享受できる立場にある帝国が、本草学で他国を周回遅れにしていたところで、何の不思議も無いだろう。

 ちなみに帝国に於いては、重傷者や重症の病人は病院施設へ入院する事になる。
 病院には治療用の魔導器が置かれ、それらを用いて治療を行っている。
 ここで注意したいのは、帝国の病院で用いられる魔導器は、水魔法による治療の術を発動させるタイプの物が多い事である。
 無論他にも、炎魔法を応用して患者の身体から発せられる熱量を計測する魔導器の体温計なり、呼吸困難な患者に風魔法の応用でその肺に強制的に空気を送り込む魔導器なり、色々な種類がある。
 しかしこれらはほぼどれも、何らかの魔法の術を発動させる物だ。
 後述する自由都市同盟の病院で用いられる医療用魔導器とは、基本的に異なるのである。

 なお、これら帝国の病院に於いては、残念ながら重篤患者の死亡率は他二国のそれよりも高い。
 理由としては、帝国が聖痕持ちを異端として排撃し、光魔法を禁忌としている事が最大の理由だ。
 このため帝国では、重傷や重症の患者が助かる可能性は、低いものにならざるを得ないのである。



[帝国での輸血事情]

 アルカディア帝国に於いては、輸血に関してはそこそこに安定している。前述した通り、輸血用血液の1/2が魔獣製代替血液、1/4がクリエイト・ブラッドによる人工血液、1/4が献血や売血による物である。
 帝国では光魔法を禁じていることもあり、輸血などその他の技術に対しては、貪欲に取り入れる様になっている。このためクリエイト・ブラッドによる人工血液の導入も比較的早くから行われたし、魔獣製代替血液に関する研究、改良も、国家主導で強力に推し進められている。ことに錬金術に関しては帝国が得意とする分野でもあり、帝国による魔獣製代替血液は非常に品質が良い。帝国製のポーションともども、カナドを含めた国外(聖王国除く)に対する有力な商品となっている。
 一方で献血や売血に関しては、聖王国同様の問題を抱えている。アルカディア皇家直轄やそれに忠実な貴族家ではそこまででも無いのだが、一部の門閥貴族家などでは領民に対する献血の強要や、品質の高い血液の高位貴族での独占なども平然と行われているらしい。また売血は広く行われており、貧民が売血のやり過ぎで死亡する例や、血中成分濃度が薄いなど品質が低かったり、病原体に汚染されていたり、管理ミスにより劣化したりした血液などが平然と出回っている。


自由都市同盟

 その司祭は、相反する二つの戒律の間で板挟みになっていた。いや、それはここが自由都市同盟首都、中央都市アマルーナの総合病院であるからなのだが。これが聖王国本国であるならば、こんな事にはなってはいない。看護士がてきぱきと、快復した患者の身体から、生命維持に使われていた様々な医療用魔導器を取り外す。それを見ながら、彼は内心苦虫を56億7千万匹まとめて噛み潰していた。

(くっ……。これは、科学技術ではない!三女神教の戒律で「排除せよ」と定められた、科学技術では無い……無いのだ!旧人類の用いた、科学技術を用いて作られた医療機器が元になっているとは言え!正しき手法を用い、魔導工学で稼働する様に作り直されているのだ!そうだ、これは科学技術では無いのだ!)

 司祭は必死に自分に言い聞かせる。それが自己欺瞞だとは、百も承知の上だ。ここ自由都市同盟の病院で用いられている各種医療機器は、はっきり言ってしまえば「科学的」な装置である。その事を充分理解した上で、彼はもう1つの戒律「衆生の生命を救う」事を成し遂げるために、それに目を瞑っているのだ。ここ中央都市アマルーナの病院には、毎日数多くの病人怪我人が運び込まれて来る。それ全てを光魔法で救済する事は、いかに彼が聖華の三女神より聖痕を授かり、強力な魔力を誇っていても無茶と言う物だ。それ故に彼は、内心忸怩たる想いを抱えつつも、「科学的」医療機器に頼る医師たちと手を携えて治療に当たっていた。

 ちなみに彼の様な司祭などと言う偉い立場の神官が来ているのは、単に彼の当直の順番が今日だっただけに過ぎない。自由都市同盟では本山である聖王国よりも神官は少ない。それ故、1人でも多くの衆生を救うため、彼は司祭でありながらも自ら志願して病院に詰めていたのである。……本国の腐敗した教会勢力の連中に比して、なんと言う徳の篤さであろうか。

