ボルトガンダム

登録日:2016/03/26 Sat 00:02:40
更新日:2025/02/15 Sat 19:08:13
所要時間:約 4 分で読めます





来い、鳥野郎!フライドチキンにしてやるぜぇ!


ボルトガンダムとは『機動武闘伝Gガンダム』に登場するガンダムファイト用MS=モビルファイター(MF)である。


【データ】

登録番号:GF13-013NR
所属:ネオロシア
全高:17.3m
重量:8.9t
装甲材質:ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材
     レアメタル・ハイブリッド多層材
武装:グラビトン・ハンマー
   バルカン砲×4
必殺技:炸裂・ガイアクラッシャー
搭乗者:アルゴ・ガルスキー

【機体概要】

宇宙海賊の囚人アルゴ・ガルスキーが部下の釈放と引き換えに搭乗することになった、ネオロシアが開発したモビルファイター
黒を基調とした無骨でガッシリとした機体のシルエットが特徴。
お国柄丸出しのイロモノ揃いなモビルファイターの中では遊びの要素に乏しく、『国家間代理戦争の切り札』という軍事的な要素が強めに出ている機体で、
ロシアらしい要素は頭部のコサック帽を模した部分だけになっている。
ちなみに、多くのガンダムに共通した特徴であるマスクの横棒ラインが一本のみという珍しい機体。

名前の「ボルト」は電圧などの「Volt」ではなく工業部品の「Bolt」。「電光」という意味もある。
なぜこの名前が付けられたのかは不明(外観にボルトなどの意匠は見受けられない)。

開発に至るまでの背景は真っ黒であり、
ネオロシアが他国のガンダムファイターを非合法的に拉致して強制収容所へ送り込み、
彼等の所有するガンダムを鹵獲・解析して得た各国の最新技術を技術盗用している

機体の各部にビクトルエンジンと呼ばれる独立駆動機関を内蔵することで圧倒的なパワーを獲得。
言葉だけだとわかりづらいが、すごく簡単に言うと各部に独立したエンジンが存在するということ。極端な話、劇中ではやっていないが、理論上は機体が上半身と下半身が真っ二つにされても動ける。(戦えるかは別として。)
おかげでその出力は実に平均的モビルファイターの約2倍という凄まじさである。
見た目通り装甲も分厚く、ファイターを務めるアルゴの人間離れしたタフネスも相まって
シャイニングガンダムの攻撃を顔面にモロに受けても全くダメージを受けず、シャイニングフィンガーに掴まれても途中でドモンがダウンしたおかげでもあるが、
長時間掴まれながらもかろうじて半壊で済むほどの防御力をも備える。
頭部が固い、というのはガンダムファイトのルール上非常に理にかなったものである。

また、ゲーム等では見た目通り鈍重という扱いをされ、劇中でも素早い動きを見せることはないが、
ビクトルエンジンの恩恵で重装甲にもかかわらず機動性も他のMFに見劣りしないほど安定したものとなっており、
そこに上述の有り余るパワーが加わることで、接近しての力比べでは最強というべき性能を誇っている。
更にアルゴは持ち前の冷静な判断力でそのパワーを最大限に活かしており、回避の際も最低限の動きを取ることも可能。
実際劇中でもスピード自慢のドラゴンガンダムの攻撃を的確に避けており、これはアルゴの技量もあるがそれに応えられる機体の完成度あってのものである。
総合的には第13回大会でも屈指の強豪機といえる。

宇宙海賊がパイロットだけにゴーカイな戦法をメインとしていると言える。


なお、バックパックはコアランダーになるが劇中では使われていない。


【武装】

  • グラビトン・ハンマー
ボルトガンダムのメイン武装となる鉄球型の質量兵器。囚人の重りをイメージしているようにも見える。
左肩部のショルダーに装着(収納)されたこの鉄球を腕部アーマーに収納されているグリップから伸ばしたビームチェーンにつなぎ、鎖鉄球のように高速で振り回すことで、ありとあらゆるものを粉砕するパワーを発揮する。
純粋な質量攻撃ゆえに防ぎようがなく、まともに叩きつけられればただでは済まない。
無骨ながら敵を無力化するという一点においては下手に技を弄するよりもはるかに確実な手段である。
劇中ではハンマー投げの要領で勢いを増した状態で相手にブチ込んだり、鉄球部分だけを射ち出して防御に使用したりしていた他、
ビームチェーンの特性を利用してハンマーを重りに相手へ巻き付けるなどの応用を見せたこともある。
一方、その質量から生み出される運動エネルギーを制御するのはボルトガンダムのパワーを以てしても決して容易いものではなく、
ドラゴンガンダム戦では鉄球部分をピンポイントで攻撃されたことで動きを乱された結果、片腕を失う状況にまで追い込まれている。

