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喪黒福造

登録日:2011/09/17 Sat 23:07:44
更新日:2026/08/14 Fri 13:02:31
所要時間約 7 分で読めますよ、ホーホッホッ。




私の名は喪黒(もぐろ)福造(ふくぞう)、人呼んで笑ゥせぇるすまん。ただのセールスマンじゃございません。
私の取り扱う品物は心、人間の心でございます。ホーホッホッ……。

この世は老いも若きも男も女も、心のさみしい人ばかり。そんな皆さんの心のスキマをお埋め致します。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたらそれが何よりの報酬でございます。

さて、今日のお客様は……。

喪黒福造は、漫画『黒ィせぇるすまん』『笑ゥせぇるすまん』の主人公。


演者

声優

俳優

  • 伊東四朗(初代:TVドラマ版)
  • 秋山竜次(2代目:Prime Videoドラマ版)
  • 佐藤流司(舞台版)

概要

靴下以外黒ずくめのソフト帽、スーツ、靴を一年中着ている。
なお、靴下は白。

本人はセールスマンと名乗っているが、会社に出勤している描写が無い上、本人曰く『慈善事業』との事から、会社があるかどうか疑わしい(読み切り版「黒ィ」では「友愛事業団」なる団体の外務主任を務めている)。

バー「魔の巣」によく出入りする事と、小田急線沿線に住んでいる以外は私生活の一切が不明。

性質

いつもにたにた笑っており、むしろ笑顔以外の表情は無いが、『愛妻弁当』では客の妻が作った不味い弁当を食べて、表情こそ変わらなかったがみるみる青ざめて苦しむという姿を見せた。
眉毛は無く、垂れ目で色白で小太りな体格。「福」と名にあるように福耳をしている。これは作者が「藤子不二雄」時代、本作開始前の1967年に発表した合作作品『チンタラ神ちゃん』のキャラに喪黒に似た目と唇をした「福の神」(こちらは貧乏神と仲の良い善良な神)が登場していたことが由来である。
暗闇でも歯と目は認識できるため、歯磨きの丹念さが窺えるというもの。
『黒ィせぇるすまん』時代は何処か悪魔を思わせるような骨ばった顔立ちをしていたが『笑ゥせぇるすまん』では全体的に丸っこい顔に変化した。

口調はセールスマン故に敬語だが、例えば美少年クラブに出入りした時などのようにお客様以外は例外で、年少者に対してはある程度砕けた調子で話すようだ。
また、アニメ第85話『谷間のケヤキ』では表情と敬語口調こそ変わらなかったが、明らかに約束を破った客にブチギレており、全く感情の起伏が無いという訳でもない。

さらに、多少強引な面もあり、実写版においては彼のセールスを断った者に対して言葉巧みに言いくるめ、無理矢理セールスに応じさせるというヤクザじみた行為をしている。


「ココロのスキマ、 お埋めします  喪黒福造*2


そう書かれた名刺と共に、喪黒は客に近づく。

喪黒の選ぶ客は、日常に不満がある、ある程度の社会的地位を得ながらそれに満足できていない、あるいは自分を偽っている人間。

客の悩みや願望を聞き出し、喪黒は時にはありふれた社交場や品、時にはドラえもんの如く未来に有りそうな道具、
時には夢を叶えられるような遊び場の情報を提供する。

基本的には客から代金の類を受け取ることはないが『ナマケモノ』では珍しく明確に「代金」として現金を徴収している。尤も、オチで間接的ではあるが客に返金しているため、結局は喪黒自身が金を受け取っていないことには間違いない。

こうして、喪黒のおかげでココロにスキマを持つ客達は、今まで意識していた、意識していなかったココロのスキマを埋める充実感を味わう。
……だが、客にとっての蜜月は客自身の過ちによって破られる事になる。

