愚地克巳

登録日:2012/04/29(日) 14:13:34
更新日:2020/03/25 Wed 18:10:38
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俺はまだ使用(つか)っちゃいない!



俺だけが掴んだ―――


俺だけのマッハッ


愚地克巳(おろち かつみ)は、バキシリーズの登場人物。

声優:藤原啓治(TVアニメ第一作)、前川優子(5歳の克巳)/川原慶久(TVアニメ第二作)

モデル:面相はボディビルダーの山本義徳、名前は同じくボディビルダーであるマッスル北村の本名「北村克巳」。



○人物


作中最高峰の空手家である武神・愚地独歩の息子(養子)。
父が運営する世界最大の勢力を誇る空手道団体・神心会に所属する空手家で、「近代空手を完成させた男」と呼ばれる神心会秘蔵の最終兵器。

彼の最も大きな特徴は日本人とは思えないほどの規格外な体格と驚異的な運動神経だろう。
身長186.5cm、体重116kgという巨漢にありながら100mを10秒台で駆け抜け、ベンチプレス300キロをこなすほどの腕力の持ち主。
そのパワーは欧米人をはるか凌駕する。

また、神心会総帥の愚地独歩が30歳で達成した"瓶切り"を20歳で達成するなど天賦の才も併せ持つ。
独歩曰く克巳は「究極の空手家像」であり、その戦闘能力は自分より強いことはもちろん「空手を終わらせてしまった男」とまで言わしめる。
が、精神的未熟さゆえ、格闘家としては非常にムラがあり、苦戦を強いられた戦いは多い。

その潜在能力は、魔拳・烈海王を超え、さらに中国武術そのものとさえいわれる郭海皇が認め、現状のカタログスペックも父であり世界最強の空手家である愚地独歩を上回っているのだが、
それはあくまで試合形式での話で、実戦においては大きく劣ってしまっていた。

更に、連載が長期化するにつれて独歩がどんどんパワーアップして行ったため、試し割りにおいても後れをとるようになってしまった。

しかし第三部「範馬刃牙」にて、大きな成長を見せることとなる。

○来歴


5歳の頃、克巳は「ミズノ大サーカス」で並外れた身体能力を発揮し実父とともに曲芸に打ち込んでいた。
空中ブランコでは観客席が沸き立つほどの曲芸を披露し、5歳の象と綱引きをして互角に引き合う。

そんな彼の人生に
大きな転機が訪れる。

曲芸中に、克巳の実父が興奮したライオンに殺されてしまったのだ。

誰も手のつけられないライオンに克巳は丸腰で近づいて、大人しくさせた。
それは、観客を傷つけさせないためにも、そしてライオンを射殺させないためにも…という、
ともすればパニックになってもおかしくない心を必死で律しながら5歳の子供が取った行動であり、
最上級の強さと優しさを兼ねた、思いやりに溢れるものだった。
直後に堪えていた感情が吹き出し、涙に濡れる克巳。
目の前で愛する人が死んだのだ…もちろん悲しくないはずがなかった。

この実父の事故死を契機に、克巳は愚地独歩の養子として引き取られる。


ここから克巳の空手家人生は始まった。



◆『グラップラー刃牙』での活躍


神心会女子部の井上がラガーマンの竹田にセクハラを受ける。
克巳は制裁を加えるべく、街中を闊歩する竹田と取り巻き4人にストリートファイトを仕掛ける。
5人がかりの必死のタックルをものともせず、竹田を含めた4人を空手で仕留める(1人は逃走)。
竹田へは右足に下段蹴りを放ち、骨が露出するほどの重傷を負わせた。


次の活躍は地下闘技場で開催された最大トーナメント
刃牙や勇次郎に負けてヤラれっぱなしの空手界に憤怒する愚地独歩は、地下闘技場へ克巳を送り込む。


そして開催された最大トーナメント。


克巳の最初の対戦相手は格闘家ではなく夜叉猿Jr
兄弟子である空手家の加藤清澄、プロボクサーのラベルト・ゲランを倒した夜叉猿Jrの髪をわしづかみにして陽気に「桃太郎」の2番を歌う克巳(少し歌詞が違うが)。
その後は、正拳→掌底→前蹴り→中足の廻し蹴り→手刀で夜叉猿Jrを仕留める。


