これはルビコン3に現れた、自由気ままなアーキテクト傭兵とその仲間の物語である。
〜ルビコン3、グリッド135直上の宙域にて〜
ルビコン3付近の宙域を四十一式重工と書かれた
見慣れぬステルス補給艦が停泊していた、
その中1人男がぼやく
_約一週間程前、この傭兵団「四十一式重工」は惑星封鎖機構との衝突により多大な被害が出ていたのだ。
スラッグ
「あ〜もう…あれから1週間だってのにまーだ身体が軋むぜ全く…惑星封鎖機構のデカブツ騎士め……」
全身が義体化された見た目が特徴の男が肩を抑えて起きる
男の名はアリウム・スラッグ、通称「自由気ままな1つ目アーキテクト」であり、ルビコン外星ではそこそこのアーキテクトとして知られていた。
アオト「無理もありません。僕含め皆必死でしたから……」
熱冷ましシートを貼った黒い髪と特徴的なヘッドギアをつけた青年が言う
スラッグ「馬鹿野郎…1番無理したのはお前だ、10分がお前の生命維持に負担のかからないラインだってのに15分も暴れやがって、あともう一週間は様子見で雑務以外禁止だ、わかったか」
アオト「あぅ……それは……」
スラッグ「それはもクソもあるかよ、だがお前の最後の足掻きで全員生命拾いしたんだ、それに次の作戦後はお前に営業をやってもらう……今は休んでくれ、親心だよ」
_スラッグがアオトを撫でながら伝えた
アオト「わかりました……しばらく僕はサポートに回ります、スラッグさんも無理しないで下さいね。」
スラッグ「おうよ」
シトイ「親心か……なら私も休ませてよ、まだ施術から1週間しか経ってないんだからさ」
_長身の身の頭に包帯を巻いた青いポニーテールの女が言う
スラッグ「お前も無理はすんな、まだこっちの第9世代施術から十日しか経ってないんだ、それに雑務しか今は任せてない、
作戦が始まったら船を任せれるのはお前しか居ないんだ」
シトイ「雑務……うぅ……書類書くの苦手なのよ……」
_シトイが嫌そうな顔をしながら言う
スラッグ「書類書くって言っても発注だけだったろ、とりあえずベイラムとアーキバスの奴らからパーツが届くまで俺しか戦えないってのは流石に不味い」
シトイ「まぁこの船、ヴィントシュティレの防衛システムじゃ不安か……」
スラッグ「そういうこった」
アオト「まぁ……この船ステルス補給船ですから…ハハ…」
大気圏突入可能ステルス補給船「ヴィントシュティレ」
凪の名を冠したこの船は外星系企業の特殊部隊用に設計、開発された船で、封鎖機構のレーダーすら欺くが、企業の壊滅と共にこの傭兵集団の手に渡り、以降彼等の会社兼移動手段として運用され続けている
スラッグ「まぁそんなわけだ、そろそろ1機くらいはネブカと
ルートが残骸からパーツをかき集めて出撃可能レベルまで整備を終わらせる頃だろうよ」
_スラッグはジャケットを羽織り船の奥へ足を運ばせた
ーヴィントシュティレ内ガレージー
ここでは赤混じりの茶髪のフェドーラ帽の似合ういかにも紳士と言った格好をした男、ルートと
オレンジのツナギが特徴的な少女ネブカが、先程整備完了したばかり……というようなAC2機の前で最終確認を行っていた。
ネブカ「うーんアタシでもコメットアイズとストゥルトゥスの補修と改造はこれが限界かな……流石に正規品が無いとこれ以上の修理は無理!眠いし!」
ルート「いえいえ、流石ネブカさんです。私達5人分の機体の残骸からこのレベルまで修復してしまうとは、最終チェックと作戦時の防衛は私がやっておきますので後はごゆっくりなさってください。」
そこにスラッグがちょうど到着した
スラッグ「おー流石だなネブカ、パーツ構成は変わっちまったがこれで今回の作戦くらいはやれるはずだ、特殊HEAT弾頭式射突ブレード、いい出来だ。」
ネブカ「いえーい……でも流石に限界…オペレーターは次の作戦ではできないかも…」
スラッグ「悪かったな無茶言っちまって、急ぎの仕事が入ったんだ、それに次の作戦の船の操縦とオペレートはシトイに任せてある、寝てていいぞ」
ネブカ「ありがと〜…」
_ネブカが寝室に行ったあと男二人は機体の最終チェックを行っていた
ルート「しかし……今回の作戦の依頼主は例のルビコンの土着勢力の頭目ですか……本当にコーム無しの条件で信頼しても宜しいので?」
スラッグ「まぁ製品には信頼のある相手だ、前払いでローダー4、レッカーをこちらのわがままで届けてくれたしな、それに報酬とは別に現地の街のようなもの……グリッドに居る各土着企業への手続きの手伝いをしてくれるらしい、悪い話じゃなかろうさ」
そう言うとスラッグはそのまま青い一つ目の彗星が描かれたAC、コメットアイズのコックピットに乗り込み、出撃シークエンスを起動、船内用オープン通信を開いた
スラッグ「じゃあ出撃だ。封鎖衛星破壊とは……壊滅寸前の傭兵団には無茶をさせてくれるよ。シンダー・カーラ…裏切ってくれるなよ…」
_そう言うと、スラッグが声を張る
「さて野郎共!準備は良いか!
ルート!今回の作戦はストゥルトゥスの右腕替わりに装着された特殊弾頭式射突ブレードを使い封鎖衛星を破壊させ機能を麻痺させる!
その後即座に特殊ポッドを封鎖衛星に射出!それで無理やり現地に到着する!お前はその後ステルス再展開まで船の防衛を!
アオト!お前は特殊ポッドに先に乗り込め!この次の仕事ではお前に営業とオペレーターをやってもらう!その下準備だ!
シトイ!お前は船の操縦と特殊大型ポッドの射出を任せる!
これが今回の作戦の流れだ!行くぞ!」
スラッグが通信を切ると赤と黒の軽量二脚、ストゥルトゥスが出撃カタパルトに移動……船体後方より射出された……作戦開始である
_ストゥルトゥスは射出後……凄まじい速度で封鎖衛星の観測射撃用レーダーに到着した
ルート「あまり派手なのは趣味では無いのですが……惑星封鎖機構の皆さん…失礼いたします!」
_ストゥルトゥスが右腕を大きく振りかぶりレーダーをHEAT弾頭式射突ブレードブレードで叩いた、その瞬間HEAT弾が轟音と共に炸裂、レーダーを木っ端微塵に破壊した、システムが即座に出撃命令を出すがレーダー内部で炸裂した特殊HEAT弾の余波により通信が混乱、対応が追いつかない、惑星封鎖機構は大きな隙を見せた
シトイ「派手にやったね……特殊ポッド射出!ステルス再展開可能!ルート!急いで戻ってきな!それとスラッグ!アオト!死んだらただじゃおかないよ!」
ルート「了解しました!修理用無人機が集まってきましたが恐らく数日は機能を停止、もしくは低下させるはずです!アオトさん!スラッグさん!ご武運を!」
ストゥルトゥスが船に向かい帰投したと同時に大型のACを積んだポッドが射出、投下された
スラッグ「あとは封鎖機構からアイツらが逃げるだけだ……アオト!歯ぁ食いしばれ!衝撃が来るぞ!」
そうしてヴィントシュティレがステルスを再展開し、戦線を離脱した後
ACを積んだポッドは高速でかつてアイビスの火という大災害で焼けた星……ルビコンの大地へと落ちていった……
最終更新:2023年11月27日 02:59