♪もしも もしも 此処で わたしが 逃げたのならば 世界は変わる?

歌が聞こえる、遠くでロップイヤーが歌っていた。

♪きみとふたり 壊れる世界 眺めていたい 手を繋ぎ

ロップイヤーへ手を伸ばす。

光が降り注ぐ、すべてが燃え溶け何も残らない。

「ロップ!!・・・・夢?」

〈ウンドワート〉が目を覚ます、自室の椅子で寝てしまっていたようだ。

「ああ、またこの夢か、逃げ出した罰とでも言うのかい?」

彼らはかつて全てを捨てルビコンへとやってきた、その罪は二度と────

「自分です、借金の返済に来ました」

「ああ、すまない少し待ってくれるかな?目が覚めたばっかりでね」

扉越しにフレミッシュの声が聞こえる、〈ウンドワート〉は最低限の身だしなみを整え彼を迎えた。


「うん、こんなに早く完済するとは思わなかったよ、これで君は今日から自由の身だ、首輪を外そう」
そう言うと首輪が外れフレミッシュは久しぶりに地肌に触れた。

「さて、これから行く当てはあるかな?無いのならエルカノの社員食堂が君を雇いたいと言ってくれているんだけどー」

「マスター!自分をこのPUBで雇ってください!自分が更生できたのはここのおかげ、恩返しがしたいんです!」

おっとぉ、とでも言うような顔で〈ウンドワート〉が驚く、当然だ、そのようなことを言った債務者はいままで一人もいなかったのだから。

「いいのかい?うちはそんなに金払いよくないよ?君の腕ならAC乗りとしても料理人としてももっといい仕事に就けるのに」

「構いません、ここが自分のいるべき場所だと、そう思っています」

力強い覚悟の言葉、決断は硬いようだ。

「分かった、今日からは3号室を使いたまえ、アンゴラ君の向かいの部屋だ」

まさか3号室が埋まる日が来るとは思わなかった、間取りの関係で3部屋じゃ収まりが悪いと4部屋にしたのだったか、いつ倉庫になるのかと期待して見ていたのだが。

「そうだ、正式にうちの店員になるんだ、僕と一度戦ってみないかい?最近は二人とも戦ってくれないから腕が鈍っちゃってさ」

そう言いながらシミュレーションポッドを起動する、ロップイヤーアンゴラも彼と戦ってACの戦い方を学んだのだ。

「ハイ!よろしくお願いします!」


≪メインシステム、テストモードを起動します≫

「先手必勝!行きます!」
ACスピリタスサーンが両肩のグレネードキャノンを発射する。

「甘いよ~」
白銀のACエルアライラーは最低限のジャンプと左右への移動でグレネードを回避する。

「やっぱり距離信管無しでは当たらないか、突撃!」
アサルトブーストを用いて距離を詰めようとする。

♪~~
〈ウンドワート〉は鼻歌を歌いながらバックブーストで引き離す。

「やっぱり追い付けない、ってこの攻撃は?!」

いつの間にか展開されていたレーザードローンと垂直ミサイルが全方位から攻撃を始める、エルアライラーのレーザーライフルもあり全てを避けきる事ができない。

「このままじゃジリ貧、イチかバチかだ!距離信管300から200まで順次発射!」

グレネードを両肩から発射しそのまま背部をパージ、距離を詰める準備をする。

「いい判断だね」

広範囲に爆発が発生する。

♪ああ 光さえ なければ 自由

「でも遅いよ」

いつの間にかエルアライラーが目の前にいた、爆発の中をアサルトブーストで突き抜けてきたのだ。

「!!!!」

ブレードで切られるその瞬間 彼の目には 漆黒のエルアライラーが映っており

その背後には 黒い翼が見えた


「ありがとうございました、自分に足りないものがわかった気がします」

「こちらこそ楽しかったよ、ありがとね」

フレミッシュが部屋から出ていく、〈ウンドワート〉はそれを見届けると椅子に座った。

「お疲れ様です、マスター」

いつの間にか部屋に入っていたロップイヤーが紅茶を淹れてくれていた。

「お体は大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だよ、君たちのおかげでね」

二人が紅茶を飲みながら会話を続ける。

「お茶、無くなっちゃいましたね」

「ごちそうさま、美味しかったよ、そうだ歌ってくれないかい?Allure of the Darkを」

「喜んで」

〈ウンドワート〉が目を閉じ椅子に深く座る。


♪ああ 夢をみる やさしい夢




関連項目


投稿者 ユティス



うーんやっぱり〈ウンドワート〉君はいいね、結局ワタシは一度も勝てなかったのだけが心残りだけどーおや?君たちまだいたのかい?ワタシは誰だって?

ただの語り部さ、どうしても名前が必要なら彼らに倣ってダンディライアンとでも名乗ろうか

ワタシはこれから彼らの故郷を見に行くよ、まあもうアステロイドとデブリしかないんだけどね、ついてこないでね~無理だろうけど、じゃあね~~~~
最終更新:2024年06月18日 22:01