克巳の1回戦の相手はジョイント・フェチ(関節愛好家)と呼ばれるヨーロッパレスリング界の至宝、ローランド・イスタス。
100mを10m台で駆け抜ける逃走術を用い、ローランドを翻弄。
頭突きを放った際に右肩と右腕の関節を外されるが、右の手刀を放ち遠心力でもとの位置にハメる。
その後は綺麗な空手の数々を繰り出し、一滴の血も流さずローランドを撃破。
余裕の1回戦突破である。


2回戦の相手は喧嘩師の花山薫
「ヤクザめ。武の力を思い知らせてやる」と言い放った直後、胴廻し回転蹴りを食らいヤクザの力を思い知ることに。
蹴り足ハサミ殺しなどの高等技術を繰り出すが全く通用せず、正中線四連突を放つも再び油断してしまい右足を握撃で粉砕される。
黒帯で止血をし胴着を脱ぎ捨てた克巳は、花山に猛然と連続攻撃を仕掛ける。
逆転フラグである。

「俺は空手界の最終兵器だぜェッ てめェらとは…… てめェらとは…… 才能が……ッッ」




ガコッ




無情にも花山のカウンターパンチが克巳の顔面を打ち抜く。


「死ぬか 死ぬか克巳!?」


地面に倒れ、涙目になる克巳。


この後も花山の強烈な攻撃が克巳を襲う。


その光景は、もはや公開リンチである。


そんな克巳に向けて、加藤と末堂が観客席で正拳上段突きをしながら応援し始める。
すると克己もこれに応えて復活。格闘技に関してはド素人の花山を見くびっていた克巳は、養父であり空手の師でもある父・愚地独歩の敵である範馬勇次郎に叩き込むために封印していた必殺技『マッハ突き』を花山に叩き込む。
花山の強靱な肉体もこの技には耐えられず、克巳は辛勝。

なんとか2回戦を突破した克巳は加藤と末堂に運ばれ闘技場を退場する。
戦いのさなかに4度の反省を経て、克巳を精神面で大きく成長させた名勝負である。


3回戦の相手は中国拳法の雄、烈海王
負けたら神心会の看板を下ろすと決意して臨んだ試合である。
試合開始直前に「この試合のキャッチ・コピーを知ってるかい、烈海王君。核兵器VS竹ヤリ……」と大口を叩くが、烈の空気の目潰しを食らってしまい、接近を許してしまう。
「だおォッ」と闇雲に放ったマッハ突きをカウンターで切って落とされ、瞬殺。
勝負ありである。


空手界の最終兵器は


なんと、たった一撃で倒された。


あっけない。
あっけなさすぎる。


白目を剥いて吐血しながら立ち上がる克巳だが、勝負は既に決着しており克巳は敗北。
最後は「中国拳法と空手には2000年の開きがある」と烈海王に突き付けられ、膝から崩れて正座の形で完全決着となった。*1
この後、後述の「範馬刃牙」において、マッハ突きは烈海王でも実戦で使えるものではなく、内心驚きながら奇策を講じて勝利したが、
実力差自体は両者の間で結果の見た目程に開いてはいない
…と烈海王当人の口からフォローされている。
二人の差は、経験の差。ただそれだけであった。


◆『バキ』での活躍


神心会を去った独歩の後を強制的に継がされ、新館長に君臨した克巳は、中国拳法や他流拳法の良い所を取り入れ、空手を更に発展させるべく自らを倒した烈や鎬昂昇をコーチに招き、修行に打ち込む日々を過ごしていた。

そんな中、独歩を尋ね道場に現れた最凶死刑囚の一人ドリアンは不在を知るやいなや、克巳に不意打ちを仕掛ける。
正中線四連突を放つが通用せず、投げつけられた床板が克巳の頸部に刺さりKO。
その後烈が戦うもドリアンの逃走を許してしまう。


