ボール(機動戦士ガンダム)

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ボール(機動戦士ガンダム) - (2020/09/30 (水) 11:31:08) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/08/12 Wed 18:56:59
更新日:2024/02/04 Sun 10:12:25
所要時間:約 15 分で読めます





「新型は一機だけのようだ。あとはリック・ドムかザクしかいない! やるぞ!!」


型式番号 RB-79
全高 12.8m
全備重量 25.0t
武装 180mm低反動キャノン砲/二連装15キャリバーキャノン砲

球体、そして二本の腕とキャノン砲。
それは簡素な作りでありながらロマンを感じさせる……


機動戦士ガンダムに登場する連邦の機体……戦闘用ポッドである。簡易式MSとか廉価版MSとか言われたりもする。
なおティアンム提督のクルーの発言によると、一年戦争当時の連邦軍はこれを「MS」に分類している。



【基本設計】

見た目は丸い球体に二本のアーム、そして上にザニーにも採用されていた低反動キャノン砲を乗っけただけのシンプルな作り。
「SP-W03 スペースポッド」という作業用ポッドを設計のベースとして、装甲で包みキャノン砲を搭載したもの。
初期は作業用ポッドそのものを流用した設定だったために混乱も多いが、下記『宇宙の旅』のスペースポッドと大体同サイズのSP-W03よりもかなり大型化しており新造品というのが現在の設定。

基本的には「人が乗ってる大砲」。いわば現代でいう宇宙用の自走砲(自力で走行できる大砲)である。
ジオンで言うところのマゼラアタックに近い立ち位置といえる。MSの支援用という立ち位置といい、ポンコツぶりといい

非常に安く生産できることから、連邦の物量作戦においては製造に手間とコストのかかるジムを支援するべく、遠距離支援としてその一角を担っている。
生産コストはジムの1/4以下だとか。
余談ながら、ガンダムはジムの20倍の高コストとのことなので、単純計算でガンダム一機はボール80~100機分ということになる。
しかし、これがジムの1/4程度の生産コストとか正気だろうか…


◇長所

・操縦性

民間の作業用重機がベースなためか、操縦が容易
MSと違いバッテリー駆動なので帰還後の排熱処理もいらず、甲板に繋留しても支障がないのも魅力だった。

・攻撃面

主砲の低反動キャノン砲は180mmと大口径であり、直撃すればMSを一撃で仕留める威力がある。(初期設定ではガンタンクと同系列の120mm。90mm説もあり)
作業用がベースながらセンサー有効半径は4000mとザクII以上の性能を持ち、遠くから敵を認識できる。
そして撃ち込まれた弾丸を、撃たれてから避けられる人間はそういない。
一体一体は雑魚だが集団でくると敵にとっても恐怖である。

・防御面

装甲材質についてルナチタニウム製という設定がある。
……劇中ではどう見ても脆過ぎるため、実際には出典のポケット本だけの設定だろう*1

ただ、仮にジムと同じチタン系合金製だとしても実はボールの本体はジムの胴体よりも大きい。
また、複雑な構造のジムに比べてシンプル過ぎる作りなので装甲厚だけはジムよりも優れているかもしれない

また、被弾面積の小ささも長所である。後述の短所に目を瞑ればだが…。

・運動性

最高速度マッハ4。……宇宙空間で「音速の四倍」とやらがいかなる意味かは不明。

速度は無視しても、セイバーフィッシュやトリアーエズなどの航宙戦闘機ではできない後退ができるので、
ジム完成までの連邦軍の戦術の幅を大きく広げることに貢献した。

またボールは全方位に高出力バーニアが搭載されている。固形燃料を爆薬並みの推力で噴射することで、宇宙空間では意外な機敏性を確保することも出来た。
メインスラスターを全力噴射しつつバーニアを兼用すれば、見た目よりも小回りが効くとのこと。
ただしこの高出力バーニア、燃費が悪いのが欠点であった。
また、極一部の例外を除きほぼ全ての媒体でジム以上のやられ役として描かれており高機動力で活躍という場面はほぼないため、流石にMS以上の機動力はないと思われる。


◇短所

・防御面

いくらジムより素の装甲が厚い(かもしれない)といっても、劇中を見ればわかる通り、総合的な防御力は低い

まず、ジムが構えた盾ごとザクに破壊される場面があり、チタン系合金製ではいくらぶ厚くとも、堅牢さは見込めなかった。
そのため盾を構えたジムに比べれば装甲厚もまず劣り、被弾=ほぼコックピット直撃のボールでは棺桶扱いされることも当然である。

