2回行動

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2回行動 - (2020/07/01 (水) 09:05:40) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2018/07/09 Mon 18:25:37
更新日:2022/10/11 Tue 02:49:53
所要時間:約 12 分で読めます




バラモスは はげしい ほのおを はいた!
ゆうしゃに 83のダメージ!
ゆうしゃは しんでしまった!
そうりょに 96のダメージ!

やっべー、もう僧侶1人しか残ってねぇよ…
でも僧侶蘇生呪文使えるから、次のターンに勇者を蘇生させればなんとか…

バラモスの こうげき!
そうりょに 80のダメージ!
そうりょは しんでしまった!
ゆうしゃたちは ぜんめつした!

えっ…?


2回行動とは、ボスのたしなみである。

概要


RPG(ロールプレイングゲーム)をはじめとするターン制のゲームでは、各キャラクターは1ターンに1回しか動けないのが当たり前である。
将棋やチェスで、「一方のプレイヤーだけが1ターンに2回駒を動かせる」なんて事はありえないだろう*1。そんな事をしたら強すぎるし、あまりに不公平だからだ。
互いに「1ターンに1回動く」という条件の下で技を繰り出し合い、HPを減らし合うのが普通の戦いだ。

だが、ボスと言うのは大抵の場合1体で出てくるのに対し、味方側はパーティーを組んで挑戦するスタイルになることが圧倒的に多い。
しかし、そうなると単独で戦うボスより、回復、補助など役割分担できる多人数側の方が有利になりやすい。
これを回避するための方策はいくつかあるが、

  • ボス側のステータスを圧倒的に高くしておく
強敵に仲間と協力して挑む、という演出としてはいいが、初期のゲーム機だとどうしても数字上の限界がある。
また、回復が間に合えばOKという大味な戦闘になりやすい。
  • ボスにお供を付けておき、相手もチームを組んで戦わせる
知能派のボスなら問題ないが、真っ向勝負を望む武人タイプだったり、どう見ても仲間がいるようには見えない野性の猛獣などだと不自然。

……と、どちらにしても問題がある。
そこで、低スペックのゲーム機でも低コストに、違和感なく搭載できる強敵感の演出が「2回行動」なのである。

単純に相手の手数が2倍になるということなので苦戦は必至であり、それでいながら絶望的過ぎるパラメーター差を付けなくても程よい強敵っぽさにできるこの演出は、多くのゲームで踏襲されるようになった。

なお、似ているがちょっと違うものに「連撃」「複数回攻撃」などの特性がある。
明確に使い分けられていない場合もあるが、大抵の場合

  • 2回行動
異なる行動を同じターン内に複数回選択できる
  • 連撃
同じターンに同じ行動(大抵は通常攻撃)を2回行う

という違いがある。例えば後者の例はドラクエシリーズの「はやぶさの剣」「キラーピアス」などが挙げられるだろう。ちなみに「はやぶさの剣」の場合、初期の作品では2回の攻撃でそれぞれ違う敵を攻撃する場合があったが、後に同じ敵のみを連続攻撃するようになった。

主な2回行動

ドラゴンクエストシリーズ

初出は2……と思われがちだが、実は2の頃の敵の2回行動はいずれも「通常攻撃を2回連続で行う」のみであり、厳密には2回行動とは言い難い。
本格的に二回行動を行う強敵が現れるのは3から。ちなみに3回行動してくる敵の登場も3のクラーゴンが初である。
ラリホーなどの補助呪文の有効時間が相手の行動回数でカウントされる都合上、2回行動の敵補助呪文の効きが悪い、という特徴がある。
味方の2回行動ははやぶさの剣などの例外を除くとほとんどないが、6では一部の仲間モンスターが「AIに任せている場合に限り」2回行動する。
11では、連携技『ビーストモード』でカミュが限定的に2回行動*2でき、シルビアの特技『レディファースト』で自身の行動回数を指定した女性キャラに譲り渡す形で2回行動が可能になる。
モンスターズでは初代ジョーカー以降、味方モンスターもAI2回行動ができるようになった。
作品が進むにつれて、3回、4回行動*3と増えていき、合体システムのあるジョーカー3プロフェッショナルでは 最大8回行動 とぶっ飛んだ回数となる。
バランス調整の為、行動回数が増える*4ほどステータス上限が下がる。