 ふと彼の僧衣の裾を引っ張る感覚に、彼は視線を下に向けた。そこには、年端も行かぬ幼い少女が、彼の衣の端を掴んでいる。

「む?どうしたのかな、お嬢さんや?」

「あのね、あのね!パパのこと、たすけてくれて、ありがとう!しさいさま!」

 彼は一瞬、意表を突かれた気がした。彼がここ、病院にいるのは、手術の際の成功率を光魔法により高めるため、そして万が一の医療事故に備えてこれも光魔法を使って患者を救うためである。そしてそれは「衆生の生命を救う」戒律を守るためだ。もう1つの戒律を蔑ろにしてはいるものの、あくまで信仰のために行っている事である。言うなれば、自分のためだ。だが、この場合感謝を受け取らないのも、何か違うだろう。

「そうか、どういたしまして。けれど、わたしだけじゃない。お医者様や、看護士さんたち、それに何よりも女神様たちにお礼を言わなくては、いけないよ?」

「うん!かみさまには、おいのりしたよ!それと……。ごめんなさい、しさいさま。しさいさま、こわいおかおしてたから、おれいをいうの、あとまわしにしちゃったの……。おいしゃさまや、かんごしさんたちには、もうおれい、いったよ!」

「そうか、そうか……。じゃあ、わたしが最後だね?ならあらためて、どういたしまして、だ。」

 そう司祭が語ると、少女は花がほころぶような笑顔を浮かべる。司祭は一瞬、頭を殴られたかの様な衝撃を受けた。

(そうだ、これだ……。これだった……。わたしが聖痕を授かりながら、聖騎士の道を、クルセイダーへの道を選ばずに神官となった理由は……。)

 司祭は、かつて彼が神官を志した理由を思い出す。それは昔、彼が辺境の開拓村の子供であった時代の事だ。彼は聖痕を持って生まれ、将来は立派なクルセイダーになるのだと思っていた。しかし彼の幼馴染の少女とその家族が魔獣禍に巻き込まれ、少女の母親が大怪我を負ったとき、彼は何もできなかった。魔獣を倒したのは腐敗し汚濁に塗れた聖騎士たちでは無かったし、少女の母親を癒したのは前法皇リアナ・フェアノール・エウリアに従う良識派であり、そして枢機卿ネーザ・ロッドワルド派から冷遇されていた低い位の神官であったのだ。

(あの時、九死に一生を得た母親を見た時の、彼女の涙混じりの笑顔が……。そうだ、それでわたしは人を癒す神官を目指したのだ。)

 そして彼は、清廉ぶりを厭うた枢機卿ネーザ派から疎まれ、司祭への昇格と引き換えに自由都市同盟へと布教の名目で島流しにされたのである。以前はそれに怒り、苦しんだ事もあった。しかし今は……。

「お嬢さん。あらためて、どういたしまして。それと、『ありがとう』……。」

「???」

「わからなくてもいいよ。お嬢さんは、わたしに、とっても良い贈り物をくれたんだ。」

 そして司祭は微笑む。

(三女神よ、感謝いたします。わたしは初心を取り戻す事ができました。そして申し訳ありません。
 ……わたしは、死後に地獄に落ちようとも、もはや躊躇いたしません。禁忌の科学に根源を置いていようと、この道具は人を救うための物なのです。ええ、わたし1人が地獄落ちになる程度で多くの人を救えるのであれば……!!)

 司祭は、少女の頭をそっと心を込めて、優しく撫でた。



[同盟での医療]

 自由都市同盟では、三国の他二国に比して、極めて異質としか言いようの無い治療法が用いられている。
 同盟では、いわゆる現代医学に基づき、科学的な根拠に裏付けされた医療が行われているのだ。
 これは同盟の考古学者たちが旧人類の医学書を解読し、そこから得られた知識をこれも同盟の医師たちが積極的に取り入れて行った結果である。

 医学書の解読と研究は、聖華暦500年代以降に始まった。
 そして300余年の歳月の間に、かつて旧人類が用いていた、様々な治療法が現代に蘇っている。
 中でも、聖華暦690年頃に「レッド・クロス」と呼ばれる医療機関が開発した「ペニシール」という医薬品は、医療の分野において革命を起こした。
 今ではこの薬は、大陸中の病院や治療院で普通に使われている。
 実はこの薬の正体は、名前から判るかもしれないが、抗生物質ペニシリンである。
 正真正銘、旧人類の科学技術の産物であった。
 「レッド・クロス」と同盟は一応それを秘してはいるが、帝国も聖王国も、それを暴こうとする動きはまず見られない。

