前回のあらすじ
「封鎖衛星の狙撃用レーダーぶっ壊した」

_グリッド135上空大型ポッド内部にて
内部ではポッド内の2人が慌ただしく通信を交わす

アオト「カーマン・ライン突破!そろそろシステムが一部復旧して狙撃が来ます!」

スラッグ「わかった!だが狙撃能力は落ちてる!パルスシールドを転回して念の為防御!あと被弾してもそのまま落ちる覚悟をしておけ!でねぇと第二射に外装ごとぶち抜かれておしまいだ!」

アオト「了解!アルクスのシールド出力最大で!外壁パージ準備!」

_その瞬間……青い閃光がポッドに叩き付けられた
内部ではシールド破壊のアラートが鳴り響く

アオト「芯からは逸れてますが外装破壊!」

スラッグ「畜生やっぱりか!仕方ねぇこのまま続行かつ加速!その後急ブレーキ!衝撃で死ぬなよ!」

アオト「分かりました!着地準備!地面にあと60秒でぶつかります!ブースト!」

_ポッドのブースターが上を向き地面に加速する

アオト「40秒!敵の狙撃圏内振り切りました!」

スラッグ「よし!じゃあ残り20秒でブレーキかけろ!」

アオト「残り30秒!準備を!」

アオト「あと20秒!ブレーキかけます!」

スラッグ「上手くいってくれよ……!」

_ポッドのブースターの火が消えポッド下部についたスラスターがブレーキを行う
そして暫くしてグリッド135付近の平地にドスンッ……と思ったよりも小さい音と共に大型のポッドが地面に着陸した



アオト「し……死ぬかと……」
スラッグ「思った……」

_ポッドの中の2人が安堵する

スラッグ「アルクスのダメージコントロールは?」

アオト「外装以外のダメージ無し、パージしますか?」

スラッグ「いや先に索敵だ、今この星じゃどの勢力もピリついてる、
下手に出て撃たれて死にましたーなんてのはシャレにならねぇからな、
それにこの状態の外装なら撃たれたって言っても実弾の盾くらいにはなるだろ」

アオト「分かりました!索敵します」

_しばらくの間電子音とソナーの音がポッド内に響く
そして索敵が終わり黙っていた2人が慌ただしく動く

アオト「待ってください!近くにAC!軽量の特殊タンクです!」

スラッグ「通信繋げろ!場合によってはパージ後俺が黙らせる!」

スラッグ「それからメインシステムの監視!ファイアウォールに侵入されてないかのチェックを!」

アオト「了解!通信飛ばします!」

_通信を繋ぐと電子音混じりの男の声が聞こえる

スラッグ「こちらは四十一式重工……独立傭兵だ、何者だ?所属を聴かせて貰おう」

《ようこそビジター、こちらはRaDのチャティ・スティックだ、お前達の情報はボスから聴いている。迎えに来た、案内しよう》

スラッグ「…了解…だが念の為にデータでの所属証拠をくれ、こっちはアンタらの事を何も知らないんでね」

《良いだろう、一緒に地形データを送る……着いてきてくれ》

スラッグ「今回の雇い主は気が利くようで助かるよ」

_そう言うとデータが送られる

スラッグ「仕事が早くて助かる……データで判別は着いた、今回の依頼主で間違いなさそうだ、行くぞ」

アオト「了解です!近くに他の敵影無し!」
スラッグ「よし、じゃあアルクス起動、外装パージ」

_スラッグの掛け声と共にポッドから火花が散り
中から青いACと大型のシェルパ「アルクス」が現れた

チャティ《随分と派手な仕掛けだな、ビジター、ボスが気に入りそうだ》

スラッグ「そりゃよかった」

スラッグ「さて……上手くいくといい良いがね」

_そうスラッグがぼやいたあと、青いACとシェルパはチャティに連れられ今回の依頼主の元へ向かう…
シンダー・カーラの居るRaDの本拠地
グリッド086へ_


「アルクス」
四十一式重工がヴィントシュティレが使えない外部活動用に独自に改造を施した特殊輸送シェルパ、輸送シェルパが箱を挟んで2つ並んだような見た目をしており、最大同時に2機までの補給を可能としている。中央部のコアには「事務所」と「居住区」が置かれており、商売道具でもある


_グリッド086入口にて

_見慣れぬACとシェルパがグリッドの錆び付いた入口に並び
ドーザーと呼ばれる男達がその新参者を囲み威圧している

スラッグ「……歓迎されてねぇようだな」

アオト「ど、どうします?流石に武力制圧したら依頼どころじゃ無いですよ?」

スラッグ「……相手さんのボスに頼むしかなかろうさ、チャティ……だったか、シンダー・カーラに通信を……」

_スラッグがそう言いかけると近くにあったスピーカーから強気な女性の声が発せられる

《よく来たねビジター、随分と早い到着じゃないか、野郎共!そいつは私の客だ…手を出すんじゃないよ!》

_その声と共に囲んでいたドーザーがそれを聞くや否やしおらしく離れていく
だが……そこにそれでもどかない1機のACが居た、やけに興奮し息が荒い、どうやらコーラルによる酩酊状態のようだ

ラミー「姐さん……こいつらァはぁ!このラミーが……マッドスタンプで……歓迎してやりますから!」

《やめなラミー!》

_カーラの声は届かない
_スラッグが戦闘モードを起動する

スラッグ「酔っぱらいが!」

ラミー「このインビンシブル・ラミー様の歓迎を受け取りなぁ!」

_そう男がわめくとマッドスタンプが2連式のチェーンソー型破砕機、ダブルトラブルを展開しコメットアイズに突進する

スラッグ「なんて物騒なもん持ってやがる……そう簡単に受け取るか!」

_戦闘開始か……とスラッグが身構えた直後、突っ込んできたマッドスタンプはコメットアイズの横を綺麗に素通りし、見事に足を滑らせた後下の階層に頭から落ち、金網に突き刺さった……その後マッドスタンプは少しもがき、諦めたかのように沈黙した

スラッグ「……なんだアレ……」

_溜息とともに通信が繋がる

カーラ《悪いねビジター、あの馬鹿はほっといて構わないよ》

スラッグ「そうさせてもらう、突っ込むのもやめておこう」

カーラ《助かるよ……チャティに着いてきな、そこで話そう》

チャティ《了解だボス、ビジター、着いてきてくれ》

スラッグ「了解した」
アオト「大丈夫なんでしょうか……?」
スラッグ「大丈夫だ、多分な」

_そうして2人は、チャティに連れられグリッド086の奥地へと向かう



投稿者 玉葱四十一式
最終更新:2023年12月21日 23:54