  • バルカン砲
主に牽制として使われるが、デスバーディを撃破するほどの高い威力を誇る。

必殺技

  • 炸裂・ガイアクラッシャー
アルゴがギアナ高地での修行を経て明鏡止水の境地に達したことで開眼した、ボルトガンダム初の必殺技
ボルトガンダムの持ち味であるパワーを活かし、エネルギーを込めた拳を地面に打ちつけることで大地を隆起させるという豪快な技。
初使用時は隆起した大地で敵の動きを封じ、グラビトンハンマーで頭部を破壊していたが、ランバーガンダムはただ動きを封じられただけでなく隆起そのものでダメージを受けており、
当然ながらそもそも直接隆起をぶち当てられた時点でかなりのダメージを与えられていることがわかる。
また、外したり破られたりしても敵がこれの回避や技破りに執心するため、自身が最も得意とする至近距離に持ち込むことが出来るのも強みである。
脳筋な力技と見せかけて裏には緻密な計算が隠された、実にアルゴらしい奥義。
しかし膝関節にあたるパーツに負荷が大きいようで、ナスターシャ曰く「ガイアクラッシャーのパワーがボルトガンダムの足に負担をかけていた」とのことで、機体の不備を悔やんでいた。
そのためゴッドガンダム戦では積み重なったダメージが表出化し、あと一歩のところで敗北してしまった。この整備不足がなければ本当に相打ちになっていたかもしれない。
アニメ本編では宇宙に上がってからは使える地上がないせいで使わなくなってしまい、スパロボでは当初地上でしか使えなかった。
これを危惧したスパロボが宇宙対策として下記の零距離ガイアクラッシャーを作ったのだが、その頃のスパロボには所謂地形召喚の概念が組み込まれており、
その意図自体はほぼ無意味となった。

  • 零距離ガイアクラッシャー
スーパーロボット大戦MXで名付けられた技。つまり原作ではこんな技の名前はなく一律でガイアクラッシャーである。
ガイアクラッシャーを破って懐に飛び込んできたゴッドガンダムに、至近距離からガイアクラッシャーのエネルギーを込めた両拳を叩き込つけ木っ端微塵に粉砕しようとした時の攻撃。
原作では「ここからがガイアクラッシャーの真の威力だ!」と言っていることからある意味真・ガイアクラッシャーなのかもしれない。
要するに何もかもかなぐり捨ててただ思いっきり零距離からぶち込む全力パンチである。
あまりピックアップされないが、劇中ではボルトガンダムの頭を捉えたゴッドフィンガーに真っ向からぶつかりあってヒビを入れ、ほぼ無力化している。
また、ゴッドガンダムの腕を攻撃しているはずなのに周囲の地面も隆起しており、凄まじいパワーであることがうかがえる。
よって胡蝶剣に続くゴッドフィンガー破りに(ある程度)成功した技であり、いかにその威力が凄まじかったかがわかる。
しかし先の膝関節にあたるパーツへの負荷が大きいという欠点がこの時にモロに出てしまい、ドモンにそれを見抜かれた結果、
ゴッドガンダムのゴッドフィールドダッシュで一気にさらなる負荷をかけられ地面に倒され戦闘不能となる。

命名元のスパロボでは、ガイアクラッシャーによる大地の隆起で相手を封じ込めたうえで自身はその隆起の合間を縫って突撃、
その後、相手の身体を直接両腕で挟み潰す非常に豪快でかっこいい映像構成となっている。
実は勝手に名付けておきながら、スパロボにおいてこの名前が採用されたのはMXだけで、以降はガイアクラッシャーの動作として統合されている。
つまりMX以外では使われていないのだが、現在でもファンの間ではこの名前で認識されている。