ちなみにほとんどの敵は2回行動が限界であり、3回以上動けるボスは9の魔王の地図のボスぐらいしかいないのだが、7の神さまは例外的に 理論上無限回行動 してくる可能性がある。
これは、神様の行動パターンが「行動パターンA」と「行動パターンB」をランダムに切り替えながら戦う、というものになっているのだが、行動パターン切り替えの際に 行動回数がリセットされる という仕様があるため。
例えば「行動パターンA→パターン切り替え→行動パターンB→パターン切り替え→行動パターンA……」を延々やられる可能性がある、ということ。
幸いランダムなのでよほど運が悪くないと4回行動すら稀ではあるが、これで全滅すると理不尽さを感じること請け合いである。
リメイク版では最大でも2回行動になるように調整された。

ファイナルファンタジーシリーズ

FINAL FANTASY Ⅳ以降ターン制ではなくなり、行動間隔がキャラクターごとに決まっている「アクティブ・タイム・バトル」を導入。
このシステムでは「素早さを上げて行動間隔を短くする」だけで行動回数が増えるので、2回行動を行う敵が出るナンバリングはかなり少数派。
しかし6あたりではそこそこな数のザコやボスに、自分のターンが回った瞬間、複数回行動できるようにこのシステムが仕込まれている。
またATBでも「クイック」などの魔法を使うと即座に仲間に行動順を譲り渡し、疑似的に2回行動させることができる。
ターン制の頃はこの手の敵はいなかったようだが、リメイク版3では巨大なザコ敵やボス敵の大半がこれで苦しめてくる。

女神転生シリーズ


2000年代以降の作品では「プレスターンバトル」というシステムを採用した作品、またはそれを応用したシステムを持つ作品が非常に多い。
システムを大まかに説明すると「行動回数そのものが敵の弱点を突く等の上策で増加し、効かない攻撃をするなどの悪手で減少する戦い」となる。
パーティ一人につき1個のプレスアイコンが与えられ、通常は一回の行動で一つのアイコンを消費して、ゼロになれば相手ターンに交替という流れになるのだが、
敵の弱点を突く、またはクリティカルを出すことでアイコンが点滅状態となり、もう一回アイコンを使用することが許される。
4人のパーティ全員が有効な行動を取れば、一人2回ずつ、合計で8回行動が出来るので、戦闘においてはアイコンの管理がこの上なく重要となる。

逆にこちらの攻撃を敵に回避、無効化されると2個消費し、反射、吸収されると全部消費してしまい、即座に相手ターンとなってしまう。
ボスキャラは単独で2個や3個のアイコンを所持していることもあり、味方の弱点を突かれれば4回行動、6回行動にもなりうる(ほぼ全滅確定)ので、事前の対策が重要となる。
初期の頃は、敵サイドに点滅した状態のアイコンそのものを増やす『獣の眼光』(2個増加)と『龍の眼光』(4個増加)というシステムを根本から覆すスキルも存在、
クリティカルや弱点を突かれることで増えはしないものの、単独になったり追い詰められた時の危険度を上げ、さまざまな悲劇を生みだしていた。

さて、最初にこのシステムが導入された『真・女神転生Ⅲ-NOCTURNE-』では、スタッフのチェックミスか後発にまで伝わるネタがあった。
その名は魔王モトが使用する モト劇場 で、普通は使用制限がかかっているはずの『獣の眼光』を連発して延々と行動し続けるので、こちらが見ていることしか出来ないので「劇場」と呼ばれるようになった。
前述したDQ7の神さまのように大抵2回、たまに3回、極稀に4回、なんて生半可なものではなく、本当に永遠に行動し続ける場合が結構ある。
しかも、取る行動がマカカジャ(魔法攻撃力向上の補助魔法)とメギドラオン(絶対に防げず、外れることを祈るしかない万能属性の大ダメージ全体魔法)という対処の使用が無い攻撃を仕掛けてくるという極悪さで、
多くのプレイヤーが問答無用で天使の螺旋に導かれることに…。*5
更に最悪なのは眼光スキルは 雑魚敵でも使用してくる こと。それも普段は使わないのが一体だけになると使用しだす発狂モードであり、ここに「気合い」によるダメージ増幅や即死魔法が絡むので致死率が高い。
マニアクスでは新たなチェックミスとして雑魚版の堕天使オセが、PT構成でありながら龍の眼光を使って大暴れするという珍事もある。*6
モト程悪質な例はそうそう無いが、運が悪ければ地獄を見るゲームとなっている。
(これは真Ⅲのみで、後のアバチュシリーズでは使用する敵の戦闘ルーチンが高度化しているので何も出来ずにやられるケースは無くなった)
こんなモト劇場だが、使用者が電撃弱点で感電しやすくこちらに点滅アイコンを進呈しやすく倒せるときはすんなり倒せるのと、最寄りのセーブポイントまでが近くリトライが容易なのでダメージが少ないのもあって割と好意的にネタとして受け入れられた模様。

