加藤清澄

登録日:2014/08/11(日) 13:48:58
更新日:2025/03/07 Fri 20:19:21
所要時間:約 8 分で読めます





加藤(かとう)清澄(きよすみ)は、板垣恵介のギャグ漫画格闘漫画バキシリーズの登場人物の一人。

フルコンタクト系神心会空手3段の空手家であり、愚地独歩の愛弟子の一人。

CV:田中和実(OVA)/室園丈裕(アニメ1作目)/吉野裕行(BeeTV)/勝杏里(アニメ2作目以降)

目次

【来歴】


○ 地下闘技場編


初登場は古く、第一部『グラップラー刃牙』の序章、地下闘技場編まで遡る。
範馬刃牙末堂厚との試合を観戦して刃牙に興味を持ち、似た立場のモブキャラを始末して刃牙の前に登場する。

「あんなママゴトルールで何連覇しようが強さとはなんの関係もねェ」と刃牙を挑発。
刃牙も「加藤さんが出場いたらもっと楽しめたのに…」と応えるが、本部以蔵の出現で水入りとなる。

本部の名も無き弟子を始末し、本部本人と対峙するが、「飛び込めねェッ」と若干ビビる。
その後、愚地館長登場で中断。このころは、加藤も本部もまだ強キャラとしての風格を漂わせていたのだ…このころまでは。

その後、愚地館長と中華レストランの個室でお食事。三年ぶりのご対面であるらしく、その間加藤はヤー公の用心棒をしていたらしい。
「こちとら拳銃(チャカ)日本刀(ポントウ)で磨かれた本物(モノホン)のケンカ空手だぜ」と自慢げだが、「オレの空手は…ぴすとるの10倍はスリリングだぞ…」との館長の挑発を受けて突っかかる。
しかし、「オレに金的はキマらンよ(はぁと)」。
…刃牙も似たようなことを後でしていたのだが、この二人が愚地先生を尊敬している理由って、まさか金的が決まらないからじゃあないだろうな…?
その後、もう一度独歩と組み、刃牙と同じ土俵=地下闘技場に登ることになる。

ちなみに、この回のサブタイトルは「狂犬を飼う」。
……狂犬って、まさかムサシ(刃牙の飼い犬)のことじゃないよね?

その後は道場で独歩の他の弟子と組手。
指導員の高木*1との試合となるが、相手の目潰しを手刀で斬り裂いて撃退、勝負あり。

試合後(デコピンはもらったけど)、独歩とともに東京ドーム地下闘技場に赴き、範馬刃牙と鎬昂昇との試合を観戦。
この頃からもう彼は後述の役割が姿を見せ始めた…。

その後、刃牙vsマウント斗羽の試合を経て、物語は範馬勇次郎vs愚地独歩]]の試合へと移ってゆく。
この時も師匠の試合なんで当然観戦していたのだが、鬼の貌まで出されて窮地の独歩を見て、「空手が敗けてたまるかァアアアアアッ」と涙ながらにオーガに突っ込んだ末堂に対し、彼はビビって何もできなかった。…イチバン師匠思い?

その後、独歩は負けちゃったので地下闘技場編での加藤の出番はなし。


○最大トーナメント編


その後は最大トーナメントにも出場を果たす。
御老公の目の前で花田純一との試合を展開し、金玉を一個潰して勝利。「親友(ダチ)がこう言ッてんだけどよ御老公」と強引に出場を承認させる。
だが、このことが後述の出来事のフラグになるとは知る由も無い。


「暗黒街で磨いた実戦カラテ!!」
「神心会のデンジャラス・ライオン加藤清澄だ!!!」

試合前、愚地克巳と独歩との組手を見て、彼の才能を思い知らされる。
独歩の愛息子で「自分より強い」と太鼓判を押される克巳の登場に、「刃牙のライバルポジションの空手家」としての立場を奪われるか、と危惧されたが、「忘れるな刃牙Bブロックからあがるのはこの俺だ」「坊ちゃん空手に見せてやるぜ 雑種のしたたかさってやつをな」とカッコイイ台詞。

トーナメント初戦の相手はパナマの鉄拳、ロベルト・ゲラン*2
「パナマの鉄拳だァ!?」「八ツ裂きにしたるわいッ」と威勢のいい加藤。「とっぽいなァ」と刃牙は呆れ気味。

だが、試合場に姿を現したのは巨大な猿…あの夜叉猿だった…!!