 同盟においても、ちょっとした怪我や軽い疾病の治療には、水魔法による治癒術やポーション、エリクシールなどの治療薬を用いる。
 重傷者や重症の病人などは、帝国と同様に基本は病院へ運ばれる。まあ辺地の寒村など、近場に病院が無い場合は例外であるが……。

 病院では、医療用魔導器を多用した治療が行われ、かつ緊急性が高い場合や手術などの場合は、教会から派遣されている聖導教会神官の光魔法をも併用する。
 ここで特記すべきは、医療用魔導器の存在であろう。
 それらの魔導器は雷魔法もしくはルーン技術を用いた簡易術式で発生させた電気で稼働する。
 その仕組みは基本的に、旧人類の病院施設などで使われる医療機器と酷似しているのだ。
 まあ、魔導工学で簡単に模倣できる物は模倣しているのだが。
 だがその大半は、魔石を媒介にしたり液体エーテルを起動に用いたりはするが、中身はほぼ現代科学の医療機器と仕組み的に変わりは無いのだ。

 だが神官たちは、あえてその事に目を瞑って医師たちに協力している。
 彼ら三女神教の戒律には、「科学技術を排除」と「衆生の生命を救う」と言う物があり、自由都市同盟の医療現場においてはこれは二律背反を起こしているのだ。
 彼ら神官は、後者を遵守するために前者にはあえて目を瞑っているのである。

 ちなみに手術と言う技法が最も発展しているのは、科学知識に裏打ちされた医療技術を持つ同盟が、三国のうちで最も優れている。
 なお手術につきもののレントゲン写真なども同盟ではなんとかかろうじて確立してはいる。
 だがしかし、これについては水魔法により体内水分密度を検知するタイプの「水分検知型透視魔法」や、雷魔法により電磁場を発生させそれが人体内を通る際の減衰などの結果をこれまた電磁波を放射してガラス乾板(ガラス製フィルム)に転写する「雷式透視魔法」の方が手軽である。
 そのため、精度は機械的撮影手段の方が高いのだが、レントゲン写真は同盟においてさえも、普及率はいまいちである。
 余談だが、「水分検知型透視魔法」は聖王国が、「雷式透視魔法」は同盟が、それぞれ一歩先んじている。

 ところで自由都市同盟の医学書は、高度なものはともかく低レベルの科学技術依存度が低い物に限れば、民間レベルを通じて他二国にも出回っている。
 ただし人体解剖図的な物は同盟の医学書に頼らずとも、先に述べた「透視魔法」、特に古くから方法論が確立されていた「水分検知型透視魔法」の成果物として、魔術書と言う形で出回っていたりする。
 この魔術書はおそらくは、聖華暦200年代には既に存在していたらしい。
 もっとも挿し絵はともかく、各内蔵の働きなどの記述部分で正確さを求めたい者は、やはり「レッド・クロス」などが発行した同盟の医学書を購入する場合が多い。



[同盟での輸血事情]

 自由都市同盟に於いては、輸血に関する事情はもっとも安定していると言える。魔獣食などに関する嫌悪感が薄い事から、魔獣製の代替血液も自由に使われている。魔獣狩りの冒険者が多い事から、この代替血液の供給も潤沢だ。またクリエイト・ブラッドによる人工血液も、三国で最も早く普及した。献血や売血による輸血用血液も、供給は他の二国よりは若干ではあるが、安定している。光魔法も禁じておらず、医療技術自体も極めて高度なレベルであるため、輸血事故なども少ない。
 それでもやはり売血に関係する問題は、どうしてもついて回る。同盟では絶対的な権力者が制度上存在し得ない事もあり、献血の強要はさほど例は多くない。しかし資産家が自分と同じ血液型の人間を金銭で囲い込み、万一の場合にこれも金銭で買い叩いて血液を自分に売らせるなどの行いは、多々ある模様だ。更にそうやって囲い込んだ人材に対して、場合によっては強引に自由を制限していたりする例もあり、時折都市同盟軍の捜査官に摘発されていたりもする。
 売血によるその他の問題も、多く事例が報告されている。同盟に於いても貧者が限界以上に血液を売って死亡する例、病人が売った血液を輸血された事で病気が広まった例、粗悪な売血業者が売りさばいた痛んだ輸血用血液を使い死亡した例などなど、売血に関しての闇は同盟であっても深いのだ。

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