  • トリプルガイアクラッシャー
ゴッドガンダム、ドラゴンガンダムと協力して放つ合同必殺技。
これによってアルゴ達はドモンを先に進ませるためのトンネルを作った。
余談だが並び順が左からドラゴン→ゴッド→ボルトであり、何故かボルトが中心ではない。
ボルトが中心でないことに加え、ボルト念願の必殺技を他のメンツも使えていることを突っ込まれがちだが、
よく見るとボルトガンダムが拳を地面に打ち付けてからトンネルを作り出す隆起が飛び出している。
加えて放つ前のアルゴの「力を貸せ!」という発言からも「ボルトの放つガイアクラッシャーに二人が力添えをしている技」だと思われる。

  • シャッフルハンマー
ときた漫画版で使用した技。
ハイパーモードとなりブラック・ジョーカーの紋章が浮かんだグラビトンハンマーを敵に叩き込む。


【劇中の活躍】

初登場は第5話から。シャイニングガンダムのパンチをものともせず、
逆にその左腕を軽くへし折ってしまうなど、序盤からその強大なパワーによってドモンを苦しめた。
後にアルゴによって(事故とはいえ)妻を失ってしまったネオカナダのファイター:アンドリュー・グラハムの操る
ランバーガンダムとの戦いでは戦いの最中崖から2機とも落ちそうになってしまうものの、
アルゴ自身が彼を助けたことで結果的に双方とも無事だった。

中盤でDG細胞に感染してしまうものの、先代シャッフル同盟の一人ブラック・ジョーカー(トリス・スルゲイレフ)によって浄化され、
その紋章と称号を受け継ぐことになる。

ギアナ高地にて誤解からサイ・サイシーが駆るドラゴンガンダムとの激闘を繰り広げる。
結果は引き分けとなり誤解も解け互いを強者と認め合う。
後のランタオ島での決勝戦ではこの時の決着をつけるべく再び激突している。

決勝リーグではバーサーカーモードを発動したノーベルガンダムにわずか48秒で倒されるという情けない部分があったが、
これもトーナメントモノにありがちな大物食い描写としてアルゴの強さが前提となっているイベントではある。
ロシア人の囚人巨漢とかバキシリーズだとダブル厄満だしな…
後にランバーガンダムとタッグを組み、ゴッドガンダムとノーベルガンダムのタッグを苦しめた。

そのタッグ戦ではゴッドガンダム相手に爆熱ゴッドフィンガーをガイアクラッシャーの両の拳で殴りつけ押し潰すという捨て身の戦術を採るなど激戦を繰り広げるが、
上述のガイアクラッシャーの弱点を見抜かれ「ゴッドフィールド・ダッシュ」のパワーに押し切られ、敗北した。

その後はドモンを先に行かせるためにドラゴンガンダムと共闘してガンダムヘブンズソードと対決。
激戦の末、大地へ叩き落しその頭部を破壊することで勝利を掴む。
しかし直後にヘブンズソードが起こした大爆発に巻き込まれてしまいドラゴンガンダム共々ガンダムファイト決勝戦を敗退してしまう。
後は他のシャッフル同盟同様、デビルガンダム撃破の為にドモンをサポートしている。


【関連機体】


ガンダムボルトクラッシュ


ボルトガンダム…じゃねえ!!

Byドモン

原作を元に再構成された漫画作品『超級!機動武闘伝Gガンダム 爆熱・ネオホンコン!』にて
初登場した本作オリジナルのボルトガンダムの後継機
ネオロシアが第13回ガンダムファイト決勝大会用に開発した機体で、型式番号はGF13-013NRⅡ。
名前はボルトガンダムクラッシュ…じゃねえ!!ガンダムボルトクラッシュである。

デザインはオリジナル同様大河原邦夫氏が手掛けている。
全体的なシルエットはそのままに、より重厚さを増しており、
マスクのラインは一般的なガンダムらしく二本に変更されている。

最大の特徴は両肩アーマーと肘関節部から飛び出した特大のボルト状のパーツ。
これに伴い肩に装着していたグラビトンハンマー用の鉄球は
バスケの選手がボールを掴むかのようなポジションで右腕の掌直下にマウント位置を変更されている。
これで名実ともにボルトガンダムになったわけだが、これらはただの飾りではなく、
強力な電撃を放出し、ハンマーの鉄球を制御するために用いられる。
縦に長い頭部や他のシャッフル同盟のガンダムよりも一回りは大きい巨躯も相まって、
その威容は完全に鋼鉄のフランケンシュタインズ・モンスター。

