サイファー(漫画)

登録日:2015/03/27 Fri17:21:58
更新日:2025/01/29 Wed 19:59:21
所要時間:約 6 分で読めます





『サイファー』は、かつて、コロコロコミックにて連載されていたホラーバトル漫画である。
作者:かとうひろし
単行本は全2巻(絶版)、全11話。現在はWEBサイト「マンガ図書館Z」でも無料で閲覧可能。


◇あらすじ

主人公の少年・諸星一輝は、額に星型の痣を持つ小学生の少年。
彼には超能力があり、ある日、いつものように友人たちを集めてスプーン曲げの芸を披露していたところ、急に不審な男から声を掛けられる。
が、それと時を同じくして、突然「その男から離れろ」という謎の声が頭の中に飛び込んできたため、一輝はその場を離れ、難を逃れた。

その後、彼は母親から祖父が交通事故にあったと聞かされ、母親に連れられてに飛び乗る。
しかし、到着した場所は廃屋。実はこれは罠であり、母親の正体はガイ魔と呼ばれる化け物であった。
先ほどの不審な男の正体もガイ魔であり、一輝を抹殺するために接近しようとしていたのだ。

ガイ魔が一輝に手をかけようとしたその時、一匹のが乱入して一輝に加勢した。
その犬は一輝が普段から近所で見かけていた犬であったが、その正体はドラゴンドッグという特殊な種族であり、一輝にテレパシーを送って警告を発したのもこの犬であった。

しかし、犬一匹ではガイ魔には到底かなわない。絶体絶命のピンチの中、一輝はガイ魔の口から最悪の事実を聞かされる。本物の母親は、既にガイ魔によって殺されてしまっていたのだ。

怒りを爆発させた一輝は真の力を解き放ち、ガイ魔を打ち倒す。
ここに、人類を守る為の戦いの火蓋が切って落とされた…。


◇主な登場キャラ

【サイファー】

※「サイファー(PSYPER)」とは、設定資料によれば「PSYCHO POWER FIGHTER」の略。

  • 諸星一輝(もろぼし いっき)
主人公。恐らく小学生(高学年?)。
額に星型の痣が出来たその時から、彼は超能力を扱えるようになった。
そしての中で、「やつらがやってくる」という謎の声と「サイファー」とつぶやく謎の生物と遭遇していた。
覚醒したころは、思うように超能力が扱えなかったが、母親の死をきっかけに超能力がパワーアップした。
使用する能力は、思念で物を動かす事が出来る「テレキネシス」。

やんちゃな性格で母親も手を焼いていたが、彼女はバンディに殺される時にも息子の名前を呼んでおり、確かな愛情を持っていたことがうかがえる。

主人公が第1話にして母親を殺され、挙句第二話にて家を捨てて戦いの旅に出るというのは、コロコロコミックの漫画の中ではトップクラスに過酷で悲壮な展開であろう。*1

  • ウォン
本作のマスコットキャラ。
とうの昔に絶滅したと思われていた、竜犬族(ドラゴンドッグ)の生き残り。
幻覚投射能力を持つ。テレパシーでサイファーとのみ会話ができる。

  • 姫野ミカ(ひめの みか)
治癒能力を持つ少女、「ヒーラー」。15歳。
当初は一輝とはそりが合わなかったが、段々お互いを認め合うようになる。

  • 炎修太(ほむら しゅうた)
火炎を操る能力を持つ幼稚園児。
洋館でピンチに陥っていた一輝達を持ち前の能力で救出した。
因みに彼の家系は代々「ファイヤースターター」であり、彼はその中でも最も強力なパワーを持つ。 彼が現れなかったら一輝たちは全滅していた。
なお、作中で本名が呼ばれることはなく、一輝たちには常に「チビ」と呼ばれる。本名は登場人物紹介に記されるのみ。

  • イワン
ロシア出身の巨漢サイファー。
テレパス能力の持ち主で、心の声を聴くことができる。
心優しい人物だが、その能力で周囲からは疎まれていた過去がある。

  • 尼蛭(にひる)
一瞬のうちに瞬間移動する能力「テレポーター」の持ち主。
その能力ゆえ、両親からは捨てられ、施設で育つ。だが、虐められっ子で性格が捻くれてしまい、全ての人類を敵とみなす。
結果、彼はガイ魔と手を組み、人間界の王になろうと企んでいた。
その後、一輝との戦いで人間の心を取り戻し、最後の最後に一輝たちの味方となった。

