登場傭兵

山猫はルビコンに立つ

いよいよだ―。

ようやくルビコンにたどり着く…


地球出身の独立傭兵。

企業所属の兵を引退した後、独立傭兵として活動するため、様々なことをしてきた。

そして現在は、アーキバスから苦労して入手したコネで手に入れた航路で、ルビコンへと向かって
いる。



出発してから、一ヵ月ほどは船の中だ。

娯楽用品はたくさん持ってきたし、苦労して手に入れた我が愛機を見たりいじったりしていれば暇

もないのだが、如何せん一ヵ月も外部との通信は出来ないに等しいのだ。

内部で一人色々な事をしたり、物思いに耽ったりして、ルビコンへの時間を潰した。

私がルビコンへ向かおうと思ったのは、そこにAC乗り、傭兵の需要があると聞いたからに過ぎな
い。

未知の新物質とやらにはいい思い出がないのであまり触れないこととする予定だ。



降下ポイントは近い。

この降下ルートは、過去にアーキバスが突入したルートで、このルートを狙撃できる砲台は破壊済

みなため、ある程度は自由に戦力を送れるらしい。

私はACのコクピット内部に移る。

事前に入力したプログラム通りに降下。

突入したらアーキバスの基地の着地地点で出迎えてもらい、そのまま野に出る。そんな算段だ―

これからのことを妄想しながら、ルビコンの大地を目に刻もうと、ACのモニター越しに輸送船の窓

からルビコンの大地を―

―おや?あれがアーキバスの基地かな?何だか光と爆発が広がって、まるで戦闘をしているような―


―あれは戦闘だ…

コネを得たのはアーキバスだが、アーキバスの社員ではないので関わりたくはないし、いきなり面

倒ごとに巻き込まれるなんててんでごめんなのだが、今更プログラムの修正は間に合わない。そう

だ、急いで離脱しよう。すぐに離脱すれば、脱走兵だと思って敵も追撃はしてこない筈…

地上での戦闘に皆夢中だったのか、機体は特に攻撃も受けずに着陸する。

私は急いで輸送機のドアを蹴破り、機体を外に出す。


―よし、誰にも気付かれてない!

今のうちに急いで離脱を…


『どこへ行こうというのです?』


―ダメだった…。


既に一機の機体に補足されていた。

周囲の爆発は収まっている。

この基地のアーキバスは全滅したのだろうか?

他の機影が存在しない。このACが単機で?


この機体は…少なくともアーキバスの物ではない。

襲撃者側か?

…いや、この機体はベイラムのカタログでも見たことがない。

所属不明の機体が、こちらに銃と思われるものを向けてくる。

通信機からは女性の声。

予断を許さない状況だが、こちらに戦闘の意志はないことを伝えなくては。

『そこのAC。所属を名乗ってください。こととしだいによっては…撃墜します。』

向かいのACは、一瞬の油断もせずこちらに問いかけてくる。

「あ、いや、私はただ…

ドヒュ!


言い訳がましい私の言葉に敵機が間髪入れず発砲する。直撃コース。

―威嚇射撃もなし!?―

毒づきながらも咄嗟にシールドを展開して致命傷を避けるが…


―なんだこの攻撃は…?どう見ても実弾ではないが、レーザー兵器とも違う。

シールドを、物理で削るのでも、レーザーを干渉させて削るのでもなく、まるで食い破るかのように削り取っていった。


情報が少ない。この機体の相手は危険だ。

『所属を名乗りなさいと言ったはずです。』

「え、え、ええ…、私はたった今ルビコンにはいった独立傭兵でして…」

『…"独立傭兵"…?アーキバスの増援ではないのですか?』

「ち、違います!アーキバスからは交渉でここの降下権を得たから…!」

すると、彼女はしばらく考えるかのようにだまり込むと


『……レイヴン、どうしましょうか? ………了解しました。すいません。こちらの手違いでした。アーキバス所属でないのなら、今は争う理由はありません。』

と言ってきて、銃を下げた。

「は、はい…。」
と私が返事したところに彼女は続けて問うてくる。

「何故、今更このような星に傭兵が来たのですか?」

「な、何故って…傭兵がこの惑星じゃ重宝されてるって聞いたから…」

彼女は私の答えを聞き、少し考えこんだ後、

「それでは。戦場で会わないことを祈ります」
といってこちらに背を向けた。

私はは命からがらといった風体でその場から離脱した。

あれは、ただのACじゃない。

とりあえず、近くの傭兵支援システムが管轄する施設へ向かうことにしよう。
新天地での新生活初日から、恐ろしい相手に出くわしてしまったものだ。仕事では出会わないことを願いたい。

ツテが壊滅してるのも困る。

あとでこの惑星の現状を漁らなければ…。


―ここか。
ここが傭兵支援システム『オールマインド』の登録拠点の一つ。

ゲートの前まで、ACで近づくと、通信がかかってきた。

『こちら、傭兵支援システム『オールマインド』です。どのような御用でしょうか。』

私は息を吸い答える。
「私は、Rb56『リライナ・エンジェ』よ。既に初期登録は済ませてあるわ」

『……rb56『リライナ・エンジェ』、オールマインド登録拠点第586への到着を確認。
ようこそ『オールマインド』へ。』

ここから、私のルビコンでの傭兵生活の一歩が始まる。


―彼女が、ルビコンにおけるコーラルをめぐる争いは既に終わりかけていること、そして、遭遇し

たあのACが、「エフェメラ」と呼ばれる有人の操縦を想定していない機体だったこと

を知るのはすぐ後の話である。


投稿者 ootori

タグ:

小説 ootori
最終更新:2023年11月27日 02:52