サンダーフォースⅥ

登録日:2012/04/01 Sun 19:54:54
更新日:2023/07/25 Tue 10:01:59
所要時間:約 7 分で読めます



概要

サンダーフォースVI(BROKEN THUNDER II)とは、2008年10月30日に発売されたPS2用ソフト。
発売はセガ。ただし元テクノソフト関係者からは許可を得ただけで、権利は取得していない。
プロデューサーはゾルゲ市蔵、ゾルゲール哲こと岡野哲。

シューティングゲームとして多くのファンを作ったサンダーフォースシリーズの6作目。そして十年ぶりの新作である。
同時に、セガが立ち上げた「プロジェクトSTG」という企画の第一弾でもある。要はブームが過ぎて久しいSTGをもう一度第一線に復活させようというもので、他にも「ファンタジーゾーン」や「スペースハリアー」などが候補に挙がっていたとか。

あらすじ

人工知能「ガーディアン」の暴走から10年。
ようやく復興を遂げ、再び繁栄を迎えようとしていた地球圏は、突如出現した「オーン・ファウスト」と名乗る勢力によって、今や滅亡の危機に瀕していた。
かつて人工知能「ガーディアン」を生み出し、地下深く厳重に封印されていた地球外文明の残骸「Vasteel」の発する警報を解析したところ、「彼等に対抗するためには、はるか外宇宙の連邦本星に救援の手を求めるしかない」という。
「オーン・ファウスト」の猛攻の最中、封印を解かれた「Vasteel」を組み込まれ、新たな武装強化をされた新型機「RVR-00 "PHOENIX"(フィニックス)」は、「Vasteel」の記憶素子に残された四つの宇宙座標のみを頼りに、地球人類にとって未だその実在すら定かではない、「銀河連邦」の本星を目指して飛び立った。

主な変更点

基本システムはⅤを踏襲しているが、以下の点が異なる。
  • オーバーウェポンは、倒した敵から取得するエネルギーで溜まる6本のゲージをボタン入力で1本ずつ消費して発動する。発動中に2本まで追加でゲージを使って性能を強化する「重ね撃ち」も可能。
  • 自機はゲーム開始時に3機の中から選ぶ方式。PHOENIXで1度クリアするとRYNEX-Rが、この2機でノーマル以上を1度ずつクリアするとSYRINXが解放される。
  • クローの仕様がⅣまでのものに戻された
  • スクラッチボーナス、ダイレクトモードは廃止
  • コンティニューした際は死んだその場で復活
  • 隠し要素として、敵弾に色がつき、対応した武器で消すことができるようになる「ネオシステム」が追加された。

問題点

・音声を前作まで敵味方共に使用していた英語から、地球と銀河連邦が西夏語・オーン・ファウストがモンゴル語へ変更
「宇宙人が地球の言語を話すのはおかしい」ということらしい。
だけど造語を使うわけでもなく地球の言語である英語はやめて地球の言語である西夏語・モンゴル語へ変更しましたという意味不明な行動で結局理由を説明できてない。(ゾルゲは西夏語・モンゴル語は地球の言葉ではないと言いたいのか?)
結果的に我々日本人にとっては非常に間が抜けて聞こえるようになってしまい、『C言語』『油ドボーン』『とーちゃん』などの空耳を残した。
一応「銀河連邦の人間であるIVの主人公たちがIVのファウストとの戦闘後、時空転移に巻き込まれ古代の地球に漂流、そこで西夏王朝を建国、西夏語が誕生した」という設定も汲み取れなくはないが、Ⅳの主人公は時空転移に巻き込まれてなどいない。

・世界観に合ってない多数のBGM
ステージBGMは岡野の「STGの音楽は熱く激しく、儚くメロディアスじゃなきゃなっちゃいない」という自論に基づき起用されたレイシリーズのTAMAYO女史だが、どう聴いてもレイシリーズのBGMにしか……。
そして最終ステージのBGMは何故かトルコ軍歌調、というかほぼまんまジェッティン・ディディン。
ただ曲自体の評価は中々高い。(3面の「EVER BLUE」が特に人気が高い。また、先述のトルコ風の曲「ORN MANTRA」もしっかり演出していればハマっていたかもしれないという声は少なくない)
ボスBGMは雷電シリーズの佐藤豪氏が担当。こちらはTFらしいロック調の曲が中心で、比較的評価は高め。
古川もとあき氏の楽曲は氏が作曲した著作権フリー楽曲の流用。ちなみに楽曲を使用したCDは後に廃盤になった…
金子剛氏はセガガガからBGM流用がされている。