  • シン
未来を予知する能力「プレコグニション」の持ち主。
ガイ魔王復活を予知し、一輝達を集結させた。


【ガイ魔】

人類が誕生する以前から地球に存在する生命体。
人間の恐怖心が発するエネルギーを吸収する
ガイ魔の中にもランクがあり、ガイ魔王を頂点に、アメリカガイ魔・アフリカガイ魔・ヨーロッパガイ魔・アジアガイ魔の地域別に分けられ、最も下にサイファーを抹殺する役目のサイファーハンターがいる(…もっとも、打ち切りによりほとんど設定は生かされなかったが)。

  • バンディ
変身能力を持つガイ魔。
変身したい相手を喰らう事で相手に化ける事が出来る。
一輝の母親を食い殺した張本人。

  • ヴォルク
催眠術で人々を操ることが出来るガイ魔。翼で空を飛ぶ。
一輝が住んでる団地の住人達を操り、一輝を襲わせた。

  • ズゥ
ミミズ型のガイ魔。
生物・無機物問わず、寄生して操ることができる。

  • フェイススパイダー
巨大な蜘蛛型サイファー。
人間を食べ、自身の分身にしてしまう。
食べられた人は顔だけの蜘蛛の様な化け物になってしまう。
弱点

  • ムカデガイ魔
人間に噛みついて毒液を注入することで人間を洗脳して操る。
さらに役目を終えた人間は自分で自分の首をねじってへし折らせて自害させる
列車内で赤ん坊に化けていた。

  • イモムシガイ魔
あらゆるものを溶かす毒液を二本の管から出す。
目が見えず、聴力に頼って行動する。

  • パラサイター
寄生するガイ魔。サイファーに取りつくことで、相手の身体や超能力を自由に扱える。

  • 吸血ガイ魔
赤霧の町に登場。
ずんぐりとした体型で動きは鈍いが、口から飛び出る触手のように素早く動き、相手に突き刺してミイラ化するまで吸血する。
実はガイ魔の母体。

  • ガイ魔王
ガイ魔達のボス。
1万年の眠りに就いていた。


◇打ち切り

ホラーバトルものである本作は単におどろおどろしいというだけでは済まない、凄まじいまでの描き込みがなされたグロテスクな表現で当時の読者(と新たに触れた新規読者達)の記憶に刻まれている。その描写は目玉が落ちてきたり一般人が惨殺されたりと子供の読者だろうと一切の手加減がなく、子供が見たら間違いなく夢に出てくるか眠れなくなるであろう強烈な作風であった。よくコロコロに連載出来たなあ…

しかし、ただグロいだけの漫画という訳では決してない。多大な苦難の果てに強敵を倒したことで得られた感動に震えた読者もまた一定数存在していたと思われる。

児童誌に載せるには絵柄や内容が余りにも壮絶でグロ過ぎたためか人気は振るわず、打ち切りになってしまった。

当時の読者たちが大人になり、もう一度読み返される機会も多くなったことで、現在では再評価されつつある。

ちなみに、2007年に刊行された熱血コロコロ伝説の最終巻に本作が収録される予定であったが、最終的に選考から漏れてしまい、作者と大勢の読者たちが落胆した。
ちなみに作者のHPでは、打ち切りにならなかったら登場させる予定だったサイファー達が何人か描かれている。
発電能力を持つ中国人サイファー、黒人シスターのサイファー等がその例である。


◇ちょっとした騒動?



◇余談

本作はクトゥルフ神話も参考にしているようで、最後の舞台・赤霧(あかむ)はアーカム、赤霧の隣の駅・羅武/蔵不戸はラヴクラフトが由来とみられる。

作者のかとうひろし氏はその後もコロコロコミックで漫画を連載しているが、別人と見まごうほどの絵柄の変貌は未だに語り草となっている。


追記・修正はガイ魔王を倒してからお願いします。

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最終更新:2025年01月29日 19:59

*1 怒りや悲しみ更には自身の異能にも支配されず、かつ「おれ一人の力などたかが知れてる。同じ境遇と力を持った仲間が必要だ」と冷静になってるメンタル面の強さも際立っている。