四年前に刃牙が既に勝利していることを御老公に聞かされた加藤は、猿退治に乗り出すが、まるで通用しない。
アクビまで見せられた挙句、刃牙のいる所まで投げ飛ばされる憂き目に遭う。

なおも挑みかかろうとする加藤だが、刃牙の静止の手が。

加藤「まさか『アンタじゃムリだオレがかわる』…なんて言い出すんだねェだろな 刃牙ちゃん」

刃牙「アンタじゃムリだオレがかわる」


その後目潰しを敢行するも、壁まで叩きつけられて失神。夜叉猿ジュニアは、愚地克巳にあっさり退治されてしまいましたとさ。万事メデタシメデタシ♪

憤る刃牙に対し、加藤は「この人はよ刃牙…オレと違ってちゃんと上まで登ってくる人だ」と宥めた。…ありゃありゃありゃ。
結局彼の役目は、夜叉猿ともども新登場の愚地克巳の引き立て役だったってことかいッ!

その後は最大トーナメントを最後まで観戦。驚き役として最後まで試合を盛り上げてくれた。
同期(出場回的な意味で)の本部以蔵を「地上最強の解説役」と呼ぶなら、彼は「史上最高のオドロキ役」と呼ぶのが相応しいだろう。
……花田(=本部の弟子)の親友(ダチ)になったのって、まさか作者はこの結果を狙ってたからじゃないだろうな?


○最凶死刑囚編


こんな不甲斐ない戦績だったので、当然最凶死刑囚と戦う五人のメンバーにも選んでもらえず。
というか、第二部『バキ -BAKI-』での再登場自体が危ぶまれていた。だが、彼は意外な形で再登場した…愚地克巳の師匠として(!)

徳川邸での柳龍光戦反省会にガソリン片手に乱入してきたドリアンに対し、克巳はガソリンをぶっ掛けて火をつける暴挙を見せる。
その後、「俺の師匠」という言葉を受けてドヤ顔で加藤登場。

実戦性の不足を痛感した克巳が反省して選んだ師匠なのだが、直前の「空手家じゃなくていい」発言も併せて「トチ狂った」だの「若様ご乱心!」だの散々な評価を受けることになる

その加藤にしても、ドリアンの耳をテグスで落としたところまではよかったのだが、弟子(?)の克巳と一緒にアラミド繊維で絡みとられてしまう。
その後、独歩が手刀で繊維を斬り落とし、克巳ともどもキビシイお説教を受ける。

ドリアンは隠し持っていた爆弾を利用して徳川邸を脱出。アジトまで逃げ込むが

「みっけ~~」

加藤登場。しかし…

「君か…」

あからさまにザンネンそうな顔のドリアン。読者もな。

まあ、それでも戦闘開始。直後にドリアンの中国拳法の崩拳で壁までぶっ飛ばされる。

その後、ドリアンは拳にグリースをまぶし、ガラス片を手につける。
アル・カポネの時代の決闘方法だったらしく、相手にも真似る様に言うが、加藤はこれを拒否。素手のまま突っこむが、当然通用しない。

「たしかにデキがワルい…ドッポ・オロチが嘆くワケだ…」と呆れるドリアンに対し、「昔からな 館長にイチバン叱られたのが俺だ…だからこそ俺がイチバン--師匠思いッ!」と返す。

何かを悟ったかのごとく「キモチいいや」(←ドM)と呟く加藤に対し、ドリアンは「わたしが思うより…あるいはもっと優秀な戦士なのかもな」と珍しくお褒めの言葉。彼にとっては数少ない(というよりこれしかない)見せ場である。

その後、割れたガラス瓶で顔面を切り刻まれ、髭の目潰しを受けて「オ・トワ・ラヴィ~~♪」の歌とともにドリアンの重厚な攻撃をモロに食らいダウンしてしまう。
もはやこれまでかと思われたが、ドリアンの歌の「人生」というワードに反応したのか気力を振り絞って散乱した瓶を手に立ち上がった。

「人生なにひとつ 誉められたことなどなかった」
「そんな俺がたったひとつだけ誉められたのが空手だッッ」
「師曰く 手に何も持たぬが空手ッッ」
「愚地独歩にとっての空手とは--」
「道ッッ」
「俺にとっての空手とはッッ」
「道具だッッッ」