・カメラワークや過去の焼きまわし感漂う演出
自機を斜めから映すような謎のカメラワークをやたらと多様。アインハンダーのように他の演出と噛み合っているわけでも無いのでやりづらい。
敵も撃破時のエフェクトがショボく、ギミックもへぼい。
演出には過去の焼き増しとしか言えないものが多数。

・SEがもっさりして迫力に欠ける
射撃音が「ドラム缶をひっぱたいたような音」、シールド被弾音が「茶碗を箸で叩いたような音」と揶揄される。
SEはBGMも担当した佐藤氏が担当。雷電シリーズでノウハウはあるはずなのだが……。

・二次創作小説「THUNDFR FORCE FOREVER」やセガガガに登場する二次創作の機体「Syrinx」の無断使用疑惑
明確な証拠こそ無いが、作者のGarrow氏が「そうですね…Syrinx、登場してますね…。」と微妙な返答をしている。

・かつてゾルゲが描いてたキャラを登場させる
世界観に全くマッチせず、特にラスボスがゾルゲが執筆した「横綱大社長」のキャラの流用(しかもグロイ胎児みたいなデザイン)。
しかもこのグロ胎児の正体はⅢでバイオコンピューターとして登場したはずのオーン皇帝である。
この他にも度々登場する赤い小型戦闘機も同作品から流用。

・歴作ストーリーとの矛盾
過去作の設定と矛盾している点があまりにも多い。
特にPHOENIXでEASY以下をクリアすると閲覧できるバッドエンドのムービーはⅤのlast letterの文体と構成に宗教要素を組み込んだ流用というもの。
その他にも

  • 全体的にグラフィックがお粗末。一応過去作と比べれば綺麗だがハード性能を活かせているかという点では疑問。
  • 弾(特にハンター)がペラペラ。視点を動かしまくるので嫌でも目につく。
  • 散漫で爽快感を感じない敵の配置。難易度を変えても弾の数しか変化しない。
  • ゴリ押しでもクリアできる低い難易度。
  • 頻繁におきる処理落ち。
  • 時々、スタートボタン押しただけでフリーズ。(3面では再現性100%のところが2箇所も)
  • オーバーウェポンが強すぎる。高威力、お手軽なチャージ、敵弾を消せると反則級の性能を誇り、重ね撃ちを使えばボスでも瞬殺できる代物で、これのせいでせっかくのネオシステムが無意味になっている。
  • オーバーウェポンをぶっぱなしてるとフリーズ。(恐らく大量のオブジェクトが原因のメモリエラー)
  • レイヤー指定のミスで画面手前のオブジェクトから弾が浮いて見える。
  • テクスチャミスの画面化け。
  • D端子を使用する際プログレッシブ出力が可能だが画面がズレる。
  • 自機が消失する
  • セーブ時にメモリカードを破壊する
  • バグでデータが消えても対応してくれないメーカー

と、問題を多く抱えている。

自機解説

  • RVR-00 PHOENIX
RVRシリーズなのに防具の名前じゃない。
封印していたVasteelを試作機に組み込んだら唐突にオーン・ファウスト機からエネルギー吸収できるようになった謎の性能。
しかもそのVasteelは何とVで木っ端微塵に吹っ飛んだ筈のRYNEXと明かされている。*1
あとBRIGANDINEは使い捨てブースター扱い。
機体左翼のフォトンライフルを使ってる描写は全く無い。
武装とクローは最初からフル装備。やられても残機以外何も失わない上にそれに合わせたゲームバランス調整もされておらず、死んでも無くならないのが利点だったツインショットとバックショットはただの荷物に。
因みにパイロットは前作主人公セネスのクローンをより戦闘向けに調整した存在らしい。

  • FIRE LEO-04C RYNEX-R(RYNEX改)
設定上ピーキーとされていたRYNEXがSYTXに代わって何故か量産化。
サンダーソードシステムを内蔵型にしたら何故か地球の技術のオーバーウェポンが使えるようになったという謎の設定。
こちらは従来通り、アイテム取得で武装とクローが増える仕様。
パイロットのシン・S・マーキュリーはⅣのロイの血縁者らしい。
この機体かSyrinxでHARD以上をクリアすればグッドエンドを見られる。

  • Syrinx
PHOENIXが梅干とエッチプリンプリンあの娘~で変化した謎の機体。搭乗者まで取り込んでる。
前述の通り二次創作作品から無断使用疑惑がある(モデルはセガガガから流用してる可能性が高い)。
武装はPHOENIXの強化型…なのだが逆に使い辛い。
この機体もPHOENIX同様最初からフル装備。

