キョン(涼宮ハルヒシリーズ)

登録日:2014/09/16 (火) 11:35:55
更新日:2024/02/19 Mon 16:42:43
所要時間:約 8 分で読めます






目先の石ころに注意するばかりでは、

数歩進んだところにある溝にハマるという近未来が待ち受けていることに、

えてして気づかないものさ。



出典:涼宮ハルヒの追想、ガイズウェア、バンダイナムコゲームス、2011年5月12日、
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団 (C)2011 NBGI

(イラスト左上)


涼宮ハルヒシリーズの主人公及び語り手。
キョンというのは親戚のおばさんが勝手に付けたあだ名であり本名は不明。



概要

県立北高校1年生→2年生。
実家で両親ととシャミセンの四人と一匹暮らしだが父親は未だに登場していない。「消失」で入院した際も見舞いに来た言及が無かった為普段は家にいない可能性もある。
アニメ版では身長170cmと設定されており、『涼宮ハルヒの戸惑』では体重63㎏、A型、誕生日は10月11日とされている(誕生日は中の人ネタ)
ちなみに劇中ゲーム『SOS団がおくる最高にして至高のラブストーリー』では、攻略不可。

年の割にややおっさんくさい語り口と思考だが、ごく普通の人間。
宇宙人や超能力など不可思議な現象を夢見ていた時期もあるが、高校入学式の時点でそんな物は実在しないと考えていた。
そして普通の怠惰な高校生活を送ろうとしていた彼だが、涼宮ハルヒとの出会いを発端とし様々な不思議現象へ巻き込まれるのだった……。

基本的に多少は反論するが事なかれ主義のため、SOS団で次々に起こる出来事に対し「やれやれ」と嘆息することが多い。
お人好しなタチで一度関わったことはなんだかんだ最後まで付き合う。
あまり感情を爆発させるタイプではないものの、仲間を傷つける輩には啖呵を切ったり時には実力行使に出る一面も。

本名は不明で作中誰からも本名を呼ばれない。
しかし、古泉は普段はキョンの事を本名で呼んでいることが窺える。
約束では実際に古泉はキョンの事を本名で呼んでおり、どうやら古泉はキョンの事をさん付けで呼んでいるようだ。

長らくハルヒに振り回される現状を嫌がってるかのような描写もあったが「消失」の事件を機に、SOS団の活動は楽しかった、この不可思議だらけの日常を守りたい。と自分を不思議現象の当事者として受け入れより積極的に事件解決に奔走する事になる。
脱出プログラムのエンターキーを押す直前の独白は必見。

なぜなら俺は、SOS団の団員その一だからだ。


趣味嗜好など

原作ではしょっちゅう独特な婉曲表現や史実、作品などからの引用を用いる辺り結構な博識。
これは中3の時のクラスメイトである佐々木の影響が強いらしい。
たまに長門の小説を借りて読むこともある。

あまり趣味らしきものの描写はなくせいぜい漫画やゲームを好んでいる程度。
そのためか、休日の集まりでほぼ毎回5人分の奢りをやってるくらいに高校生としてはお金の余裕があるようだ。

これまでに(本人が自覚している範囲内で)異性との交際経験はない。
だが中学時代に佐々木と付き合ってると誤解されたり谷口から美人と友人関係を築いていることを軽く嫉妬されている。
国木田をはじめとする中学時代の友人は「キョンは変人が好み」と認識している様子。
ちなみに実際のキョンの好みはポニーテール。眼鏡属性と腹属性は無いらしい。


学業

SOS団内でぶっちぎりの最下位。
上位3名が良すぎるのを差し引いても赤点ぎりぎりだったり、
担任に面談されたりそもそもやる気が無いと散々で、見かねたハルヒが勉強を教えたことすらある。
だが「エンドレスエイト」ではこの事実が結果的に事件解決の鍵になった。
本人は当初SOS団の活動を読者に言い訳していたが、中学時代も成績不振により問答無用で学習塾に放り込まれていた模様。


◆人物関係
周りからは彼女を動かすor止める「鍵」として認識されている。
実際不思議を求めて以降のハルヒが最初に心を開いた人物なのは確か。
実は中1時代にタイムトラベルしたキョンと会い、その時の会話が北校進学の動機になった。
ハルヒはキョンに少なからず想いを抱いているようだが、キョンは気づいていない。また異性関係を気にしてもいない。古泉にハルヒと付き合えばいい、的なからかい混じりの提案をされた時も曖昧ながら「あり得ない」と否定している。
…と、思われていたが、「消失」でハルヒがいなくなったと思った際に酷く動揺していたり、二年に進級する頃になると仄かな独占欲が見え隠れしたり、
咄嗟の行動とは言え、自分の命をハルヒの為に差し出す事を全く躊躇しないなど、心境に変化が見られる。

