アライメント(ゲーム用語)

登録日:2018/05/03 Thu 15:07:04
更新日:2021/03/04 Thu 20:02:24
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アライメント、もしくはアラインメント(alignment)とは「並べる」「整列する」などを意味する英単語。
ここでは、そこから派生したゲームにおける属性用語を取り扱う。

概要

一般的な意味で言う「四属性」などとは異なり、こちらは「そのキャラクターの人間性」を表す用語である。
自分のスタンスと同時に「自勢力*1からどう思われているか?」と言った面もあると思われる。
戦闘には直接関わらないことが多いが、シナリオや職業などに大きな影響を及ぼすことがある。

その出展は初期のTRPGである『ダンジョンズ&ドラゴンズ』にまで遡る。
マイケル・ムアコックのファンタジー小説に着想を得ており、最初期のものは秩序・中立・混沌の三つで、善は秩序に悪は混沌に内包されていた。
日本のゲームではあまり採用されないが、キャラクタークリエイションが一般的な洋ゲーでは頻繁に目にする概念。

アライメント一覧

「秩序-混沌軸(倫理軸)」と「善-悪軸(道徳軸)」の二系統があり、大まかにそれぞれに3つに分かれると考えると良い。

秩序-混沌軸

「ルール」への態度で決まるアライメント。外部のルールに従うか否かが重要。
行動を起こす際に採りうる手段の分類。

秩序

ロウ。
簡単に言うと、「ルールや法律は必ず守る」という性格。
しばしば「正義」と混同されるが、実のところ「秩序」「規律」を重視する性格であり、正義か悪かは関係ない。(とは言え、秩序が保たれている状態が正義とされることは多いだろうが)
時として、ルールに固執するその姿勢がかえって悲劇を招くこともある。
また、どんな時であろうとルールを最優先するということで、軋轢を生みだすこともあるだろう。
逆に言えば、あなたが「秩序」を守ることに安らぎを覚えるなら、とても付き合いやすい相手になるはずだ。

混沌

カオス。
簡単に言うと、「ルールや法律なんて知ったことか。俺の感情が最優先だ」という性格。
ただし、決して「あえて法律を破って回る」無法者というわけではない。
メリットやデメリットで決めているのではなく、社会的な「秩序」より自らの「感情」を上位の行動原理に置いているだけなのである。
ゆえに彼らは「自由」である。ルールを嫌う彼らは社会から保護されることがない代わりに、社会に縛られることもない。
常に自身の快楽を最優先するその姿勢は、社会に大きな混乱をもたらすことも少なくない。
逆に言えば、あなたが「混沌」がもたらす大きな自由に深い喜びを覚えるなら、彼らに共感を覚えることだろう。

中立

ニュートラル。
簡単に言うと、「ルール? 守りたい時は守るし、守りたくない時は守らないよ」という性格。
秩序のようにルールに縛られることもなく、混沌のようにルールから外れすぎることもない。
ある意味では現実の人間に最も近い存在である。
バランスを重んじ、どちらか片方に極端に振り切れることを嫌う彼らはある意味では混沌以上に自由である。
ある意味では中途半端であり、どっちつかずな姿勢故に嫌われることもある。
逆に言えば、あなたが「中立」という姿勢を貫き通すだけの強い意思を持っているなら、それは秩序と混沌双方のメリットを享受できるということになるはずだ。

善-悪軸

「自らの利益と他人の利益を比較してどちらを優先するか?」ということを重視する。行動の動機付けの分類とも言える。

グッド。
いわゆる利他的な人間。
困っている人がいれば手を差し伸べ、悪がなされようとしていればそれを止める。
いわゆる正義の味方という言葉が似あう役回りでもある。

イビル。
いわゆる独善者、あるいは悪人。
自らの、または自らの属する組織の利益にしか興味がなく、その結果他人がどうなろうが知ったこっちゃない。
ウィザードリィなどでは「悪」と言ってもそこまでの悪ではなく、単なる利己主義な人間ということにされている。一方、D&Dなどでは悪の属性の存在はまごうことなき悪である。

中立

ニュートラル。
「善でも悪でもない」というと日本人的には中庸の素晴らしい存在のように思えるかもしれないが、大半は信念としての中立ではなく、単にどっちつかずなだけである。
秩序-混沌と同様、ある意味最も普通の人間らしいアライメント。