喪黒は客へ何かしらのアクセスを行い、それに伴い、その内容に応じた警告をする。

例えば「そうですか……あの娘に会えましたか。そんなに喜んでもらえたなら、紹介した私も嬉しくなるというものです。

だけどいいですか……? あの娘と会うのはこれっきりにして下さい。
あなたはwiki籠りはされておりますが、まだまだ立ち直りのチャンスは残されている……!
どうぞ存分にリアルを追い続けて下さい……私はその姿を心から応援するものです。」

というような助言はするが、そこはやっぱりココロにスキマを持つお客様。
約束を「ちょっとだけなら」「バレなければ大丈夫」と簡単に破ってくれる!
約束を破ったら後述の「ドーーーーン!」が待っている。

能力

右手の人差し指を、相手の額に突きつけ、「ドーーーーン!」と叫ぶ事で喪黒福造は能力を発動させる。
これにより、対象の秘密を聞き出したり、社会的破滅をもたらしたりする他、精神に異常をきたす(『グルメ志願』、『カラオケ症患者』、『自画自賛』、『家庭菜園』、『夢のマイホーム』、『幻のスタア』、『クリーン症候群』、『赤か黒か!?』、『日曜クラブ〈TBS版〉』、『幻の遊園地』、『弱肉強食』、『何もしない課』、『豹変ゴルファー』、『リストラの男』、『マボロシガイシャ』、『破滅症患者』)ことも出来るのだ。
さらに、パチンコ版では何とこれで地球に迫る隕石を破壊している(ただし、当たりの時のみ)。

また、変わった状況で「ドーーーーン!」を叩きつけたこともあり、アニメ第64話『ガラス越しの愛』ではPCで再生される映像を通じて、『幻の遊園地』では客が抱き着こうとしたお姫様風の人に女装して
『帰ッテキタせぇるすまん』の『ローデンブルグの鉄の処女』では血塗れになって鉄の処女から現れ、客に引導を渡した。

ついでに言えば、別に指を指さなくても可能であり、トマトを持ったままの時(『家庭菜園』)もあれば、真剣を構えたまま「ドーーーーン!」と言うこと(『幻のスタア』)もある。
さらには、電話越し(『ドリンクバー』)や客がゴルフボールに幻視した虚像越し(『ゴルフ・ドミノ倒し』)にでも「ドーーーーン!」も行う。
NEWアニメ第12話Aパート『チャットルームの王様』に至っては姿すら見せずにネットを通して相手に送ったドット絵プログラムで「ドーーーーン!」をしている。
予測も回避も全く不能。

一方、カージャックされた状態で大型トラックに襲われた際は、流石に「ドーーーーン!」が使える状況ではなかったのか犯人諸共川に飛び込むという物理的な対処でオチをつけている。

また、アニメ版では藤子Ⓐの別作品『黒ベエ』の話を原作にした『ワニオの怪奇料理』や『今仁見手郎の秘密復讐計画表』で、『黒ベエ』の影を媒体にした能力をそのまま行使している。

なお、アパートを探しに来たり、酒を飲んだり、電車に乗ったり、色々と人間臭い所もあるのだが……。

死なない。

すっぽ抜けたゴルフパター(『ゴルフ入門』、『ゴルフフリーク』、ドライバー?)の直撃を受けても、投石を食らっても(『ザ・ガードマン』、ただし、血が出ている)、常に笑顔で全く死を危惧させる描写がない。
作者も「人間ではない」と彼が人外であることを明言している。
その喪黒が顔色を変えて悶え苦しんだ『愛妻弁当』の妻の下手な料理って一体…。
一方、アニメ版の『今仁見手郎の秘密復讐計画表』では近距離からの銛の射出を、胸ポケットにスチール製の名刺を複数入れておくことで防いでいるため、全く無敵という訳でもないらしい(ただし、その直後に「お止めなさい、無駄ですよ。」と言っている)。
また、配信ドラマ第8話『借りパクの泉』では「泳げない」と言いながら池に沈んでいったこともあり、何から何まで得意というわけではなさそうだ。

