登録日:2012/04/22(日) 19:10:17
更新日:2025/08/06 Wed 12:32:25
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『
三国志』とは中国の古典文学『
三国志演義』を下敷きに描かれ講談社から、昭和53年に連載が開始された漫画作品。
通称『園田光慶三国志』。
【概要】
原作者に脚本家、漫画原作者で『
鬼平犯科帳』の劇画版の脚本等で知られる久保田千太郎、
作画に日本初のサッカー漫画『赤き血のイレブン』の作画を担った園田光慶を迎え、黄巾の乱に端を発する群雄たちの争いを劇画タッチで描く。
しかし蓋を開けてみれば、細部の展開、登場人物の描写など一度でも原典、あるいは三国志に関する創作物を通して見た人にとっては度肝を抜かれるモノが多く、
近年では(最初から?)もっぱらネタ作品、トンデモ本扱われている。
ちなみに作画の園田先生は病気によって入退院、休載を繰り返し、だんだんとモチベーションも下がって行ったらしく、
中盤以降、作画レベルの著しい低下、ストーリーの簡略化が目立って行き、
最後は劉備が関羽、張飛の仇討のため呉征伐に旅立つというなんとも
中途半端な所で終わっている(最後の
諸葛亮のセリフが蜀漢の暗い末路を暗示している)。
なお愛蔵版では夷陵の戦いから五丈原の戦いまでがなんと挿絵付きの小説で綴られており、やっつけではあるが物語としては一応完結している。(文庫版ではカットされている)。
様々なツッコミどころがある作品ではあるが、前述の通り劇画調の男臭い作画に加え、熱い名(迷)台詞、展開が多く、まったくの駄作とは切って捨てられない、「怪作」ともいうべき魅力があるのも事実である。
園田先生は1997年に病気のため亡くなられてしまったので、永遠に続きが描かれることがなくなった。
【主な登場人物】
[蜀]
主人公。本作では桃園の三兄弟の中では最年少だが、人格・血統ともに長兄にふさわしいという理由で関羽に推されて長兄になった。
関羽、張飛にもひけをとらない武闘派で、序盤は雌雄一対の剣を振るい賊や悪徳役人を斬り殺し、黄巾賊討伐戦では一騎打ちで張角を討ち取る寸前まで追い詰め、中盤では督郵を真っ二つにしている。
もっとも、史実でも都から来た勅使(督郵のモデル)を「面会を断った」と半殺し(200hitコンボ)にしたのは劉備なので、あながちかけ離れた描写でもない。
桃園の三兄弟の次弟。本作最強キャラの一角であり、程遠志、華雄、顔良、文醜、許チョといった名だたる猛将を次々に討ち取った。
一方、居眠り中に自慢の髭を子どもに三つ編みにされる、知名度が張飛に劣るのを気にするなどのお茶目な面もある。
華雄には「ヒゲの生えた女」呼ばわりされる。
軍神ェ…
最期は呂蒙の策略にはまり斬首されるが、直後に呂蒙が落雷で死亡。その後陸遜の策略で曹操に首を送られるが、関羽の首を丁重に弔った曹操の前に怨霊として現れてその死期を早めるなど、死してなお人知を超えた活躍(?)を見せた。
桃園の三兄弟の末弟。関羽に並ぶ本作最強キャラの一角。本作のコメディリリーフであり、酒に関するエピソードには枚挙にいとまがない。
弟を悪官に殺され、その肉を食わされるという、ヘビーな過去の持ち主。
自分に瓜二つな息子だけでなく、旗揚げ時のスポンサーが登場する。
関羽死後、刺客軍団を養成して関羽の仇である孫権を討とうとするが、陸遜に機先を制され、逆に刺客として送り込まれた范彊・張達に呉の酒を飲まされて頭から真っ二つにされて死亡。
「そうはイカの金玉!」
孔明。田舎軍師。天平時代の仏像のような顔をしており、とても青年には見えない。
漫☆画太郎のキャラばりにコピーされまくっている。最終話で
喪黒福造と化す。
なぜか医者として登場。原典どおり酷いブ男。最期は原典通り落鳳坡で劉備の身代わりになって死亡。
[魏]
作品前半ではライバルにふさわしい容貌と風格の持ち主だったが、画風が変わった作品後半ではキャラが激変。
「(米俵をぶち破りながら)こんな米よ、呂布!」
「曹仁も曹洪も首をだせーっ!!!」
「下郎が、近寄るなーっ!」
「世継ぎ曹…ううっ…!!」
など、数々の名台詞を残した。冒頭のこの作品を象徴する台詞も、彼と
司馬懿のやり取りから発せられたもの。
なぜか「経済の鬼」という肩書で文官として登場。
最期まで両目があった。
ちなみに正史の夏侯惇も武将というよりは後方支援で活躍した人物であり、なぜかこんなところだけ正史準拠である。適当な設定が偶然一致しただけかも。
序盤の曹操の軍師。横山版ではほとんど登場しなかったが、こちらは女房役として活躍。
いつのまにか死んでいたが、「死なれて困っていた」らしいので曹操との関係は終始良好だった模様。
曹操軍の武将。強さは抜群だが頭は抜けてる巨漢として描かれており原典のイメージに近いが、なんと新野の戦いで関羽に斬られて死亡する。
魏の五大将軍の一人。が、この作品では白馬の戦いで顔良に2コマで瞬殺される雑魚武将。
曹操軍序盤の武の二枚看板として登場。許チョには一段劣るらしい。
しかし、典韋は許チョが死んだ代わりに終盤まで生き残る。
曹操に降伏した関羽が女に興味を示さないのを見て「ひょっとするとオカマかも…」と噂話をしているところを曹操に見られ、二人揃って「バッカモーン!!」と一喝されていた。
終盤の曹操の軍師。縄暖簾かイカ墨パスタのような髭が特徴。
「高い宮殿も結構ですが陛下もお年ですので昇ったまま昇天なさらぬように」
[呉]
なぜか孫悟空のような格好をしていて、太ましい。
許貢の残党も于吉仙人も登場せず、唐突に発狂して死亡。なんで?