しかもボールは運動性が低いために回避運動がとりにくく、小さいからって回避面もそれほどアテにはならない。
回避ができず材質も脆いときて、直撃を浴びて砕けるボールは非常に多かった。
あまつさえ、近接白兵・格闘戦に持ち込まれると対処のしようもない。場合によっては敵に蹴られることさえあった。
ダメージ状態にもよるが、吹っ飛ばされた際にパイロットが内部で圧死することも考慮される*2


また防御面のもう一点として、コックピット正面がガラス窓(厳密にはガラスの様な可視光透過素材でガラスそのものではないだろうが)ではないか?という点。
もし本当ならエラいことである。

一応正面の緑の部分はジムと同じくメインカメラで、その下は装甲化されている可能性もある。
少なくとも08小隊』本編で描かれた先行量産型の正面は、ガラス窓ではありえないちらつきが一瞬映っており、確実にモニターである。ガラスから直接覗き込んでいたわけではない。
そしてメインカメラがこれだけ大きければ、確かに精度もガンキャノン並みになるだろう。

が、どちらにしてもボールの後期バリエーションの中にはコックピット正面にもかなりの追加装甲を加えて兵士への安心感を強めているものも存在するため、
やはり正面装甲としてはあまり頼りにならなさそうなイメージである。


・運動性

「マッハ4」とやらは眉唾として、熱核融合炉を持たないことから*3推力が低く、燃費も悪い。
また、燃料電池には限界があるため、駆動部を激しく動かせず、運動性も低くAMBACもできない。

つまり、運動性・機動性・回避性全般が悪いということである。
少なくとも先行型はかなりのスピードを出せたこと、正式型もジムと編隊を組みつつ最前線まで突撃できたことを見ると、直進性能はそれなりにあることは間違いない。
(というか宇宙空間では一度加速すると、逆噴射を掛けるか障害物に激突するかしない限り減速しない)
さらに上述した通り、全方位のバーニアを併用することで、意外と小回りは効く。ただしこのバーニアは燃費が非常に悪かったそうだが。

・総合性能

攻撃力は高く、操縦性と運用面の都合も悪くない機体ではあるが、
運動性の劣悪さや防御力の低さが合わさった結果、総合的な防御性能やパイロット生還率は極めて低かった
さらにジムに比べると冗談のようなデザインから、「丸い棺桶」「動く棺桶」などといわれたのもむべなるかなではある。

とはいえ、ウッディ大尉の言う通り、戦争とはただ一機で戦うわけではない。
ボールの本領は後述する運用面にこそある。戦況全体を俯瞰したうえでのボールの戦力は侮れるものではない。
さらに冒頭のように「リック・ドムザクⅡぐらいならやれる!」と判断して果敢に攻め込んだ兵士もおり、また多くの機体が最前線まで突撃したこと、獰猛な「シャークマウス塗装」が人気であったことなど、搭乗する兵士の戦意・熱意も高いものがあった*4


◇運用面

生産コストが低く、運用設備が小さく済み、パイロットの訓練も短期間で済む*5ことから「数の暴力」を発揮できることと、火力が高く命中性に優れるため「砲撃能力」に長けることから、
連邦軍はボールを大量に配備し、アウトレンジから弾幕を張ることで採用した。
敵の射程圏外から狙いをつけ、強力なキャノン砲を数を活かして乱射し、接近される前に粉砕するわけである。

その弾幕をかいくぐって肉薄したMSには抵抗できないが……そこから先は相方であるジムの出番である。
単体ではなく、集団で戦うことに意義がある機体なのだ。


近年では「性能が低い」という個性を生かして、搭乗者の操縦技能・戦術眼が優れていることを強調する演出として用いられる。
パイロットの腕によっては強化されたザクを撃破することができたり(ex.シロー・アマダ)リック・ドムを6機も撃墜した例もある(ex.ウモン・サモン)。


そして実戦では、当時のジオン兵の質がかなり低迷したことから、予想外の活躍を見せた。
ジオンはゲルググなど、単純な性能ではガンタンクはおろかガンダムに匹敵するMSを多く所有していたが、
肝心の兵士が学徒動員などでかき集められた若年兵なうえ、新型における操縦性の悪さ*6も加わり、「動かすのがやっと」の兵士も多かった。

