レバー(食肉)

登録日:2011/12/17 Sat 20:40:23
更新日:2025/09/25 Thu 20:57:50
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レバーとは、動物の肝臓の事。
ここでは、食用とされるそれについて主に説明する。

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■概要

モツの一種。
解毒機構を司る動物の肝臓は、その豊富な栄養価から摂取が推奨される。特に鉄分を多く含むので、血が不足しがちな人は食べると良い。

ただし余りに栄養豊富なため、食べ過ぎるとビタミンA(レチノール)の過剰摂取となり、先天性奇形につながるという報告がある。厚生労働省も、妊娠3ヶ月までは継続的な過剰摂取はやめるようにと注意喚起しているので、妊娠したい人や妊婦さんには積極的に勧めないでおこう。目安は豚でも鶏でも一食につき食べる目安は焼き鳥一本。かなりのビタミンA含有量であることがわかる。また悪玉(LDL)コレステロールも多いため食べ過ぎると動脈硬化の原因になり得る。

一方、血の臭いにも似た癖や香りから、好き嫌いがはっきり別れる食品でもある。
特に、火を通す調理だと、それが強まるので、近年は生食が好まれる傾向もあるが、最近ユッケに続き食中毒菌であるO157*1が検出されるなどして、牛と豚は法律で提供が禁止されている
鶏など法規制されていない食材に関しても、食中毒の危険性は高いので注意が必要。


■レバーが食される動物

どれも臭みを取るために牛乳で洗う「マスキング」をしよう。

■メジャーなもの


最もメジャーな存在にして高級食材。
体温も高いため生食出来る貴重な存在だったが、2012年に生食用での提供は法律で禁止された
しかし、加熱でも充分に美味。

◆豚
牛より手軽だが、間違っても生食できない。2015年のより生食用での提供は法律で禁止された
しかし、レバニラなどで牛から代えるとコストダウンを狙える。
なおビタミンAの含有量は牛より多い。

◆鶏
焼き鳥の鶏レバーはメジャー。
未調理の食材だとハツ(心臓)もついてくる。切り分けてから両方とも有り難く頂こう。
生食用の提供は規制されていないものの、食中毒のリスクがあるので注意が必要。
鶏の脂肪肝は白レバーと呼ばれ、血生臭さのなくトロリとした舌ざわりだが市場にはあまり出回らない。


牛より体温が更に高いので、身も刺身で安全にいけるが、レバーも美味。
レバ刺しも同じ理屈で大丈夫とされるが、自己責任で。

◆アヒル、ガチョウ
フランス料理でおなじみ、世界三大珍味のひとつフォアグラはアヒルやガチョウの脂肪肝。


■その他のレバー

(きも)と呼ばれる事の方が多い(特に魚介類)。

◆アンコウ
アンキモはのフォアグラと呼ばれるほど濃厚で美味。痛風鍋の主役のひとつ。

◆カワハギ
こちらの肝も海のフォアグラと呼ばれる。
身の刺身を肝醤油で食べると美味。

◆イカ
塩辛にまぶされる肝は濃厚で非常に美味。
季節のイカの肝のみを集めた塩辛は、カマンベールチーズを思わせる味わい。

◆蟹
実はカニミソと呼ばれる部位は肝臓に当たる。
カニで最も美味い場所だろう。

スッポン
知る人ぞ知る珍味。
スッポンのレバ刺しは非常に高価だが、同じ大きさの宝石と引き換えにしても惜しくない程の美味。


■主なレバー料理

◆レバニラ炒め
定番中の定番。スタミナ野菜のニラがパートナーになって精力が付かない訳がない。ご飯のお供、ビールの肴とご自由に。バカボンのパパの大好物でもある。

◆レバーステーキ
レバーをシンプルにステーキに。
丸ごと使うので上質なレバーでないと厳しく誤魔化しが効かない。

◆レバ刺し
上級者向けにして究極の食べ方。レバー本来の味を楽しみたい人に。
最近では比較的安全な低温調理によるレバ刺しもある。
いずれにしても、食中毒の危険性が高いので注意すること。

◆レバカツ
初心者にお奨めの食べ方。2~3ミリに薄く切ったレバーをフライにしてソースを浸けて。ビールが進んで止まらない。

◆レバーパテ
初心者にお奨めの食べ方その2。味付けしたレバーをペースト状にして同量のバターを加えて冷蔵庫へ。滑らかな食感とコクがパンと良く合う。


■【要注意なレバー】


◆イシナギ
ホッキョクグマ
アザラシ
イシナギはハタ科の魚。他の2種の解説は割愛。
これらはいずれも肝臓内のビタミンAが濃厚すぎて、猛毒の域に達しているとのこと。
イヌイットの人達はホッキョクグマやアザラシの肝臓を決して食べないし、イシナギの肝臓は日本では1960年に食用禁止となっている。
(参考:厚生労働省HPより https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_det_07.html )

またビタミンAの過剰摂取は慢性中毒の危険もあるため、上記以外のレバーも食べすぎには注意。
用量・用法を守って正しい摂取を心がけよう。



以下、禁断の味

◆フグ
上記のスッポンを凌ぐと言われる美味。
上質な肉や魚は、その旨味を上回る甘味があると称されるが、このフグの肝臓は、その甘味がもはやコンデンスミルクの域にまであると言う。
だが、ご存知の通り、テトロドトキシンと言われる、に至る猛毒の塊である。しかし、その美味故に、中毒覚悟で食べる人もいると言う。

現在、養殖場では、肝臓食出来るフグを研究中だが、進展は芳しくないらしい。




追記、修正は、安全な牛レバ刺しの開発を切に祈る方お願いします

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最終更新:2025年09月25日 20:57

*1 赤痢菌とほぼ同じ毒素(猛毒)を産生する非常に危険な大腸菌。感染すると激しい腹痛や出血性の下痢(下血)が起こり、最悪の場合は腎臓やに重い障害が残ったり死に至る。