また、他国の機体を鹵獲して強さの秘密を奪い取るというドス黒い開発理念
全く改善されておらず、「凶悪な破壊力で他国のガンダムをブチ壊す」「レベルを上げて物理で殴ればいい」
と言わんばかりの暴力的なスペック向上が図られており、
作画の島本和彦氏からも「無慈悲なネオロシアの考え方に背筋が凍る」と評されている。

そのパワーは圧倒的で強豪・ゼウスガンダムをほぼ一方的に叩き潰す程だが、
実はあれもこれもと他国のデータを無理やり詰め込んでフィードバックさせた結果、
当のアルゴの戦闘スタイルと齟齬を生じさせてしまっており、
乗り手を無視して充分な洗練がされていないというある意味
ガンダムでよく聞くタイプの欠点を抱えた機体となってしまっている。

人機一体の境地を真髄とするガンダムファイトにおいて、
達人同士の勝負ではその微妙な誤差が命取りであり、そうした弱点を悟られないためにも、
格が違うと見誤るほどの圧倒的な勝ち方を…強いられているんだ!!

…以上の事情から、ネオロシア陣営はボルトクラッシュの再調整が完了するまで
旧型のボルトガンダムを併用して決勝大会を戦い抜かねばならないという珍しい事態になってしまい、
結果その初戦となったノーベルガンダム戦で秒殺される……という流れになっている。

なおその後調整に成功してからのゴッドガンダムとのタッグ戦では、仇敵のランバーガンダムと協力して、
ランバーガンダム自体を巨大アックスとして変形させることでゴッドとノーベルを完全に圧倒した。
アクシデントにより試合の決着は有耶無耶になるが、恐らくあのままであればボルトクラッシュ一体によって敗北していただろう。


【二次作品・商品での扱い】

非常に扱いの悪い機体であり、スパロボX-Ωではサービス終了までボルトガンダムは実装されず、シャッフル同盟のカットインバナーでは
アルゴの位置に東方不敗が代わりに入ることになり、ネタにされた。
EXVSではドラゴンガンダムのアシストキャラクターとして実装されるも、あまりに性能が悪すぎてわずか二作品でお役御免。
他にも三国創傑伝では珍しく英傑の演者として許褚ボルトガンダムが採用されたが、他の曹操軍の面々が立体化される中、許褚ボルトだけは立体化ならずで終わっている。
他の機体と比べると機体本体のギミックがグラビトンハンマーの展開のみと地味なせいかプレイアブル性が少なく、映えないのが原因なのかもしれない。
HGFCでも他のシャッフル同盟がすんなり決まる中、ボルトガンダムは結局最後尾になることが確定しており、これを執筆している時点では立体化も決まっていない。
一番人気のドラゴンの後ではHGFC化すら危ういのでは?と訝しがられている。

意外なクロスオーバーとして、『スーパーロボット大戦T』で「トップをねらえ!」の登場人物で同じロシア(ソ連)出身のユング・フロイトにアルゴ(ボルトガンダム)への援護特殊台詞がある。


【立体化】

ガンプラは1/144のみ。低価格に合わせるためか正直プロポーションは頭でっかちで微妙。可動も恐ろしく狭い。
グラビトン・ハンマー用の柄&ビームチェーンの黄色のパーツが付属するが、武器セットのメタルチェーンと入れ替え可能。
残念ながら放送当時の1/100でもBB戦士はおろか廉価版キットのメカコレクションでも発売されることはなく(ボルトをモチーフにした武者冒流刀は発売されたが)、HGFCやMGでも音沙汰なし。
(放送当時に関しては、当時の子供向け漫画やアニメでは悪役やかませ役が多かったパワーファイター、パイロットがおっさんと子供受けが悪い要素がそろっているため仕方ないとも言えるが)

なぜかGガンが異様に充実したMIAでは当然ながら発売されている。
こちらはプロポーションはマシになっているが、やはり可動は狭い。
グラビトン・ハンマーのビームチェーンは本編と同じく青色のパーツになっている。


【余談】

上述のビクトルエンジンのパワーはなんと本編屈指のチート機体マスターガンダムを一時的に押さえつけるほどで、
小説版では設定が大きく異なるとはいえ石破天驚拳を食らってもなお、マスターアジアへ必死に食らい着いている。
上述の『超級!機動武闘伝Gガンダム』ではTV版におけるスーパーモードにあたる「パイレーツモード」が登場している。




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最終更新:2025年02月15日 19:08