後の方だと三つ首のケルベロスがアイコン3個所持、 八つ首の八岐大蛇がアイコン8個所持 など、システム的な意味で神話を再現している面も結構多い。後者はもはやギャグである。

有料DLCや高価な消費アイテム扱いとしてだが、主人公サイドでも自分のアイコンを増やす眼光スキルが使えるケースや、相手のアイコンを減らすスキルなども存在する。

PC版の偽典・女神転生に登場するダンタリオンはモト劇場すら足元に及ばない、おそらく今後いかなるゲームにも採用されないであろう驚異的な性質を持つ。
それは「ゲームを動かしているマシンの処理速度に比例して行動が早くなる」というとんでもないもの。
当時でさえ「あっという間にやられてしまった」という報告もある程で、現行のWindows10でプレイしようものなら20回以上に渡って攻撃されるので絶対に勝てない。
幸い、有志の手によって修正パッチが作られているので、対抗策が無いわけではないが…。

新桃太郎伝説・えんま大王

童話・桃太郎を主軸にしたSFCの和風RPG。
現在から見ても「凝っている」と思わせる独特のゲームシステムを持ち、同時に子ども向けとは思えないほどの高難易度を誇る。
前作までの同シリーズと比較した際の重いシナリオと比例しているのかもしれない。
今作では前作のラスボスであったえんま大王が仲間(仲魔?)になる。胸熱。
ここで持ち上がってくる疑念は、少なからずの人にとって共通のものだろう。

ラスボスが、強い敵が、仲間になる。……それ、弱くならない?

ならなかった

(【技】を除き)高水準でまとまったステータス、強力な術が揃ったわざ。
なにより、仲間で唯一二回行動が可能である特性をデフォで持っている。
これにより、火力・回復・かばう盾なんでもござれのハイスペック閻魔と化す。
ラスボスといえば! な特性をそのまま仲間キャラクターとして持ってくるのは稀有な事例であろう。

ローグライクゲーム全般

いわゆる「不思議のダンジョン」系ゲーム。
「1ターンに1度行動できる」が全ての基準となるため、これを覆す2回行動は非常に強力な特性の一つ。
いくつかのパターンがあり、
  • 倍速で移動するが、攻撃は1ターンに1度
  • 等速で移動するが、攻撃は1ターンに2度
  • 倍速で移動し、2回攻撃
などがある。もちろん一番下が最も厄介。
有名なのは風来のシレンシリーズに登場する、大砲を1ターンに2回ぶっ放してくるイッテツ戦車だろうか。
更に厄介な手合いとして、3倍速のモンスターが出てくるシリーズもある。

「鈍足化」「倍速化」などの状態異常により、一時的に行動回数を変動させることもできる。
この性質が猛威を振るうのは、ポケダンシリーズの「リングマ」+「アームハンマー」。
「原作の特性は全て両方とも所持する」というポケダンの仕様もあり、リングマの特性は「はやあし」「こんじょう」。
本来なら「アームハンマー」を使うと鈍足の状態異常にかかってしまうのだが、リングマは「はやあし」により鈍足を無効化し、さらに「こんじょう」で火力大幅アップという恐るべきシナジーを発揮する。