次に克巳が登場したのは徳川邸。
前回の立ち合いで一杯食わされた克巳は、武道と実戦との違いを思い知る。
本来は弟子にあたる加藤を師と仰ぎ、実戦的な戦い方を模索する。
その後、徳川邸に侵入したドリアンと再び対峙することに。
すっかり加藤に感化されてしまった克巳は「俺は…空手家じゃなくていい」とまで言い放ち、ドリアンにガソリンを浴びせ火を放った。
残念ながらドリアンのダメージはほとんどなく、またしても逃走を許してしまう。

ドリアンに続き、またも最凶死刑囚の一人であるドイルが神心会道場にて克巳と対峙。
攻撃を仕掛ける前に粉塵爆破という意表をついた戦術で道場を焼かれ、克巳は全身に火傷を負った。
まだまだ実戦の何たるかを理解していないことを露呈した。

独歩に倒され、神心会道場に連行されたドイル。幾度となく失態を演じてきた克巳に、もはや油断は無かった。
ドイルを圧倒し、コンクリートブロック3枚を粉砕する下段突きでKOした。
その後克巳は「もうこれ以上 そいつを壊せねェ 負けでいい」と呟きとどめを刺さず、ドイルの失神を尻目にその場を後にした。
これらの一件で互いの間に何かしら感じることがあったのか、国外逃亡を図るドイルの前に姿を見せ、餞別に正拳突きとの構えと帯を授けた。


◆『範馬刃牙』での活躍


散々な戦績を残してきた彼だが、第3部「範馬刃牙」で遂に覚醒する。
相手は現代に蘇った白亜紀の人類、「ピクル」。

当初、他の達人らと共にピクルの寝どこに「夜這い」を仕掛けるが、そこに現れた勇次郎に格闘家としての未熟さと、自分はおろか父にとっても刃牙にとっても対戦相手として眼中にもないことを指摘されるという屈辱を味わう。
しかしこの屈辱が彼の精神に大きな飛躍を与えるきっかけとなり、烈海王を一蹴した「史上最強の生物」を前に克巳は勝ち負けに関係なく自分の空手の全てぶつけてみたいという強い想いを抱いた。

しかしピクルの脅威を悟った独歩は克己に対して「武道家は勝てる戦いだけすればいい」と言い、克己を制止。
内心自分を舐めていたことに激怒した克己は、父が神心会の会議で意見が対立した時に独歩がやっていたように立ち合いで決着をつける事を要求。
呆れながら呑気に上着を脱ごうとする独歩に対し、その上着をつかんで拘束、そして喉に親指を打ち込むという全力の不意打ちで、独歩に勝利。

その後、烈と郭海皇の支援の下、克巳は新技「真マッハ突き」を会得。
イメージにより関節を限界まで増やし、各関節を加速するマッハ突きをさらに強力にするという超理rゲフンゲフン画期的な必殺技である。
徳川の爺さんにピクルとの戦いを打診し、東京ドームで対決することになった。
養母、実母、刃牙、独歩により矢継ぎ早の祝福に見送られながら決戦の場に到着。
数万の神心会の門下生の正拳突きによる激励の拳圧を堂々と受け止め、会長の座に相応しい成長を遂げたことを示した。
直後ピクルが登場、いきなり克己へ襲い掛かるが急所への連続攻撃で迎撃する。
その後繰り出した「真マッハ突き」でピクルからダウンを奪う。
が、正拳のみならず手刀、上段蹴りも真マッハで直撃させるも決定打には至らず、引き換えに自らの拳と足に大きなダメージを負ってしまった。
薄笑いを浮かべるピクル、自身の放った技のダメージで膝をつく克己。もはや勝ち目はないかと思われたその時だった。
「心配するなみんなーー」