杖を突いた老婆テスト

「なんだかわかりにくい……」という人のためにわかりやすく説明するために考案されたテスト。
シチュエーションを説明すると、「車の通りの多い道路で杖を突いたお婆さんが道を渡れず困っています。どうしますか?」というアライメント診断テストである。

    • 自分と渡っている道が違っても助ける。つまり、自身が不利益を被っても助ける。
  • 中立
    • 自分と道が同じなら助ける。困っている人を見捨てるほど非人道的ではないが、かといって自分が不利益を得てでも助けようとはしない。
    • 見返りがあるなら助ける。自分への利益がないなら助けない。

というような感じ。これはウィザードリィの説明書にも載っている最も代表的なパターンだが、作品によっては別の解釈になることもある(この場合の悪は単なる利己的な人間とされており、明確な悪人というわけではない)。
なお、秩序-混沌軸はこの診断の対象外。
ちなみにウィザードリィ#1の悪役ワードナだと「老婆を道の真ん中に置き去りにして荷物を全部奪う」になる。大ボスの癖にやることがみみっちい。

9属性型アライメント

実はD&Dの最初期はこちらだった。複雑すぎたので現在は簡略化が為されている。

- 秩序 中立 混沌
中立

①善にして秩序

規律正しく他者を慈しむ心を持つ聖職者タイプ。
社会のルールに従いさえすれば、幸せになることができると信じている節がある。

②善にして中立

基本的には他人のために行動するが、その基準はその時々で変化する。
ルールに従うことがより他人のためになるならそうするし、逆にルールを破ることが他者のためならば躊躇なく破る。
意外な事に(C)RPGの勇者の大体はこの部類。実際、権力者や民衆の頼みを聞く一方で宝物庫や民家の宝を略奪していくなど、秩序的と言い切れない。

③善にして混沌

他者を思いやる心を持っているが、その基準はあくまで自身の心の内にのみあるというタイプ。
粗暴ではあるが、決して他者を無意味に虐げることはない。いわば頼れる親分肌のキャラ、
「それが秩序を乱す行為だと確信しても」他者のためならば法に縛られず行動するダークヒーローもこれ。

④中立にして秩序

主として栄誉や賞賛などを好む傾向のある性格。
「自分のため」に行動することも多いが、同時に社会の規範を重視し、社会のルールの中で成り上がろうとする傾向が強い。

⑤真なる中立

何も選ばない完全な中立主義者。
その時々で何を基準に動こうとするかは変わって来る。ある意味最も信頼のおけない人種。

⑥中立にして混沌

自由を好み、縛られることを嫌う無政府主義者。
悪人ではないが、自身も他者もルールに縛られることを極端に嫌う。

⑦悪にして秩序

あくまで「ルールの中」で自身の利益を最大にすることを目論む者。
最も近い職業を言うなら「詐欺師」。
あるいは、「自らの考える秩序こそが社会にとって最も正しい」と考え、既存の社会を破壊し新たなルールを構築しようとする圧政者タイプもいる。

⑧悪にして中立

最も危険な性格。「自らの利益を最大にするためならばあるものは全て利用する」というタイプ。
善にして中立がそのまま逆転したような性格で、自分の利益になるならば、ルールを利用することも、逆にルールを破壊することも厭わない。
利己主義者であると同時に、何をやらかすかわからないという危険性を孕んでいる。

⑨悪にして混沌

自らが自由であることに最も重点を置き、そのためならば他の何を犠牲にしても構わない、という性格。
社会を徹底的に破壊する暴君の属性。逆に言えばそれは時として革命者の属性でもあるが。

アライメントを採用した主なゲーム


ウィザードリィ

この手のゲームでは有名な例になる。
職業と密接に関わるシステム。
ロードには善しか転職できないし、シーフには中立か悪しか転職できない。
中には「善か悪しか転職できない(中立だと就けない)」という職業もある。(僧侶などが代表例。どっちつかずではなく、信奉する神に傾倒する必要がある)

また、パーティー編成の際も「善と悪は同じパーティーを組めない」という制約がある。
そりゃ「他人に親切にしよう」と「俺さえよけりゃいいんだよ」が同じパーティーなんて組めるわけがないだろう。
この制約の下でいかに強いパーティーを構成するかが醍醐味と言える。
……が、迷宮内で善悪混成パーティーを組むという抜け道があったり、明らかに片方だけ優遇されている*2事も。