余談

喪黒には弟がおり、彼とは逆にあの手この手を使って人を不幸から救う。
その名は喪黒福次郎。外見は鼻と耳以外は兄と似ていない。

『喪黒福次郎の仕事』に登場するが、連載紙が休刊したため、一巻しかない。
これは『トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~』でも紹介された。

また、喪黒の太々しい容貌は芸人の大橋巨泉をモデルにしているが、次第に初代担当声優の大平透に似てきたという。
なお、TBS版はモデルとなった大橋巨泉が司会のバラエティ番組『ギミア・ぶれいく』の枠内で放送された。

2017年4月3日から2017年6月19日まで放送されたNEW版では玄田哲章が演じることになったが、これは大平透が生前に後任として指名していたため。
玄田哲章はかなり雰囲気を似せて演じており、声こそ微妙に違うが不気味な雰囲気はほぼそのまま受け継いでいる。

藤子不二雄でもF側の作品である『21エモン』の『わがままな福の神』に登場するハッピー星人(アニメ版では「ラッピー」と名前がある)は、行動パターンはともかく顔・体形が喪黒に酷似しているが、これは同じコンセプトで作られたキャラのためで、当時(1968年頃?)に「底意地の悪い福の神」というコンセプトのキャラをⒶとFの双方で出してみようとやった結果、Ⓐ→喪黒、F→ハッピー星人となったのだという(藤子の『福の神』のイメージはⒶ・F双方これらしく、1967年の『チンタラ神ちゃん』は競作だが、Ⓐ側が描いている「福の神」と、Fの『ドラえもん』で1970年初出の『ロボット福の神』で表題の『福の神のロボット』がいずれもこの顔)。

類似キャラ&後継者達

彼のように「人の前に現れ、不可思議な力で人の『願い』を叶える謎の人物」というキャラはこの後のフィクションにも複数存在する。

藤子不二雄Ⓐ系列

  • 夢魔子『夢魔子』(1970年)インド風の容姿の若い女性。喪黒と違い相談に乗るという形で話に関与する。
  • 店長(名前不明)『憂夢』(1991年 - 1995年)小太りの温厚そうなおじさん。レンタルビデオ屋をやっていて9999円で「今のあなたにぴったりのビデオ」を貸してくれる。
両者とも喪黒程悪質なことはしないが、それでも相談者や客が幸せになれるとは限らない。

その他

原作25巻『もらい泣きセールスマン』アニメ第890話『父ちゃんが起きない!?だゾ』に登場。原作のサブタイトルの通り、涙脆く貰い泣きしてしまう性格。家族サービスと仕事の両立に疲れたひろしに、夢の中へと入れる枕を渡す。ただし、24時間以上使ってはいけないと忠告をするがひろしは使い続けて目を覚まさなくなり…
と、ここまでならば『笑ゥせぇるすまん』でも有りそうだが、そこは『クレヨンしんちゃん』。
家族で夢の中に入った後に心温まるオチで終わり、貘太郎は別の町へ去っていくのだった。

何らかの悩みを抱えた「幸運のお客様」にだけ辿り着ける駄菓子屋「銭天堂」を営む女性。外見は中年っぽいが公式では年齢不詳とされている。
そのタイトル通り不思議な効力を持つ駄菓子を「幸運のお客様」にワンコインで販売するが、いずれも使い方を誤ったり悪用すると使用者自身にしっぺ返しが返ってくるという物*3。紅子自身はそのことについて客に忠告こそするが、「幸運になるのも不幸になるのもお客様次第」というスタンスから根本的には客の末路そのものについては無関心。ただし、その運命が客の選択そのものによるものであることは重視しており、後述のよどみの介入などにより客が不当な条件での選択を強いられたり、前述の使い方そのものが誤った情報が与えられたりなどで客の選択以前の問題で不幸を引いてしまった場合には助けることもある。
彼女の宿敵としてやはり不思議な駄菓子屋である「たたりめ堂」を営むよどみというロリババアがいるが、こちらは客を陥れること自体を目的に動く悪意の化身で、彼女の取り扱う駄菓子を使用した末路は例外なく破滅である*4。その上よどみは銭天堂への営業妨害を何度か行っており、銭天堂の駄菓子の効果がたたりめ堂のものとすり替わってしまったことも*5
客の結末にあたっては「善人は報われ、悪人が落ちぶれる」というのが基本。たたりめ堂の客だろうと途中で改心すれば紅子が助けてくれた、というオチの話もある。紅子が駄菓子の力で破滅した悪人に復讐されかけたことは何度かあるが、彼らはもっと悲惨な末路を辿っている。しかし、たたりめ堂を訪れてしまったばかりに全く救われない結末を迎えた善人もいるのでワンパターンでは割り切れない。ただし、母数の都合上、作中の描写の範囲では銭天堂のほうが不幸にした人数が多い。

