バトルランナー(映画)

登録日:2016/06/10 Fri 23:52:38
更新日:2025/04/10 Thu 15:51:53
所要時間:約 7 分で読めます




「変なのが来たわ」

「ま た か よ」

チャンネルはそのままで
stay tuend


■バトルランナー


『バトルランナー(原:the Running Man)』は1987年に公開された米国の近未来SF映画。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演で送る☆筋★肉☆式★論☆破★作品の一つ。
監督は俳優出身のポール・マイケル・グレイザー。
脚本は名作アクション映画『48時間』や、筋肉式★◯◯(語録)の開祖たる『コマンドー』を執筆したスティーヴン・E・デ・スーザと、企画の段階で“マッチョ”な匂いが漂ってくる。
台詞も当時の(シュワ)映画らしく、言動が悉く荒く、邦訳吹替も正に神である。
サウンドトラックを『ビバリーヒルズ・コップ』と『トップガン』で知られるハロルド・フォルターメイヤーが手掛けていることももっと知られていい。前2作のサウンドトラックがどっちもグラミー賞を受賞しているが今回は筋肉のが目立ったためか逃している。

原作はスティーヴン・キングが82年にリチャード・バックマン名義で出版した、近未来SF、デストピア作品の傑作『ランニングマン』で、原作については別項目を参考。*2

尚、原作と映画では主人公の名前以外の共通点が全くと言っていい位に無く、映画をキング小説の映像化作品であると知らない人間も多い位である。*3


【物語】

……西暦2017年。
警察国家と化したアメリカ。
警察官のベン・リチャーズは、食糧を求めるデモ隊への発砲命令に逆らった罪で強制労働キャンプに投獄されるも獄中で知り合った反政府ゲリラのヴァイスとラウリンと手を組み脱出。
弟のエドワードを頼りに彼のアパートへと侵入するが、既にエドワードが“再教育”送りになった事を新しい住人のテレビ局職員のアンバーから聞かされる。しかも、この後は話題にも出されないエドワード。

反抗的なアンバーを筋肉式★説得術で懐柔して飛行機で国外逃亡を図るも、筋肉★時間に馴れていなかったアンバーに裏切られて空港の警備隊に拘束されてしまうリチャーズ。

……一方、閉塞的な管理社会の中で体制批判から国民の目をそらせるために実際に人間が狩られる場面をリアルタイムで中継する事で絶大な支持を集めていたチャンネルICSのテレビ番組『ランニングマン』の支配者デーモン・キリアンは、たまたま報道されたのを目にしたリチャーズの脱獄劇の様子から、長く続いていたマンネリの打破の為にベンをこの残酷な娯楽へと出場させることを思い付く

キリアンが政府の反対を押し切り、リチャーズと既に捕まっていたヴァイスとラウリンの3人をジェットコースターで地下施設へと送り込んだ頃……。
リチャーズの言葉と、テレビで流された空港での逮捕時の状況が捏造されていた事から疑いを抱いたアンバーは、資料室からベンの真実の資料を盗み見てしまい、その事で彼女もまた『ランニングマン』に送り込まれることになるのだった。

果たして、リチャーズ達は『ランニングマン』を生き延びる事が出来るのだろうか?

【ランニングマン】

番組が選んだ犯罪者(偽装あり)=ランナーを、4つのゾーンに分かれた広大な地下ステージに放ち、観客が指名した番組お抱えの追跡者=ハンターに追わせて殺害されるまでの場面を放送している人気番組。
規制だらけの社会での最大の娯楽であるが、それに熱狂するスタッフや観客達の醜悪さも注目の一つ。
番組の外では「次に誰が人を殺す(傷つける)のか」が賭けの対象にまでなっている。
制限時間は3時間で、逃げ切ったランナーには自由が与えられるというが……?

情報統制された社会(という設定)の番組にしてはエンタメ精神に溢れまくっているのは、当時に実際に放映されていた米国の人気バラエティー番組『ザ・グラディエーター』を参考にしたからであるらしい。


【登場人物】

「お断りだね」
武装ヘリのパイロットであった元警察官だったが、食糧を求める下層市民への攻撃命令に背いた事でその全ての罪を押し付けられてしまった上に投獄される。政府も虐殺と理解していたらしい。……じゃあやるなよ。
脱獄した後、どう見ても違和感のある扮装(配管工)をして弟を頼りにするが、前述のドタバタを経て拘束。
自由を懸けて『ランニングマン』に出場する事になる。
自分をこんなバカげたショーに出演させた上に捏造までして悪役に仕立て上げたキリアンに「また会おうぜ(I'll be back)」と言い残してゲームに向かうが……。