elonaでは速度のステータスが設定されているため、ほぼ全ての行動に「速度差による行動順」が発生する。
順当にやっていればそこまで不利はないものの、このステータスの重要さに気づき利用し始めた途端に戦略の幅が広がる。
特に目的がなければ速度への恩恵を受けられる「風のルルウィ」の信仰を勧められるのはこのため。それだけ冒険を左右する要素なのだ。
信仰限定スキル「ルルウィの憑依」を使えば(序盤は)厄介な盗賊団が攻撃する間もなく逃げ切ることができる。
極端な話、全NPC中最高の速度を持つ「猫の女王『フリージア』 」ならばこちらが城に入り、射程圏内に捉えた次のターンにはミンチを作り上げ死体で遊び始める。
彼女がしてることはしごく単純、ただこちらに歩いて殴っているだけ。存在するのはただ圧倒的な速度差。それだけで彼女は最強の一角たり得るのだ。
さすがにPCでそこまでの育成をするのは途方もない労力がかかるものの、やろうと思えば雑魚敵が動く前に数回行動する、ぐらいの芸当は可能になる。
ステータスに支配された世界ならではの習わしといえよう。ある意味現実的かも。

シミュレーションゲーム

特に有名なのはスーパーロボット大戦シリーズの2回行動だろう。
シミュレーションゲームでは「移動」と「行動」がワンセットになっていることが多く、2回動けると「移動して殴ってもう一度移動して逃げる」ができるようになり、戦略の幅が大きく広がる。
他にもマップ兵器など、移動と併用できない(移動したターンの次のターンにならないと使えない)事が前提として調整されている武器を移動したターンにすぐ発射する事もできる。
それだけに2回行動できる特殊能力やユニットはごく限定されており、強力な特性の一つとなっていることが多い。

旧シリーズのスパロボでは特定ステータスが一定値に達すると2回行動できるようになるシステムになっており、レベルさえ上げれば理論上誰でも2回行動が可能であった。
とは言え常識的な攻略の範疇で到達できるレベルでは不可能なキャラも多く、中盤のレベル30台で早々に到達するキャラ、終盤の50~60台でようやく届くキャラ、80や90など特殊な稼ぎプレイをしないとまず不可能なキャラなど様々で個性付けにはなっていた。
しかし問題は、敵キャラは雑魚ですら「終盤の50~60台なら届く」水準を持っており、終盤にはネームドボスから一般兵に至るまで全員2回行動が当たり前だったこと。
それでも全体的な難易度が低めのシリーズだったならどうとでもなったのだが、『F完結編』などの改造段階その他のシステムでも非常に難易度が高く設定されていたシリーズでは阿鼻叫喚の地獄だった。
そんな訳でこのシステムは途中で大きく変更され、「無条件の2回行動」は原則できないようになり、「2回行動」と言う特殊技能を持つキャラクターのみになった。
この特殊技能を持つのは1対多が前提になるラスボスなどのごく一部の限られたキャラのみで味方は原則誰も持たない。
シリーズによっては特定のパーツを装着する事で味方にこの能力を持たせられるが、周回プレイが前提の隠し要素。
上位の「3回行動」といったものもある。

無条件でない2回行動は形を変えて様々に登場している。
そのターンの行動回数を1増やす「覚醒」の精神コマンドは2回行動システムの大幅変更よりも前からずっと継続して登場している他、
1ターン何もしないと精神コマンド「覚醒」の掛かる戦術待機というスキルや、特殊コマンドで使ったターンで敵を倒すと再行動可能になるマルチアクションなどがある。

SDガンダムGジェネレーションシリーズではチャンスステップというシステムにより、敵を撃破した時に対行動が可能である。
ファイアーエムブレムシリーズでは滅多にこの技能を持つ者はいないが、トラキア776の 確率制 だったり、覚醒の「疾風迅雷」だったりで、出るときは大体ハマるとやばい展開を生む。

トレーディングカードゲーム

「2回攻撃」の能力を持つモンスター/クリーチャーは多い。
MtGでは「二段攻撃」というキーワード能力によってこれが表現されており、火力が倍増するだけでなく一撃目は通常攻撃より早くダメージが入るため、強力な能力。
また漫画「遊戯王」に登場したカード青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)は、「首が3本あるから3回攻撃」という見た目通りの能力を持っていた。(が、実際に発売されたカードゲームでは削除された)
また、モンスターの元々の能力には書かれていなくてもテクニックを駆使して2回行動させる戦略もある。
例えば、自爆能力を持つモンスターに攻撃させて破壊→蘇生→行動回数リセット→もう一度攻撃……など。
また、いわゆる「追加ターン」も一種の2回行動と言える。この場合はプレイヤーの2回行動である。


追記・修正は1ターンの間に連続して行ってください。


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