問題を抱えた人々に『商品』を販売する露天商。
『商品』自体は「使い道や加減を誤らなければ」素晴らしい効果を発揮するものが大半だが、
大半の客は『商品』の効果を過信し過ぎて慢心し破滅してしまうことになる。破滅の度合いは客ごとにまちまちだが死んでしまった者も少なくない。
また、時々あまり役に立たなかったり、使用者の破滅を前提としているような『商品』も見受けられる。
ただ喪黒ほど露悪的ではなく、客に対して『商品』を売る以上の干渉は行わないスタンス。欲をかかず『商品』を使いこなして成功したり、本人的には幸福と思えるような結末を迎えた客もそれなりにいる。
更に言うと演者が視聴者にバッドエンドで喜んで欲しくない旨を明言しており、それもあってか「アフターケアはしないが、客には商品を正しく使用して幸せになってほしい」というのが本心である節を何度も垣間見せていた。

  • 哀川ショコラ(みづほ梨乃『ショコラの魔法』)
悪魔カカオと契約して「黒き魔女」となったショコラティエの少女。
チョコレートの材料となる「代償」と引き換えに魔法のチョコを売る。なお「代償」は買い手の態度・食した後の行動によってどれを貰うかをショコラ当人が自分で判断している。
買い手が誠実に対応したり、やらかしても反省すれば「本人の弱い心」や「喪っても努力すれば補いが効くもの」といった「無い方が良いか、無くても問題ないもの」を頂くが、
悪事が動機だった場合や増長した態度を取った場合などは、「その後の人生」や「命」等の「冗談抜きで取り返しの効かないもの」を取り立てて「黒き闇」へと突き落とす。
客であっても悪人に対してはかなり容赦しないが、これは悪党のせいで父が破滅に追い込まれ、それが彼の死の遠因となったため。
それを指し示すように、彼女が最初に黒き闇へ突き落したのはその悪党である。
このため、人格的にはミザリィ同様善人側であり、ダークヒロイン的な側面が非常に強かったりもする。

「僕と契約して魔法少女になってよ!」と少女たちに契約を薦める謎のマスコット型群体存在。
だが、契約自体が確実な死亡フラグであり、契約者が「絶望の果てに宇宙維持のためのエネルギーを放出して怪物と化す」ことが真の代償(つまり人間を燃料扱いしている)。
しかも、本人(?)は「感情は理解できないが、感情による反応は学習できる」ため、長年の経験から本当の目的や契約の詳細を言わずにメリットだけを言う事を身に着ける計算高さも持ち合わせる。
一応契約時の「願い」は「願いに合わせた魔法を与える」ことで叶えているのでギリギリ詐欺師ではないのだが…。
先述のように喪黒ですら「『何があっても約束を守り通した』『大きなチャンスを前にしてなお世間一般に配慮する』など、自分が納得してしまうほどの内面的な強さを見せたお客様」は普通に助けていることを考えれば、この中では最も作品として露悪的な者と言えるだろう。