「俺はまだ使用っちゃいない!」

「俺だけが掴んだーー俺だけのマッハッ」

何と克己には最後の切り札があった。全身の筋肉を緩め、烈海王を倒したピクルダッシュを待ち構える克己(郭海皇もサングラスが割れるほどビックリしていた)。

「来いやぁ…親友…」

瀕死の克巳が最後に放ったのは、マッハ突きの最終進化形、現在最も進化した打撃(オリジナル)「当てない打撃」。郭海皇をして「拳法を50年は進歩させおったわ」と言わしめたこの大技で、ピクルから3度目のダウンを奪う。

動かないピクルの姿に克己は勝利を確信、門下生たちも開戦前と同じように正拳突きを、今度は祝福の意味を込めて見舞った。

「こんな俺に アリガトウ」
「こんな俺なのに アリガトウ」
「謝りたいと 感じてる…」
「だから 感謝 というのだろう」
「これを 感謝 というのだろう」

…が、それでもなおピクルを完全には倒せなかった。
ピクルが動かなかったのはすでに戦闘不能になっている克己への追撃は不要と考えての休憩に過ぎなかった。
この時烈海王との戦いの時にも見せた「強敵と認めた者との別れを悲しむ涙」を流している。
この事実に真っ先に気づいたのはやはり克己であり

「持ってけ…この命ごと」

そして骨が剥き出しになった右腕をピクルに噛み千切られ、決着。自分を残さず食うよう願いながら倒れた…

しかし、ピクルは誰に言われるともなくその腕を倒れた克己の横に添え、手を合わせその場に跪いた。
ピクルには伝わっていた。自分より小さな克己が一体どれほどの犠牲を払ってここまでの力を付けたのかを。
それはかけがえのない結晶(たからもの)だと。
そしてピクルは空腹のまま、満足感に満ちながら去る事を選んだ。

その成長ぶりは、刃牙や独歩だけでなく勇次郎も認めるほどの飛躍であった。
が、「敗北」という結果自体には変わりはなく、独歩も「息子の成長に酔いすぎた」と自分と神心会への苦言を呈した。



隻腕となってしまった克巳だが、「片腕という個性」を活かした技を編み出しているようだ。



地上最強の親子喧嘩編では、テレビで二人の喧嘩を観戦していた。

新シリーズである「刃牙道」では「隻腕という個性」を着々とものにしている様子(組手相手の渋川剛気をして「総毛立った」と言わしめた)。
独歩が宮本武蔵に敗北を喫したことに対しては「武蔵と戦うとしても、敵討ちではなく愚地克己個人として挑む」と語っている。


○主な技


  • 蹴り足ハサミ殺し
敵の打突を肘打ちと膝蹴りで挟み潰す高等技術。
打突の威力によっては通用しない。

  • 正中線四連突
飛び上がりながら、正中線上の急所(顔面、喉、水月、金的など)を打突する。

  • マッハ突き(音速拳)
背骨を含む全身27箇所の関節の回転を連結加速させ、音速を超える打突を放つ。
その威力は折紙付きで、異常なタフネスを誇る花山を真っ向勝負で打倒せる数少ない……というか、「技」の中では唯一。
独歩でも真似できず、烈も練武では出来ても実戦では不可能と言わしめる、事実上、克巳のオリジナル技。

  • 真マッハ突き
関節を増やすイメージにより、マッハ突きが更なる高速度に至ったもの。
その研鑽には烈と郭の協力を得ており、菩薩の拳などの要素も含まれている。
片手打ちでも音速を超える術理を全身で行うため、従来のマッハ突きよりも大幅に高速化。
その衝撃波は道場の窓ガラスを全て吹き飛ばし、空気の壁で拳足が自壊するほどの速度に達する。
術理の応用により、正拳のみならず全ての打撃を超音速化可能。

  • 当てない打撃
マッハ突きの最終形。
鞭は振り戻す瞬間にこそ最高速度に達するという原理を応用したもの。
打突を当てず急激に引き戻すことで、真マッハ突きをも上回る速度に達し甚大な衝撃波で相手を打倒する。
その威力は作中でも最強ランクだが、攻撃を行った腕は完全に自壊する諸刃の剣。




俺だけが行った―――
俺だけの追記・修正ッ

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