要塞クジラ(遊戯王OCG)

登録日:2019/06/19 Wed 23:52:52
更新日:2025/04/26 Sat 17:36:51
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へ……逃げの一手じゃなあ城之内…
いくぜよ!!二体の生贄(エサ)で海最強のモンスターを召喚じゃいー!

何!! エサ?

出でよ!
要塞クジラ召喚!!

《要塞クジラ》とは、カードゲーム「遊戯王OCG」に登場するモンスターである。

【カード詳細】


儀式モンスター
星7/水属性魚族/攻2350/守2150
「要塞クジラの誓い」により降臨。
場か手札から、星の数が合計7個以上になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。

  • 専用儀式魔法《要塞クジラの誓い

儀式魔法
「要塞クジラ」の降臨に必要。
場か手札から、星の数が合計7個以上になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。

【概要】


初出はゲームボーイで発売された「遊☆戯☆王デュエルモンスターズII 闇界決闘記」のゲームオリジナルカード。
ジャンプフェスタ2000にて限定発売された「プレミアムパック2」がイベント終了後に「DARK CEREMONY EDITION」として一般発売された際に新規でOCG化された経緯がある。

《ゼラ》や《スーパー・ウォー・ライオン》といった効果のない儀式モンスターの1つである。
初期のカードということもあり、実戦で使えるかというと……そうでもない。

ただでさえ消費の激しい儀式召喚に加え、攻撃力もリリース1体で出せる上級モンスターの攻撃力の基準値2400を下回っており、
その上効果もないので、カードの消費を取り返すのは難しいだろう。

それでも使い道がないわけではなく、

  • ダイガスタ・エメラル》で蘇生でき、《ヴィジョン・リチュア》で儀式召喚のリリースを減らせる。
  • 《高等儀式術》でレベル7モンスターを墓地に送って儀式召喚、その後蘇生しランク7のX召喚を行う。
  • 《E・HERO アブソルートZERO》の融合素材にもできる

等、持ち主の愛によって使い方はいくらでもある。

【原作での活躍】


「バトルシティ編」の「城之内克也VS梶木漁太」戦にて梶木が使用した、彼の切り札。
このカードは元々ゲーム作品やOCGを初出としているのだが、まさかのエース級モンスターとして原作漫画への逆輸入を果たした。
攻撃名は「ホエール・ボンバード」。背中の砲台による砲撃。

ここでは通常召喚可能なモンスターであり、フィールド魔法《》により攻撃力2550となった上、
伝説のフィッシャーマン》と水族館のプールを利用したステルス戦法で城之内を圧倒した。
OCG版と異なり効果を持ち、強力なモンスターとして扱われていた。

その効果はこちら

  • クジラでありながら飛行能力を持ち、宙に浮いている。
    これにより飛行能力を持たないモンスターからの攻撃を受けず、《落とし穴》等の一部の罠カードの効果を受けない。

  • 「ホエール大回転(スピン)」なる能力を持ち、背中に乗ったモンスターを振り落とせる。
    この効果の詳細は不明。(ソリッドビジョンで行われる原作ではよくあることである)

特に飛行能力は原作漫画ではかなり強力な効果として扱われており、一見《半魚獣・フィッシャービースト》より劣るこのカードが梶木の切り札として扱われるのも飛行能力が原因と思われる。

最後は《マジックアームシールド》で《伝説のフィッシャーマン》を失い、《鎖付きブーメラン》と《稲妻の剣》を装備した《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》に倒された。
その後、アンティルールにより城之内に託された。
逆輸入なので誤解されがちだが、上記のように原作だと通常召喚可能な上級モンスターなので儀式魔法は必要ない。
原作における飛行能力はかなり強力であるため、召喚さえされれば活躍できたはずなのだが、梶木から受け継いだカードとしては伝説のフィッシャーマンの方が目立っており、その後のデュエルで使われることはなかった。

アニメ版では、OCG準拠にされ儀式モンスター化。
だが、勝利後にこのカードとフィッシャーマンだけを渡す展開はそのままのため、儀式魔法を渡した描写がない上に、アニオリでも登場できない憂き目にあう羽目に⋯。


