レスキューキャット

登録日:2011/01/29 Sat 14:39:39
更新日:2025/04/20 Sun 11:47:26
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にゃあ


私は3つの絶望で出来ている。


たった一枚のカードから《氷結界の龍 ブリューナク》《ゴヨウ・ガーディアン》が出てくる絶望。

大寒波》の中で《ダーク・ダイブ・ボンバー》と《アーカナイト・マジシャン》が容赦なく飛んでくる絶望。

そして、《氷結界の龍 トリシューラ》がいとも容易く出てくる絶望だ。











レスキューキャット (エラッタ前)
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
自分フィールド上に存在するこのカードを墓地に送ることで、デッキから☆3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、そのターンのエンドフェイズに破壊される。


遊戯王OCGに存在するモンスターカード。
ぱっちりした目とヘルメットを被った可愛らしいぬこのイラストが目を惹くカードである。

初登場は2004年11月発売の第4期パック「FLAMING ETERNITY」と中々古い。

登場当初は光と闇属性モンスターだけが生き残れる【カオス】全盛期でもあり、そもそもメインデッキに投入できる☆3以下の獣族に強力なモンスターがほとんどなかったため、あまり注目されなかった。
それでも2体リクルート効果自体は優秀なため、獣族としては優良サポートとして主に使われた。
当時の☆3最大攻撃力の《デス・ウォンバット》、破壊する前にエンドフェイズに手札に戻して手札コストの水増しにする《邪悪なるワーム・ビースト》辺りが候補だった。
もちろん専用デッキなら強力なリクルートカードとして活躍もできる。

専用デッキの使用例

  • 【おジャマ】で、おジャマ三兄弟の内2体をフィールドに揃え、《おジャマ・キング》の融合召喚や《おジャマ・デルタハリケーン!!》の発動の補助に使う。
  • 【宝玉獣】で、《宝玉獣 アメジスト・キャット》をデッキから持ってくる。自壊デメリットは宝玉獣の共通効果のトリガーになり、《宝玉獣 ルビー・カーバンクル》での展開や、サポートカードの効果に利用できる。
  • 【バブーン】で、あえて効果で獣族モンスターを破壊することで《森の番人 グリーン・バブーン》の特殊召喚のトリガーにする。


などなど、相性のいいカードがあるデッキにおいては、デッキを回転させるのに優秀な働きをしていた。


そうして燻し銀な愛くるしい活躍をしていたある日、このカードの運命は突然、大きく加速する。





☆3、《N・ブラック・パンサー》に、


☆3、《X-セイバー エアベルン》をチューニング!


シンクロ召喚!




そう、「シンクロ召喚(以下、S召喚)」の登場である。


S召喚とは、「チューナーモンスター」と「チューナー以外のモンスター」がフィールドにあるとき、それらのモンスターを墓地に送って、送ったモンスターの☆の合計と同じ☆を持つ「Sモンスター」をEXデッキから特殊召喚するシステムである。


さて、ここで《レスキューキャット》の効果を思い出していただきたい。
そして想像していただきたい。

もし、☆3以下の獣族のチューナーモンスターと、☆6以下の強力なSモンスターが存在するなら……

奇しくも、それはS召喚と共に登場した。

《X-セイバー エアベルン》という、☆3、獣族のチューナー。

《氷結界の龍 ブリューナク》という、☆6の強力なSモンスター。


これらのカードを得た《レスキューキャット》は、まさに「水を得た魚」ならぬ「魚を得た猫」のごとく暴れまわり、
【猫シンクロ】というデッキが環境の中心で闘うようになった。


猫シンクロの歴史

  • 2008/03/01〜09/01
折しも遊戯王は《ダーク・アームド・ドラゴン》や【ライトロード】、《剣闘獣ガイザレス》などの登場により、モンスター効果による除去で勝つのが主流であった。
それはS召喚も例外ではない。《レスキューキャット》一枚でS召喚から除去に繋げられる強力な制圧力のために、S召喚は瞬く間に環境を変えた。
さらにこれ一枚でATK2800の《ゴヨウ・ガーディアン》が出せたため、それ未満の攻撃力を持つ切り札モンスターの多くを環境から消した。
なお、《氷結界の龍 ブリューナク》と《ゴヨウ・ガーディアン》の凶悪さについては当該ページ参照。