他の三国志作品の例に漏れず劉備、曹操に比べたら影が薄いが、終盤はほぼ
ラスボス化。
美周郎。だがこの作品では
ロビンマスクのような鎧をまとい、ガチムチ体系の
微醜郎に…
最期は孔明の罠にはまり、
劉璋軍に矢の雨を浴びせられてハリネズミになって死亡。
いい人だが、退場の仕方が呂蒙に暗殺されたように感じられる。
周瑜の救援で曹仁と一騎討ちするシーンがあるが、鎧も身につけず馬上で切りかかる絵面が印象的。
悪役。史実同様「士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」の台詞を口にするが、その意味合いは原典と真逆にされていた。
最期は関羽を斬った瞬間落雷にあって死ぬ。いやほんとなんで?
呉の誇る若き俊英。某コーエーゲームの影響で美青年のイメージが広まっているが本作では
川
ミミ川川ツ
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こんなである。
もっとも史実の陸遜も対関羽戦の頃は四十路近いおっさんであり、あながち間違いではないかもしれない。
「こやつめ、ハハハ」と並んでこの作品を象徴する人物。腐女子涙目
[その他]
黄巾の乱の首領。当初は「ヒャッハァ汚物は消毒だ!!」と言わんばかりの外道として描かれていた。黄巾賊討伐戦で劉備と一騎打ちを繰り広げるが病気の悪化で喀血し、退却直後に病死。死ぬ間際、唐突に実はいい人設定になった。死後、曹操に棺を暴かれて首を取られた。
張角の次弟。病死した張角に代わって黄巾軍を指揮する。討伐軍に追い詰められて櫓に立てこもったが孫堅に討ち取られた。眼帯以外はその孫堅にそっくり。
張角の末弟。朱儁に討ち取られた。
劉備三兄弟のデビュー戦の相手。筋骨隆々の体躯にスキンヘッド、そして戦場でも上半身裸のいかつい見た目の持ち主。せめて黄巾をつけろ。この作品では武力92はありそうである。
棘付きの金棒で義勇軍を蹴散らすが、関羽に両腕を極められて骨が飛び出る勢いで両腕をへし折られるという強いインパクトを残した噛ませ犬。
作品前半の、というより事実上作中唯一のヒロイン。作画レベルが高い時期のキャラということもあり、普通にかわいい。
程遠志に○されそうになっていたが劉備軍に救出され、劉備と両想いになる。色々あって別れてしばらく後に劉備と再会するが、督郵を斬った劉備がお尋ね者になってしまい、悲恋に終わった。
元ネタは吉川三国志か。
ハゲのキモデブ。呂布に命じて作らせた張温の人間生け作りは
トラウマモノ。「演義」同様、死後に人間ロウソクにされた。
ジャイアント糞(ババ)。『
蒼天航路』の呂布はこの作品の影響を受けているとかなんとか。
貂蝉に惚れてからナウい髪型に変えたりする。首切り、真っ二つ要員。
中盤からいろいろとダメな子として描写されるようになり、ついつい同情を誘う。最期は潔く腹をかっさばき、自らの腸を引きずり出して果てた。
盗んだ董卓の首もって走り出す~♪
だいたい「演義」通りの役回り。最後は李儒に殺される。
やさぐれ軍師。曹操に粥をぶっかけられて呂布に寝返る。
最期は呂布に「極悪非道でただの義父殺しの呂布には天下は取れない」とはっきり言ってしまったため、問答無用で前後に真っ二つにされる。
後漢の名将。黄巾賊討伐の総大将であり自ら張梁を討ち取るなどの活躍を見せたが、河南の太守に任命されたのを最後に物語からフェードアウト。
後漢の名将。だが本作では雑兵のような見た目のうえ、董卓が残した財宝を見て「す、すげえ」などと呟く小物。
最後は牛輔軍に敗れ、ハリネズミにされ死亡。
後漢の群雄。曹操のライバルのはずだが、作中では官渡の戦いがテキストで済まされてそのまま退場。
袁紹配下の猛将。二人とも関羽に真っ二つにされた。
後漢の群雄。孫策から伝国の玉璽を受け取ったことをきっかけに皇帝を賤称。その後は概ね史実通りの末路を迎えた。
袁術配下の猛将。張飛と一騎打ちを繰り広げるが一刀のもとにきれいに首を切り落とされた。
「ウッソー!」
「ついに追記・修正に走られましたな… しかし、それもまたよし…このwikiの記事はつまるところみな大いなる主観なのですから…」
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最終更新:2025年08月06日 12:32