対してボールは操縦が容易で照準も付けやすく、さらにジオンのMSよりも数と集団性に優れていたため、それなりの数の敵機を撃破できた。
また、二機が連携するだけでもガンタンク一機分の火力になるため、大型MAや戦艦など、的が大きく動きが鈍い相手には思わぬ威力を発揮できた。


もちろん近接戦闘となればザクですらボールには手に余るが、その間合いは本来ジムが対処する領域である。
実際にはボールの兵士も前線に突っ込む場合があり、そうなると乱戦のなかで撃破されることも多かったが、それでも火力の高さで敵に痛撃を与えてきた。

ジムの配備以前も、セイバーフィッシュなどと連携したり、ボール単機種で編成されたり、サラミス級巡洋艦に搭載されパトロール艦隊を形成したりと、ジムの完成と普及までいろいろな活躍をした意義も大きい。

元が作業用重機の改修機のため、補給など雑務の手伝い、兵站拠点やソーラ・システムなどの設営などにもそのまま転用できた。



一年戦争中の連邦は、宇宙拠点が実質ルナツーしかなかった時期である。
悠長に工作作業とかはしていられず、速攻を掛けると決めた以上、迅速な作戦展開と攻撃が求められた。
その意味では、求められる以上の「」を「素早く」配備でき、あらゆる作業に「転用」が利き、必要十分なだけの「戦力」も備えているボールは、十分「間尺に合った兵器」だったといえるだろう。

ただしパイロットの生存率はあまり考慮されていなかったためか、一説には損害は60%に達したという。
そのため様々な作品で当の連邦兵からも大体底辺の評価を受けている。

連邦としても「主力兵器として扱うのは一年戦争限定」と見ていたようで、デラーズ紛争ではアームを増設し、作業用として重んじている。
……一年戦争がとうに過ぎた0133年に3連キャノン砲付きのボールが登場した理由はよく分からないが。



◇余談

アニメによくある都合で他のほぼ全ての作品・機体に言えることだが、宇宙で主砲を撃ってもほとんど反動が無かったり、あっても真後ろに少し飛ぶ程度である。
他の機体以上に撃っただけで凄くグルングルン回りそうだが、そうはならない驚異の技術力が施されている。
ここらはまともに描写すると宇宙で白兵戦なんて完全に成り立たなくなるので仕方ないところだろう。

一人用のポッドだからって嫌いな親父ィ押し潰すのに使うわけではない。

ゲーム中の活躍として、シミュレーションでは安価で大量生産出来るので物量作戦で力押し出来たり、アクションでは最新機VSボールといった感じで戦うことも………。

デザインは大河原邦夫氏だが、モデルとなった富野監督のラフスケッチの時点でほとんどデザインは完成していた模様。
まあこれはファーストに登場するメカニック全般に言える事ではあるが。

また、不朽の名作SF映画『2001年宇宙の旅』に登場するスペースポッドはボールと非常によく似ており、ボールの元ネタではないかと噂されているとか。*7



◇バリエーション



◇ゲームでのボール


初期の作品では、セイバーフィッシュやトリアーエズなどの航宙機より高価だったため、
原作のようなコスト面での利点が無く、微妙極まりない機体だった(ボール2部隊分のお値段でジムが1部隊作れてしまう)。
しかしタイトルが進むに従って、性能は据え置きで生産コストが下落していき、昨今では正しく数合わせユニットとして評価を上げてきている。
主な使用法はひたすら大量に生産し、射程2の砲撃を活かしてひたすら数で押す、という原作さながらの物量戦術である。
連邦軍に多い優秀な艦長達の指揮エリア内で運用できればなおよい。
当然MSに射程1まで近づかれるとボロクズのようにされるのも原作どおり。足が遅いので逃げることもままならない。
61式戦車なみの使い捨て前提ユニットなので、パイロットは絶対に乗せないように。


基本スペックは非常に低いが、主砲である180mmキャノン砲の射程が異常に長く、ザクやリック・ドム、ゲルググなどの射程圏外から一方的に砲撃できる。
もちろん、前衛の支援攻撃として使っても有効。射程が長いのでたいてい飲の味方は火力支援可能。
また性能が低い分、レベルアップのための必要経験値も少ないため、改造していくととんでもない破壊力をたたき出す移動要塞ともなる。
ただし、移動力そのものは低く、宇宙しか使えない(地上MAPでは出撃不可能)のもネック。
要約すると61式戦車の宇宙版といったところ。
初期のシリーズでは最強レベル機体であるハロシリーズの設計元となった。
一方設計でボールを作ろうとするとウイングゼロカスタムゴッドガンダムガンダムDXなどの最強クラス機体が必要であった。どこに技術が使われてるのだろう?