手札の魔法カード1枚をコストに《レスキューキャット》をリクルートできる《召喚僧サモンプリースト》もおり、この2体でシンクロに繋げる戦術が流行した。
また、《召喚僧サモンプリースト》が闇属性であり《レスキューキャット》から持ってくるチューナー以外のモンスターを闇属性にできることから、「S召喚」と《ダーク・アームド・ドラゴン》と併用する【ダムドビート】が選考会などで結果を残した。

  • 2008/09/01〜2009/03/01
S召喚を促すリクルート効果の危険性はコナミにもようやく認知され、《レスキューキャット》《召喚僧サモンプリースト》は準制限カードに指定された。
代わりに《ゾンビキャリア》というアンデット族のチューナーと、アンデット族の豊富な蘇生補助を利用した【シンクロアンデット】が流行。制限によって力不足になった【猫シンクロ】はやや衰退する。
しかし、この環境の間にも、《ナチュル・ビースト》《アーカナイト・マジシャン》、そして待望の強力☆7シンクロ《ダーク・ダイブ・ボンバー》という強力な相棒を手に入れ、水面下で猫シンクロはより強力となっていた。

  • 2009/03/01〜09/01
【シンクロアンデット】はキーパーツの大部分が規制を受け弱体化。再び【猫シンクロ】が活躍する。
使う余地がありながら大したモンスターがいなかった☆7シンクロにも強力なシンクロモンスターが登場したことにより、
《召喚僧サモンプリースト》から別の《召喚僧サモンプリースト》を呼び出し、そこから《レスキューキャット》を通じて呼び出した《X-セイバー エアベルン》と《召喚僧サモンプリースト》自身でシンクロする「サモサモキャットベルンベルン」という戦術がとれるようになったことが大きい。
なお、このデッキの中心となった《ダーク・ダイブ・ボンバー》の凶悪さは当該ページ参照。

  • 2009/09/01〜2010/03/01
ついに《レスキューキャット》《召喚僧サモンプリースト》が共に制限カードに。
《ダーク・ダイブ・ボンバー》の禁止カード化などもあり、《レスキューキャット》を中心としたデッキは構築できなくなる。
魔轟神獣ケルベラル》という《X-セイバー エアベルン》以外の獣族チューナーの登場により、魔轟神のサポートとして猫が採用されはしたものの、【猫シンクロ】の時代はこれで一応の終わりを迎えた。












奴らが現れるまでは。


  • 2010/03/01〜09/01
当時最強のSモンスターとの呼び声も多い、《氷結界の龍 トリシューラ》が登場。
例によって、凶悪さは当該ページ参照。

実はこいつ、《召喚僧サモンプリースト》から《レスキューキャット》、そして《レスキューキャット》から《X-セイバー エアベルン》と☆2の獣族モンスターを呼び出すだけで簡単にシンクロできるのである。
これらのカードを、S召喚に優秀な植物族モンスターと共に採用し、《氷結界の龍 トリシューラ》を安定してシンクロできる【植物猫】が登場し、猫は最後の輝きを見せた。
また海外では《氷結界の龍 トリシューラ》の代わりに《XX-セイバー ダークソウル》が登場。
フィールドから墓地送りになったターンエンド時にX−セイバーを何でもサーチという狂った性能で、しかも☆3獣族。
どう考えても「猫から出せ!」というカードである。
《XX-セイバー ダークソウル》の登場で海外環境は完全にX−セイバー1強。
海外は猫によって阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 

  • 2010/09/01〜
そして、過剰展開カードの例に漏れず《レスキューキャット》は禁止カードとなった。



始まりは、一枚の優秀で、愛くるしいカードだった。

彼は、S召喚によって覚醒し、
S召喚と共に進化し続けた。
S召喚の恐ろしさと楽しさを決闘者に伝えながら、
S召喚が導く遊戯王OCGの中で、二年半の年月を駆け抜けた。



