バトルホーク

登録日:2012/04/15 Sun 01:33:41
更新日:2025/03/25 Tue 21:40:24
所要時間:約 5 分で読めます





ゴォォォッドホーク!


1976年に東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送された特撮作品。
全26話が放送された。


【概要】

この作品…原作はあのダイナミックプロ
つまり、永井豪と石川賢である。
放送当時、『冒険王』にコミックが掲載された。
作風は流石ドワォの石川賢。ページを捲った瞬間デカデカとマグマが書かれ、そこは地獄だった!の文字…だけどマグマの中は流水も凍る氷点下の世界。あれあれ~?
しかも肝心のバトルホークは表紙に出てくるが、作中では一切変身しない
そんなキ○ガイな作品を製作したのは、そう…






チャージマン研!でおなじみの

ナ ッ ク で あ る


…もう嫌な予感しかしないが、予想通り出来の方はお察し下さいレベルである。
CGや火薬が殆ど使われない戦闘シーンは必殺技バンク等もなくスローモーションを多用しながら武器を怪人へ叩き付ける殺人シーンの現場ことで決着する事が多く、怪人の方もこれまたスローモーションで長々と呻きながら事切れたり、当時の特撮作品としては珍しく倒された怪人が爆散ではなく大抵その場に死体が残るか絶命後に消滅するかのどちらかと低予算感が漂いまくっている。
逃げようとしたり怯んだ際の背中や腹に切りかかる姿はどちらが悪役だかわかったものではない。

そんな盛り上がりに欠ける内容だった為か視聴率は低迷し、本来のストーリーであった青龍騎士が登場するシナリオが路線変更され、5人いる敵幹部の内2人を倒して組織の支部1つが壊滅した所で物語が完結した事で首領である黄金大帝の正体等はおろか、後の3人の幹部は2話の世界観説明で名前とビジュアルが出たのが最初で最後の出番となる等、かなり投げっぱなしで終わってしまった。

主題歌は機動戦士ガンダムOPEDを歌った池田鴻。
ナック繋がりでは後にグロイザーXを歌い上げることになる。


【ストーリー】

日本有数の武道家・楯鉄舟を祖父に持つ彰吾、大次郎、ユリカの三兄弟はテロリスト集団『兇鬼の掟(きょうきのおきて)』に祖父を殺される。
彼等は鉄舟が残したインディアンの・ゴッドホークを手に、兇鬼の掟への復讐を誓うのだった。
尚、ゴッドホークは三つが揃わないと変身出来ない為に、誰か一人が引き離される事が多かった。


【キャラクター】

楯彰吾/バトルホーク
演:時本和也
三人の兄。金色のゴッドホークでバトルホークへと変身する。兄弟のまとめ役でもあり、いかなる時も冷静。
普段はスポーツジムでインストラクターをしている。
ここの制服なのか知らないが、いつもは赤を基調としたタイツのような服を着ている(普通の部屋着も持っている為、私服ではなさそうだ)。
バトルホーク時の武器は2本のトマホークで、柄の部分で合体させられる。
必殺技は斧の片方を投げつける『変化風刃投げ』と、OPの〆でも叫ばれる合体させた斧を高速回転させて敵を切り裂く『戦刃旋風斬り』。防御にも使える。
番組後半では合体させた斧の柄の中に仕込まれたバトル剣で戦う事が多かった…じゃあバトル「ホーク」じゃないじゃんとか突っ込んではいけない。
また、バトル剣は折れても中に別の短剣が隠されている。ご都合主義とか言わないの。
専用マシンとしてバトルジープを持つ。

楯大次郎/ビッグホーク
演:堀江信介
デb…大柄な三兄弟の次男。黒いゴッドホークで変身する。見た目通り力が強く子どもが大好きで兄弟思いだが頭は悪い。
普段はアスレチックジムのトレーナーを務めており、来日したミニスター大臣をジムへ招待した事があった。
「ミニスター」は大臣って意味だから、和訳すると「大臣大臣」…まあ一種の言葉遊びである
敵怪人・海骨が子どもにばらまいたカニを食べてめざめるパワーを手にした事がある。
ビッグホークの武器は大型の斧で、振って突風を起こしたり、絵を地面に打ち付けて地響きを起こしたりできる。
必殺技は岩の後ろに隠れた敵まで吹き飛ばす威力を持つ怪力岩石砕き。他に取り立てて技はないが、プロレス技でテロル闘人を倒した事もある。その間のバトルとクイーンの2人は棒立ちで見ているだけだった。
なお中の人はスーツアクターも兼任するいわゆる動けるデブである。
専用マシンとしてビッグカートを持つ。