それから年月が経ち、遂に奴は進化した……。






【リメイクモンスター】


城塞クジラ
効果モンスター
星7/水属性/魚族/攻2350/守2150
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、
自分フィールドの水属性モンスター2体をリリースして発動できる。
このカードを特殊召喚する。
(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「潜海奇襲」1枚を選んで自分フィールドにセットする。
(3):1ターンに1度、自分フィールドの水属性モンスター1体のみを対象とする
相手の魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。


デュエリストパック-レジェンドデュエリスト編-で登場した《要塞クジラ》のリメイクモンスター、儀式モンスターから効果モンスターへと変わった。

①は水属性モンスター2体をコストに手札・墓地から特殊召喚する効果。
《素早いアンコウ》《素早いビーバー》や、《超古深海王シーラカンス》、【ガエル】《深海のディーヴァ》等、
コストの調達方法は豊富にある。さらには蘇生も容易。

②は特殊召喚時に《潜海奇襲》をセットする効果。
このカードについては後述。

③は水属性モンスターに耐性を与える効果。
無論、自身にも適用される。
これは原作の《落とし穴》無効を再現したものだと思われる。
だがこれで防げる落とし穴の方が珍しいので実戦だと落ちた上に除外されて帰ってこれない可能性が高い


潜海奇襲(シーステルスアタック)
永続罠
(1):このカードの発動時の効果処理として、自分の手札・墓地の「海」1枚を選び、発動できる。
(2):フィールドに「海」が存在する場合、表側表示のこのカードは以下の効果を得る。
●1ターンに1度、自分フィールドの水属性モンスター1体をエンドフェイズまで除外して発動できる。
このターン、自分フィールドの表側表示の魔法・罠カードは相手の効果では破壊されない。
●元々のレベルが5以上の自分の水属性モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。
その相手モンスターを破壊する。

このモンスターの実質的なサポートカードと言えるカード。

①は発動時に《》を発動する効果。
限定的とはいえフィールド魔法カードを墓地から再利用できる便利な効果。
勿論《伝説の都 アトランティス》等の《海》として扱うカードにも使える。

②は《海》発動時に使える2つの効果

1つは水属性モンスターを一時的に除外し、自分の表側表示の魔法・罠カードを効果破壊から守る効果。
永続効果は相手から優先的に狙われやすいので、このカードや《海》を守ることができる。
水属性モンスターの除外も相手からの攻撃や効果の回避にも使え、EXモンスターゾーンを開けると言った動きも可能。
また《E・HERO アブソルートZERO》を対象にすることで、毎ターン全体除去を行える。


もう1つは元々のレベルが5以上の水属性モンスターと戦闘を行うモンスターを破壊する効果。
自爆特攻でも発動し、回数制限もないのでアドバンテージも稼ぎやすい。


元ネタは梶木の得意な戦術「シー・ステルス・アタック」から。
原作では攻撃を制限しやすい海にモンスターを潜ませることで、一方的に攻め立てる戦法。
バトルシティ編では前述の通りディスクのソリッドビジョンとプールを利用した「シー・ステルスⅡ」へと進化した。

原作では海をバウンスされたことで敗北したが、このカードもバウンスには弱い。


大要塞クジラ
効果モンスター
星7/水属性/魚族/攻2550/守2350
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドに「海」が存在する場合に発動できる。
このターン、自分の水属性モンスターは直接攻撃できる。
(2):相手バトルフェイズに、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(3):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
自分のデッキ・墓地から戦士族・水属性モンスター1体を選び、手札に加えるか特殊召喚する。


デュエリストパック-深淵のデュエリスト編-で登場した《要塞クジラ》のリメイクモンスターその2。

(1)は《海》が場にあれば自分の水属性モンスターに直接攻撃を可能にさせる効果。
永続効果ではなく起動効果であるためバトルフェイズ中に蘇生しても直接攻撃は付与出来ないが、発動後に《海》が場から離れても直接攻撃能力は消えないと言うメリットもある。

(2)は相手バトルフェイズ中に相手モンスター1体を破壊する効果。
バトルフェイズ限定かつ対象を取る破壊とは言えノーコストで破壊できるためアドバンテージを稼げる。
除去の対象になりやすいが、破壊されたなら(3)の効果に繋げることも可能。

(3)は場の自身が破壊された時にデッキor墓地から戦士族・水属性を手札に加えるか特殊召喚する効果。
対応するカードは多く存在するが、可能なら《海》に対応する効果を持つ伝説のフィッシャーマン系列を選びたい。