  • アンバー・メンデス
    演:マリア・コンチータ・アロンゾ
    吹替:土井美加(フジテレビ版)/幸田直子(テレビ朝日版)/沢海陽子(DVD版)/朴璐美(VOD版)
「冗談はそのカッコだけにしてよね!この玉無しバッテリー野郎!」
運悪くエドワードの居なくなった後の部屋に入っていた為に、リチャーズに人質にされた上に連れ回される事になった不運な人。
テレビ局の人間で、番組用の音楽やCM曲を作っていたらしい。
リチャーズの筋肉に怯えていただけで彼の言葉は信じていなかったのだが、空港での捏造映像から疑念を抱き『ランニングマン』送りになる事に。
『ランニングマン』は何故か糞ダサい全身タイツがコスチュームなのだが、彼女は妙にムチムチしてエロい。
中の人は後に『プレデター2』にも出演している。
リチャーズからは空港の一件もあってかお荷物扱いされていたが、最後は彼女の存在が物語の解決に貢献する。

  • ウィリアム・ラウリン(ラフリン)
    演:ヤフェット・コットー
    吹替:池田勝(フジテレビ版)/麦人(テレビ朝日版)/広瀬正志(DVD版)/乃村健次(VOD版)
リチャーズと共に脱獄した反政府ゲリラで黒人。
ラウリンとヴァイスの2人の解放はリチャーズがゲームに参加する為の条件だったのだが、悪辣なキリアンはそれを無視して涼しい顔で3人をゲームに送り込んだのである。

  • ハロルド・ヴァイス(ワイス)
    演:マーヴィン・J・マッキンタイア
    吹替:富山敬(フジテレビ版)/江原正士(テレビ朝日版)/宮本充(DVD版)/丸山智行(VOD版)
リチャーズと共に脱獄した反政府ゲリラでメガネ。頭脳派でハッカー。
地味に活躍多し。

  • ミック
    演:ミック・フリートウッド
    吹替:坂口芳貞(フジテレビ版)/宮内幸平(テレビ朝日版)/城山堅(DVD版)/北島善紀(VOD版)
反政府ゲリラのリーダー。
中の人はミュージシャン。


【ランニングマン関係者】


  • デーモン・キリアン
    演:リチャード・ドーソン
    吹替:石田太郎(フジテレビ版)/山内雅人(テレビ朝日版)/糸博(DVD版)/辻親八(VOD版)
「黙ってないで何か言えよ!視聴率が9%も上がったんだぞ?!」
通称北米版み◯も◯た。
『ランニングマン』の司会にして支配者で、番組の威光を盾に司法省からの突き上げもかわす外道。大統領補佐官ともコネがある。
実際、北米版◯の◯ん◯で説明が付いてしまうんだから仕方ない。
捏造(CGによる高度な映像加工)まで利用して悪役に仕立て上げたが、予想を遥かに越えるリチャーズの筋肉によりゲームが乱された上に観客までもがリチャーズを支持し始めた事で焦りまくる。
名言極めて多し。
「嘘なもんか」

  • ブレンダ
    演:カレン・リー・ホプキンス
    吹替:一柳みる(フジテレビ版)/駒塚由衣(テレビ朝日版)/岡本章子(DVD版)/竹内夕己美(VOD版)
キリアンの秘書。

  • フィル
    演:ロジャー・バンパス
    吹替:千田光男(フジテレビ版)/大塚芳忠(テレビ朝日版)/古田信幸(DVD版)/落合弘治(VOD版)
『ランニングマン』のナレーション。

  • スヴェン
    演:スヴェン=オーレ・トールセン
    吹替:徳丸完(テレビ朝日版)/山野井仁(DVD版)
「ホルモン剤を飲まなくちゃ」
キリアンの警護やランナーの移送といった役目を引き受けている。
終盤にキリアンから受けた心ない悪態がラストの伏線に……。


【追跡者】*4

『ランニングマン』の出場者を追い詰めて惨たらしく殺すのを仕事にしている大男集団。
肉体だけでも威圧的なのに、更に各々が面白装備を持っていてデモンストレーションでそれを披露する。

  • Subzero(サブゼロ)
    演:プロフェッサー・トオル・タナカ
    吹替:大友龍三郎(テレビ朝日版)/小形満(DVD版)/小林達也(VOD版)
アイスホッケーの選手の恰好をし、ホッケー仕立ての闘技場でツルツルと不自由なランナーを追い立ててゴールにエキサイティングにシューーート!させる変態。
先が刃物になっているホッケースティックを振り回し、更にホッケーパックには爆薬まで仕込んであるという鬼畜ぶりである。
中の人は元プロレスラー。

  • Buzzsaw(バズソー)
    演:ガス・レスウィッシュ
    吹替:島香裕(フジテレビ版)/笹岡繁蔵(テレビ朝日版)/水内清光(DVD版)/樋山雄作(VOD版)
その名の通り、強化スチール製の特別仕様の電動ノコギリ(チェーンソー)装備にオフロードバイクに乗って襲いかかってくる力持ち。捕獲用に先に二股になっていておもりがついたロープも使う。自分を更に上回る筋肉が居たことには気付かなかったようだがな!