尚、友好的な敵との戦いで相反する行動を取るとランダムで性格が変わる仕様があり、「これまで博愛に徹していたのに経験値の多い敵と一回だけ戦った為に人格崩壊してエゴイスト(悪)になってしまった」とか「超強い敵が友好的だったので見逃したらこれまでの身勝手さを反省して博愛主義者(善)となった」なんていう珍事態も発生する。
またあくまで意味合いや形式と言う面もあるのか「友好的な敵と戦闘開始直後に敵前逃亡する」、「戦闘開始直後に敵が逃亡するのを見逃す」のは悪でもオーケーであり、他人から見た評判を表しているのかもしれない。

真・女神転生シリーズ

これまた有名で、シリーズの多くで採用されている。
主人公の取った行動によって属性値が変動し、+に大きければ秩序(LAW)、-に大きければ混沌(CHAOS)、どちらでもなければ中立(NEUTRAL)に属するようになり、ストーリーの分岐にまで大きな影響を与える。
9属性型アライメントになっており、各属性ごとに善(LIGHT)、中立(NEUTRAL)、悪(DARK)も存在するが、これらはストーリー分岐にはかかわらず、会話で勧誘できるか否かに関わる。
主人公の属性と悪魔の属性が離れすぎてなければ問題はないが、異なる悪魔は会話で仲魔にできない/戦闘メンバーとして召喚できないし、作品によっては離れた属性同士の仲魔は呼び出せない。
加えて対象となる悪魔の属性に応じて効果が変化する特技が存在したり、特定の属性でなければ装備できない品が存在するなどゲーム上のシステムとしても役目を果たしている。
シナリオにおいては作品によって差異はあるものの、感情を優先して悪魔とも共存する(CHAOS)ルートや、極端に走らず人間として生きる(NEUTRAL)ルート等は比較的ハッピーエンドと言われやすいが、天使及び神に従う(LAW)ルートはディスピアENDになりやすく、メガテンのLAWルートはろくな終わり方をしないと言われている。
詳しくは属性(真・女神転生シリーズ)も参照されたし。

タクティクスオウガ

ユニット一人一人にアライメントが設定されており、これによりクラスチェンジできるクラスが決まる。
ちなみに「女性のカオス」と「ドラゴンのニュートラル」には実はメリットが全然ない(女性でカオスだけ就ける職業が皆無、ドラゴンはニュートラルだと最上級職になれない)。
キャラクター一人一人の性格付けにも役立っており、「いかにも自由そう」というキャラクターはやっぱりカオスだし、「いかにも堅物そう」なキャラはロウである。

同時にゲーム全体のシナリオにも大きく関わっており、主人公デニムの行動次第で彼のアライメントが変動し、同時に進行ルートも大きく変わることになる。
通称「ロウルート」「カオスルート」「ニュートラルルート」。
「自民族への大虐殺を肯定するとロウルートに進む」という辺り非常に皮肉が効いている。

・ギレンの野望 アクシズの脅威

ChaosとLawのアライメントが設定されており、行う政策・作戦で上下する。
全陣営共通で「資金徴収、核兵器使用、非人道的な作戦」
ジオン・連邦では「中立地域(フォン・ブラウン、サイド6)に侵攻する」
ジオン限定で「アスタロス、コロニー落としの実行」でアライメントが大きくChaos側に傾く。
基本的には毎ターン僅かながらLaw側になっていくようになっている。
連邦・ジオンの2部以降(そのほかの陣営は開始以降)はChaos・Lawに影響されて、構成人員が入れ替わる。
特定のアライメント以下でなければ参加しないキャラ、特定のアライメント以上にならないと参加しないキャラがおり
特定以下で参加のメンバーは、一定以上Lawになると離脱(逆に特定以上で参加のメンバーも一定以下Chaosになると離脱)する。
そのため、特定のメンバーはその軍に所属することはあるが両立できないという事態が発生する(連邦のアムロとレーン・エイム等)
ただし、Chaosが一定以下にならなければ行えない作戦がいくつか存在する。
その代表的なものが、核兵器搭載MSの開発(ジオン系・MS06CザクⅡ(所謂核ザク)、連邦系・GP-02Aガンダム試作2号機)とソーラレイ/コロニーレーザーの使用である。