キョンが絶対的な信頼を寄せる1人。
「憂鬱」中盤で命を救われたこともあり大切な友人、仲間としての好意を明確に抱いており、無表情な長門の感情をピコ単位で読み取れると豪語するほど。
しかし、本格的に打ち解けたのは途中からで、少なくとも「ミステリックサイン」辺りまでの扱いは、
「部室の付属品だから人数に入れなくてもいい」として部室に入っても挨拶すらせず、ハルヒに苦言を呈されるなどぞんざい極まりないものだったりする。
(キョン自身も後に「最初の頃の長門の印象は部室のアンティークドールだった」と回想している)。

それでも「寂しかったりするのだろうか」と気に掛ける場面もあり、特に「消失」事件以降長門への感情は劇的に変化し、彼女が少しでも傷つくような事があれば本気で激怒する程になった。また、彼女がいつか普通の女子高生のようになる事を内心願っていたりする。
あまりの関係の激変に、あのハルヒが「有希と何かあったのか」と激怒するでもなく真剣に問い詰めるほど。
本編では自力でどうしようもない事態に陥った際ほぼ毎回のように彼女のマンションへ足を運ぶのがお約束。

長門の方もかなりの信頼を寄せておりキョンに決定権を委ねる場面も多く、特別な想いを抱いているようだが、やはりキョンは気づいていない。

その可憐な容姿と真面目な性格から異性としての憧れと好意を抱き、モノローグでよく魅力を語りまくっている。
そのため未来からの指令としてデートの約束をされた際は内心舞い上がっていた。
ハルヒの度が過ぎた悪ふざけからやんわり遠ざける役割だが、
コスプレ衣装を着せることだけは自分にもメリットがあるからという理由で大抵止めない。
時折何も知らない高校生活のみくると「自分のことをバラさないように」指示している大人のみくるとの間で挟まれることも。

仲間意識はあるものの、回りくどい語り口のせいか割と胡散臭く思っている部分がある。
ただ団内では自分以外の男性メンバーであることもあり、また話が一番しやすいためか一緒によくチェスなどをしている。
本編では直接の関係の描写というよりハルヒたちの心情や現状を間接的に伝える役割が多い。

◆涼宮ハルヒの約束

朝比奈さんや、長門や、古泉や、そして俺も――ハルヒにとってもう、『ただの人間』なんかじゃないからさ。

宇宙人でも未来人でも超能力者でも凡人でも関係ない。今、俺達は、『SOS団の仲間』なんだよ。


出典:涼宮ハルヒの約束、ガイズウェア、バンダイナムコゲームス、2007年12月27日、
(C)2006 谷川流・いとうのいぢ/SOS団(C)2007 NBGI

文化祭前日がループしているため、抜け出すために行動を開始する。
長門ルートでは長門に刺されたり、喜緑さんがSOS団のメンバーであることに違和感を覚えなくなるだろうと、
予感して悲しくなったり、世界が消滅したりバッドエンドでは悲しい結末を迎えることもある。
ハルヒルートでリボンちゃんに言った『SOS団がハルヒにとって、ただの人間ではない』というやり取りは、約束で屈指の名場面。
約束はモノローグ含めフルボイスであり、キョンのセリフは合計で約610分もある。

◆涼宮ハルヒの戸惑

俺達地球人は、大事な誰かのためになら、いくらでも力を出せるんだよ!


出典:涼宮ハルヒの戸惑、アクリア、バンプレスト、2008年1月31日、
(C)2006 谷川流・いとうのいぢ/SOS団 (C)BANPRESTO 2008

ハルヒがゲームを一ヵ月で作ろうと言いだし、技術がなかったSOS団はハルヒを満足させることが出来なかった。
ハルヒの期待によって記憶を保持したまま繰り返されるループを抜け出すために、
繰り返されるループの中で知識と技術と経験を得ながら(プレイヤーも)ゲーム作りに励んでいく。

作中かなりのイベントがあるが、一言でいえばギャルゲー。

完成したゲームでは、戦士キョンが従者キョンになったり、攻略対象なのに攻略出来なかったり、
進行次第ではバグで『キヨサップ・鈴木』と表示されることもある。(これはスパロボWで杉田氏が名付けた主人公の名。通称キョン)
キョンが演技で古泉を心に決めた人と宣言するEDがある。勿論キョンは嫌がってはいたが古泉のほうは演技が乗り気……。

他の皆はフルボイスなのにキョンだけ開始時と劇中ゲームの時しかボイスがない……。

◆涼宮ハルヒの直列

……礼なら、ハルヒに言ってくれ。


いつもの休日、いつもの場所に集合したら谷口からコンピ研が怪奇現象に遭遇したと連絡が来る。
それをハルヒに聞かれたが故に学校に泊まり込んで怪奇現象の調査をすることに。
コンピ研が遭遇した現象にハルヒの妄想が組み合わされる時、怪奇現象になる。
キョン達はいかにしてハルヒを怪奇現象から遠ざけ、怪奇現象を消すかに苦心するになる。