  • Dynamo(ダイナモ)
    演:アーランド・ヴァン・ドリス
    吹替:飯塚昭三(フジテレビ版)/郷里大輔(テレビ朝日版)/高瀬右光(DVD版)/三浦博和(VOD版)
通称「クリスマスツリー」「豆電球野郎」古代ローマ風の兜を被り全身電飾だらけで、これまた電飾のついた未来的なデザインのバギーに乗って追跡する。両腕からの放電が武器。
あまりのインパクトからハンター連中の中でも別格的な人気を誇る(ネタ的な意味で)。
登場時やバギーでの追跡時のオペラは中の人がガチで披露しているので心して聞こう。*5

  • Fireball(ファイアーボール)
    演:ジム・ブラウン
    吹替:大山高男(フジテレビ版)/筈見純(テレビ朝日版)/水内清光(DVD版)/田所陽向(VOD版)
未来的なコスチュームを着用し、火炎放射器に飛行ユニットまで装備した黒人ハンター。肉ダルマが多いハンターの中ではスリムな体形をしている。
最初は穏やかに番組の進行を見守っていたが、リチャーズの思わぬ活躍に出番が回ってくる事になる。
彼のセリフや死体の状態からして、かつて『ランニングマン』に勝利して、現在は自由を謳歌すると喧伝されていた三人のランナー達は、全員彼に始末されていたと思われる。

  • Captain Freedom(キャプテン・フリーダム)
    演:ジェシー・ベンチュラ
    吹替:秋元羊介(フジテレビ版)/谷口節(テレビ朝日版)/高瀬右光(DVD版)/天田益男(VOD版)
「その調子だ!もっと苦しめ!…もっと頑張れ!」
10年前までは最強のハンターと謳われていた男だったが、現在では一戦を退いてワークアウト番組やリポーターを担当している。
ロートル扱いなのか、キリアンの態度も雑である。
現役ハンター達が揃って潰された事から出撃が命じられるが、観客の反応も微妙で本人もガラクタのような訳の分からん装備を付けさせられる等、フラストレーションが溜まりまくりだった。
尚、チェーンガンは使わない。
立ち位置的にもライバルやラスボスみたいな感じなのに微妙に違う人。
シュワちゃんとの対決は後の州知事同士の対決という意味でも豪華。


この他にPAINという追跡者がポスターのみで登場している。




ランニングマン!この番組の提供は軍服造りの老舗ブレイクアウェイ社と、元気モリモリ精力剤のオルゴーと、キリアンのCMでおなじみのカードレアコーラでした。番組に協力してくれたのは、エルトン火炎放射器と、ライトスピード自動車と、ハモンド&ゲイツチェーンソーの各社。デーモン・キリアンの衣装を提供してくれたのは19世紀の技術を21世紀に生かすシェズ社、そしてスタジオの警備員のために銃などの武器を提供してくれたのは愛国ピストル社でした。なおスタジオ見学をご希望の方は優良市民であることを示す証明書をご提示ください。またこの番組にランナーとして出演したい方はICSのタレント課に履提書を送付し、名前を登録して、世の顰蹙を買う悪事をどんどんしでかし、腕に磨きをかけておいてください。では今夜はこれでお休みなさい。また来週!




「追記修正にかけちゃあんたほどの経験はないが俺は学ぶのは早い、観客が求めてるのはきっとこうする事さ!」

「クソッタレめ地獄へ落ちろ」

「こっちのセリフだ」


「まさに大★ヒットだ」

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最終更新:2025年04月10日 15:51

*1 ※元々は「ストーカー」だが、現在は「ストーカー」犯罪によるイメージへの配慮から「ハンター」と訳されている。

*2 日本では映画の公開に合わせてスティーヴン・キング名義の上に『バトルランナー』のタイトルで発売された。もはや詐欺と言っても良いレベルである。

*3 一応、原作を知った上で見ていると設定部分では原作を活かした部分も多いのだが、全てを筋★肉が歪めているのである。

*4 ※元々は「ストーカー」だが、現在は「ストーカー」犯罪によるイメージへの配慮から「ハンター」と訳されている。

*5 演じたアーランド・ヴァン・ドリス氏は映画の公開前に亡くなってしまっている。