その言葉と共に、加藤は瓶を利用した渾身の飛び蹴りを放ち、初めてドリアンに痛手を与える。
想定外の反撃に怯んだのか、よろけながら立ち上がるドリアン。
それを勝機と見て加藤は全力で畳み掛け、無防備なドリアンを打ちのめしていく。
最後のチャンスと怯むドリアンに追撃しようとするが――

「パンッ」

ドリアンの突然の猫騙しに思わず動きを止める加藤。
しかし、それを追い詰められての苦肉の策だろうと吐き棄てて追撃を続行。
すると、さっきまで絶望的な戦力差を持っていたドリアンに次々と面白いように攻撃がクリーンヒットし、容易く大ダメージを与える。
命乞いまでするドリアンに対し、必殺の目潰しまで決めて勝負あり、かと思われたのだが…。


ドリアンが使ったのは催眠術だった。*3つまり、加藤の打ちのめしていたのはただの幻覚。
格闘士として夢見る「敵を圧倒したい」という希望を自分も抱いていたこと、催眠術をかける布石であるわざと攻撃を受ける芝居にまんまと引っ掛かったことを告げられる。
起死回生のテグス攻撃を繰り出そうとするが、強烈な蹴り上げを顎にまともに食らい瀕死に。
最後はアラミド繊維で頚部を切り裂かれ、「館長・・・ごめん・・・」と無念の想いを抱きながら完全敗北。
その後、門下生達にトドメを刺させるつもりだったのか本部道場のサンドバッグの中に詰め込まれるが、早朝から鍛錬をしていた烈に幸いにも発見され、救急搬送。

第一発見者の烈海王「カトオォォォッッ」の叫び声も結構有名。

加藤の負傷は、

「頭蓋骨骨折及び脳挫傷」
「鼻骨骨折」
「第7歯から第4歯欠損」
「第1歯及び第2歯欠損」
 …
多すぎるので以下略。
ちなみに作中で紹介されたのも半分程度。要するに、「滅茶苦茶にヤラれたンだよメチャクチャに」ということである。
一晩経っても絶命していなかったのは人体の神秘か、はたまた加藤のガッツか・・・・・・

その後、神心会は加藤の仇を討つべく全支部道場を動員してドリアンを捕縛。最終的には、師の愚地独歩がドリアンを徹底的に破壊する。そして…

どこから手を回したのか、車椅子に乗った加藤登場。
「あそこでヘバってるでっかい白人を加藤がとどめを刺すのさ」と独歩。

仰天する医者に対し、

「意識のない患者が通るぜ」

重態のまま立ち上がる加藤。「ダメージは五分といったところだ 加藤」「ブチのめしてやれいッッ」と独歩が煽る。
その言葉を受け、目に光を灯して鬼の如き形相で雄叫びを上げ振りかぶる。
その気迫に恐れをなしたか、ここにきてドリアンは遂に自らの敗北を認めた。

わたしの敗けだァァッッッ

最後は独歩に花を持たせてもらった感はあるとはいえ、加藤は名誉の負傷の甲斐あって、自らの手で決着をつけることができたのである。やったね♪

だが…

ドリアンは病院で復活。独歩の顔面を爆破させ、そのまま逃亡。
最後は烈がキッチリ決着をつけたのだが…イチバンおいしいところを盗られてしまった。あの苦労はなんだったんだろう…
しかし、ドリアンに強さやこれまでの勝利への疑問を持たせるきっかけになったとすると、加藤が与えた影響は大きかったのではないだろうか。


常人なら何回死んだかという重傷を負った加藤だが、その後無事復帰できたらしく、第二部の終盤は克巳や烈とともに刃牙のリアルシャドーを観戦している。
それにしてもほっぺが破裂しちゃった花山さんに顔面爆破された愚地館長、大火傷で良い男台無しの克巳、仕込み刃とハイヒールで顔を切り裂かれたオリバ、指向性爆薬で吹っ飛ばされた昂昇、顔面陥没したドイル、本部に分銅鎖で頬を裂かれ地上最強の生物に顎をカチ割られた柳、同じく地上最強の生物に顔を剥がれた劉海王、そして加藤と、第二部は顔が傷だらけの人が多すぎである。