悪魔の動画クリエイター。目につけた人間に対して夢を叶える動画の企画を提案し、主にデビルツールという不思議なアイテムを使って出演者の望みを現実にしてくれる。
しかし、真の目的は人間の負の面を動画に収めることであり、出演者達は大抵の場合望みが叶ったことに増長して醜い本性を暴かれ、痛い目を見ることになる。
ただし、(企画段階から予見して、かつそれとなく誘導しているとはいえ、)ブラックの側から強引に不幸に追いやるということはなく、あくまで痛い目に遭うのは出演者側の落ち度という形。
また、死や精神崩壊など取り返しのつかない破滅に追い込むわけでもなく、人前で大恥をかく程度のことで済ませる場合が殆どである。撮影後の出演者は周囲の人間も含めて撮影中の記憶を消され、改心していい方向に向かうことが多い。
間違いなく悪意のある愉快犯ではあるが、一定のラインは弁えている他、根本的にはターゲットのためになることをしている、という割と珍しいタイプ。

「魔法」を売る会社『ポーラー社』のセールスレディ。様々なマジックアイテムを薦める。
本人としては100%お客様の「幸福」を願って魔法を売っているが、喪黒と違い「有料」でかつ本人が天然ボケ気味のため、
客本人が「幸福」になるまでに苦労したり、予想外の結果となりクーリングオフやキャンセル・苦情等を叩きつけられたりしている。

  • 通販大王(どおくまんプロ『摩訶不思議 通販大王』)
通販番組のMCセールスマンやバー『ハッピー』のママとして欲望や悩みを抱えた客の前に現れ、悩みにあった「商品」を売りつける関西弁の中国風商人で、
羽豚を引き連れ時に死神の代役も引き受ける怪人でもある。
純粋に「商売」として行っているため、代金を頂けば後は基本客のその後についてはスルーする(「金」になれば人助けもするが)。
連載誌の都合上、エロい欲望に対して商品を売りつけるケースが多めだった。
まあ作中に「暗黒天」なる「厳しい罰則をつけたりして金を頂き、他人を平然と犠牲にする」商人もいるため、そいつよりはまあマシである。

  • ザビエール(吉田ひろゆき『Y氏の隣人』)
その名の通りフランシスコ・ザビエルそっくりの姿をしたセールスマンで、自称「幸福伝道師」。
片言の日本語でしゃべり喪黒同様に無料で商品を提供するが、実はある目的のためであり、ある意味では喪黒の逆を行く存在。

  • アンリ(山本まゆり『リセット』)
「やり直したい後悔」を抱えた者の前に現れ、無償で時間を「リセット」してくれる「堕天使」(原作では美少年だが、ドラマ版では風変わりな成人男性)。
但し「リセット」には厳しい回数制限があり、「リセット」して後悔が消えてもそれとは別に事件が必ず起こるためその結末は人によって異なる。

  • D伯爵(秋乃茉莉『Petshop of Horrors』シリーズ)
中華街に店を構え、客に不思議な(伯爵と客にのみ擬人化されて見えたり、超常的な力を所持したりする)ペットを斡旋する東洋人。「D伯爵」自体は彼の一族共通の名乗りで、先祖代々似た様な顔なため知らない人からは不老とも勘違いされたことも。
世代を超えて受け継がれる「血」から、動物種を次々絶滅させる人間を根本的に信頼しておらず基本動物側に立って行動するが、それゆえにペットと客が良好な関係を築いたり、動物に頼まれたら協力を惜しまない。

  • 河津チェリー(秋本葉子『蜘蛛女』)
「願い」を呟いた少女たちの前に現れ、「願い」を意識するしないに関わらず叶える美少女。
が、その麗しき姿は蜘蛛達を総べる巨大蜘蛛の擬態であり、本性は「願い」が裏目に出ての絶望も、
「願い」が叶っての歓喜も等しく調味料として人々を喰らう魔性少女。
彼女が「願いを聞き届けて」喰われずにすんだ人間は「願いが叶った直後に墜落死した少女」だけである。