楯ユリカ/クイーンホーク
演:深田ミミ
末妹。三兄弟でただ一人の女性で、彰吾は「兄さん」大次郎を「兄貴」と呼ぶ。
大次郎の方が心なしかナメられt…親しみを持たれている。
銀色のゴッドホークで変身する。水泳のインストラクターをしており、作中で水着姿を披露する事が多かった。また、敵の手に捕まり洗脳された事がある。
クイーンホークの武器はヌンチャク状の小型斧。必殺技はヌンチャク状の小型斧を振り回す飛燕風車鎖。
クイーンホークのデザインは全く色気が無い…良く書けば迫力があるという事なのだが。
専用マシンとしてクイーンバイクを持つ。


【兇鬼の掟】

○黄金大帝
声:緑川稔
兇鬼の掟の首領。平和を「停滞と愚昧な欲望を招く堕落」と切り捨て、破壊と闘争が人類を進化させると断言する。だからと言ってオールハイル何ちゃらとか言わない。ワカメでも無い。

京劇の面や鬼のレリーフから指令を出すが、正体は不明。
というか打ち切りに近い終わり方の為バトルホークが会う事は無かった。
「兇鬼の掟の首領という事以外一切不明」というのは最後まで変わらなかった。

○紅鬼大人
演:石光豊
兇鬼の掟の幹部。「こうきたいじん」と読む。
元々は鉄舟とライバルの武術家だったが、自らの才能に限界を感じて悪の道へと進む。
片眼鏡をした中年で、赤い中華服風の軍服を纏う。
どこぞのジュラル星人みたいに回りくどい作戦が多いが、何と所帯持ちの愛妻家。
10話で兄妹達によって討ち果たされる……が、そのシーンは本作の戦闘シーンの低予算っぷりをこれでもかと前面に出されており、
トドメの一撃を受けてから倒れて絶命するまで30秒以上スローモーションで呻きながら左右にフラフラしまくるというなんともくどいものだった。
25話で白虎導士の手によって不死身の力を得て復活し、ユリカからゴッドホークを奪うが投げてしまったばかりに三人を変身させてしまうといううっかり者。
そのまま不死身の力を破られ追い詰められるも、またくどい死亡シーンをやるのは嫌だったのか2度もやられるくらいならと自らの喉を刀で斬り裂いて再び絶命した。

○白虎導士
演:きくち英一
紅鬼大人と入れ替わりに現れた兇鬼の掟の幹部の一人。黒い縞を入れた真っ赤な顔をしており、白く長いヒゲを蓄えた老人で、西南アジア(ってどこだ?東南アジアなら解るけど…)・アフリカ地区担当だったがアジア地区へと転任となった。
兇仙女という吸血鬼のテロル闘人の娘持ち。
最後は兄妹によって致命傷を受け、黄金大帝の許しを得て基地諸共自爆するという最期を遂げた。
彼と共に極東支部が壊滅して物語が終わるため、実質的なラスボスである。
ちなみに演者のきくち氏は帰ってきたウルトラマンのスーツアクターや『電人ザボーガー』の中野刑事役等様々な特撮作品に参加している。

○暗黒鉄人、緑魔夫人、青龍騎士
それぞれ南北アメリカ、太陽神の管轄、ヨーロッパ支部の幹部。
紅鬼大人、白虎導士と併せて格闘技のビッグファイブ「五色衆」と呼ばれている。
…………が、2話に名前と顔のイラストが出ただけで本編には一切登場しない不遇な幹部達。暗黒鉄人に至っては紅鬼大人と白虎導士の間に紹介されたのに…

○テロル闘人
本作における怪人たち。当初は武器がモチーフだったが後半からは何でもありになった。後半は気持ち似たり寄ったりの全身タイツ怪人が多い。
上述の通り倒れた怪人が爆散するのは片手で数えるくらいしかない上、
倒された後に正体を現す、彰吾に惚れ決心が鈍ったことで敗れ「人間に生まれたかった」と言い残せた兇仙女はまだいい方で、
トドメを刺されて海に転落する(音だけ)、バトルホークの剣を折り追い詰めるも更に隠し持っていた小刀で刺殺、ビッグホークの起こした地震によろめいた白虎導士の杖が刺さって絶命等かなり雑に片付けられる事も。
作中では「闇が醸し出した憎しみの妖精」と称されている。


○兇鬼兵
サタンソルジャーとも呼ばれる、兇鬼の掟の戦闘員。どことなくスパイダーマンに似ている。
女性戦闘員も存在しているようだ。


【余談】

当時は『テレビマガジン』等で大々的に宣伝したものの、上述の通りのクオリティだったことや裏番組が『一休さん』等高視聴率な作品だった為に惨敗。
第二次怪獣ブーム(変身ブーム)が終焉を迎えつつある時期だった事もあり、ナックは再び活動の場をアニメへと戻してゆく。
その後全く再放送されなかった為にデータは『全怪獣・怪人大図鑑』『70年代カルトTV大全』といった書籍で取り上げられるのみだった(前者はタイトルと異なり穴だらけ、後者は著者の主観が入りすぎて同人誌レベルの文章)。

しかし2005年にDVDがBOXで発売。初の映像ソフト化を果たした。



追記・修正はゴッドホークを天に投げながらお願いします。

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最終更新:2025年03月25日 21:40