ハルヒの関心を逸らすためにバーベキューをしたり夜中にプールで遊んだり、廊下で寝るはめになったりした。
しかし人喰い教室に囚われたり、偽物と追いかけっこしたりいつも通り大変な役回り。

DSということもあって、全員個々の章のプロローグとエピローグにしかボイスがない。

◆涼宮ハルヒの並列

宇宙人がハルヒにアプローチをかけているこの現状を、ハルヒの夏休みの妄想じゃないって誰が言い切れる。

俺もお前たちも、舞台の上のただの役者なんだぜ。

お前たちの存在そのものが、ハルヒの望みによって生み出された可能性だって――


豪華客船を満喫していたがハルヒの心残りのせいでループすることが769回目で発覚したため、また抜け出すために奮闘する。
今回は長門が注入するナノマシンのおかげで記憶の引き継ぎが出来ており、エンドレスエイトとは違い、
ハルヒは些細なことで世界設定ごと書き換えるため、ループから抜け出す以前に船が空を飛んだり殺人事件が発生するループ世界から、
まずは普通のループの世界に戻るために、記憶を頼りに前回とは違うことをしてハルヒの心残りを探っていく。


しかしついに豪華客船が沈没するループ世界に足を踏み入れてしまい――

直列と違い今回はキョン含めフルボイス。ちなみに杉田氏のセリフは一万以上あったらしい。

◆涼宮ハルヒの追想

……ああ、そうだな。たとえもう、二度と会えなくても……。

俺が、お前を、覚えている――


出典:涼宮ハルヒの追想、ガイズウェア、バンダイナムコゲームス、2011年5月12日、
(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団 (C)2011 NBGI

消失で未来の自分達のおかげで元の世界に戻り、病院の屋上で長門とやり取りをした後また謎の世界に放り込まれてしまう。
この追想世界は消失がベースだが微妙に違う世界で、クリスマス前後ではなく北高祭当日が舞台。

世界の改変が二度目だったこと、今回は朝比奈さん(大)が直ぐにサポートにやって来たこともあって消失と比べ冷静に行動する。
朝比奈さん(大)に出会ってホッとしたのか、相変わらずの朝比奈さん賛辞をやり始めた。

最初に追想ハルヒと交流していくのだが、この追想世界はいわば異世界であるため、
キョンは自分が異世界人であることを利用すれば、ハルヒと親密になれるかもしれないと考えたこともある。
まぁ、この手は使わなかったが。

直前に刺されたこともあって朝倉に激しく動揺したり、北高祭を通じて朝倉と親密になっていったり、
原作以上に1年5組が一致団結したり、なんだかんだでキョンは追想世界に馴染んでいく。

追想世界は北高祭の二日間しか存在しない世界のため、それを過ぎるとループしてしまう。
今回はそんな世界を修復するために『次元ブックマーカー』集めに励む。


約束と違い今回はモノローグはボイス無しだが、セリフにはボイスがついている。


あー、朝比奈さんっ! 鍋は止めて! 空鍋はっ!


ギャグ漫画という特性上ツッコミ属性が増している。
番組を作れば爆発オチをやらされ、初夢はなんだかカオス、ジグソーパズルをあと一歩で崩壊されるなど割と不幸な目に遭いやすい。
原作以上に人物が突飛なことを始めるため毎回苦労している。
この作品が何なのかを理解しているため藤原がシリアス全開の自己紹介をしようとした際は「そういう漫画じゃない」と強制終了させた。

なお、ある場面で「鹿っぽい絵」で顔を隠すシーンがあったが、そこに描かれた動物はシカ科の動物「キョン」(タイワンキョン)と言われている。本編でもシカのキョン由来かは謎だが。
ちなみに動物のキョンは2023年現在、外来種として千葉等の自然を荒らしており、「キョンの駆除問題」「キョンを食用に出来るか」等各種取りざたされている。


俺が長門を嫌いになる事はねーよ。だったら告白の答えはこれしかないだろ……。

長門、きっと……俺はさ……、

オマエを好きになってたよ。


ツッコミ役という点では変わらないが、ツッコミを向ける先が天然の長門だということと、朝倉涼子という心強い(?)仲間が居るため其処まで目立たない。
というよりも、至って普通。時々鶴屋さんとハルヒ(別学の為、登場回数は少なめ)の突拍子もない流れに流されるぐらいか。
長門に異性として明確な好意を抱いていたり、それを意識して悶える等、上記作品に比べればかなりの青少年。


8巻ぐらいで長門と恋人同士になる。



◆にょろーん☆ちゅるやさん

有機生命体の『死』の概念って、どんななの?

それはね……買ったばかりのクレヨンが半分くらい折れてた――みたいな。


無表情に淡々と突っ込む。
ちゅるやさんのスモークチーズ食べ過ぎを注意する役割。
本人はおろか看板など至るところで唐突に出てくる。
あしゃくらさんから好意を抱かれているが大抵スルーする。




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最終更新:2024年02月19日 16:42