願いを叶えるミセの店主。二つ名は『次元の魔女』。
普段は砕けた態度で周囲をおちょくり、時に和らげる。
願いを叶える時には彼女自身がルールの大切さ・命の重さ・依頼主の所有物の価値の重さを知っているため、
進んで背中を押したり、命の取引までに持ち越す事はないが、
場合によっては死ぬより重い長きに渡って支払い続ける対価を要求する。
西尾維新によるノベライズ版では、喪黒本人に対して遠回しながら言及し、話のネタにしている。

  • 「Bar白色天」の店主(森川智『Bar白色天 女と男 欲望の百物語』)
悩める人々が迷い込むシガーバー「Bar白色天」でバーテンダーの役割を果たす糸目の人物。名前や正式な肩書は不明。
客に彼らの願いに合う「葉巻」を薦め、それを吸わせることで客の要望に応える。また「客」が付喪神的何かでも夢越しであっても葉巻を吸わせられるというとんでもない店でもある。
客の願いに対しては中立的立場だが、客が葉巻で叶う願いからずれて間違った方向に行きすぎたり欲望を暴走させた時は悲しげな雰囲気を漂わせる。

  • リン(鈴木小波『燐寸少女』)
鬱憤を抱えた人々に、寿命1年分を代償として「妄想」を具現化させるマッチを売る少女。
叶う「妄想」は「望みに合わせたアイテムが出てくる」から「自分の体を作り変える」・「時を超える」まで正に万能(流石に「マッチを増やす」だけは無理だが)。
ただし「願望」ではなく「妄想」が具現化し、しかも具現化した妄想はマッチが消えても永続するため、使い手の望む結果や効果になるとは限らない。
作中には他にも「心から想う本当の願い」を叶える蝋燭を売る「チム」等類似キャラが登場している。

  • ババア(漫☆画太郎『ババアゾーン』)
まるでキノコのような毛髪と継ぎ接ぎのズタ袋を持つ謎の老婆。
悩みを抱えている人物(例:小心すぎてエロ本が買えない学生、嫁のいびりに悩まされている姑)に接触し、(無理矢理)お喋りに付き合わせ、そのお礼として悩みを解決できるアイテムを渡す(例:肝っ玉が大きくなる薬、付けると鬼のように強くなれるお面)。
漫☆画太郎作品ということで予想がつくと思うが、大抵碌な結末にはならず、顛末を見届けたババアが去っていくシーンで締めくくられる。
元々このシリーズが「笑ゥせぇるすまん」のパロディであり、去っていくシーンのババアの目、口、影が喪黒福造のそれになっている(特に影は喪黒福造そのまま)。

  • ミザリィ(光原伸『アウターゾーン』)
本作のストーカー(案内人)を自称するカラフルな髪とエルフ耳が特徴の妖艶な(まず間違いなく人外の)美女。
「案内人」を自称する通り基本的には読者へ不可思議な物語を紹介するという体裁を取っているが、自身もあの手この手で作中の人物・事象への介入をして物語を動かしている。
主な手段はアンティークショップの店員として、悩みや問題を抱える客にそれに見合った不思議な力を持った物品を売る・時には無償で提供するというもの。
ただ、週刊少年ジャンプで連載するだけあってか、作者のスタンスが「基本ハッピーエンディング」のため、アイテムの使い方を誤って不幸になるのは悪人ばかりで、善人の場合はまずい使い方をした場合ですらアフターフォローをしてくれる*6など、
悪魔的な外見に似合わず(悪人への制裁は過激なれど)基本的には善良な人格の持ち主だったりする。

少年達の「心の宝石」を代償に願いを叶えるアイテムを与える宝石商。
だが目当てとしているのは「アイテムの使い道を誤った客の絶望」であり、被害者たちは例外なく死ぬかそれに準ずるレベルの悲惨な末路を迎える。
そもそもの目的からして悪意100%な上に客を絶望に陥れることを心から楽しんでおり、ターゲットもまだ十分に分別のついていない子供ばかり。
その上、与えるアイテムの中には使い道を間違えるどころか、受け取った時点で破滅が確定しているような地雷まで混ざっているなど、この手のキャラの中でも悪質さはトップクラス。なんとこいつの客になって幸福になれたやつは1人もいない。