○ボール
コスト120
宇宙空間専用の遠距離砲撃型機体。
ゲーム中最低コストの遠距離砲撃型である。
浮遊型。

メイン
120mm低反動キャノン砲
AとBがある
Aはコストが+30される
Bはコストが加算されないがロック距離が短くなる(ただしノーロックでの着弾位置は変わらない)

サブ
ワイヤーランチャー
ABCとある
Aは敵の動きを制限させるが、威力は非常に低い。
Bはダメージが上がっているが、誘導性能が非常に低い。アップデートでコストは撤廃された
Cはコストが10上がりダメージはA以上B以下だが、その誘導性能の高さから、自衛力の向上が計れる。
しかし、射出して戻るまでの間に隙が生じるため、くれぐれも外さないように。アップデートでコストが10減少された

格闘
マジックハンド
追加弾A・B

マジックハンドは純粋な格闘兵器
追加弾は自衛が難しくなるかわりにMS戦をこなす事ができるようになる。

ダッシュ速度はコスト相応だが、ジャンプ力が高い


○ボールK型
コスト120の格闘機。宇宙空間専用
陸戦型ジムよりダッシュ力が低いが、ジャンプ力は高い

メイン
連装機関砲A
180mmキャノン砲
連装機関砲B

Aは威力が低いが、低バランサー機へのよろけが取りやすい
Bは威力が多少上がっているものの、よろけは取り辛くなっている
キャノン砲はザクⅠのバズーカ程度の性能

サブ

ハンド・グレネイド
ワイヤーランチャー

ハンド・グレネイドは一発ダウンで自衛に向いている
ワイヤーランチャーは機動低下の効果があるが、誘導せずコスト+20であるためか使用率は低い


格闘
マニピュレーター

陸戦型ジムと同様、格闘の射程が他の機体より5m長い


タクティクスからユニバースまでで初代、先行量産型、改の計3機が参戦。

だが、例に漏れず機体性能は…
先行量産型以外は『仲間召喚』を持ち、SP攻撃はボールが画面一杯にワラワラ出てきて敵を蜂の巣にしてくれる。

実は魔改造を施すと格闘の威力がガンダムMk-Ⅴを上回る。



放映当時は1/144と1/250の二機セットで売られた。
またLMで08小隊版が出ていた。
MGは、0083版、08小隊版、Ver.Ka、プロショップ限定版のバリエーションが発売されている。

HGUCは二個セットで販売された。
ちなみに武装は無反動砲と2連キャノン砲のコンパチ仕様。
これでファーストのTV版に登場したMSはHGUCでコンプリートされたことになる。
そろそろアッグシリーズ(アッグ、ジュアッグ、アッグガイ、ゾゴック)辺りが来てもおかしくない。
……とか言っていたらUC効果で本当にジュアッグとゾゴックがHGUCで発売

ちなみに、プレミアムバンダイの通販限定で0083版のHGUCボールが発売されていた。
なんと通常版とは成型色(Igloo)とマニピュレーター周りのパーツが異なる上におまけとして赤/水色のHGUCジム改が付属している。
はっきり言ってボールだけでも一般発売して貰いたい。
さらにまたプレミアムバンダイ限定で「ガンダムビルドダイバーズ GIMM&BALL’s World Challenge」に登場する『ポリポッドボール』がなぜかMGで発売されることが決定した。

またバンプレストのガンダム一番くじの脱戦士編には、ほぼ1/144スケールのボールの形をしたボールペン+メモホルダー…その名も「ボール・ペン」が存在した。
因みにキャノン砲が黒色のボールペンとなっている。
塗装は二種でTV版塗装とigloo塗装があった。
当然A賞B賞などではないいわゆる『ハズレ賞品』なため、くじを何回もやると嫌でもこのボール・ペンが大量に当たった。
幸い見た目のクオリティはガンプラにひけを取らないため、ジムと一緒にたくさん並べて原作の再現をするという楽しみ方はある。そして虚しくなること請け合い




追記・修正はボールで一年戦争を生き抜いてからお願いします。

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