ステージ解説

※一応、RYNEXの座標記録から転送してるらしい。

  • 1面 「C言語RUINED GREEN」
レイシリーズようなBGMが流れる。しかしステージが短すぎて1ループもしてくれない
設定はIIIの惑星ハイドラなのだが、コロニーになってる。いつ惑星がコロニーになった。
あと「JUNGLE STAGE」と銘打たれてるのにジャングルなのは背景のみ。
ボスはガーゴイルパーフェクト。ガーゴイルダイバーに人型ボディが合体した。

  • 2面 「Wii言語HELL FIRE」
まんまIIIの惑星ゴルゴン。何時RYNEXがゴルゴン行ったんだよ。
喫茶店で流れていそうなBGMが流れる。
地形はやたら起伏に富んでいるがスクロール速度には緩急が全く無く、ひたすら高速で地形を突き進まなくてはならない。
ボスはフレイムメイデン。

  • 3面 「ジオ言語EVER BLUE」
IVの設定のみに登場する惑星アクエリア。こっちもRYNEXが行ったことはない。
というか完全にVの1面の焼き直し。
ボスはケルビムパープル。

  • 4面 「WiiWii言語FEDERATION」
銀河連邦本星で艦隊戦。
RYNEX-R部隊と合流した際、唐突に「THUNDER FORCE Ⅵ」のボイスが聞こえる。
ボスはB3。Barbaric Barsark Beastの略らしい。デザインはA3とガーディアンズナイトを掛け合わせた感じだが、フワフワ浮きながら弾をバラ撒くだけ。

  • 5面 「戦前神宮BATTLE SHIP」
4面で合流したRYNEX-R部隊と共に戦艦ケルベロス2を襲撃。
だがIVに登場したSTYX量産機の様に共に戦ってくれるわけでもⅤのE型GAUNTLETのように背景で戦っている訳でもなく、飛んでいって行方不明。
あとIIIのケルベロスは戦艦じゃない。
デザインがⅣのオーン戦艦と混同してる上に何故かコアを破壊しても沈まない。
そのあと出てくるヴァーサス(何故かファウストに改名)は頭部のデザインが完全に間違っている
ボスは闇のVasteelことヴァスティール・ナハト。ここにきてまさかのドイツ語。
歴代自機を巨大化させたニセモノなのだが、オーン・ファウストが知っているはずがないGAUNTRETのニセモノは出てくるくせに何故かFIER LEOとEXCELIZAはハブられた。
あと何故かニセRYNEXのレールガンがBRIGANDINE仕様。

  • 6面 「チンポーウイングFORTRESS」
BGMがトルコ軍歌調
敵要塞なのだが、どう見てもⅤのバベル内部。
カメラが微妙に傾いた状態でコンテナがギッシリ詰まった死亡名所に突入する場面がある。
ボスはヴァーサス2体とラスボスのグロ胎児

評価

『ゲーマガ』誌では満足度ランキングで10ヶ月連続最下位、「期待外れだったゲーム特集」で堂々の1位。
かつてのデスクリムゾンを彷彿とさせる評価を受けたサンダーフォースⅥ」と酷評された。平均点数はあの海腹川背Portableダブルスコア下

ただしKOTYことクソゲーオブザイヤーでは前年のヨンパチショックで審査基準が跳ね上がったことと、情報不足とで話題に上がらなかった。
というか、このときはまだバグが発見されていなかった事もあり、根本的な問題として本作の選評が出てなかったのである。
現在では上述の問題の数々などから、「総評に載ってもおかしくない」と指摘されている。

バグ等を考慮しないのであれば、一応シューティングゲームとして遊べる程度の出来ではある。

余談

グラディウス、ダライアス、R-TYPEの横シュー御三家に隠れて影が薄かったTFシリーズの知名度向上にはある意味では貢献してはいるのかもしれない。

その後、セガは2016年9月に旧テクノソフトの諸権利関係をそれまで管理していたトゥエンティ・ワン有限会社(松岡和江)から引き継いだ事を東京ゲームショウ2016で発表した。
シリーズ転換期のきっかけとなった「サンダーフォースⅢ」をニンテンドー3DSへの移植、ニンテンドーSWITCHへの「サンダーフォースIV」の移植を展開している。
東京ゲームショウのステージではVIに関する事は一切出なかった事から相当な黒歴史扱いとなっている様子。
テクノソフトの開発部門の重要人物であった新井直介氏の登壇で、事の経緯を公の場で説明するなど情報の透明化を行っていた。


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最終更新:2023年07月25日 10:01
添付ファイル

*1 一応Ⅴのエンディングで「最後のVasteelに封印を」という文面は出てくるが、これがRYNEXではなく自機のVAMBRACEであることはしっかりと述べられている