「不思議の国」に住む、大きな青いリボンをつけたエルフ耳の少女。悩みや叶えたい願いを持つ人間の前に現れ、望みを叶える力を秘めた不思議なアイテムを与える。少女漫画雑誌である「ちゃお」の作品なので、可愛らしいアクセサリーや文房具が多い。
しかしその目的は「愚かな人間が苦しむところを見る」ことであり、ターゲットは大抵の場合アイテムの使い道を誤り破滅することになる。
要するにちゃお版喪黒。このなかでは一番彼にスタンスや商売の方針が近いかもしれない。
「アイテムを渡して行動はターゲットに委ねる」というスタンスは『ストーリーランド』の老婆に近いか。
ホラー色の強い作品ということも手伝ってターゲットの末路はえげつないものが多く、バッドエンディングの場合は大体死ぬか廃人になる。
ちゃおホラーは全力投球過ぎて大人でも怖がるような内容になったと思われる作品がかなり多い。
渡すアイテムの中にどう考えても使った時点でほぼ破滅確定な欠陥品が混ざっていたり、事前の説明も嘘ではなくとも正確なところを伝えていなかったり*7とやることはかなり悪辣。
また、同時に複数の、場合によっては不特定多数の人間をターゲットにすることがあり、やらかすことの規模が大きめなのも特徴。エピソードによっては社会問題レベルの事態を引き起こすケースも。『平等の鐘』というエピソードに至っては最終的に日本が絶望と化した*8
反面あくまで陥れる対象は「愚かな」人間なため、アリス自身は誰かにアイテムを渡す以上の干渉はしておらず、破滅するのも基本的にはターゲット本人の行いが悪かったせいなのが大半である。
喪黒同様に「やってはいけないこと」を先に伝えているのにターゲットがそれを無視して破滅する、というパターンも多め。
そもそも、そういう素質のあるやつを狙っているせいか、時々「アイテムなくてもそのうち犯罪やらかしてただろう」と言いたくなるようなやばい奴がターゲットになることも。
ターゲットが自分の行いを心から反省していたり、忠告を破って我が身を危険に晒してでも人のためにアイテムを使ったりした場合は救済してくれることもあり(というか道義的・倫理的にマトモである客には普通にアフターサポートしている回が多め。そういったケースが他の紹介した作品に比してもかなり少なく、喪黒と同じくらいの頻度でしか出会えていない…という面のほうが強い)、特殊な例ながら「明らかに復讐する正当性があった」ケースではきっちり完遂までほぼノーリスクで行わせているなど、先述のショコラ同様「あまり明るくない過去から『人間の悪意』の重さを知っている」背景があるからこそ善意に対してはしっかり向き合うタイプ。
アイテム自体も作者が「使い方を間違えなければ素敵なアイテムもたくさんある」とフォローするように、正しく使えば安全かつ便利な物は多い。*9
意外と役の解釈が難しいのか、何度か声がある媒体化された際にはそれぞれの担当演者が全く違う解釈を見せてくれたのまで喪黒と似通っている。