そして3月から、遊戯王に「X召喚」という新たなシステムが登場した。そして7月には第二の猫こと《レスキューラビット》が現れた。
いずれS召喚も過去の遺物となるかもしれない。


だが、《レスキューキャット》という、遊戯王の一つの時代を彩ったカードは、いつまでも決闘者の心に残り続けるだろう。

現在こいつを使う場合、禁止後に増えたカードによりランク1~5エクシーズからレベル8シンクロまでを1枚でこなしフィールドが埋まるまでこいつを使い回す事も可能である。
X召喚はもとより、このカードからリクルートでき、かつ蘇生効果をもつ《森の聖獣 ユニフォリア》や《ゼンマイネズミ》とのコンボで1枚からワンキルが可能。
現在のカードデザインはこいつがいない事を前提にされてる面があり復帰はかなり厳しいと思われる。


そのはずだったが……
2017年1月1日をもって制限カードに復帰。
《氷結界の龍 ブリューナク》と《ゴヨウ・ガーディアン》と共にシャバに戻ってきた。
エラッタ後の能力は以下。

《レスキューキャット》
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。
デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化されされ、エンドフェイズに破壊される。

多くの禁止カードエラッタに見られるような効果を使いにくくなる弱体化ではなく、過剰アド生成防止と安易なループコンボを抑制するための妥当な調整を受けて戻ってきた。効果が無効になるのと、1ターン1回の回数制限がついたことで、以前可能だったコンボの半分近くが消滅している。さらに《森の聖獣 ユニフォリア》や《ゼンマイネズミ》とのループも不可能。できたらまた暴れるので当然である。
実質後輩のウサギと似たような立ち位置になっている。しかし、それでもデッキ事故要因の通常モンスターを運用しなくてもよい分も含め、純粋なリクルーターとしての頼もしさは折り紙付きであり、
次ターンなら墓地からリニアメイトして再利用もできるし、効果が無効になるだけで効果モンスターを引っ張って来れるのはエラッタ前と同じ。
《召喚僧サモンプリースト》が無制限に戻ったので「サモサモキャットベルンベルン」は再現できても《ダーク・ダイブ・ボンバー》が弱体化しているため当然成立しないが、ウサギと使い分けしつつランク4&ランク3のエクシーズを手軽に呼び出せるのはやはり大きい。

エラッタとL召喚の登場に伴い危険性も和らいだと判断されたのか、2017/07/1を以って準制限カード、同年10/1には無制限に緩和されている。
エラッタ&規制緩和とは言ってもカード1枚増やしつつ2体リクルートできる強さは以前健在であり、L召喚との相性の良さは後輩のウサギ同様。
ミセス・レディエント》あたりを手札1枚から呼び出せるのはやはり大きい。
また、新入りの《レスキューラット》と組めば《ファイアウォール・ドラゴン》のL召喚も容易になる。
今後の獣族はエラッタ前の猫と同様、いかにしてこの効果を生かすかが問われるキーカードでありつづけるであろう。
ちなみにエラッタはよく去勢に喩えられるが、本物の猫も去勢・不妊手術すると大人しくなる。ともすればエラッタされた彼(?)も……そのホルモンバランスの乱れでタプタプしてそうなお腹という後付け説明にはなっているかも(?)


ちなみにちなみに、「レスキュー」モンスターは更に増員されていて、今ではキャット・フェレット・ヘッジホッグ・ラット・ラビットの5名(匹?)体制。《緊急救急救命レスキュー》なるサポートカードも出ている。
しかし揃いも揃って、自らを墓地へ送ったり除外する代償を払いながら献身的にレスキューしたはずの対象も、放っておくと破壊されるし、何らかの素材になっても基本的に墓地へ行く運命。
……レスキュー出来てない気がするんだが。





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にゃあ

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最終更新:2025年04月20日 11:47