(1)と(2)の効果の元ネタはおそらく「シー・ステルスⅡ」で姿を隠した《伝説のフィッシャーマン》で城之内の《リトル・ウィンガード》を破壊してから直接攻撃を決めたシーン、(3)の効果は《要塞クジラ》が破壊された次のターンに《黙する死者》で《伝説のフィッシャーマン》を蘇生させたシーンと思われる。


また、「シー・ステルスⅡ」もこのカードのサポートが出来るような調整で同時にカード化されている。

潜海奇襲Ⅱ(シー・ステルスツー)
永続魔法
このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「海」として扱う。
(2):自分フィールドの水属性モンスターは、
水属性以外の相手モンスターの効果の対象にならない。
(3):自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。
自分の手札・墓地から、「海」のカード名が記されたモンスター
または水属性の通常モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは、そのバトルフェイズ終了時に破壊される。

(1)は場と墓地にある自身を《海》として扱う効果。
これにより《大要塞クジラ》の(1)の効果の発動条件を満たせ、《潜海奇襲》で墓地から発動したり出来る。

(2)の効果は自分の水属性モンスターに水属性以外のモンスター効果の対象にならない耐性を付与する効果。
対象を取らない効果は防げず、水属性モンスターの効果は素通りしてしまうものの、水属性モンスターを使用しない相手には中々刺さり、《城塞クジラ》と併用すれば対象を取る水属性モンスターの効果も止められる。

(3)の効果はバトルフェイズ開始時に手札か墓地から《海》に関連するモンスターか水属性の通常モンスターを自壊デメリット付きで特殊召喚する効果。
守備表示で特殊召喚するので追撃には使えないものの、単なる壁として相手の攻撃を防ぐだけでなく、《大要塞クジラ》を出して相手モンスターを破壊しつつ自壊デメリットをトリガー(3)の効果を誘発させたり、大量展開した相手に対して《海竜神─リバイアサン》を出して水属性以外を墓地送りにしたりと柔軟に動ける。
《潜海奇襲》があるなら呼び出したモンスターを除外して自壊デメリットの踏み倒しも出来る。



【余談】


  • クジラは哺乳類なのだが、このモンスターの種族は魚族である。
    まぁ、このカードに限ったことではないのだが。

  • 魔法カードのイラストに登場した初のモンスターである。

  • 日本では、一般販売されて大量に流通した限定パックに封入されていた為に安価であるが、
    海外版では大昔の大会参加者配布のプロモパックにしか封入されておらず、
    しかも出現確率がかなり低いスーパーレアであった為に絶対数がかなり少なく、
    コレクター人気が非常に高くかなりの高額カードと化している。
    レートはまちまちだが、海外版なら言語問わず美品だと安くてもおよそ200€(約24,000円以上)と凄まじく高額。
    一方、セットである《要塞クジラの誓い》の方はノーマルで封入確率も高かった為に非常に安く、買う場所を選べば1€で10枚以上買うことも可能。

  • 漫画『超巡!超条先輩』の遊戯王パロディ回扉絵でヒロイン一本木直がカード化された際、攻撃/防御がこの《要塞クジラ》と同じという小ネタが仕込まれていた。*1

  • 上述の通り、このカードは元々コンピュータゲームを出身とするカードである。
    • OCG同様、儀式モンスターだが、初出のDM2では《ホワイト・ドルフィン》《サイボーグ・バス》《ナイル》の三体を、DM3以降では《サイボーグ・バス》と2体の魚族モンスターを生贄にする事で召喚が出来た。
    • 真DMII』では『戦士族モンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わず一方に破壊できる』という特殊効果を備えている。
    • DM3は原作漫画で城之内 VS 梶木が繰り広げられている最中での発売になったが、このカードは元々ゲーム作品を初出とする事から、遊戯 VS マリクの人形の展開をすっとばす形でこのカードをエースとしている梶木が参戦した経緯がある。
    • ゲーム『遊戯王フォルスバウンドキングダム虚構に閉ざされた王国』においては、移動タイプが砲撃に晒されない泳なのだが、レベルが55になるとアビリティ『飛行』によって移動タイプが飛行となり対空砲に晒されてしまう。とんだ地雷アビリティである。





追記・修正は海を発動してからお願いします。

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最終更新:2025年04月26日 17:36

*1 単行本書き下ろしカットでも伏せ字なしの名指しで「要塞クジラと同じスペック」とツッコまれている。