エンディングに関してはジオン・連邦は単純にアライメントの数値で決まるが、
それ以外の陣営では特定のエンディング(GoodEnd)を見るためにはアライメントが一定以上のLawかつ必要な条件を満たさなければならない。
例えばエゥーゴはブレックス暗殺阻止とヘンケン、エマ、カツを最終決戦で生贄にしてファを退役させ、クワトロの帰還イベントを発生させなければならず*3
ティターンズではバスク派を粛清してシロッコを自陣営に留まらせねばならない。

情報統制策で大きくLawに傾く等「世間の評判」と言った方が正しいのかもしれない。

ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR

「エーススタイル」という「善-悪」軸に相当するアライメントシステムが採用されており、ステージ中の展開や登場するボス等が変化する。
戦闘中に出現する「脅威度の低い敵(イエローターゲット)」(こちらに攻撃せず逃げようとする敵、攻撃目標ではない建物など)の撃破数や、
救援要請を出す友軍を助けに行くか行かないかに応じて主人公の行動指針が評価される仕組みで、
無力な者を攻撃せず、窮地の仲間を助ける「Knight(騎士)」、あくまで状況に応じて判断する「Soldier(兵士)」、
敵を叩き潰す事のみを目指し、情け容赦なく報酬を最優先する「Mercenary(傭兵)」の3段階。
また、クリアした時点でナイトかマーセナリーの何れかに振り切れる、もしくはソルジャーぴったり中央の状態でクリアすると隠し機体が開放される。

・ラングリッサーⅣ

3つのルート分岐に関わっており、それぞれ光輝・闇・中立といったところ。
勝利条件に関わらず敵を全滅させると加算、そうしなかった場合は減算され、更に最初のキャラメイク時に闇に対する親和性を見せると加算、善性を見せると減算される。
作中では二度の分岐があって選択肢次第でルートが変わるのだが、アライメントが一定以上あるとどちらのルートを選ぼうとしても有無を言わせず片方に決められてしまう。
特に中立ルートは一度目の分岐で確定するのだが、アライメントが一定以上だと強制的に決められてしまうためある程度敵を残しながら攻略していく必要がある。
二度目の分岐で残りの二つが分岐し、ここもアライメントが一定以上なら闇ルートに分岐するという形になっている。
光輝も闇も魔族(人間)を滅ぼしてもう片方の種族のための世の中を作ろうとしているため、やることは大差ないということか。
Ⅴでボーゼルが倒される時にランフォードがいなかったことから、正史は中立ルートの模様。
一応行きたいルートに行けなかったとしても、裏技の超面セレで乗り換えが可能。

・Fateシリーズ

Fateシリーズでは初期からキャラクターにアライメント設定があり、「アライメント設定を採用したゲーム」といえば確かにそうだったのだが、
ノベルゲーや小説中心のシリーズであるため、あくまでフレーバーとしての意味しか無かった。
だがシリーズキャラが登場するRPG『Fate/Grand Order』が製作され、相手のアライメントを参照する特効攻撃が登場したため、後からゲーム的意味を持つステータスになった。
なお秩序-混沌軸の観念はこの項目で紹介したのとあまり変わりないが、善-悪軸に関しては少々意味合いが異なる。
Fateにおいての善-悪軸はそのキャラクター当人の主観によって決定されるため、
我様道まっしぐらの金ピカは善だし、比較的良識人なお爺ちゃんは悪である。
これは全く異なる時代や国、文化の英霊達が一堂に会するという都合上、一面的な「善悪」の基準を策定するのが困難なため。





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最終更新:2021年03月04日 20:02

*1 価値観は勢力や物の見方で変わってしまう。味方勢力の「正義の味方(秩序にして善)」は敵勢力からすれば「自分達の命と法を脅かす邪悪な存在(混沌にして悪)」と捉えられる為。

*2 善だけが転職できるロードの専用装備「聖なる鎧」は後に悪に転じても呪われないが、悪だけが転職できる忍者の専用装備「手裏剣」は悪でなければ呪われる。そのため「善のロードを悪に転向させ、悪の忍者と組む」という方法が最強になる。侍の専用装備「村正」は性格不問なので中立でいいし、悪ならばより強い防具「悪の鎧」も装備できる。

*3 失敗するとシャアがネオジオン総帥として行動する