○それ以降のシリーズ


第三部「範馬刃牙」では、同じく生死不明だった末堂と共に道場のジムで仲良く身体を鍛えている場面が描かれている。
第四部「刃牙道」では、ピクルVS武蔵戦の観客の一人として他のグラップラーと一緒にちゃっかり登場。
第五部「バキ道」では、四段に昇格。愚地独歩との組手を刃牙の前で行い、目潰し狙いでファイトスタイルの健在を見せた。なぜか
あだ名が「デンジャラスボーイ」と格落ちしていた。*4
その後は本部の道場でノムラと対戦し、互角の攻防を繰り広げて見せ、贅沢にも3人でバキ道のラストを締め括った。


【実力】

特別才能があるわけでもなく、周囲が化物揃いでインフレに置いて行かれ、とっぽい性格も相まって一部では「バキ界のヤムチャなんて言われたりするが、常人及び表の格闘家基準で言えばその実力は大分高い方である。
ヤクザの用心棒として拳銃や刃物が当然のように使用される数多の修羅場を潜り抜けており、表の格闘技の重鎮程度は簡単に纏めて撃破している。
仮にも本部のお墨付きの天才プロレスラーである花田さえも撃破して最大トーナメントの参加権を手にしていることから、ワールドクラスのプロ格闘家に決して劣るものではなく、流石は末堂のダチといったところ。
特に、餓えた獣の如き闘争心から来るであろう精神力及びタフネスは目を見張るものがあり、13歳とはいえあの刃牙を苦戦させた夜叉猿を更に上回り頑強なコンテナをブチ破る夜叉猿Jrに殴り飛ばされコンクリの壁に叩き付けられても意識を保っていたり、ドリアンを相手に食い下がるのは中々のものと言える。

ファイトスタイルは何でもありの空手で「本物の喧嘩空手」と豪語するだけあり、禁じ手とされるような技も平然と使いこなす胆力と技量を持ち、型に囚われない柔軟なスタイル故にあらゆる状況への突破力及び手段の豊富さという点では刃牙等上位陣と比べても高く、一時的とはいえ克巳に対実戦に師事されるのも頷けよう。
だが、如何せん常人であり、身体能力等基礎スペックで刃牙達超人には遠く及ばず、特に攻撃をクリーンヒットさせてもダメージが入らない火力不足が致命的な壁となっている。
その差を埋める為か、生物共通の弱点である目潰しを愛用している様子で、多用するがそれ故によく見切られて不発となり*5、反撃されて負ける癖がある。高木の呪いだろうか?

良いとこ無しな加藤だが、それでも最古参メンバーながらちょくちょく尺稼ぎに戦闘シーンを披露してレギュラー陣に食らい付き続けている辺り、実力者なのであろう。
ちなみに、末堂よりも出番が多い。同期の桜なのに・・・・・・


【余談】

腕を磨くためにヤクザ世界に入って武闘派の極道と空手で渡りあった経歴のある男だが
同じくステゴロ最強で現職のヤクザ組長である花山薫とは今のところ接点がなくお互いに言及すらしていない。
当時の加藤の性格なら花山の噂を聞いたら喧嘩を売りに行きそうなものだが…。
そうしていた場合の勝敗はなんとなく想像できるが…。

意外にも釣りが趣味らしく、克巳が連れて来た時の様子から推測するに、軽装かつサンダル履きでしかも夜釣りをやっている模様。
デンジャラス・ライオンが一人東京湾や多摩川で釣りに勤しんでいるところを想像すると、何とも微笑ましくもある。

『加藤清澄』という名前は作者・板垣が陸上自衛隊第1空挺団に籍を置いていた頃の先輩のもの。
自伝漫画『200000歩2夜3日』でも登場し、後先考えず水を飲んでいた板垣青年をライフルでぶん殴っている。こえぇ~!



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最終更新:2025年03月07日 20:19

*1 組手で自分の番が近づくといつも急に腹痛を起こす男

*2 ちなみに元ネタは「石のゲンコツ」ロベルト・デュラン

*3 烈曰く、中国拳法にあるものではないらしく、おそらくはドリアンが独自に学んで身につけたと思われる。

*4 刃牙の適当で無礼なところがある性格を考えるに、単純に刃牙がうろ覚えでいた可能性がある。長い付き合いなのに失礼なやっちゃ。

*5 夜叉猿Jrに失敗してカウンターが直撃、ドリアンに失敗して突き指、独歩に失敗してまたも突き指