  • アンテン様(夜諏河樹『アンテン様の腹の中』)
巫女服を着た少女の姿をした、「招かれた者しか入れない」という神社に祀られた神様。
物に込められた人の想いを糧としており、持ち主にとって大事なものを対価として捧げることで願いを叶えてくれるが、願って手に入れたものは願った者の死後に全て消えてしまう(「元々この世には存在しなかった」という形で歴史・現実の改変が発生する)。
さりげなく欲望を煽ってもっと捧げ物を持ってこさせようと誘導したり、捧げられたものは生きた人間でさえ躊躇いなく食い殺したりと恐ろしく油断ならない面も備えているが、良くも悪くも「想いの詰まった捧げ物をたくさん食べたい」以上の下心はない様子。
捧げ物に見合うだけの願いは曲解したりすることもなくちゃんと叶えてくれ(込められた思い入れが不足だった場合でもそれで可能な範囲までは部分的に叶えてくれる)、判断の基準についても聞けば答えてくれるなど、対応は意外と公平かついい意味でビジネスライク。
そのため、読者からは「この手の存在にしては真面目で誠実」「優しい」などと評されがち。
誠実に向き合ってくれる人間には物の次いでに助言をすることもあり、どうやら願い以上の捧げ物に対してはこっそり追加で願いを叶えてあげているようだったりと、何処となく人情味のようなものを覗かせる一面もある。
総じて破滅するか幸福を得るかは向き合う人間次第というところが大きく、危険性もあれば御利益もあるという日本の神様らしい存在。




項目のスキマ、追記・修正してお埋めします……。

この項目が面白かったなら……\ドーーーン!/

最終更新:2026年08月14日 13:02

*1 玄田はTBS版の第70話『クリーン症候群』にて客の恋人として出演している。

*2 名刺の特徴は映像媒体によって異なり、TBS版ではスペシャル『雪山惨歌』から「、」が「♡」に変更されている。その後、TVドラマ版では名刺の右側に喪黒の顔が描かれていることで「ココロのスキマ」がずれており(しかも「、」が「・・・」に変更されている)、名前が他の映像媒体よりもかなり大きく書かれている。また、NEW版では「♥」は紫色で、キャッチフレーズの前に付いており(しかも「・・・」が「…」に変更されている)、名前に行間が空いている。そして、Prime Videoドラマ版はNEW版と同じだが「…」が「・・・」に変更されている。

*3 例:「型ぬき人魚グミ」…食べると人魚のように速く泳げるが、コップ1杯の塩水を飲み忘れると人魚になってしまう「しわとり梅干し」…1日3個食べるとシワが消えるがそれ以上食べると逆にシワが増える、「がまんエンピツ」…書いたことを我慢できるようになるが取り消すと10倍になって返ってくるなど。

*4 例:「わら人形焼き」…嫌いな相手に悪夢を見せられるが跳ね返されると自分が酷い目に遭う、「負け知らずアンズ」…食べるとあらゆる勝負に勝てるようになるが、必ず勝つと分かる以上勝負事がつまらなく感じてしまう、「先頭糖」…必ず行列の先頭に並べるが面倒な仕事も回されやすくなるなど。

*5 作中では「ほしいイモ」(欲しい物を欲しいと言えるようになる)と「さもしいイモ」(相手の持ち物を何でも欲しがるようになり関係を壊してしまう)、「泣かんパイ」(泣くのを我慢できる)と「泣けんパイ」(涙が出てこなくなり、周囲から薄情な人間だと思われる)、「マスク・メロンパン」(どんな表情でも自在に演じられる)と「なげきのマスク・メロンパン」(廃人のような顔しかできなくなる)の効果が入れ替わってしまった。

*6 例えば「事故死した母親とペットの猿を生き返らせたい」男児がアイテムの使い方を誤って二者をゾンビとして黄泉返らせてしまった場合は、ゾンビを退治した上でちゃんと生前のまま復活させる方法を話のオチで教えていた。いくら突発的な事故が原因だろうと死んだ生物を生き返らせるのは自然の摂理から反するので、善悪の問題抜きに使い方自体がそもそもまずいと言っていいだろう。

*7 使った相手を自分に無関心にさせるアイテムを「口うるさい人を黙らせる」と説明するなど。

*8 しかも、この回はアイテム自体が1度使うと、もう取り返しがつかなくなる地雷タイプである上に、アリスも肝心なところをきちんと説明しないというかなり悪質なパターンとなっている。

*9 問題は、彼女自身が予想の斜め下な使い方を期待して意図的に誤解や勘違いを招くような説明をしているということ。